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■女の子たちの強化合宿(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-03-22
 
土曜日は朝から巫女装束を着て髪を束ねて集合する。外宮そして内宮にお参りした後、内宮の宇治橋の所で記念写真を撮った。全国から100人ほどの巫女さんが参加していたので、壮観な図であった。
 
その後、午前中は日本神話の話を天地開闢から、イザナギ・イザナミの話、天照大神(あまてらすおおみかみ)と天岩戸(あまのいわと)の話、須佐之男命(すさのおのみこと)の八岐大蛇(やまたのおろち)退治の話まで聞いた。
 
午後からは神社の主な祭典の話、結婚式・地鎮祭など、また神社での祈祷やお祭りなどで行われる様々な儀礼を代表数名による実技を交えながら勉強した。
 
その日も留萌組・稚内組で一緒にお風呂に行き、またまた旭川組、それに他の地域から来ている子たちとも一緒になり、賑やかに会話をしたが昨日のようにおっぱいのさわりっこまでは発展せず、おとなしくおしゃべり楽しんだ。
 
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翌日は朝から少し離れたところにある瀧原宮・瀧原竝宮(たきはらのみや・たきはらならびのみや)に夜明け前から移動し、ここで朝日を見た。
 
千里は外宮・内宮でも、そこにある「もの」の凄まじさ・あまりの巨大さに驚愕したのだが、早朝の瀧原宮・瀧原竝宮では、そのあまりに清々しい「気」
に身が震える思いだった。これは日本の財産、まさに聖地だ。千里はそう認識したし、またここに来たことが、今回の研修の最大の意義ではないかという気さえした。
 
その日の午前中は日本神話の続きを聞いた。地上の支配権を巡る出雲の神々と高天原の神々の争い、そして天孫降臨、山幸彦と海幸彦の話、山幸彦と豊玉姫の結婚と子供の誕生まで。山幸彦の孫が神武天皇になったという話は、初耳だったので千里はびっくりした。
 
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神話のこの付近の話は前半と違って神々がかなり人間くさい。それでついつい近くの子と色々言葉を交わしたりしてしまう。そんなことをしていたら
 
「おーい、そこのちょっと背が高くて長い自毛を束ねてる子」
と講師の人に当てられてしまった。
 
千里を左右を見回すが、どうも当てられたのは自分のようだというので
「はい」
と返事をして立ち上がる。自毛を巫女さんができるほど伸ばしている子は少数派である。ほとんどの子は垂髪の付け毛をしている。自毛の子でも千里ほど長くしている子は少ない。でも自毛だというのがよく分かったなと千里は思った。
 
「ここは伊勢国ですね。伊勢国の一宮(いちのみや)はどこか知ってる?」
 
「えっと、神宮ですか?」
と千里は答えたが
 
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「不正解」
と講師の人から言われる。
 
「えー? どこかもっと凄い所があるんですか?」
「神宮は別格なのだよ」
「あぁ!」
 
「伊勢国の一宮はここです」
と言って講師の人は
 
《椿大神社》
とホワイトボードに書いた。
 
「読める?」
「つばき・だいじんじゃですか?」
「不正解」
 
生徒達の中にざわめきが起きる。この神社の読み方は知っている子と知らない子が入り乱れているようだ。
 
「《つばきおおかみやしろ》と読みます」
「訓読みなんですね!」
と千里。
 
「そうそう。音読みしちゃったね」
 
「御祭神は猿田彦(さるたひこ)大神と奥様の天宇受売(あめのうずめ)神。天宇受売神というのは、天岩戸に天照大神が引き籠もっちゃった時に、岩戸の前でストリップを踊って、大神を呼び起こした神。そして、天孫降臨の時に、天照大神からその形代(かたしろ)の鏡を預かり、邇邇芸命(ににぎのみこと)を先導して地上に降りていった神です」
 
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「凄く重要な神様なんですね」
「そうそう。神道関係者には、この天宇受売神が大好きな人が結構いるんですよ。凄く元気で気の良い神様だから、君みたいに元気な女の子は信心すると良いよ」
 
「あ、元気に見えます?」
「君、スポーツやるでしょ。うーーーんと、ソフトボールかバスケ、もしくはサッカーだな」
 
千里は講師の先生の推察に驚いた。
 
「小学校の時ソフトやってて、今はバスケやってます」
「おお。僕の直感も大したもんだ」
 

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講義が終わった後で、講師の先生が千里を呼び止めた。
 
「僕がなぜ君がソフトかバスケをしてるんじゃないかって推察したか分かる?」
「分かりません」
 
「君のね、チャクラというか気の流れというかがね。不思議な巡り方をしているんだよ。だから実はあの大勢の生徒の中で君を指名した」
 
「はい? 変ですか?」
「凄く昔に、似たタイプの人を見たことがあって。その人はバスケットの日本代表になった」
「わぁ」
 
「普通、チャクラは女性は左回転が強く、男性は右回転が強い。巫女さんやるような子には特に左回転が強烈な、女らしい子が多い。ところが君って左回転も強いけど右回転も結構強いんだよね」
 
ああ。やはり自分は完全な女じゃないんだな、と千里は内心思った。
 
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「更にね。その右回転と左回転がところどころで無理につながって複雑な回転になってるの」
 
むむむ。自分自身でもよく男と女で混乱するのは、そのあたりに原因があるのだろうか?
 
「こういう子はごく自然に男性的なエネルギーの使い方もできるから、しばしばスポーツが得意だったり、男顔負けでビジネスや政治の場面で活躍したりするという説もある」
「なるほど」
 
「それでスポーツするにしても、たぶんいかにも女の子が好みそうなテニスとかバレーとかではなく、男の子がするようなスポーツで、野球という訳にもいかないだろうからソフト、あるいはバスケやサッカーかと思った」
「ああ、確かに」
 
「でもこういう人は自分の中に男性性があることでどうしても心の中に矛盾を抱え込む」
「抱え込んでます!」
 
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「それは凄いストレスだけど、そういうストレスが人を成長させる。君は頑張れば凄く伸びる子だから、勉強もスポーツも頑張りなさい」
 
「はい、ありがとうございます」
と言ってから千里はあの時、疑問に思ったことを訊いてみた。
 
「そういえば、私の髪が自毛というのは、なぜ分かったんですか?」
「オーラが髪全体を覆っているからだよ」
「あぁぁ」
 
「付け毛は物質だから、そこにはオーラは無いからね」
「なるほどですね!」
 
「でもその髪のメンテは大変でしょ?」
「はい。シャンプーとトリートメントの消費が激しいです」
「原価が掛かってるね!」
 

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講習が全部終わった後で、参加者全員で内宮のお掃除をした。参道のゴミなどを拾い、ほうきできれいに掃いたりした。
 
関西や関東などの子たちはその日の内に電車などで帰ったが、北海道や九州から来ている子たちはその日も泊まり(当然また同室の女子たちと一緒にお風呂に入った)、翌月曜日の朝の電車で名古屋に移動し、お昼の飛行機で旭川空港に飛び、夕方17時すぎに留萌に帰還した。
 
「ただいまあ」
と言って千里が帰宅すると、母が「ん?」という顔をする。
 
「あんたその格好で研修に行ったの?」
 
千里がセーラー服を着ているのが母には困惑の元になっているようである。
 
「現地では巫女さんの衣装だよ」
「だったらいいか」
といったん言った上で、まだ更に悩んでいるようである。
 
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千里が奥の部屋に戻り、普通のポロシャツとスカート姿になって居間に出てくると、母が御飯とおかずを盛ってくれている。母は千里がスカートを穿いているのは黙殺して
 
「適当に雑魚を放り込んで煮たものだけど」
と言って勧めた。
 
「うん。お魚の鍋、大好き。頂きます」
と言って、千里は食べ始める。石狩鍋の鮭の代わりにイワシやアジの小さいのが入っているようなものである。
 
「お姉ちゃん、どんな所に泊まったの?」
「崇敬者の人とかも泊まる所。全国から100人くらい来てて凄かったよ」
「へー。洋室?和室?」
 
「ああ、洋室もあるらしいけど、ボクたちは和室。5人1部屋」
 
すると母が訊く。
「同室になったのは男の子?」
 
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「まさか。巫女さんなんだから、みんな女の子だよ」
「あんた、女の子たちと泊まっても大丈夫なんだっけ?」
「ボク、男の子とは同室になれないよー」
 
「うーん。。。。お風呂は部屋に付いてたの?」
「ううん。大浴場だよ。一般のお客さん向けには、バストイレ付きの部屋もあるみたいだけど、学生の修学旅行とか、今回みたいな研修とかはお部屋だけの所に詰め込む」
 
「ああ。じゃお風呂は大浴場に行ったんだ?」
「そうそう。同室の子たちと一緒に行って、楽しく中でおしゃべりした」
 
母が少し考える。
「えっと、同室の子って男の子だったっけ?」
「女の子だよ。巫女さんだもん」
「女の子と一緒に男湯に入ったの?」
「まさか。女の子が男湯に入る訳ないじゃん。女湯だよ」
「だったら・・・・あんた女湯に入った訳?」
 
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「そうだけど」
 
玲羅は忍び笑いをしている。
 
「あんた入れるの〜〜?」
「私、普通に女湯に入るけど」
 
「ごめん。ちょっと頭痛くなった」
「風邪?夏風邪はしつこいから気をつけてね」
 

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ところで千里はこの春から1年先輩の貴司と交際を始めたのだが、貴司は実際問題としてバスケに夢中で、平日も7時くらいまでバスケの練習をしているし、土日も朝から晩までバスケをしているので、デートする時間が無い。
 
更に千里は携帯を持っていない(春に遊園地に行った時は父の携帯を千里が持って行っていた)のでメールのやりとりもできない。
 
それで結局、ふたりは交換日記という形でお互いの気持ちを伝え合うことを始めた。だいたい夜の内に貴司が書いておいて朝千里に渡し、千里が日中書いて部活が始まる時に貴司に渡すというパターンを基本にしていたが、貴司は千里ほどマメではないので、昼と夜が逆転することもあれば、貴司から数日帰ってこないこともあった。それでも千里はじっと日記が戻ってくるのを待っていた。
 
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土日には千里は神社に行って巫女さんをしているのだが、たまに貴司が神社にやってくることがあった。大抵は
 
「今日は人が少なくて練習にならないから上がってきた」
なんて言っていた。
 
貴司はここの神社の巫女・細川さんの息子なので、いつも勝手に社務所に来ては、勝手に空いている部屋で漫画を読んだりしていたし、千里が事務室で宛名書きなどの仕事をしている時は、そばに来て色々話しかけたりすることもあった。(縁起物の製作などをしている時はしゃべりかけないで、と言っておいたが、それは貴司も前々から承知していたようである)
 

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「貴司、第2待合室に貴司の漫画がかなり溜まってるんだけどって、宮司さんが言ってたよ」
 
「うーん。祈祷を待ってる人に勝手に読んでもらってもいいけどね」
「ああ、片付ける気は無いのね」
 
「千里ってあまり漫画読まないよね?」
「うん。友だちが読んでるの借りて、少し読むくらいかなあ。自分では買わないよ。お小遣いがあったら、参考書買ったり」
 
「女の子の服を買ったりか」
「あはは」
 
「ここのバイトでもらったお金はどうしてんの?」
「参考書とか問題集を買うのに3000円くらい使って、残りは貯金してる。お母ちゃんが通帳作ってくれたから。通帳とカードに印鑑は神社に置いてる。家に置いていたら父ちゃんに見つかるからと言われて」
 
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「何か複雑な家だなあ」
「まあね」
 

ある日は貴司はヴァイオリンケースを神社まで持って来た。
 
「このヴァイオリン、僕はもう3年以上弾いてないからさ。こちらに置いておくから、時間の空いている時とかに千里少し練習しない?」
 
「えー?でも・・・」
「千里、龍笛とかピアノとかの練習もしてるから、ついでにヴァイオリンも弾くといいよ。少し弾いてれば、けっこう感覚が戻ってくると思うよ」
 
「んー。じゃ借りようかな」
 

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若い男の子が神社で暇そうにしていたら、結構力仕事に徴用されることもある。
 
「貴司君、ちょっと神殿に奉納している米俵とか日本酒を降ろすの手伝って」
とか
「渡り廊下の屋根が雨漏りしてるんだよ。上に登れるような運動神経のある人がいないから、ちょっと手伝って」
などという感じで、便利に使われていた。
 
「ああ、男性神職、みなさん40代以上ですもんねー」
「若い子はこんな田舎で奉仕してくれないんだよ。國學院や皇學館を出てもみんな都会の大きな神社に行きたがるから」
「給料もここ安いでしょう?」
「まあ、それは言いっこ無しで」
 
貴司はそういうお仕事は割と好きなようで、いつも「いいですよ」と言って気軽に応じていた。貴司は無愛想なので、不親切かと思う人もいるのだが、言えば結構色々してくれる性格なのである。
 
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女の子たちの強化合宿(5)

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