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■女の子たちの陰陽反転(6)

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それで貴司に連れられて来たのは・・・・。
 
「あれ?ここは?」
「うん、母ちゃん、ここの神社に務めてるんだよ」
「へー!」
 
それは先日、留実子に連れられて鞠古君の病状のことで巫女さんに占ってもらったQ神社であった。
 
貴司は特に声を掛けたりもせずに勝手に社務所の玄関で靴を脱ぎ、中に入って行く。千里は「お邪魔しまーす」と言って、それに続いた。
 
廊下を歩いて行き、事務室?という感じの部屋の襖を開けて中に入る。中は和室である。神職の衣装を着た人や巫女さんの衣装を着た人を含めて6人ほど、和机の前に正座して何やら仕事をしていた。
 
そこで初めて貴司は「こんにちはー」と声を掛け、ひとりの巫女さんの所に行く。千里も「お邪魔します」と言って続くが。。。。
 
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貴司が「母ちゃん、来たよ」と声を掛けたのは、先日例の占いをしてくれた巫女さんだ! 千里はびっくりして、たたずんでいた。
 
「あら、そちらは?」
と貴司のお母さん。
 
「あ、これ僕の友だちの千里ちゃん」
「へー!」
 
「初めまして。村山千里と申します」
と千里は挨拶する。まだ声変わりが来ていないので、女の子のような声だ。
 
「可愛い子だね!」
とお母さんが笑顔で言う。が、ふと何かに気付いたように、
 
「あれ?あなたどこかで会わなかったっけ?」
と言う。
 
あはははは。先日ここに来た時は学生服だったんだけどね! どうかそのことを思い出しませんようにと思ったが、無駄だった。
 
「あ、あなた、先月だったか、お友だちの病気の占いでうちに来なかった?」
 
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「はい、来ました」
と千里はこうなったら仕方無いので開き直って笑顔で答える。
 
「あの時、学生服を着てたよね?」
「ええ」
 
貴司が思わぬ展開に驚いている。せっかくセーラー服を着ている所を見せようと思って連れてきたのに、学生服姿を見られていたとは・・・と貴司は思ったのだが、母は
 
「あの時、セーラー服の女の子は、あんたのこと、学生服を着ているけど女の子ですと言ってたけど、ほんとに女の子だったんだね!」
と言った。
 
貴司も
「間違いなく、千里は女の子だけど」
と言う。
 
「まあ、裸にしてまでは確かめてないけど」
と付け加えたら
 
「そんなことするのは中学生には早い」
などとお母さんは言った。
 
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それで、少し話しましょうと言われ、別室に案内される。
 
お茶とお菓子までもらってしまった。サクランボも貴司が自宅に持ち帰る分の他に「おみやげ」と言われて、千里も少しもらった。
 
「いつから付き合ってるんだっけ?」
「こないだのゴールデンウィークに三井グリーンランドで親しくなったんだよ」
と貴司が言う。
 
「ああ、あの時! じゃあそこでデートしてたんだ?」
 
「私が女子バスケ部、貴司さんが男子バスケ部で、一応お互いの顔は知っていたのですが、あの時偶然遭遇して、お話している内に、お友だちになりましょうということになって」
と千里も説明する。
 
「なるほどねぇ。でも何だかいい感じの子」
とお母さんはご機嫌である。
 
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「でも、千里ちゃん、髪長いね」
「本当は肩あたりまでで切らないといけないみたいなんですけど、注意されないのをいいことに今の所バッくれてます」
 
「あ、1年生?」
「はい、そうです。何か特別な事情がある場合は髪を結んでおけば長くてもいいらしいんですけどね。特に事情とか思いつかないもので」
 
と千里は言ったのだが、お母さんは少し考える風である。
 
「千里ちゃん、あんた霊感があるね?」
「え? そうでしょうか?」
 
「ちょっと待って」
と言ってお母さんは一度部屋から出て行くと、何やらカードのようなものを持って来た。
 
そして8枚裏返しに並べる。
 
「これはイーチンカードと言って、中国古来の占いである易(えき)をカードにしたものなの。易の基本要素は、乾兌離震巽坎艮坤(けん・だ・り・しん・そん・かん・ごん・こん)、あるいは天沢火雷風水山地(てん・たく・か・らい・ふう・すい・さん・ち)と言って、8種類の記号がある」
 
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「はい」
「この8枚の中で兌(だ)あるいは沢(たく)とも言うけど、そのカードはどれ?」
 
「えーーー!?」
と千里は言ったものの、
 
「じゃ、これです」
と言って、左から3番目のカードを指さす。
 
お母さんがそれを表に返す。下に長い横棒が2本あり、上に短い線が2本並んでいるカード(:||)が出た。
 
「正解」
とお母さん。
 
「凄い!」
と貴司。
 
「ねぇ、千里さん、この神社で巫女さんのバイトしない?」
 
「え?私みたいな素人がそんなことできるんでしょうか?」
「あんた、巫女の素質があるよ」
「へー!」
 
「このイーチンカードで確認する以前に、千里ちゃんと話をした瞬間に、あれ?この娘・・・と何かを感じたんだよね。これは霊感のある同士でないと分からないことなんだけど」
 
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「私はそういうの全然分かりません」
「少し鍛えると、そういう感覚も研ぎ澄まされるけどね」
「修行とかですか?」
「まあ、その辺は人によりけりだね」
 
「滝行とかすんの?」
と貴司が訊く。滝行!? やだー、冷たそう!!
 
「まあそんなのは本気でプロの巫女さんになりたい場合だけだよ。取り敢えず来月の七夕祭りの時はたくさん臨時雇いの巫女さん入れるけど、まずはその要員ということで」
 
「わあ・・・」
「バイト代は当面、土日祝日に3時間1500円という線でどう?」
「私、1ヶ月のお小遣いが1000円だから、それ凄く嬉しいです!」
と千里は素直に言った。
 
「でもバスケの試合がある時は休ませてもらっていいですか?」
「もちろんOK」
「じゃ、やらせてください」
 
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「よし、決まった。それでさ、その千里ちゃんの長い髪が巫女さんには好都合なんだよね。だから、巫女さんするのに髪を長くしてますと言えるよ」
 
「ほほぉ!」
と貴司は面白そうに言った。
 
「なんなら神社の名前で証明書を出してあげるから」
「わあ、それ嬉しいです」
 
と千里は本当に嬉しそうに答えた。
 
だけど、男子生徒が巫女さんしてますと証明書出しても通るんだろうか!??
 

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「ところで、こないだのお友だちの占いのことだけど」
とお母さんは少し小さな声で言った。
 
「はい」
「あの占いは私も何だか凄く気になってね。普通は占いした内容は即忘れるんだけど、あれはずっと記憶に残っててさ。あれ、よけい本人達の前では言いづらかったんだけど、どうも問題がありそうな気がするんだよ」
 
「やはり、病気の状態は悪いのでしょうか?」
と千里は心配して言う。
 
お母さんは、黙って何やら黒檀の棒を6本取り出した。四角い棒で、真っ黒な面と真ん中が赤く塗られている面とがある。
 
「これは算木というの。易の卦(か)を表すのに使う。こないだ出た卦は、沢天夬(たくてん・かい)の五爻変」
 
と言ってお母さんは、:ll lll の形に棒を並べた。
 
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「五爻変だから、下から五番目の爻(こう)が反転する。つまり :ll lll の形から ::l lll の形に変化する」
 
と言って、5番目の棒を回転させる。
 
「この黒い面は陽(|)を表す。赤いのが真ん中に塗ってある面は陰(:)を表す。陰陽だよね。陽というのは、太陽とか昼とか光とか男とか。陰というのは月とか夜とか陰とか女とか。この | というのはおちんちんの形、: というのは女の子の割れ目ちゃんの形と思ってもいい。それで、この卦は陽(|)が陰(:)に転じているんだよね」
 
千里は話を聞きながら先日、深川行きの列車の中で見知らぬ女性から聞いた陰陽の話を思い出していた。
 
「それ、つまり、おちんちんを取ってしまって男から女に変わるという意味ですか?」
と千里は訊く。
 
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「そうそう。そういう手術を受けるんでしょ?」
とお母さん。
 
「何それ?」
とびっくりしたように貴司が訊くので、千里は男子バスケ部1年生の鞠古君が、おちんちんに腫瘍ができていて、7月におちんちんとタマタマを切断する手術を受けることになっていることを説明する。
 
「鞠古が病気で部活を休んでる件は聞いていたけど、そんな病気だったのか!」
と貴司は驚いている。
 
「私が気になったのは、この、沢天夬・五爻変の爻辞(こうじ)なんだよ」
「はい」
 
「莫陸は夬夬。中行して咎なし。象に曰く、中行して咎なきは、中の未だ光いならざればなり」
 
「えっと・・・良かったら日本語で教えてください」
 
「つまりね。夬(かい)というのは《決》の字の右側で決断を表す卦ではあるのだけど、その決断をする人物がまだ未熟だということなんだよ」
 
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「・・・もしかして誤診の可能性がありますか?」
と千里は訊いた。
 
病気に関して医者が診断している内容について、占い師が異論を唱えることはできないだろう。だから、敢えてあの時は何も言わなかったのだろう。
 
「逆に言うと、この爻は、やり過ぎを表す。解決するけど、そこまでしなくても良いのではとも思えること」
とお母さん。
 
「廊下を走っただけで退学処分にされるような?」
「うーんと・・・」
「消しゴム1個盗んだだけで、射殺されるとか」
「ああ、それに近いかも」
 
「つまり、これもしかして、チンコを切らなくても治る可能性があると?」
と貴司は言った。
 
「いや、占い師がそこまでは言えない」
とお母さんは難しい顔をして言った。
 
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翌日、学校に(学生服を着て)出て行って、昨日貴司のお母さんと話したことを考えながら千里が悩んでいると、
 
「おっはよう!」
と明るい声で鞠古君が入ってくる。
 
が・・・
 
「え?もしかしてお前鞠古!?」
と男子の同級生から戸惑うような声。
 
「そうですわよぉ。みなさん、おっはようございまーす」
と何だか女言葉(?)で話している鞠古君は、何とセーラー服を着ている。しかも髪が長い・・・のは多分ウィッグなのだろう。
 
「お前、何て格好してるの?」
 
「ああ、実はテストなのよ」
と女言葉で話す鞠古君が気持ち悪い。字面では女言葉だが、イントネーションが女言葉のイントネーションではないのである。
 
鞠古君が出てきたみたいというのに気付いて隣の教室から留実子が来るが、セーラー服姿に顔をしかめている。
 
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「テストって何の試験?」
「あたしが、女として適合できるかのテストだって」
 
「はぁ?」
 
「いやね、チンコ切ってしまうでしょ? そして女性ホルモンをずっと打っていたら、いやでも女みたいな身体になっちゃうじゃない。それなら、いっそのこと、女の子になってしまった方がいいかも、なんてお医者さんが言うのよ」
とあくまで鞠古君は女言葉で話す。
 
が留実子が不快そうな顔で言った。
「トモ、気持ち悪いからその女言葉やめろ」
 
「あ、ごめんねー。るーちゃん。お医者さんから、女の子として適合できるかのテストで、半月くらい、女の子の服を着て過ごして、その間は女言葉で話してみなさいって言われたの。それで女の子としてやっていけるようだったら、チンコ取った後、人工のチンコ作るんじゃなくて、女の子の形に整形して、戸籍も女に変更しようって。ちゃんと男の人とセックスできるようになるらしいのよ。名前も知子にしようかなあ」
 
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思わぬ話の展開に千里は驚いたが、留実子は明らかにかなりのショックを受けている。おちんちんを失っても鞠古君は男なんだから、自分の気持ちは変わらないと留実子は言った。それは彼女なりに相当悩んだ上での結論だ。それなのに鞠古君が女の子になってしまうというのは、話が違う!
 
「この女言葉は看護婦さんに教えられて半日くらい特訓したのよ」
と鞠古君。
 
「すっごくイントネーションが変。気持ち悪い」
と尚子まで言う。
 
「あら、そうかしら? もっと練習しなくちゃ駄目ね」
と鞠古君。
 
「鞠古、お前、もしかして女物の下着とかも付けてるわけ?」
と元島君が訊く。
 
「もちろんよ。女の子ショーツに、ブラジャーにキャミソールを着て、ブラウスを着て、この制服を着てるの」
 
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「足の毛は?」
「全部剃ったけど、毛のないきれいな足っていいわね。スッキリしてて。今は足と足の間にちょっと男の子みたいなの付いてるけど、取っちゃったらそこもスッキリしそう」
 
ああ、開き直りなんだろうけど、少し自虐的になってないか?
 
「その制服は誰の?」
「お姉ちゃんがまだ捨てずに取っていたのをもらったの。ブラウスもね。下着は新品だけど」
 
「あのさ。女の下着とかつける時、チンコ大きくならなかった?」
「なったけど、オナニーは禁止されてるから、何とか我慢したわよ。我慢汁は出てきたけど」
「そりゃ出るだろうな」
 
と男子の同級生たちも呆れている感じである。
 
「今はガードルで押さえつけてるの」
「それ痛くない?」
「痛いけど我慢する」
 
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留実子は最初しかめ面をしていたが、次第に怒りの表情になってきた。そして
 
バチッ
 
っといきなり鞠古君の顔を平手打ちすると、さっと走って教室から出て行ってしまった。
 
千里は慌てて留実子の後を追う。
 

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■女の子たちの陰陽反転(6)

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