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■女の子たちのチョコレート大作戦(6)

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「あれって、腕だけじゃなくて、足腰も関係するんですか?」
と美那が質問する。
 
「当然。ボールは腕で投げるもんじゃない。身体全身のバネで投げるんだよ。腕だけで投げてたら、腕や肩の筋肉を痛める。きちんとした指導者の居ない小学生チームやリトルリーグではよくそれで肩壊して、投げられなくなっちゃう子がいる」
と青沼君は言う。
 
「わあ、それ可哀想」
「野球が好きなのに出来なくなっちゃうって辛いですね」
 
「肩を温存するためには投げすぎないことも大事だし、身体全体を鍛えた方がいいから、僕は中学では陸上部か水泳部に入ろうと思ってる。あるいはバスケ部か。野球は高校に入ってから再開する」
 
「へー!」
 
おしゃべりは赤坂君が意外に話題が豊富で、楽しいネタを出すし、全員に上手に話を振るので、みんな楽しく会話することができた。もっとも、しばしば出てくる下ネタには、青沼君が「その話はやめとけ」と言ってセーブを掛けていた。
 
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「じゃ、晋治君は中学は旭川に行っちゃうんですか?」
と美那が訊く。
 
「うん。母ちゃんが北大の医学部に行けと言ってるんだよね。やはり田舎の中学・高校から北大クラスの医学部狙うのは難しいから」
と青沼君。
 
「医学部って、お医者さんになるんだ!」
「僕、あまり人の身体を切り刻むのは苦手なんだけどね」
「だったら、内科のお医者さんになればいいんですよ」
「うん。僕には外科は無理って気がする」
 
「晋治君がお医者さんになるなら、私、薬剤師か看護師を目指そうかなあ」
などと美那は積極的にアピールしている。
 
「千里は将来、何になりたいの?」
と恵香。
 
「うーん。。。プログラマーかなあ」
「それ絶対無理。千里、算数とかも苦手だし」
「千里、32÷8は?」
「え?3くらい?」
「だめだこりゃ」
 
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「でもプログラマー志望なら旭川か札幌のコンピュータ学校か何かに行く?」
「むしろ東京の方の大学に行きたい気分」
 
「ああ、千里の場合は、そのくらい言っておいた方が、お父ちゃんから漁業を継げとか言われなくて済むかもね」
と美那。
 
「女の子に漁業継げとは言わないでしょ。そもそも漁船には女は乗せないし」
と青沼君。
 
「あ、えっと・・・」
美那はちょっと失言したかなと思って困っている。
 
千里は仕方無いので笑顔でカムアウトする。
 
「まあ、私は戸籍上は男の子だからね」
 
「は?」
 
恵香がフォロー?して言う。
「生まれた時は男の子だったけど、手術して女の子になったんだよね?」
 
「女の子になりたいけど、まだ女の子じゃないよ」
 
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「えーーーー!?」
と男子2人。
 
「嘘」
 
「嘘だったらいいんだけどねー」
 
「信じられない!」
「女の子だと思い込んでた!」
 
「ってか、女の子にしか見えないんだけど」
「髪長いし」
「声も女の子っぽいよね」
 
「それにいつも何だか女の子の輪の中に居ない?」
「私、男の子の友だちって出来たことないから」
 
「だいたいスカート穿いてるし」
「割とそれは穿くかな」
 
「でもこの子、おちんちんは無いんですよ」
と恵香が言う。
 
「え?そうなの?」
「だって、夏のキャンプ体験の時、他の女子と一緒にお風呂入ってますから」
「へー」
 
「あれは誤解だって」
 
何だか勝手に噂が一人歩きしているようなので千里は困ったように言った。もっとも、その噂の発信源がどうも恵香っぽいのだが。
 
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「誕生日は平成3年3月3日で女の子の節句に生まれてるしね」
 
「3年3月3日生まれって、3が3つ並んだ日に生まれたんだ?」
「うん。だから、私の誕生日、すぐ覚えられちゃう」
 
「ついでに3時3分3秒生まれとか?」
「0時1分23秒らしいです。父は3月2日生まれと思い込んでいたみたいですが、私が産声を上げた時に、お医者さんが時計を見たら0:01:23と数字がきれいに並んでいるのを見たということでした。母子手帳には0時1分までしか書いてないけど。」
「へー」
 
「お誕生日はいつも雛祭りだよね」
「そうそう。だから、単独でお誕生日を祝ってもらった記憶がない」
 
「2つ下の妹さんが居るから、その子のために買ったひな人形をバックに記念撮影とかしてたみたい」
「そういう時の千里って、女の子の和服を着ていたりするよね?」
 
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「そうそう。小さい頃の千里の写真って、何だか全部女の子の服を着てる」
 
「元々生まれてくるまで、お医者さんも女の子だと思ってたらしいから。産着とかも赤いのばかり用意してたらしい」
 
「それで生まれてみたら変なのが付いてたから、取っちゃったんだよね?」
「うーん。取って欲しかったかも。子供服も、2つ上の従姉の服を随分もらっていたから、小さい子だし構わないよねと言って、そのまま女の子の服を着せていたらしいです」
 
小さい頃の千里の家の子供服の流れは、従姉の愛子→千里→玲羅である。それが最近は、叔母の美輪子→千里/愛子→玲羅 と分離している。但し愛子からのお下がりでも玲羅の好みに合わないもの、玲羅にはウェストが入らない!ものは千里がもらっている。
 
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「それで女の子に育っちゃったとか?」
「それは関係無いと思うなあ。私の元々の性格だと思う」
 
「実際、千里は女の子ですよ。私たちもみんな千里のこと、普通に女子だと思って付き合ってますから」
と美那は言う。自分の失言が元で千里の性別がバレてしまったので、頑張ってフォローしてくれている感じだ。
 
「まあ、結婚するんでない限り、恋人として付き合うまでは、お股の形が少し変でも構わないかもね」
などと赤坂君が言う。
 
恋人なら構わないけど結婚は駄目・・・・。その言葉は千里の心に突き刺さる。
 
しかし青沼君はその問題については敢えて発言を避けて、笑っている感じであった。
 

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デートは結局、ケンタッキーで2時間ほどしゃべった後、バスで《海の記念館》に移動して、見学した。その時、恵香が千里の背中を押すようにして、青沼君と千里が横に並ぶようにした。青沼君もその千里のポジションを受け入れてくれている感じだ。
 
展望台から海を眺めるが、冬の北海道の海は厳しい。その日も海は荒れていて、高い波が見えた。
 
「まあ、この海に女は連れて行けないよな」
と赤坂君が言う。
 
「やはり男の世界ですよね?」
と恵香も言う。
 
「そもそも、千里では船の上で全く戦力にならない気がするよ」
と美那。
「男がたくさん居る中に千里みたいな女の子が1人居たら、千里を取り合って争いが起きそう」
 
「うん。それも女を漁船に乗せないひとつの理由だよ」
と青沼君も言う。
 
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「千里が東京に出るなら、僕も医学部に行かない場合は東京の大学を目指してもいいかなあ」
などと更に青沼君は言う。
 
恵香と美那は「ほほぉ」という感じで顔を見合わせた。
 
しかし千里はその青沼君の発言の意図には気付かず、自分の性別バレちゃったし、青沼君とはこれで終わりかなあ、今日は楽しかったな、などと漠然と考えていた。
 

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連休明けの13日(火)。
 
千里が学校の廊下を歩いていたら、保健室の先生が
「あ、村山さん、ちょっと」
と言って呼び止めた。
 
それで保健室に入る。
 
「こないだの授業の時は、みんなの前だったから訊けなかったんだけどね」
と先生は言う。
 
「はい?」
「村山さんって、女の子になりたい男の子なのかな?」
 
「そうですね。男の子かどうかは置いといて、女の子であったらいいなといつも思います」
 
「そっかー。あの時、クラスメイトが村山さん、おちんちん無いのではと騒いでいたけど」
 
「ありますよ。無かったらいいのにと思うし、自分で切っちゃおうと思ったことも何度かあるけど、怖くて切れなかったです」
 
「そんな所切ったら、たくさん血が出て、下手したら死んじゃうよ。切りたいならお医者さんに切ってもらうようにしなくちゃね」
 
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「・・・・病院に行って、切ってくださいと言ったら、切ってもらえるのでしょうか?」
 
「そうだねぇ。一応20歳過ぎなら、手術してくれるみたいだよ」
 
どうも先生もあの後、少し調べたようである。
 
「20歳ですか」
と言って千里は溜息を付いた。それまで自分は我慢できるのだろうか・・・・。千里は自信が無かった。
 
「キャンプの時は実際、どうだったの?」
 
「お風呂ですか? あれ、私結局お風呂の中までは入ってないんですよ」
「ああ、そうなんだ?」
 
「他の男の子と一緒に入りたくないなと思って」
「そうだね。村山さんは自分は女の子のつもりなんだから、男の子に裸を見られたくはないよね」
 
「そうですね。それで男子の入浴時間帯のギリギリ最後を狙って行ったんですけど」
 
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「うんうん」
「でも行く途中で恵香にバッタリ会っちゃって。それで普段通りにおしゃべりしながら、お風呂までは行ったんですけど、途中で他の子も加わって嵐の話とかしたんですよね。でも、さすがに女の子たちと一緒に脱衣場までは入れないから、入口の所で別れましたよ」
 
「ああ、なるほど」
「その時点では多人数入り乱れていたから、私が離脱したことに気付いた子は少なかったかも。多分、おしゃべりはそのまま継続したから、私とお風呂の中でまで話したような気になったのではないでしょうか」
 
「それはあるかもね」
 
「だいたい、私が女の子たちと一緒にお風呂の中に居たら、さすがに、なんであんたここに居る?とか言われますよ。私の性別知らない人ばかりなら、気付かずに入っていられるかも知れないけど」
 
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と千里はとても微妙な言い方をしたのだが、その機微には先生は気付かなかったようで
 
「ああ、そうだよね! そこでみんなに女の子との入浴を容認してもらったとしても、そのことが強烈に記憶に残るよね」
と先生は言う。
 
「でしょ?」
と言って千里は微笑んだ。
 

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「でも女性ホルモンの注射って高いんでしょうか?」
「そうだねぇ。1回5000円くらいで、月に2回くらい打つらしいよ」
 
これも恐らく調べておいたのだろう。
 
「そんなに! 私、お小遣い、月に500円なのに」
 
「500円には、さすがにまけてくれないだろうね」
と先生は言ってから
「注射以外に、お薬で飲む方法もあるらしいよ」
と付け加える。
 
「へー!」
「それも1ヶ月分が1万円くらいするみたい」
「やはり私には無理です!」
 
そんな千里を先生は優しく見守ってあげている感じであった。
 

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