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■女の子たちの二次試験(4)

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やがて飛行機は福岡空港に到着する。千里は降機するとすぐに高田コーチに電話を入れた。
 
「その後どうですか?」
「全く手がかりがない」
「警察にはどうしますか?」
「お兄さんが捜索願いは出さないでくれと言った」
「どうしてです?」
「失踪して警察が捜索したなんてことになったら、バスケット選手としての佐藤君に汚点が付くと言うんだよ。むしろ美しく死んでしまった方があの子にとっては名誉あることだと言ってね」
 
千里は絶句した。凄い。やはり玲央美はスターなんだ。自分とは違うなというのをあらためて感じた。玲央美はやはり手を掛けた花園に咲く美しい蘭の花だ。私は泥の中から顔を出した蓮の花かなあ・・・。
 
「一応彼女のお姉さんが函館に住んでいたのが急遽地元に戻って、地元近辺で誰か知り合いに目撃されていないか聞いて回ってみると言って、今移動中だと思う」
 
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その時、千里はふと思いついた。
 
「彼女、確か小樽でしたよね。実家の住所ご存じですか?」
「うん。ちょっと待って。えっとね。小樽市星野町***」
 
星野町!?
 
「高田さん。私、必ず今日中に玲央美を見つけ出してそちらに連絡入れます」
「うん。頼む」
 

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千里は自分の出身地が星野町であるなら、それと同じ名前の星野村に興味を持ったかも知れないという気もした。とにかく八女方面に行くため、博多駅に地下鉄で移動する。ここで筑紫口そばのコンビニで新島さんから振り込んでもらった50万も含めて65万円を引き出しておく。
 
《すーちゃん》とも博多駅構内で合流することができた。
 
「ドンキで見つけた」
 
と言って、《すーちゃん》は子供用の花火セットを手に持っている。
 
「ありがとう!」
「最初デパートとかスーパーのおもちゃ売り場見るけど、やはり無いんだよね。福岡なら西新に駄菓子屋さんがあったはずと思ってあそこに花火とか無いかなと思って行ってみたんだけど、その店は大分県に移転したらしい」
「へー」
 
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「それであちこちのお店で花火売ってる所知りませんかね? なんて聞いていたら、ドンキで見たよと聞いて、行ってみたらあった」
 
「この時期に花火を売ってるとは、さすがドンキ!」
「でも疲れた」
 
「お疲れ様。玲央美に会いに行こう」
 
『でも目的地までの交通手段はどうするの?』
と《いんちゃん》が訊く。
 
『星野村とか矢部村ってバスとか無いの?』
『留萌の方がまだマシという世界』
『うっ』
『千里、あまり無免許運転させたくないけど車を使うしかない』
 
で、でも私、明日受験で疲れたくないよぉ。車を運転できる《きーちゃん》は千里に代わって東京に行ってるし、《こうちゃん》は大阪だ。
 
『くうちゃん、悪いけど、こうちゃんを召喚してくれない?』
『よし』
 
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それで《こうちゃん》が一瞬にして千里の前に出現した。
 
「へ?」
と言って《こうちゃん》はキョロキョロあたりを見回している。
 
「こうちゃん、何て格好してるの?」
「あはは?あたし、可愛い?」
「うん。女子大生くらいには見えるよ」
「女子高生のつもりだったんだけどなあ」
「女子高生にしてはちょっと無理があるなあ」
 

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それより少し前、貴司のマンションの前で「待ち伏せ」していた芦耶はやがてマンションの出口から女子高生の制服を着た女の子が出てくるのを見た。しかし・・・女子高生にしては、薹(とう)が立っている気がする。見た感じは22-23歳ではなかろうか。女子高生のコスプレ?それともそんなことするのが貴司の趣味?確かにあいつロリコンかも知れないなあ。。。女の子のおっぱいはあまり大きすぎない方がいいとか言ってたし。
 
しかしこの子が、貴司と知り合った頃から頻繁に見かけていた女子高生とは別人であることは確かだ。あの子はもっと背が高かったし髪が長かった。むろん制服も違う。この子が着ている制服は「今風」で共学校っぽいが、以前見ていた子の制服はシックで歴史のある女子高という雰囲気だった。
 
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取り敢えず後を付ける!
 
女子高生(?)は北大阪急行(地下鉄御堂筋線直通)かモノレールの駅に行くのかと思ったら、大通りに出たら流しのタクシーを停めて乗る。慌てて芦耶も続いて走ってきたタクシーを捉まえた。
 
「前のタクシーを追いかけて。料金、倍払うから」
「いいですよ」
 
それで芦耶の乗るタクシーは女子高生の乗ったタクシーを追いかける。そして5分ほど北へ走った時、前を走っていたタクシーが急ブレーキを踏んで停止した。こちらも急ブレーキを踏んだが、あまりに突然だったので、もう少しで追突するところだった。
 
「あっぶねー。何て運転しやがるんだ?」
と運転手は怒っている。
 
ところが前の車の様子がおかしい。
 
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やがて運転手が出てきて後ろのドアを開けて覗き込んだり、車の下、更にはトランクまで開けて何か探している様子。
 
芦耶は「ちょっと待ってて」と言って車を降りて、前の車の運転手の所に歩み寄った。
 
「どうかしたんですか?」
と声を掛ける。
 
芦耶の乗ってたタクシーの運転手も降りてきた。
 
「いや、さっき新千里(しんせんり)で女子高生の客を乗せたんですけどね」
と前の車の運転手は言う。
 
「箕面までと言うんで取り敢えずこの新御堂筋を北上してて、箕面のどのあたりですか?と訊いても反応が無いんだよね。それでバックミラー見ると、誰も乗ってないんだよ。え!?と思って車停めて、再度確認するけど、後部座席には誰も居なくて。一体、どこ行っちまったんだろ?」
 
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芦耶は自分が乗っていたタクシーの運転手と顔を見合わせた。
 
「あんたさ」
とこちらの運転手は向こうの運転手に言った。
 
「タクシーただ乗り幽霊の話、聞いたことない?」
 
「え〜〜〜〜!?」
と向こうの運転手は驚いている。
 
「だけど今、冬だぜ。しかも昼間なのに。幽霊なんて出るか?」
「幽霊が出るのにあまり季節も時刻も関係無いと思うけど」
「それに、そこ見てみなよ」
とこちらの運転手が指を差すと、車が停まっている所のすぐ左手にはお寺があった。
 
「あわわわわ」
「あんた、営業所に連絡して、他の奴に車取りに来させた方が良い。このまま自分で運転して帰ると事故起こすよ」
 
「やはり幽霊だったんかね?」
「お祓い受けといた方がいいかも」
と芦耶は言った。
 
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千里は《すーちゃん》を吸収した上で、博多駅から15:14のリレーつばめ17号に乗り、15:40にJR久留米駅に到着した。先に到着していた《こうちゃん》が車を借り出してくれている。《こうちゃん》は女子大生風?の一昔前のアイビー・ルックという感じである。
 
「アップダウンがあるだろうけど細い道もあるだろうしというのでコンパクトSUVのテリオスを借りだしてきた」
と《こうちゃん》は言う。
 
「じゃ、こうちゃん運転してくれる?」
「OKOK」
 
それで女子大生の格好の《こうちゃん》が運転席に座り、千里が助手席に乗って、テリオスは出発する。千里の指示に従って《こうちゃん》はまず国道209号を南下する。
 
「こっちでいいの?星野村でも北部方面に行くんなら、むしろ210号を東に進んでうきは市から南下した方がいいと思うけど」
 
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「行き先は矢部村」
と千里は断言した。
 
「星野村じゃないの?」
 
「玲央美はバスケのことをいったん忘れたいと思うんだ。それで星野村という名前は東京T高校の竹宮星乃、立花町という名前は旭川M高校の中嶋橘花、黒木町という名前はうちの高校の黒木不二子を連想させる。矢部・広川は特に連想する名前は無いと思う。でも広川町は地図で見た感じわりと開けている。となると、矢部村の可能性がいちばん高いと思うんだ」
 
「占いじゃないじゃん!」
「全てを占いで判断しようとするのは占い依存症だよ」
「占い師の言葉とは思えん」
 

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《こうちゃん》が運転する車は羽犬塚駅近くの山ノ井交差点で左折し国道442号に入る。八女市、黒木町を横断し、日向神(ひゅうがみ)ダムの南岸を通って矢部村に入る。
 
「なんか凄い所だね」
と千里は言った。
 
「まあ昔はもっと楽しい道だったんだけどね。改良されて最近はつまらん」
などと《こうちゃん》は言っている。
 
「ちなみにこの湖の北岸を通っている旧道の方はやや楽しい」
「ふむふむ」
 
既に時刻は17時すぎである。途中で高田コーチと連絡を取ったのでは、このままではまずいと言う十勝先生の説得に応じて、今日18時までに玲央美の所在がつかめなかった場合は警察に連絡することで、お兄さんはとうとう折れたらしい。タイムリミットはあと40分くらいだ。
 
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「杣のふるさと文化館」という案内板があったので、ちょっと寄ってもらった。
 
「すみません」
と千里が声を掛けたが
「ごめんなさい。もう今日は終わったんですよ」
と片付けものをしていた風のおばちゃんが言う。
 
「いえ、それはいいんですけど、この付近で私と同じくらいの年頃の背の高い女子高生を見かけませんでした?」
 
「あ、あんたもしかしてお友達?」
「多分そうです」
 
「いや、すごい背が高いからひょっとしてニューハーフさんじゃないかって噂してたんですよ」
「見かけました?」
 
「でも顔は凄い美人さんで、男には見えないしと。あれだけ可愛かったら、たとえ男でもいいよね、なんてうちの娘と話していたんですよ」
 
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「彼女は今どこに?」
「泊まる所ないですか?と聞かれたんで、すぐそこの村山旅館をお勧めしたんですけど」
 
「場所を教えてもらえませんか?」
「うん。じゃ私の車についてきて」
 
それでその女性が運転するミラの後を《こうちゃん》が運転するテリオスが従う。車は1分もしない内に旅館の前に到達した。
 
「ありがとうございます」
と御礼を言って旅館に飛び込む。
 
「済みません。私と同じくらいの年齢の背の高い女の子、来ませんでしたか?」
「はい、お友達ですか?」
「ええ」
 
「今、お風呂に入っておられますよ」
「宿代払いますから、私もそのお風呂に入ります」
「はいはい。今日はお泊まり?」
「すみません。たぶん夜中に出発すると思いますけど、私と姉と2人分、1泊分の料金は払います」
「分かりました」
 
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後ろに立っている《こうちゃん》が「ひょっとして姉って私のこと?」という表情をしていた。
 

千里は、女将さんに案内されてお風呂場に行った。
 
「こうちゃんも来る?」
と悪戯っぽく言ってみたが
「無理〜」
と言っていた。《こうちゃん》は女子大生みたいな格好をしていても中身は「おじさま」なのでさすがに女湯には入れない。
 
お風呂場は田舎の宿だけあって「男湯」「女湯」のような暖簾も無い。小さく「男性用浴室」「女性用浴室」という札が出ているだけである。むろん玲央美は女性用浴室にいるはずなので、千里はそちらに入る。
 
脱衣場に入ると、籠がひとつ出ていて、体操服が丁寧に畳んで入れられている。行儀のいい子だなと思う。
 
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千里も別の籠を出して、服を脱ぎ、裸になって浴室に入った。
 
髪を洗っていたふうの玲央美が驚いたようにしてこちらを見た。
 
「見っけ」
と千里は笑顔で言った。
 
時刻は17:57である。千里は浴室の中から高田コーチに電話した。
 
「玲央美を発見捕獲しました」
「おお!」
「詳細は後で。本人は無事っぽいです」
「分かった。ありがとう」
 
電話をいったん切ると、玲央美が
「私って捕獲されたの?」
と訊く。
 
「もちろん。私がレスビアンだったら結婚してもいいくらい」
 
「そうだなあ。私は相手女の子でもいいけど。千里のこと割と好きだよ」
 
へ?告白?
 
 
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女の子たちの二次試験(4)

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