広告:メイプル戦記 (第1巻) (白泉社文庫)
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■女の子たちのウィンターカップ・激戦前夜(3)

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リポーターのインタビューは続く。
「お股の所もスッキリしているのですが、どう思われますか?」
「そうですね。ペニスが付いている人が女子用水着を着る場合、多くはパレオとかで隠してお股の付近のラインが目立たないようにするんです。でもこの子はそういうものが全く見えません。これはペニスが存在しているとは思えませんね」
「だとすると、実はペニスも既に除去済みであると?」
「その可能性もあります」
「でもその場合、男子高校生として生活することはできませんよね。ペニスを除去していたら、立っておしっこできないでしょ?」
 
「そうですね。あるいはペニスを体内に埋め込む手術とかをしている可能性もあります」
「埋め込むんですか?」
「ペニスというのは身体の外に出ている部分だけではないのですよ。恥骨結合の所から始まって、普通の男性ですと体内に埋まっている部分が4-5cmあって、外に出ている部分が7-8cmあります。それでしばしばペニスを長くして欲しいという患者さんがいて、この埋もれている部分を外に出す手術をすることがあるんですよ」
 
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「するとおちんちんが4-5cm長くなるんですか?」
「全部出すのは無理ですがだいたい2-3cmは長くすることができます」
「するとその逆をやると短くできるんですか?」
「そうです。そのほとんどを体内に埋め込んでしまって外に出ている部分を3-4cmにしてしまえば、女性用のショーツとか水着を着ても外には響かない程度になりますし、ギリギリ立っての排尿も可能だと思います」
「それ勃起したらどのくらいになるんですか?」
「体内4cm+体外8cmだったペニスを5cm分体内に埋め込んで体外3cmにした場合、計算上は勃起した場合は10cmくらいになると思います」
「じゃセックスも可能ですね?」
「勃起した状態で体外に出ている部分が6cmあれば性交は可能です」
「勃起して6cmって、勃起していない場合は何cmですか?」
 
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テレビで見ているこちらでは
「テレビ局もなんでこういうインタビューを女にやらせる?」
という声が出ている。
「いやだから女にやらせてるんでしょ」
「可哀想」
「あのレポーター、女を忘れて頑張ってるね」
 
「勃起して6cmの場合、ふつうは勃起していない時は3cmですけど、埋め込み部分を長くしている場合は1-2cmというのもあり得ると思います」
「それでは立っておしっこできませんよね?」
「できません。女性と同じように座ってする必要があります」
 
「その場合は女湯に入れるのでしょうか?」
「睾丸が付いていれば無理です」
「あ、そうか。睾丸も取っていたら?」
「それなら、男湯に入ろうとしたら追い出されると思います」
 
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「じゃ女の子水着を着たい男性は、そういう手術でペニスを小さくするといいんでしょうか?」
「どうでしょう? そんな手術をするくらいならもうペニスを切断してしまいたいという人も多いですけどね。ただもうひとつの」
 
というところでインタビューは切れてしまった。
 
「この先生、今タックのこと言おうとしたよね?」
と薫が言う。
「うん。だと思う」
と千里も言う。
 
どうもこのテレビ局は美容外科医とのインタビューで、ケイは既に睾丸もペニスも取ってしまっているのでは?という方向に誘導している感じであった。
 

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美容外科医とのインタビューが終わった後、テレビはケイの記者会見の録画の続きをやっていたが、飛行機の搭乗案内が始まったので、みんな荷物を持って19:50発のエアドゥ機に乗り込んだ。みんなが立った後を南野コーチが座席の下などまで覗き込んで忘れ物がないか確認していた。
 
機内では寝ている子が多かったようである。飛行機は予定より少し遅れて21:45に羽田に到着。電車で移動して夜0時前にまたまたお世話になることになったV高校の宿泊施設に入った。
 
昨冬のオールジャパンに伴う東京合宿、今夏のインターハイに続いて3連続で施設を借りることになったが、来年の夏のインターハイは大阪なので取り敢えず来夏にここに来ることはないだろう。
 
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「だけど高校の全国大会は3度目だけど毎回キャプテンが違いますね」
と雪子が言う。
 
「ああ、確かに」
「昨年のインターハイは久井奈主将、今年のインターハイは暢子主将、今回のウィンターカップは揚羽主将」
 
「来年のインターハイは揚羽ちゃんが主将で初めて2回連続になるね」
と南野コーチが言う。
 
「もちろん出られたらの話ですよね」
「君たち当然出るよね?」
「出ます!」
 
「来年のウィンターカップの時は主将は誰だろう?」
などと絵津子が言うが
 
「まあ、既に決まっている気がするね」
と不二子。
「うん。決まっているよね」
とソフィア。
 
「え?誰?」
と絵津子が本当に分からないようで尋ねているので、不二子とソフィアが手で口を押さえて笑っていた。
 
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翌日20日(土)。
 
朝6時に起床してまずは全員6km(片道3km)のジョギングに行く。朝が弱いのが唯一の欠点ともいうべき絵津子は、なかなか起きられなくて不二子から水を掛けられてやっと目を覚ました。
 
「布団がびしゃびしゃ」
「干しとけばいいよ」
「おねしょしたみたい」
「さすがにこの年でおねしょはしないだろうし」
 
「おねしょするとちんちん切っちゃうぞとか小さい頃言われてなかった?」
と絵津子が言うが
 
「いや、そもそもちんちん無いから」
と不二子。
 
「うちの弟、しょっちゅう言われていた。それでお姉ちゃん見てごらん。おねしょしてたから、ちんちん切られちゃったんだよとか言うからさ、あ、それで私にはちんちん無いのかと思ってたよ」
 
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「よくない教育の仕方だ」
「女は悪いことした罰としてペニスを喪失したという概念をすり込まれた男は男女差別的になりやすい」
「うちの弟は私に服従してるけど」
「そりゃえっちゃんには勝てないよ」
 
「うちのお母さんが言ってたのではね、神様は最初女を作ったけど、その時は女にはちんちんがあったんだって。でもひとりで寂しそうにしてたから、女のお股からちんちんを切り取って、そのちんちんを元に男を作ったんだって。だから女にはちんちんが無くなったんだと言ってた」
 
「なんかどこかのエロ小説家かエロ漫画家が書きそうなネタだ」
「いや、その神話は物凄く意味深な気がする」
「そして男は自分が元あった場所に戻りたがるのね」
「きゃー!!」
 
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「でもちんちんさえあれば身体の他の部分は無くなっても構わんみたいに思ってる男っているよ」
「うん。だからそのちんちんを取ってしまいたがるオカマちゃんを理解できない。すごくオカマちゃんを嫌う人っているよね」
 
「やはりそれって心理学的には去勢不安を刺激されるからだと思う」
「小さい頃、悪いことしたらちんちん切るぞと警告されたのを思い出すからだよね」
「結局その話に戻って来るのか」
 

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ジョギングから戻ってからシャワーで汗を流した上で朝食である。今回食事を作ったり買い出しなどをしてくれているのは、例によって東京近辺に住んでいるN高校バスケ部のOGたちであるが、千里はその日その中に自分たちより1年先輩の靖子さんがいるのを見て尋ねた
 
「ご無沙汰しておりました。靖子先輩、今どこにおられるんでしたっけ?」
 
「舞通だよ」
と靖子さん。
 
「レッドインパルスの会社だ!」
と暢子。
 
「私、そのレッドインパルスの事務をしているんだ」
「すごーい!」
 
レッドインパルスは日本の女子プロリーグ「Wリーグ」で最近実力が急上昇してきたチームである。以前は一部と二部を行ったりきたりしていたのだが、常勝チームのビューティーマジックにいた田原コーチが4年前に移籍してきたのを契機に上位で定着するようになり、2006年から2008年までオールジャパン三連覇を達成している。
 
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「この春に、ふつうに舞通の社員として入ったんだよ。でもちょうどレッドインパルスの部門にこの夏、欠員が数人出来てさ。それで私がよくレッドインパルスの練習を見に行っていてコーチにも顔を覚えてもらっていたもんだから、転属させてもらったんだ。練習に付き合ってボール拾いすることもあるよ」
 
「それ美味しい気がします」
「ボール拾いの分は給料出ないけどね。仕事も超絶たいへんだけど、すごくやり甲斐があるよ。私、県公認審判とD級コーチライセンスも取ったんだよ」
「頑張ってますね!」
 
永子たち「躍進5人組」が靖子さんにわざわざ挨拶しに行っていた。彼女たちは靖子と、もうひとり旭川のA短大に進学した美々さんの2人にバスケットの基礎から教え込まれたのである。
 
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午前中は全員一緒に基礎練習をした上で、お昼過ぎからはポイントガード組・フォワード組・シューター組に分かれて練習をする。そして15時になった時、宇田先生は「1時間休憩」と宣言した。
 
ジュースとハンバーガーが配られる。1人1個だったのだが「お代わり無いですか?」などと言い出す子もいる。それを見越していたのか若干のお代わり用が用意されていたようで、絵津子などハンバーガーを3個も食べていた。
 
少しみんな落ち着いてきたところで宇田先生が言う。
「じゃ休憩が終わったらウィンターカップの選手最終選考ね」
 
「え〜〜!?」
という声もあがるが
 
「いや、20日に練習試合をして、最終選考をするというのは最初から言われていた」
と志緒が言う。
 
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「あまりたくさん出しても試合にならないので、こちらで20人に絞らせてもらった。その中から15人を選考する。公平になるように5人ずつ1クォーターだけ出場する」
 
と宇田先生は説明し、各クォーターで出て行くメンバーを次のように発表した。
 
1. 不二子/ソフィア/絵津子/揚羽/リリカ
2. 愛美/智加/久美子/紅鹿/耶麻都
3. 永子/結里/志緒/来未/蘭
4. 雪子/千里/海音/暢子/留実子
 
「取り敢えず、新レギュラー組、フレッシュ1年組、中堅2年組、最後は真打ちで旧レギュラー組ということで」
 
と南野コーチが補足する。
 
本当にそういうことであれば海音は第2ピリオドのメンツに組み込まれるはずだが、第4ピリオドに本来組み込まれるべき絵津子を、不二子・ソフィアと一緒に出した方がいいだろうということで、代わりに組み込まれたのだろう。
 
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「あと《くみちゃん》がダブらないように、《杉山さん》がダブらないように分けた」
などと南野コーチは言っている。来未も久美子も「くみちゃん」だし海音も蘭も杉山である。
 
「では対戦相手を紹介します」
 
と宇田先生が言うと、靖子さんが体育館のドアを開ける。それで入って来たメンツを見てみんなが「うっそー!?」と声を挙げた。
 
レッドインパルスのユニフォームを着た選手たちであった。
 

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女の子たちのウィンターカップ・激戦前夜(3)

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