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■女の子たちのウィンターカップ・激戦前夜(2)

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2008年12月19日(金)、朝のSHRが全体集会に切り替えられウィンターカップに出場する女子バスケット部の壮行会が行われた。15名の選手、マネージャーの薫、宇田監督、南野コーチの18名が壇上にあがり、校長・生徒会長からの激励の言葉、チアリーダーの激励のエールを受け、部長の揚羽が決意のことばを述べた。
 
授業が終わった後、17時まで練習をした上で旭川空港に移動する。例によって女子バスケット部員は基本的には全員連れていくことになっている。但し既に引退している3年生、また1−2年生で今年度いっぱいまでの引退を表明している部員はお留守番になる。
 
遠征組は3年4人・2年13人・1年16人の部員33名。それに宇田監督、南野コーチ・白石コーチ、引率責任者として教頭先生、医療スタッフとして保健室の山本先生が同行してくれる。総勢38名である。
 
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なお遠征に参加しない1−2年生女子部員(5人)は男子と一緒に北田コーチの指導のもと練習をしている。1年生の2人は年末いっぱいでバスケ部を辞めるのでウィンターカップ遠征組が帰って来た所で最後の練習をすることになるだろう。
 
ちなみに遠征メンバーの2年生13人にはしっかり昭子も入っている。昭子が冬季の男子の練習に参加せずに女子の遠征に参加することを数日前に昼休みの職員室で宇田先生から聞いて、水巻君と大岸君が渋い顔をしていた。
 
「湧見、性転換して女になったりしないですよね?」
などと水巻君が独り言のように言うと
 
「え?私は元から女ですけど」
とちょうど近くに居た、絵津子が言う。
 
「ああ、君はホントの女だから仕方ない」
と水巻君。
「もし湧見昭一が女になってしまったら、湧見絵津子が男になって男子チームに参加したりしない?」
と大岸君。
「あ。俺はそれでもいい」
と水巻君。
 
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「私個人的には男になってもいいですけどねー。昭ちゃんから男子制服を巻き上げちゃったし、ちんちんも巻き上げてお股にくっつけちゃうのも悪くない気はするけど、私が男になっちゃったら教頭先生が始末書書かないといけないらしいからやめときます」
 
などと絵津子が言うので、少し離れた席にいる教頭先生が笑っていた。絵津子と晴鹿の1ヶ月間の交換留学では、学校側も事前交渉なども含めて結構な費用を注ぎ込んだはずである。
 

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遠征メンバーはこの日、旭川空港に行くと南野コーチが全員に忘れ物が無いか、特にユニフォーム濃淡2種・バッシュ、バスケ協会の登録証、生徒手帳などについて全員出させて確認していた。インターハイの時は暢子がバッシュを忘れていて家の人に持って来てもらう騒ぎなどもあった。着替えなどは最悪現地で買うことが出来るが、ユニフォームやバスケ協会の登録証を忘れると下手すると試合に出られない事態もあり得る。
 
今回は誰も大きな忘れものは無かった。
 
チェックインした後、荷物を預けてから空港内の飲食店で夕食を取る。もうここからは遠征の一部で団体行動である。千里は暢子・薫・留実子・揚羽・雪子・リリカと一緒にテーブルを囲んだのだが、揚羽が今日発売の週刊誌を持っていた。
 
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「何それ?」
「昼休みにクラスメイトがイオンまで行って買って来たんですよ。コンビニとかではどこも売り切れになってるらしいです。どうもあまり多くの人の目に触れないように組織的に買い占めされているみたい」
 
「ローズ+リリー・仰天の正体って?正体って何さ?」
と暢子。
「何だと思います?」
 
「実は宇宙人だったとか?」
「だったらそれも凄いです!」
「韓国人や中国人、あるいはハワイ出身のアメリカ人だったとしても、そういう歌手多いから驚かないけど、フランス人やロシア人だったら少しは驚くかな」
「でも国籍では仰天しないなあ」
「黒人だったら驚くかも」
「でも白い肌の黒人もいるし」
「アメリカの推理ドラマでたまにそういうの出てくるよね」
「実は80歳のペアだったとか」
「それは完璧に驚く!」
 
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「実はこれなんですよ」
と揚羽がそのページを開いて見せる。
 
「あ、本名が載ってる」
「確かにふたりのプロフィールは今まで公開されていなかった」
「写真とかも出回ってなかったもんね」
 
などと言っていたのだが、「え!?」と声を出したのは暢子だった。
 
「ケイちゃんって男の子だったの!?」
と暢子がほんとに仰天したような声を上げた。
 
ところが反応が悪い。
 
実際この時、驚いたような表情を見せたのはこのテーブルでは暢子だけだったのである。
 
「ちょっと待て。なんでみんな驚かないの?」
と暢子。
 
「うちのクラスでは昼休みから大騒動でした」
とリリカ。
「右に同じ」
と雪子。
 
「私は多分そうだと思ってた」
と薫が言う。
「女の子歌手には興味無い」
と留実子。留実子はFTM(ぎみのFTX)ではあるものの、恋愛対象は男性である。本人は「僕はオナベのホモ」などと言っている。
 
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「私は知ってた」
と千里。
 
「そうか。千里、芸能界に色々関わっているみたいだから、内輪では知られていたの?」
「うーん。本人は隠してなかったと思う。でも知らない人も多かったと思うよ。あの子、完璧に女の子で、全然男には見えないから」
 
「ああ、それは千里も同じだな」
「雨宮先生の関係者っぽいんだよね。詳しい関係は聞いてないけど」
「千里同様、雨宮先生の男の娘コレクションのひとりか」
「私ってコレクションなの??」
 

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夕食後、搭乗を待つ間出発ロビーでくつろいでいたのだが、テレビで今日行われたローズ+リリーのケイの記者会見が録画で流れていた。
 
「ケイちゃん、堂々としてるなあ。同じ女子高生とは思えん」
「いや、だから実際には男子高校生だったと」
「というか年齢も詐称してないよね?」
「17歳の女子高生かと思ったら27歳の男性だったとか?」
「27歳の男性が17歳の女子高生の振りできるんだったら、私、あらためてファンになってもいい」
 
「でも凄い可愛い格好して記者会見に出てきてるね」
「この格好見て、男と思えというほうが無理だよ」
 
ケイが「レーナ・ニーセー・コシヨジ」という呪文で放課後になったら男子高校生から女子高生アイドルに変身します、と発言した時は、本人がネタバレする前に何人かの子が「あ、この呪文、逆読みだ」と指摘した。漫画などではよくあるパターンである。
 
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ケイが水着姿について訊かれて「中の人は男の子だから女子水着を着るのは無理ですけど、『ケイ』は女の子だからふつうに女子水着を着れる身体ですよ」と発言したことについては、昭ちゃんの「処置」をみんな知っているので
 
「あ、タックしてたのか」
とみんな言っていた。
 
この発言が流れた後、テレビは都内の有名美容外科医にインタビューしていた。
 
「男の子の身体なのに、女の子の身体も装えるとか可能なのでしょうか?」
と女性リポーターが質問すると
「着衣であれば、バストパッドを入れたり、ガードルで男性器を目立たなくしたりして何とかごまかせないことはありません」
と美容外科医は答える。
 
「でもガードルで押さえたくらいで、勃起した時にもごまかせますか?」
「普通は無理ですね。ひょっとしたら睾丸を既に取っているのかも知れません。そしたら勃起しないので、ガードルで押さえておけば何とかなります」
 
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「なるほどー。とするとケイちゃんは既に睾丸を取ってる可能性があると?」
「いえ、それはあくまで可能性のひとつで」
と医師は言うが、どうもテレビ局はそちらに誘導したいようだ。
 
「こちらがケイちゃんの水着写真なのですが、これパッドとかガードルを使ってごまかせる範囲なのでしょうか?」
と言って、どこかのプールで水着で歌っているケイの写真が出てくる。
 
この写真については、ロビーでテレビを見ていたみんなが
「すげー!」
「スタイルいい!」
「ってか、これかなり胸あるじゃん」
と言う。
 
「これバストパッドでごまかしてるものとは思えん」
という意見だったが、美容外科医も同じことを言う。
 
「これは最低でもBカップ程度のバストはありますよ。水着で目立たないように下から押し上げるバナナ型のパッドなどもありますが、それにしても元々の胸がある程度なければ不可能です。この子、間違い無く豊胸手術済みかあるいは女性ホルモンを最低でも3〜4年は摂取してますね」
 
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「なるほどー。だとするとケイちゃんはおっぱいは大きくしているんですね?」
「それは間違い無いと思います」
と美容外科医は断定する。
 
しかしテレビを見ていた薫が指摘する。
「あれ、実はブレストフォーム付けてるんじゃない?」
千里も同意する。
「うん。その可能性もあると思う。このくらいの距離からの写真だと、上手に肌の色に近いものを使うと目立たないんだよね。境目は耐水ファンデーションをグラデーションで塗ればごまかせる」
 
「まあでも本当に大きくしている可能性はあるけどね」
「そのあたりは分からないよね」
 
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女の子たちのウィンターカップ・激戦前夜(2)

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