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■女の子たちのBoost Up(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-02-14
 
週明け。N高校男女バスケ部は昼休みに朱雀に集まる。インターハイ道予選に出場する選手が宇田先生・川守先生から発表された。
 
男子
PG.氷山(5) 二本柳(14) SG.落合(6) 湧見(9) SF.大岸(8) 浦島(10) 浮和(18) PF.水巻(7) 道原(晃11)・道原(宏12) 室田(15) 中西(16) C.北岡(4) 服部(13) 国松(17)
マネージャー 志緒
TOチーム 伊藤 湧見 二本柳 浦島 (伊藤以外は選手兼任)
 
女子
PG 雪子(7) メグミ(12) SG 千里(5) 夏恋(10) SF 寿絵(9) 敦子(13) 絵津子(17) 永子(16) PF 暢子(4) 睦子(11) 川南(15) C 留実子(6) 揚羽(8) リリカ(14) 耶麻都(18)
マネージャー 薫
TOチーム 葉月・蘭・結里・ソフィア
 
女子は3年生9人、2年生4人、1年生2人である。千里はこの人数は強豪校の人数構成に近いと思った。昨年は3年生5人,2年生7人,1年生3人であった。つまり今の3年生が物凄く強かったのだ。
 
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「男子チームのマネージャーは戸籍上女子で、女子チームのマネージャーは戸籍上男子なのか」
などと落合君が言っている。
 
志緒は阿寒カップでも男子チームのマネージャーを務めて、ちやほやされるのをまんざらでもなく感じているようだ。早速浦島君が「雑用は任せておいて」などと志緒に言っている。
 

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宇田先生と南野コーチが最後まで悩んだのが、永子・結里・ソフィア・耶麻都の誰を残すかであったようだ。秋以降のチームを睨んだ時、耶麻都の成長は重要である。空中戦で勝てなければ試合は一方的になりかねない。彼女はインハイ本戦にはまだ無理だろうが、道大会は経験させておきたい。
 
あと1人を選ぶのはポジションバランスを考えた。全体のバランスを考えた時にどうしてもスモールフォワードの手薄感がある。その時、永子とソフィアの選択があるのだが、ソフィアはまだ秋以降の戦力と考えて永子を残すことにしたようである。
 
「えーん。私、3年生で1人だけ落ちた」
と葉月が言ったが、
「私も3年生の落選組〜」
と薫が言う。
 
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「よし、薫、3年落選連合を結成しよう」
と葉月。
「OKOK。とりあえず今日は残念会で飲もう」
と薫。
「え?お酒飲むの?」
「まさか。コーラのファミリーサイズ2人であけない?」
などと言っていたら
 
「先輩〜、私も入れてください」
と蘭。
「私もー」
と結里。
「じゃ私たちも」
とソフィア・不二子・愛実。
 
「あ、私たちも行くよ」
と志緒が残りのメンバーを代表して言って、結局残念会は大人数になってしまったようである。
 
「今回枠外になった人も、本戦で入る可能性あるからね」
と南野コーチは言う。
 
「まあ道予選のメンツから5人落ちて2人加わる可能性もあるよな」
と暢子も言う。
 
「それは怖いな」
と千里が言った。
 
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6月9日(月),10日(火)は中間試験が行われたのだが、9日の朝、千里は何かを感じて貴司のお母さんに電話をした。
 
「あら、千里ちゃん、おはよう」
「おはようございます。ご無沙汰ばかりしてて済みません。お母さん、何かありましたか?」
「あんた、ほんと勘がいいね!」
 
と言って、お母さんは礼文島に住む義父(貴司の父の父)が今朝亡くなったことを教えてくれた。3月に旭川で会って、千里が京平の写真を見せた人である。これから礼文島の方に向かう所だと言う。
 
交通の便が悪いので今日の15時までに稚内に本土の親戚一同が集まり、最終便のフェリー(1510→1705)で礼文島に渡るらしい。礼文島は稚内からフェリーで2時間かかる。
 
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「それは大変ですね。私も行った方がいいですか?」
「大丈夫よ。貴司だって何か試合があるとかで来れないみたいだし。理歌と美姫は中間試験だし」
「実は私も中間試験ではあるんですが」
「だったら、そちら優先で。南無阿弥陀仏くらい唱えておいてくれたらいいわ。そもそも礼文島って、行くのに1日、出るのに1日掛かるもん」
 
「済みません! では取り敢えずお花だけでも送っておきます」
「ありがとう」
 
それで千里はお母さんと話し合いの上、貴司との連名(細川貴司・千里)で葬祭の花を送った。お花屋さんとの連絡で千里は「細川千里」と名乗ったが、細川という苗字を使うのは初めてだったのでちょっとドキドキした。
 

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その日の11時すぎ、女性の2人連れが成田空港から出国しようとしていた。出国手続きのところで係官が停める。
 
「このパスポート違いますよ」
 
パスポートは Mimori Amamiya, 7 Aug, 1978 Sex:M と書かれている。
 
「あら、私のパスポートよ」
「でもこれは男性のパスポートですよ」
「私、男だけど」
「男性なんですか?」
「私が女に見える?」
「見えます」
 
結局雨宮先生は別室で身体検査を受けて、確かに男性器が存在することを確認してもらい、出国することができた。
 
「大変ね。いっそ戸籍を女性に直しちゃったら?」
と連れの女性が言う。
「だって私、男だもん」
「ちょっと手術して、女になっちゃえばいいじゃん」
「おちんちん捨てたくないもん」
「捨てたいのかと思ってた」
「あなた、それは大きな誤解よ」
「どっちみち立たないんでしょ?」
「立つわよ。確認してみる?」
「要らない。私、おっぱいある人と愛し合う趣味は無いし」
「そんなの慣れよ」
 
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そんなことを言いながらふたりはテクノジャンボ機に乗り込んだ。
 

 
その週の週末6月14-15日には校内施設を利用したミニ合宿をおこなった。そして6月20日(金)、N高校男女バスケ部は道大会の行われる岩見沢市にやってきた。岩見沢は札幌から車で40分、JRの特急で23分ほどの距離である。
 
今日は参加メンバーは大会に参加することが学校に登校したことになる扱いである。それでやってきたのは登録メンバー(選手・マネージャー・TO)のみである。今日はOGの人たちが撮影に協力してくれる。残りの部員は21-22日には出てきて観戦・撮影・応援をする予定だ。
 
参加チームは男子31校・女子25校で、N高校は男子は1回戦から戦ったものの女子は1回戦不戦勝で午後1番からの2回戦からの参加となった。
 
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初戦は地元岩見沢市の高校を破って勝ち上がってきた帯広B高校であった。ここの高校の実力は先日のシニア大会でもだいたい把握しているので控え組で行くことにする。敦子/永子/絵津子/川南/リリカというメンバーを先発させる。そして途中で耶麻都・睦子・メグミといった所も投入するが、結局主力7人は出ないまま、93対56で勝利した。
 

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宿舎に入る。
 
「取り敢えず初日は男女とも勝ち残れて良かった」
と夕食の時間に川守先生が言う。
 
「こちら湧見が大活躍だった」
と北岡君が言うと
「こちらも湧見は大活躍だった」
と暢子が言う。
 
「ところでそちらの湧見を男から女に性転換させてこちらにくれない?」
と暢子が言うと
「そちらの湧見を女から男に性転換させてこちらにくれたりは?」
と北岡君。
 
「交換というのもいいよね、私男になってもいいし。いっそ男性器と女性器を交換する? おっぱいもあげるよ」
と絵津子が言うと、昭ちゃんは恥ずかしそうに俯いた。
 
「性格的にも女の湧見は男っぽくて、男の湧見は女っぽいんだな」
と落合君が感心したように言っていた。
 
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試合は2日目に入る。この日は午前中にブロック決勝が行われ、勝てば午後と明日午前午後とに行われる決勝リーグに進出する。N高女子の相手は強豪の札幌G高校である。しかしこの試合に勝った場合の午後の相手は札幌P高校になることが濃厚である。そこで宇田先生はこの試合に雪子・暢子・千里の3人は出さない方針を固めた。キャプテン代行を任される寿絵が「何とか3人を出さずに勝ってみせます」と言い、メグミ/夏恋/寿絵/睦子/留実子というメンツで出ていく。夏恋と留実子は前半だけに出して後半は出さない方針だ。
 
こちらが主力を温存しているっぽいというので、決勝リーグ進出のチャンスと向こうは張り切って攻めてくる。しかし寿絵もメグミも夏恋も慌てない。冷静に対応し、気持ちのはやる相手の心の隙にうまく入り込んで反撃していく。寿絵も夏恋もこういうのが得意なのである。
 
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それで前半だけで40対62と大差を付けることかできたので、第3ピリオドは敦子/永子/絵津子/川南/揚羽というメンツに交代する。ここで相手チームにノーマークの絵津子が大活躍。川南もインハイ本戦枠への最後のアピールとばかりに必死に頑張る。それで第3ピリオドは更に点差を付けて54対88とする。第4ピリオドではメグミ/絵津子/敦子/睦子/リリカというメンツに替え、第4ピリオド後半ではメグミに替えて永子、睦子に替えて川南を出すものの、最終的に72対114で圧勝することができた。
 
「要するに私たち3人抜きでもインハイを狙えるくらいの実力があるということか」
と暢子が言い、
「うん。あんたたちは本当にインハイ上位を狙えるくらい力を付けている。この試合の結果は当然だよ」
と南野コーチは言った。
 
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N高男子も札幌の高校に勝って決勝リーグに進出した。昨年はBEST8に終わったので2年ぶりの決勝リーグ進出である。男子でBEST4に進出したのは旭川N高校、札幌Y高校、帯広C学園、札幌B高校の4校だった。札幌B高校はブロック決勝で強豪の室蘭V高校を破って勝ち上がった。田代君はこの試合で1人で30点も取る活躍を見せた。留萌S高校はブロック決勝で帯広C学園に敗れ、3年連続インターハイ進出の夢は絶たれた。なお鞠古君の旭川B高校はブロック決勝で札幌Y高校に敗れた。
 
女子では、決勝リーグに顔を揃えたのは、旭川N高校の他、帯広C学園をブロック決勝で破った札幌P高校、旭川M高校に勝った釧路Z高校、そして札幌D学園に勝った旭川L女子高の4校である。今年もまた昨年に引き続き旭川勢が2校、決勝リーグに進出した。L女子高は3年ぶり、釧路Z高校は2年ぶりの決勝リーグ進出。帯広C学園は組合せの不運で今回はBEST8止まりとなった。
 
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そして実は旭川N高校女子は地味に4年連続の決勝リーグ進出であった。
 

 
15:00。N高校女子は岩見沢市総合体育館Bコートで札幌P高校のメンバーと向かい合った。挨拶をし、握手をしてスターティング5がコートに散る。
 
こちらは雪子/千里/寿絵/暢子/揚羽、向こうは徳寺/横川/猪瀬/河口/佐藤というメンツである。伊香さんはマネージャーとして背番号の無いユニフォームを着てベンチに座っている。本当に秘密兵器ということなのだろう。
 
ティップオフは揚羽と河口さんで争い、河口さんが勝って猪瀬→徳寺とボールが渡り攻め上がってくる。少しパスを回した上で佐藤さんがボールを持ったまま中に進入。ゴールを決めてP高校が先行する。
 
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この試合に先立ち宇田先生は
「怪我しないこと。そして怪我させないこと」
というのをみんなに注意した。
 
どうしても最強高校との戦いでは熱が入る。しかし今怪我したら、せっかくインターハイに進出できても、主力を欠いて臨まなければならないことになる。決して無理をしないようにしようと言ったのである。それにみんな納得していたようであった。
 
そして実は千里と暢子の2人は前日の作戦会議の時に宇田先生から密かに言われていた。
「P高校戦は八分の力で戦おう」
と。
 
「えっと八百長ですか?」
と暢子が訊くが、先生の意図を理解している千里が言う。
 
「今手の内を公開したくないからだよ。この試合、他都府県の高校の偵察チームも絶対来ているはず」
 
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「確かに最近練習しているパターンはあまり見せたくないな」
と暢子。
 
「道内の高校には見せてもいいんだけどね」
「B高校とか絶対各系列校で撮ったビデオを全国の系列校に流してるよ」
「うちもOGが頑張って全国で撮影してるけどね」
「P高校もやってるよ」
 
この件は千里から個人的に雪子にも因果を含めておいた。他の選手にまでは伝える必要はない。みんなが手抜きすると、それは第三者にもハッキリ見えてしまう。
 

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女の子たちのBoost Up(5)

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