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■女の子たちの出会いと別れ(7)

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3位決定戦は帯広C学園が武村さんの活躍でP商業を倒した。花咲さんは武村さんとの対決でもかなり多くのものを学んだ感じであった。
 
そして決勝戦は釧路Z高校が相手になった。
 
雪子/千里/寿絵/暢子/留実子というスターターで出て行く。すると松前さんが「歌子さん出さないの?」と訊く。
 
「急に生理が来ちゃったから」
と暢子。
「歌子さん、卵巣あるんだっけ?」
と松前さん。
「万能細胞で作ったのよ」
などと暢子は言っている。
 
試合は激しい戦いになった。さすがにZ高校側もラフプレイは自粛して正々堂々と戦う。しかしそういう戦い方をできるところまでメンバーがレベルアップしたのだろうというのを充分感じさせられた。松前さんはこちらが想像していない攻め方をうまく見付けて、福島さんや音内さんをうまく使い得点していく。こちらは松前さんには千里、福島さんには暢子、音内さんには寿絵が付いて対峙するが、福島さん・音内さんが新人戦道大会や先月の大雪カップで見た時よりかなり進歩している感じである。おそらくハンパ無い練習をしているのだろう。
 
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一応N高校がリードした状態で進行しているのだが、前半を終わって26対32と6点差。ちょっとした流れ次第で充分逆転があり得る点差である。
 

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ハーフタイムで休憩していた時、トイレに行ってきた薫が困ったような顔をしている。
 
「どうしたの?」
「実は今トイレに行ったら松前さんに会っちゃってさ」
と薫は妙にもじもじした顔で言う。
 
「それで?」
と暢子が訊く。
 
「生理が来たんなら、これ使って出場しなよ、と言われて、あれ渡されちゃって」
「ん?」
「ナプキン?」
「じゃなくて」
「生理用ショーツ?」
「じゃなくて」
「まさか・・・」
「タンポンもらっちゃった」
 
暢子が吹き出す。千里も頭を抱える。
 
「で、どうしたのさ?」
と寿絵が訊く。
 
「いや、せっかくもらったの使わないのも悪いと思って」
と薫。
「入れたの?」
「うん」
「どこに?」
「薫、ヴァギナもう作ってるんだっけ?」
「いや、ヴァギナは高校卒業してから作ろうと思ってる」
「じゃどこに入れたの?」
 
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薫が何だか恥ずかしがってる。
「まさか、あそこ?」
「うん」
 
「あそこに入れてもいいんだっけ?」
と寿絵が訊く。
「さあ、私もヴァギナにしか入れたことないから分からん」
と暢子が言う。
 
「ああ、暢子タンポン使うんだ?」
「試合に生理がぶつかった時はね」
と暢子。
「すごーい。私タンポンはちょっと怖くて」
と千里が言うので
 
「じゃ千里はどうしてるの?」
と川南が訊く。
「昨日宿舎に帰ってから来ちゃったんだよね。だから今日は夜用羽付きをガムテープでショーツに固定して、ガードルで押さえてる。いや、9月のウィンターカップ地区予選の時も生理とぶつかってさ。羽付きつけてたのに試合中に外れててショーツが血だらけになっててギャッと思ったよ。だから今回ガムテープで留めてみた」
と千里。
 
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「私も試合にぶつかった時はガードルで押さえるよ。ガムテープまではしないけど」
と夏恋。
「私は夜用スーパー付けて生理用ショーツ2重に穿く。でもそれでも外れちゃったことある」
と敦子。
「じぉ次は夜用スーパー付けて生理用ショーツ二重に穿いてガードル穿いてみようかな」
と千里は言ったのだが
 
「タンポンの方が楽なのに」
と暢子。
 
「やはり私バージンだし」
と夏恋。
「同じく」
と敦子。
 
「凄く疑問があるんだけど」
と川南。
「何?」
「千里って生理あるわけ?」
と川南が訊く。
「女子高生にもなって生理が来てない訳無い」
と千里。
 
「前から思ってたんだけどさ」
と川南。
「千里、元男の子だっての嘘でしょ?」
「そんなことないよー」
 
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ということで薫がそこにタンポンを入れたことは忘れられつつあったものの、葉月が思い出したように言う。
 
「あそこにタンポン入れて、後でちゃんと取り出せるの?」
 
「それは未知の世界だな」
と暢子は言った。
 

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向こうが薫と昭子の出場を求めているので、ということで南野コーチ・宇田先生とも話し合いの上、後半はふたりを出すことにする。
 
雪子/千里/昭子/薫/暢子 という向こうが望んでいるメンツで第3ピリオドは出て行った。
 
試合が始まって1分で千里は思った。
 
薫が入っているのはこちらがハンディをもらっているようなものだ。
 
でも昭子を入れているのはこちらにハンディの負荷があるようなものだ!
 
昭子は男子の試合ではそれなりに活躍している。但しそれは昭子を初めて見たチームや、あまり強くないチームに限られる。うまい人にマークされると、ほとんど仕事をさせてもらえない。今回は向こうの1年生船引さんがピタリと昭子をマークし、さすがの雪子も昭子に全然パスが供給できなかった。
 
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2分ほどした時、ボールがアウトオブバウンズになってゲームが中断してそのボールをひとりの選手が取りに行っている時、暢子が近くにいた松前さんに話しかけている。松前さんは少し考えていたようだが、同意するように首を振っていた。何話してるんだ?
 
一方の薫は準々決勝で30分、準決勝では40分フル出場していたものの、三位決定戦の間休んでいるので、何とか体力を回復している。前半の疲れが出始めていた暢子の分をカバーする働きを見せてくれて、こちらがどんどんリードする。あっという間に点差は15点まで開く。
 
しかしここでZ高校は一度タイムを取って気合いを入れ直し、頑張って挽回。第3ピリオド終了時には10点差まで戻していた。
 
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そして第4ピリオドもまた激しい戦いが続く。このピリオドでは消耗の激しい雪子を下げてポイントガードはメグミで行く。
 
しかし休憩は取っているもののどちらも今日は3試合目。さすがに体力の限界が近づく。それでも両者とも根性で戦い続ける。Z高校は第4ピリオドの途中でも一度タイムを取って気合いを入れ直す。そしてその後凄まじい猛攻で一時はとうとうN高校を逆転した。
 
そこでこちらもいったんタイムを取り、ブレイクを入れる。そして、昭子も15分間も出せば向こうも満足だろうということで下げて揚羽を投入する。千里・暢子・薫の3人はそのままである。この3人の誰かを下げたら向こうは不満であろう。Z高校側も松前・福島・音内の3人は後半ずっと出ている。向こうはこのタイミングで船引さんを下げて代わりに同じ1年生の鶴山さんを投入してきた。ウィンターカップ道予選で揚羽を殴り倒した人だが、コートインするとすぐに揚羽の所に行きその件を謝っていた。揚羽もOKOKと応じていた。
 
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タイム明け後、まずは充分休憩している揚羽が2連続でゴールを決めて再逆転する。千里も気合いを入れて松前さんとマッチアップし、このタイムの後では松前さんに1度しか抜かれなかった。しかし松前さんを押さえていても福島さんが疲れの溜まっている暢子を抜いて得点する。また鶴山さんが非常に器用な動きでこちらの守備陣を突破して得点をしてまた逆転される。
 
鶴山さんに3回続けてやられた揚羽に「マッチアップ担当を変えようか?」と訊いてみたが「大丈夫です。次はやられません」と彼女は言い、自分の頬を数回叩いて気合いを入れ直した。それで次のZ高校の攻撃では揚羽がきれいに鶴山さんを停め。ボールを奪った。
 
すぐさまメグミにパスして攻め上がる。行く手を阻まれると薫にパスする。薫は巧みなフェイントの連続で福島さん、そして松前さんを抜いて1ステップで踏み切り華麗にリーチバックシュートを決めた(通常シュートする時はトラベリングにぎりぎりならない2ステップ目で飛ぶ。それを1ステップ目で飛ぶと相手はブロックしづらい。但しほぼゴール下から手を伸ばして撃つので狙いが定めにくい)。
 
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これでまた逆転。
 
そしてこの後は、N高校が猛攻する形になった。薫が、暢子が、揚羽がゴールを決め、千里も調子良くスリーを放り込む。しかしメグミもかなり消耗しているようなので残り2分の所で雪子と交代させる。雪子はインターバルと合わせて10分ほど休んでいるので何とか体力を回復している。雪子の巧みなゲームメイクで更に突き放す。
 
それで残り時間が1分となったところで66対82と16点差が付いている。ところがここで暢子は千里のそばに寄り肩を抱いて小声で言う。
 
「この試合、男子2人入れたからその分1人につき10点のハンディを払うことでノノちゃんと話付けたから。だから20点差付けて勝たない限り、こちらが勝ったことにはせず、優勝賞品は向こうに渡す」
 
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何〜〜!?
 
向こうがパスを回している。千里は松前さんをマークしているのだが、福島さんが彼女へボールを返そうとバウンドパスをした時、根性の瞬発力で飛び出してそのボールをカット。
 
ボールはセンターライン側に向けて転がる。そのボールに雪子が追いついて確保する。千里も必死に走って雪子からパスを受けドリブルで敵陣に向かう。体力の残っている鶴山さんが千里の前に回り込むが、一瞬のフェイントでそのまま抜き去り、スリーポイントラインの手前でストップ。そのまま華麗にシュートを決める。
 
66対85。19点差。残り50秒。
 
小寺さんが審判からボールをもらっている間に千里は雪子のそばに寄り暢子から聞いた話を雪子にも話す。
 
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「えー!?」
「だからさ・・・」
「・・・了解です」
 
スローインされたボールを松前さんがドリブルしながら攻め上がる。N高校のメンバーが守備のため自コートに戻っていく。千里は松前さんの前に出て彼女をマークする。彼女が右手でドリブルしているので千里は左手を伸ばしてカットを狙う姿勢を見せる。松前さんはドリブルを背中に回して左手に移す。
 
「危ない!」
と福島さんが声を掛けた。
 
「え?」
と松前さんが言った時には雪子が反対側の死角から松前さんに忍び寄り彼女の背中に回ったボールを巧みにカットしていた。
 
疲労のたまっている松前さんの意識の隙に入り込んでのプレイであった。松前さんも万全な状態なら、こういうのにはやられないだろうが、さすがに今日は3試合目。しかも準決勝は強豪の帯広C学園だったので疲れている。その一瞬の隙を狙ったのである。
 
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そのまま雪子が自らドリブルして攻め上がる。薫が必死で走って先行するのでそちらにパスする。薫は鶴山さんを抜いてそのままゴールを決める。
 
66対87。21点差!! 残り34秒。
 
向こうは今度は慎重に、攻め上がる。パス回ししているので何度かパスカットを試みるが向こうもここでスティールされるとやばいと認識しているので油断していない。そして福島さんと音内さんが上手くピック&ロールを決めてゴール。
 
68対87。19点差。残り12秒。
 
残り時間は短いが雪子は焦らず攻め上がる。
 
千里には松前さん、暢子には音内さん、薫に福島さん、揚羽に鶴山さんが付いている。雪子の前には小寺さんがいる。
 
薫が福島さんを振り切って中に進入する。双方の選手が入り乱れて結果的にマークが甘くなる。雪子が薫の方に向けてボールを投げる姿勢を見せる。しかしボールは揚羽の所に飛んでいく。鶴山さんと激しいボディチェックがあるものの、揚羽は根性で鶴山さんを押しのけてキャッチ。そのままシュートしたもののフォローに来た福島さんにブロックされる。
 
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ボールが転がる。暢子が飛びつくようにして確保するが周囲が混雑していてとてもシュートできない。既に時計は3秒を切っている。そこで暢子は床すれすれの低さで千里の右側にパスを出す。千里が松前さんを振り切るように半ばジャンプしてそのボールを取る。そしてそのまま不完全な体勢のままシュートを撃つ。
 
直後に試合終了のブザー。
 

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女の子たちの出会いと別れ(7)

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