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■女の子たちの出会いと別れ(6)

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今回、女子の参加チームは40校である。初日は1回戦と2回戦が行われる。40校の内16チームが1回戦からになるが、旭川N高校と、更にその話を聞いて「うちも」と言った旭川M高校は締切り後の追加参加だったので、どちらも1回戦からである。ただしどちらも遠方からの参加なので10:30からの時間帯に設定してくれていた。
 
M高校は、学校から参加の費用が出ないということで、部員の自費参加である。遠征メンバーも橘花・伶子・水希・蒼生・宮子・輝子の6人と金田監督のみ。そこで彼女たちをN高校のバスに同乗させて連れて行った。そのおかげで宿泊費だけの負担で参加することができた。
 
ところでこの日、川南が宇田先生に訴えた。
 
「先生、私インターハイに行きたいです。でも選手枠が凄く厳しいし。それで提案です。ボーダー組の中で今回の大会でいちばん点を取った子をインターハイの12人枠に入れてください」
 
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「ほほぉ。面白いね」
と宇田先生は、選手の方からそういう案を出してきたことに好感を持ったようである。
 
「でもボーダー組って誰かな?」
と南野コーチが訊く。
 
「私と葉月に敦子・睦子、蘭ちゃん、結里ちゃん、永子ちゃんです」
と川南。
 
確かに今回のベンチ組で背番号4-10の7人はまず落とされることはないだろうが、11-21の11人は微妙だ。その内PGのメグミは雪子のバックアップとして外せないし、リリカも貴重なセンターである。昭子と薫は出られないとなると、今川南が言った7人と新1年生で残る3人の枠を争うことになる。
 
「私はそれでいいよ。川南、枠を争おうよ」
と睦子が言う。
「私もいいよ」
と敦子も言う。
 
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南野コーチは
「まだインターハイは先のことだから確約できない」
と言ったのだが、宇田先生は少し考えてから言った。
 
「良いだろう。但しポジションによってどうしても働きが違うから、得点+アシスト+リバウンドの総数というのでどう? それからインターハイ予選であまり恥ずかしくない動きをした場合という条件で」
と宇田先生が言うと
 
「それでいいです。頑張ります!」
と川南が言い、敦子・睦子も頷いていた。
 
さて1回戦、N高校の相手はそれほど強い所でもないので、1年生優先で出ることにして、永子/昭子/結里/蘭/リリカというスターターで出た。先日の大雪カップBチームに続きポイントガードを任された永子が昭子・結里のダブルシューターをうまく使い分けて気持ち良く得点していく。40分間出続けるのは辛いので川南・葉月・睦子・敦子といったメンバーも交代で出たが大勝であった。永子は1,2,4ピリオドで司令塔役を無難にこなした。
 
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13:30からの2回戦ではメグミ/夏恋/薫/川南/揚羽というスターターで行く。相手は新人戦の網走地区戦でBEST4になったチームなので結構な手応えがあったものの薫は八分くらいの力でプレイしている感じであったが、女子の大会への参加は初めてなので、何だか嬉しそうにプレイしている。試合は20点差をつけての勝利であった。
 
なお事前に宇田先生・南野コーチ・千里・暢子・薫の5人で話し合い、この大会では原則として薫と昭子は同時にはコートインさせない自主規制をすることにしている。
 
18:00から3回戦が行われる。相手は新人戦の道大会にも出てきたことのある所なので、雪子/千里/寿絵/暢子/留実子という布陣で始めた。しかし前半で15点差が付いてしまったので、後半は千里と暢子は下がり、薫と結里が出た。それでも最終的に25点差で勝利した。留実子は第4ピリオドでリリカに交代したが、少しずつ長時間の稼働ができるようになってきたようである。
 
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初日3戦での「ボーダー組7人」の成績は1位永子22 2位結里21 3位敦子20 4位川南18 5位睦子・蘭16 7位葉月8 であった。
 
「私やばーい。これだと落選確実」
などと葉月が言っている一方、
 
「川南、言い出しっぺの割に数字が低い」
と寿絵から川南は言われている。
 
「敦子や永子ちゃんはアシスト数がハンパ無いんだ。川南も自分が点を取れなくても、今いちばん点を取れるのは誰かというのを考えて、その子にパスを出せばもっと成績上がるよ」
と薫から言われていた。
 
「そっかー。For the teamですね?」
と川南。
「そうそう」
「明日は頑張ります。南野コーチ、私出してください」
と川南は言うが
 
「状況次第」
と南野コーチはドライである。
 
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夕食は焼き肉の食べ放題であったが、M高校の7人の分を宇田先生がポケットマネーから出してくれて彼女たちを招待して一緒に食べた。
 
「私までいいんですか?」
と金田先生は恐縮しているが
「顧問なんかしてるとそもそも金田先生も随分自腹切ってるでしょ?」
と宇田先生から言われて
「そうなんですよね!」
と向こうも言っていた。
 
「でもよく選手6人で頑張るね」
と寿絵が言う。
 
M高校はわずか6人で今日は1回戦で接戦だったものの2回戦は大差で勝ち、3回戦も10点差で勝って明日に駒を進めている。
 
「5人だと誰かがファイブファウルになったら即負けだから、ある意味ギリギリの人数」
と橘花。
 
「計画的に交代して連続長時間の出場にならないようにした」
「でも結局橘花は1回戦と3回戦は40分間フル出場だったね」
 
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「薫も昭子も出てたけど、ふたりとも正式に女子チームに移行?」
 
「薫は協会から女子の方に出てという指示が出たんだよ」
「ほほぉ」
「ただ制限が掛かるんだけどね」
 
と言って千里は薫が4月6日から地区大会、7月7日から道大会まで出られることになったことを説明する。
 
「全国大会が解禁になるのは2年後の2010年2月20日から」
と薫本人が明かす。
 
「へー」
「国際大会に出られるのは20歳過ぎてからだったっけ?」
 
「国際大会に出るには戸籍が女になってないといけないらしい。20歳になったら即戸籍の変更を申請するから、それから多分1-2ヶ月かかると思う。まあ裁判所への申請が通ればだけど」
と本人。
 
「でも女子選手として活動していれば裁判所も認めてくれるでしょ?」
と伶子が言う。
 
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「それを期待してるんだけどね」
と薫。
 
「じゃ性転換手術はもう済んでるんですね?」
と宮子から訊かれる。
 
「ごめん。まだ完全には終わってない」
と薫は言うが
 
「でも女子選手として認められたってことはもう男性器は無いんだと思うけど」
と千里が言う。
 
「まあ20歳までにはちゃんとするつもりだけど」
と薫。
 
「なんか薫に聞いてもそのあたりが曖昧っぽいんだよなあ」
 
「宇田先生、聞いておられるんでしょ?」
と川南が訊く。
 
「個人情報保護法があるから」
などと宇田先生。
 
「手術が終わっていても、筋肉が男性の筋肉から女性の筋肉に変化するのに時間が掛かるから、待機期間があるんだと思うよ」
と寿絵が言うと、橘花たちも納得していた。
 
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「まあ、シャキール・オニールが突然今日性転換しても明日女子選手としては認めたくない」
「それはさすがに勘弁して欲しい」
「いや、シャキール・オニールなら、性転換したらうちのチームに欲しい」
「日本の高校に入ってくれたら、女子高生だよね?」
「女子制服姿のシャキール・オニールを見たいような見たくないような」
 

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「昭子ちゃんは? なんか選手名簿にも湧見昭子で登録されてたけど」
と輝子が訊く。
 
「湧見昭子でバスケ協会のIDカード持ってるもんね」
と葉月。
 
「嘘。見せて」
と言うので、昭子が自分のIDカードを見せる。
 
「すごーい。湧見昭子、N高校バスケット部(女子)と書かれている」
「ID番号も6から始まっていて女子の番号」
「へー」
 
「じゃ、とうとう昭子も性転換したんだ?」
「ごめんなさい。まだ手術してないです」
 
「女子選手としてこないだ北海道ブロックエンデバーに招集されたんで、その時に暫定登録証をもらったんだよ」
と千里が事情を話す。
 
「今回、うちが締切りすぎてるけど参加させてもらえないかとこちらに打診した時、松前さんが電話に割り込んできて、薫も昭子も連れてこいと言ったらしくて」
と暢子。
 
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「それで参加してるんだ?」
 
「うん。だから今回は男子チームには参加せず女子チームに参加した」
「ああ、さすがに男女両方に出るのはNGだよね」
「昭子が男子チームでは出ないと聞いて、北岡君から代わりに川南でもいいから渡せと言われたんだけど」
と暢子。
 
「私出ていいから、誰かおちんちん下さいと言ったら、誰もおちんちん取られたくないと言うから」
と川南。
 
「川南、女子でインハイに出られなかったら、男子で出てもいいんだ?」
「うん。私、なりふり構わずインハイを目指す」
 
「そういう貪欲な姿勢は好きだなあ」
と薫が言うが
「うーん。薫に惚れられても」
と川南。
 
「川南、男の子に性転換したら、女の子になった私と結婚してよ」
と薫。
「ちょっと待って。それは少し考えさせて」
 
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薫も昭子もこの日は当然のように、他の女子と一緒に女湯に入っていた。
 
「薫が女湯に居るのはもう普通に思えてきた」
「私、おっぱい大きくしちゃったから、もう男湯には入れないよ」
「でも大きくする前から女湯に入ってたね」
「うん。実は高校に入ってからは女湯にしか入ってない」
「へー。じゃ、その頃、おちんちん取っちゃったのね?」
 
「昭ちゃん、ひとりで女湯に入ったりしてる?」
「無理です〜。ひとりでは女湯に入る勇気は無いです」
 
実際には昭子はウィンターカップの道予選の時にひとりで女湯に入っているのだが、それはみんなには内緒である。
 
「まあ、胸が無いので怪しまれる可能性あるよね」
「高校の内におっぱいだけでも大きくしたら?」
 
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「えー?どうしよう」
 
「ってか、少し膨らみかけてるよね、この胸」
と言って敦子が昭子の胸に触ると、昭ちゃんは恥ずかしそうにしていた。
 

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翌日は朝から準々決勝が行われる。1日目は第1体育館のメインアリーナ3面とサブアリーナ1面に加えて第2体育館にも1面取っていたのだが、今日は第1体育館のみになる。
 
今日の相手は北見T高校で、2月のブロックエンデバーで会った松橋さんがいるチームだ。173cmの長身で、スリーもペネトレイトもうまい手強いシューティングガードである。
 
偵察隊からの情報によれば、松橋さんと背番号4を付けるセンターの早川さんが卓越している。千里たちは事前に昨日のT高校の試合ビデオを見てイメージをつかんでからこの試合に臨んだ。
 
雪子/結里/薫/暢子/留実子というメンツでスタートする。薫が松橋さん、暢子が早川さんのマークに付いて、得点は雪子が結里を使った遠距離攻撃と、留実子を使った近距離攻撃を使い分けていく。また結里がスリーを撃った場合も留実子がリバウンド狙いで中に飛び込んで行く。
 
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するといつものN高校に比べると随分得点力は低いのだが、相手の主たる得点源を2人とも押さえているので、じわじわと点差が開いていく。前半だけで38対28と10点差を付けることができた。
 
後半はメグミ/夏恋/寿絵/薫/揚羽、と薫以外のメンツを一新する。早川さんのマークは夏恋にさせる。すると暢子にマークされるよりは早川さんが動けたので、後半は前半よりは向こうの得点が上がったものの、寿絵・揚羽もどんどん得点する。第4ピリオドでは薫も千里と交代した。
 
最終的には68対58でN高校が逃げ切った。
 
M高校はこの準々決勝で釧路Z高校に当たり激戦の末敗退した。さすがにこのレベルのチームに6人だけでは辛かったようである。
 
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実質休憩無しで10:30から行われる準決勝の相手は根室P商業である。道大会には出てきたことがないものの、1年生のパワーフォワード花咲さんが強く、1年生なのに背番号7を付けている。新人戦・根室地区大会決勝では1点差で準優勝に終わっている。インハイ道予選には出てくる可能性もある。
 
この試合では花咲さんのマークを連戦にはなるものの薫にさせることにした。他の部員には話してないが、宇田先生・南野コーチ・暢子・千里・薫の5者の話し合いで、決勝戦まで進出した場合、薫と昭子は遠慮して使わないことにしようと決めていた。それでこの大会では薫はこの試合が最後になる予定だ。
 
花咲さんはティップオフでP商業がボールを取ると、そのまま速攻で攻めてきて鮮やかにシュートを決め2点先制する。みんな最初そのスピードに驚いていた。やはりビデオで見ているだけではスピード感覚は微妙に分からない。
 
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しかしその後は薫が気合いを入れて花咲さん封じに専念する。本人がドリブルで攻めてきたら停めるし、他の選手からのパスはどんどんカットする。花咲さんがボールを持ってローポスト寄りで対峙しても、まず抜かせない。背丈では薫の方が少し高いので、シュートもうまくブロックする。
 
ということで、花咲さんの得点はこの最初の2点だけになってしまったのである。
 
試合はこの試合のポイントガードを任せられた敦子がうまく暢子・夏恋・寿絵を使い分けて攻撃し、終始リードを保ったままゲームを進めることができた。川南は南野コーチに「出して出して出して出して」と訴えて「ただっ子だね。じゃ出すけど10分間で6点取れなかったら6月まで掃除係」と言われて「頑張ります!」と言って第3ピリオドに出場した。
 
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するとこの試合、川南は昨日薫に言われたことを守り、自分が得点できなくても、夏恋や寿絵が行けるとみたら、そちらにパスして結構アシストを稼いだ。自分の得点に関してはゴール2つしか取れず、掃除係決定かと思われたが、第3ピリオド終了間際スリーポイントを放り込み7点になって南野コーチの課題をクリアした。
 
しかし本人は「うっそー!あれが入るなんて奇蹟!」と驚いている。
 
「川南、今のブザービーターで一生分の運を使い果たしたりして」
と葉月に言われて
「やだー、それは!」
と叫んでいた。
 
一方、この試合で終止薫にマークされて何もさせてもらえなかった花咲さんは、試合終了後に薫と握手して「今日は完敗です。6月までに鍛え直してきます」と言っていた。彼女にとっても、物凄く大きな経験になったようである。
 
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女の子たちの出会いと別れ(6)

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