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■女の子たちの出会いと別れ(4)

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2008年3月13日(木)。千里は5時間目の授業を終えたところで残りを公休にしてもらって17:05の羽田行きで東京に向かった。明日から3日間、U18トップエンデバーという合宿が行われるのである。
 
一緒に行ったのは、暢子、L女子高の溝口さんの2人。どうも旭川から招集されたのはこの3人のようであった。
 
羽田空港のターミナル内の1室が集合場所に指定されていたので、招集状を見せて中に入る。
 
集まっているのは凄いメンツだ。高校1−2年生が対象のようであるが、北海道からは、旭川組の3人の他、札幌P高校の佐藤・宮野・河口という180cmトリオ、札幌D学園の早生。他にもロビーを見ていると、秋田N高校の中折、山形Y実業の鶴田、東京T高校の森下・竹宮・山岸、静岡L学園の赤山・舞田、愛知J学園の入野・中丸・大秋・道下、岐阜F女子高の前田・大野・左石、大阪E女学院の河原、愛媛Q女子高の鞠原・海島・大取、福岡C学園の橋田・熊野・牧原。。。。
 
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全部で40人近く招集されているのだが、半分くらいは顔見知りである。ハグしたり握手したことのある選手も多い。
 
「あれ?入野さん、3年生じゃなかったんですか?」
と千里は彼女の姿を見て意外に思ったので尋ねた。
 
「私、早生まれなんだよ。それでU18の招集対象になっちゃったんだよね。(花園)亜津子や(日吉)紀美鹿はU22で招集されているのに、私は留年でもしたような気分」
 
入野さんによると今回集まっている顔ぶれで高3が5人いるらしい。
 
「入野さんは進学でしたよね?」
「うん。同じ系列のJ学園大学に行く。もう合格通知ももらってる。でも凄い先輩たちばかりだからベンチ枠に入るのに苦労しそう」
「わあ、頑張って下さい」
 
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「でもJ学園は篠原さんなんかも呼ばれていいと思うのに今回入ってないんですね」
と溝口さんが言う。
「どうもひとつの学校にあまり偏らないように枠をはめたみたい。うちは4人だけど、他は3人以内みたいだよね」
「なるほどー」
「3人呼ばれているのはF女子高、T高校、Q女子高、C学園にP高校かな」
と大秋さんが言う。
「まあトップ校ですね」
と千里。
「J学園もいれてその6校でメンバーの半分を占めている」
と暢子。
「実際、その6校でいつも全国大会の上位を占めているし」
と溝口さん。
 

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その部屋で暢子・溝口さんと3人で用意されているお菓子を摘まみながらお茶を飲んでいたらそれまでL学園の人たちと話していた福岡C学園の3人がこちらに来る。まずは握手。
 
「競争率は約3倍だね」
と橋田さんが言う。
 
「競争率?」
「このメンツから今年11月に行われるU18アジア選手権の代表が選ばれる」
「へー!」
「ただしU16に優秀な選手が居るとそちらから1人か2人組み込まれる可能性もあるから、競争率はもう少し高いかも」
「男子のU18代表候補は先週発表されたんだよね。男子のアジア選手権は8月だから」
 
「日本代表か。ちょっとさすがに縁が無いな」
と千里は言うが
「村山さんは当確だと思うけど」
と橋田さん。
「だって凄い人たくさんいるのに。森下さんとか鞠原さんとか、入野さんとか前田さんとか」
と千里。
「うん。そのあたりも当確」
と橋田さん。
「実際代表12人の内6人くらいは既に事実上内定してると思う。残る6人くらいの枠を私たちボーダー組が争う」
 
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「うーん。そういうの苦手だけど、でもたくさん練習するのは楽しい」
「うん。楽しい。だから頑張ろう」
と言って橋田さんは笑顔で千里たちと握手した。
 
「あ、そうそう。橋田さん、キャプテン就任おめでとう」
「ありがとう。でも4番の背番号って重いよ」
「ああ、そうだろうなあ」
 
その後は秋から4番を付けている暢子・溝口さんの3人で「キャプテン談義」が盛り上がっていた。
 

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20時頃、案内の人が来て、全員バスに乗り込み、羽田空港内にある日航関係の施設に移動する。合宿は明日からなのだが、取り敢えず体育館に入り、強化委員さんのお話を聞いた。そのあと今日は解散、明日から頑張ろうということになったのだが・・・・
 
「せっかく体育館あるし少し練習していいですか?」
「私も身体動かしたいと思ってた。今日は練習を欠席したし」
 
などという声があがる。それで22時までは練習していいよということになった。
 
「よし、やろう」
と佐藤さんが声を掛けてボールを取ってきて、旭川組3人と札幌P高校の3人にD学園の早生さんも入れて、3on4で対戦する。確かに練習を休んだ日は何か身体が変なのだが、身体を動かしていくと、どんどん神経が研ぎ澄まされていく。
 
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しばらく練習している内に
「ねぇ、練習試合やろうよ」
という声があがる。倉敷K高校の丸山さんだ。彼女も高3・早生れである。
 
それで、北海道東北関東組vs九州四国組、静岡愛知北信越組vs岐阜近畿中国組と別れて試合形式の練習をした。この不自然な組分けはJ学園とF女子高を分離しないと話にならないのでできたものだが、秋田N高校の中折さんや東京T高校の森下さんたちと組んで、福岡C学園の橋田さんや愛媛Q女子高の鞠原さんたちと対戦していた千里や佐藤さんは、隣のコートを見て「なんか向こう凄いね」などと話していた。
 
「いや、きっと向こうもこちら見て凄いと言っている」
と(T高校)竹宮さんが言う。
 
「いや、そちら破壊力ありすぎ」
と鞠原さんが言う。
 
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「村山さんも中折さんも遠くからポンポン放り込むし、外れたシュートは森下さんが全部取っちゃうし、勝負にならん」
と橋田さんも言っている。
 
実際、この日の試合は大差で北海道東北関東組が勝った。千里は10本、中折さんも7本スリーを放り込み、お互いに「進化してますね〜」と言い合った。
 

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「え?このChrous 1は私がひとりで歌うんですか?」
と冬子は今回の制作の実質的な指揮をしてくれている鈴木聖子さんに訊いた。
 
「そうそう。Chorus 2は穂津美ちゃん1人ね」
「了解、了解」
 
「Chorus3を珠里亜ちゃんと美来子ちゃん」
「分かりました」
 
「『トライアングル』はそういうパート分けにするけど、『風の色』と『丘の向こう』は、Chorus 2を穂津美ちゃん・珠里亜ちゃん・美来子ちゃんの3人でChrous1は冬子ちゃん、ひとり」
 
「でもこのChorus1って、何だかメインボーカルの和泉ちゃんといやに絡むんですけど」
と冬子。
「うん。だからChorusだよね」
と聖子は言った。
 
「そもそもなぜスコア上、S1(Soprano 1)の後にChorus 1 があって、その後にMS(mezzo soprano), A(Alto) という配列になっているんですか?」
 
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「さあ、きっと編曲をした佳乃子(ゆき先生の助手)さんの好みなんじゃない?」
 
何だか和泉が苦しそうにしていてた。
 

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貴司は15日も16日も専用の体育館でチームメンバーと一緒に練習に汗を流していた。高校時代は30人ほどの部員と一緒に練習していたので、わずか12人ほどでの練習にはなんだか違和感を覚えていた。そもそも貴司のパスをちゃんと取ってくれる選手が、真弓さんと竹田さんくらいしかいない。他の選手は相手に悟られないようにそちらを見ずにパスを出すと、掴みきれないのである。
 
16日の午後に船越監督がやってきて、紅白戦をする。とりあえず貴司は新入りということでBチームに入って20分間の試合をした。真弓さん・竹田さんも最近加入したばかりということでBチームである。
 
試合はBチームの圧勝であった。
 
「よし、Bチームが勝ったから、来週の千里(せんり)カップにはBチームで出よう」
と監督が言う。
 
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「えーー!?」
「まあ、でもBチームだけで出て、あまり恥ずかしい成績になってもいけないから、Aチームから、香田・坂上・荻野、お前らBチームに特に入ってやれ」
「分かりました」
 
その3人は昨シーズンMM化学・サウザンド・ケミストラーズが近畿リーグ3部で優勝した原動力である。しかし実際には同じ新入りである真弓さんのほうが遙かに実力があると貴司は思っていた。
 

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千里にとって3月14-16日の3日間は、忘れられないほど充実した時間となった。国内トップレベルの高校生が集まり《仲間》として一緒に練習し、指導を受ける。指導内容もハイレベルだったし、本当に巧い選手たちとのコンビネーションプレイ、また逆にそういう選手たちと対決する楽しみは格別だった。
 
「これ、男の子とセックスするより興奮すると思わない?」
と暢子が言って、周囲数人の凍り付くような表情を引き起こしたが、実は千里も同じようなことをすんでで言いそうだった。
 
「お疲れ様でした」
「また会いましょう」
 
と言って解散する。
 
千里たちは3日間ずっと羽田にいたのであるが、旭川行きの最終便が出た後なので、札幌組の4人と一緒に新千歳行き20:20の便で北海道に戻った。座席が中央の列で、旭川の3人が前、その後ろ1列にP高校の3人、通路を挟んで窓側に早生さんという配置だったので、その7人でひたすらおしゃべりしてそれまであまり話したことのなかった早生さんとも随分仲良くなった。
 
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「凄い。D学園は来週カナダ合宿ですか」
「うん。でもカナダはどうせなら観光旅行で行きたい」
「ああ。合宿じゃ、観光地とは無縁ですよね」
 
「今回、同じ日程で男子のトップエンデバーも合宿してたんだよね」
「うんうん。NTCでしょ?」
「NTC?」
「1月にできたばっかりの立派なトレーニングセンターがあるんだよ。赤羽方面」
「へー」
「いいなあ」
 
「しかし今回の合宿はお互い手の内をさらけ出した感もあった」
「それだけにインハイまでお互いまた頑張って進化しないといけない」
「トップバスケガールたちを集めてこういうのをやるってのは、そういう相乗効果も大きいよね」
 
「この合宿は年に1度なのかなあ」
「エンデバーは年1度だけど、もし日本代表候補に選ばれたら今年は4回くらい合宿に参加することになるはず」
「そんなにやるのは今度は忙しいね」
 
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「U18代表候補の段階で4回合宿やって、それで代表発表。それで代表のみで5回目の合宿をやって、直後にアジア選手権だよ」
と佐藤さんが手帳に挟んだ紙を見ながら言う。
 
「代表候補になったら、今年はそれで明け暮れそう」
「うん。実際そうだと思う。どうしても代表優先になるしね。通常の活動とできるだけぶつからないようにはなっているけど、アジア選手権はウィンターカップの道予選とまともに日程がぶつかっている」
と佐藤さん。
 
「でも私たちの場合はどっちみち8月までで引退だね」
と千里は言うが
 
「その点、こないだ宇田先生に確認したんだけど、過去に代表候補になった3年生を9月以降まで活動を認めたことがあったらしい」
と暢子が言う。
 
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「それって富士さん?」
「そうそう。最終的には富士さんは代表候補までで、代表にはなれなかったんだけどね」
 
「でも日本代表かあ。今年はみんなのレベル見てて、かなわんと思ったけど、U22で日本代表目指したいな」
と早生さんが言うと
 
「そういう刺激を与えるのも目的だと思うよ」
と溝口さんは微笑むようにして言った。
 

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「あ、とうとうAYAのメジャーデビュー決まったんですか?」
 
雨宮先生からの電話で千里はそう答えた。
 
「うん。4月23日水曜日。楽曲は上島が書いた『三色スミレ』と、アキ北原の『スーパースター』をカップリング。既に音源制作も終わった」
 
「アキ北原って・・・」
 
それは1月に亡くなった北原さんのペンネームである。今更考えてみると中性的で男女どちらとも取れるペンネームだ。
 
「実は北原のマンションを引き払うのに、ご両親が荷物を整理していたら五線紙が見付かってさ。新島に連絡があったんで確認したら、未発表曲だということが分かったんだよ」
「それってもしかして、こないだのCDに入れるつもりで書いていた曲では?」
 
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「だと思う。それで毛利に補作させて完成させて今回のに収録することにした」
「じゃ北原さんの本当のラストピースですか」
 
「うん。それとインディーズ時代に、ロイヤル高島作詞・アキ北原作曲というソングライトペアで作品を出して、ファンに支持されているから、その北原の名前をデビューCDには入れた方がファンも受け入れやすいと思うんだよ」
 
「それは絶対そうですよ」
 
実際にはロイヤル高島さんはAYAの歌詞を1度しか書いていないし、制作には全く関わっていない。最初から名前だけ借りる約束であった。メインボーカルの交代の時に、あすかを説得するのに出てきてくれただけである。
 
「ファンにはロイヤル高島さんの最後の作品と説明する。だから両A面」
「名目上の作詞者作曲者双方にとって最後の作品になっちゃったんですね」
「うん」
 
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「プロダクションは決まったんですか?」
「ああ。$$アーツになった」
「へー。ドリームボーイズのプロダクションですか」
「麻生まゆりも20歳すぎちゃったし、少し若いアイドルが欲しかったようなんだよ」
「なるほどー」
 
AYAはこの春休みに関東近辺を中心にデビュー前のキャンペーンをするということであった。
 
しかし4月23日なら美空たちKARIONのセカンドCDと同じ日の発売だな、と千里は考えていた。
 
 
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女の子たちの出会いと別れ(4)

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