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■女の子たちの出会いと別れ(2)

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週明けの3月3日。多くの高校で卒業式が行われた。N高校でも3年生の久井奈さんや麻樹さんたち、男子の真駒さん・白滝さんたちが巣立っていった。千里たち在校生は手分けして卒業して行く先輩たちに記念品を渡した。千里は透子さん、留実子は麻樹さん、寿絵は穂礼さん、メグミは久井奈さん、暢子がみどりさん、川南が美々さん、葉月が靖子さんに、記念品のバスケットボール柄コーヒーカップを渡して「今後も頑張って下さい」と言った。この7人は全員大学あるいは専門学校に進学後もバスケを続ける予定である。
 
そして千里たちは最上級生になる。今年の目標は何と言ってもインターハイで優勝を狙うことだ。但し昨年は他校が無警戒であったゆえに快進撃することができた面が大きい。今年はみんな自分たちを研究してくる。その中で勝ち上がっていくことが今年の課題である。
 
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卒業式が終わり、学校も終わったところで千里は女子制服のまま旭川駅に行き、留萌行きの高速バスに乗る。15時頃留萌に着き、連絡していたので会社を抜け出してきてくれていた母と落ち合う。
 
「お母ちゃん、これお土産」
といってお菓子をひとつ渡す。
「ありがとう。今日はうちには寄れないんだよね?」
「ごめんねー。期末試験が直前だから明日には旭川に戻らないといけなくて」
「うん。いいよ、あんたお嫁に行ったんだし、仕方ないよね」
 
それで貴司の家まで送ってくれる。母同士挨拶もして、千里の母は帰るので、千里は貴司の母の「お帰り」ということばに「ただいま」と答えて家の中に入る。
 
「お母さん、これお土産です」
と言ってこちらにもお菓子を渡す。
「ありがとう。お茶入れるね」
 
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ということで、母・貴司・千里の3人でテーブルを囲む。
 
「貴司、卒業おめでとう。これお祝いの品」
と言って千里はコーヒーメーカーとコーヒー豆のセットを渡す。
 
「おお、実用品だ!」
「大阪まで行ってコーヒー入れてあげられたらいいけど、貴司がコーヒー飲みたいと言う度に毎回行くのはさすがに無理だから私の代わり」
 
「ありがとう。大事にするよ」
 
このコーヒーメーカーはパイロットランプが故障したり、ふたのヒンジが破損したりはしたものの、10年以上にわたって活躍し、貴司が千里と同居するようになるまで持ちこたえることになる。
 
「これ千里に誕生日プレゼント」
と言って貴司は千里にミッキーマウスのトートバッグをくれる。
 
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「わぁ、可愛い!」
「これファスナー付きだし、内ポケットもあるから、結構使えるかなと思って」
「うんうん。私も実用的なのが好き」
 

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「でもあんたたちこの後、どういう付き合いかたするの?」
と貴司の母が訊く。
 
「うーん。特に何も意識せず」
「無理せず。あるがままにだよね」
 
とふたりは言う。今日でふたりの関係をいったんリセットすることについては貴司の母にも千里の母にも言わずにおこうと、ふたりは話し合っていた。
 
「交換日記は続けようと言ってたんです」
「へー」
「ミニレターにその日のできごととか書いて、お互いに送る」
「いいんじゃない? メール交換もするんでしょ?」
 
「メールは用事のある時はいつでも」
「でもお互いの日々を書き綴るのを続けていく」
 
この交換日記もふたりが夫婦でいる間、つまり3月31日までの限定で続けることにしているのだが、そのことはお母さんには言わない。
 
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一息付いたところでお母さんは「神社に戻るけど、あまり羽目を外しすぎないように」と言って家を出た。
 
「理歌ちゃん・美姫ちゃんは何時頃戻るの?」
「たぶん18時頃だと思う」
「じゃ、それまで取り敢えず1回」
「OKOK」
 
ということでふたりは貴司の部屋に入り、お布団の中で熱い愛の交換をした。
 
「ね、ね、ゴールデンウィークとか夏休みとかに会えないよね?」
と貴司が言うが
 
「ごめーん。ゴールデンウィークはカップ戦があるし、夏休みはインターハイに国体予選にとあるから」
と千里。
 
「そっかー。ジュニアはむしろ春から秋に掛けてが忙しいんだね」
「うん。プロはバスケシーズンは冬だけどね」
 
「でももし会えたらデートできる?」
「約束はできない」
「だめ〜?」
「会えたらデートするってのは、結果的にお互いの恋愛関係をずっと維持していくことを意味するから、たぶんエネルギー切れするよ」
「うーん」
「だからやはり友達に戻るのがいいんだよ」
「僕たちが再度夫婦に戻れるかどうか千里、占ってよ」
 
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「無理だよ。そんな問題について、筮竹にしてもタロットにしても答えは出してくれない。自分がニュートラルになれない問題は占えないんだよ」
「それでもいいから」
 
貴司がどうしてもというので千里はタロットを引いてみた。
審判のカードが出た。
 
「これって復活って意味だよね?」
「まあそうだね。でもこういう精神状態で引いたものは無効だよ」
「僕はこのカードを信じる」
「まあいいけどね」
 
結局もう1回したところで服を着て居間に出る。今夜の晩御飯は千里が作ることにしていた。お母さんが材料だけ買ってくれていたので、それを使って八宝菜を作る。
 
「八宝菜って好きだな。いろいろな素材が入っていてさ」
「それだけに下ごしらえの段階が大変なんだけどね。酢豚なんかもそうだけど」
「あ、酢豚も好き。今度会えた時に作ってよ」
「まあそのくらいはいいよ。友達同士でも御飯作るくらいいいよね」
「うん」
 
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ちょうど御飯ができた頃、先に中1の美姫ちゃんが帰って来て、30分ほど遅れて中3の理歌ちゃんも帰って来た。
 
「私、玲羅ちゃんと姉妹の契(ちぎり)をしたんですよ」
と理歌。
「何それ?」
と貴司が訊く。
 
「ってか、理歌お姉ちゃんも私も玲羅さんと義理の姉妹だよね」
と美姫が言う。
 
「うん。でも兄貴ったらこんな可愛いお嫁さんがいるのに、すぐ浮気しようとするからさ。兄貴が浮気しようとしても物理的にできないようにする、おまじないをしちゃおうなんて言ってたんですよ」
 
「おまじない?どんな?」
「秘密」
 
やがてお父さん、そして少し遅れてお母さんが帰ってきて、6人で食卓を囲んで夕食を頂く。美味しい美味しいと言って、貴司もお父さんも食べてくれるので、千里はとても幸せな気分になった。お父さんも貴司も日本酒を飲んでいたが、千里も今日は未成年飲酒の件は追及しないことにした。
 
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食器の片付けをして21時頃、貴司とふたりで部屋に入る。
 
「今日は何回くらいできるかな?」
という貴司の問いに対して、千里は
「馬鹿ね。愛は回数じゃなくて中身なんだよ」
と言ってキスする。
 
ファンヒーターが暖かい空気をはきだしている。ふたりは静かにお布団の中に入った。
 

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ふたりは時間を惜しむように何度も何度も結びつきあった。途中でさすがに貴司のが立たなくなってしまうが、千里はそれを指でもてあそんだり、お口で優しく舐めてあげたりした。ふたりの行為は本当に明け方まで続いた。
 
5時頃になって少し寝ようかということになり、貴司は疲れ切ったように熟睡する。千里も1時間くらい寝てから起き出して、朝ご飯を作る。鮭の切身を7つロースターで焼く(1つはお父さんのお弁当用)。お味噌汁を作っていたらお母さんが起きてきてお弁当作りを手伝ってくれた。
 
「千里さん、ここはあなたのおうちだし、貴司が居ない時でも気軽に寄っていいからね」
とお母さんが言う。
 
「はい。ほんとに寄せて頂くかも」
と千里は笑顔で言った。
 
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7時頃お父さんを送り出し、7時半すぎに理歌と美姫を学校に送り出す。8時過ぎにさすがにそろそろ起きてもらわなきゃというので貴司を起こす。鮭の切身と味噌汁を温め直しで朝ご飯を食べてもらい、貴司は旅行鞄を持って出かける準備をする。貴司は背広上下である。千里もお母さんから借りたウンガロのワンピースを着る。それでお母さんの車に乗って旭川まで出た。
 
ここで礼文島から出てきた貴司の祖父母(貴司の父の父)と会った。
 
「ご挨拶に行かなくて申し訳ありませんでした。貴司さんの妻の千里と申します」
と挨拶すると
 
「おお、めんこい、めんこい」
とお祖父さんは千里を見て喜んでくれた。
 
「あなたけっこう背が高いけど、貴司が背が高いしちょうどいいかもね」
とお祖母さん。
 
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「千里さんはバスケットをしてるんですよ。だから背が高いんです」
とお母さんが言ってくれる。
 
「あら、貴司さんもバスケットしてるんでしょ?」
「ええ。ふたりともインターハイと言って全国大会に行ったんですよ」
「それは凄い!」
 

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お祖父さんは多少ボケている感じだし、足腰が弱っている感じではあったが、一応自分で歩ける状態。付き添いで来ている貴司の伯父(父の兄)夫婦と一緒に割烹料理店に入った。
 
「本当は僕らがそちらに行かないといけないのに済みません」
と貴司は言うが
 
「いや、ふだんどうしても島に籠もりっきりになっちゃうから、たまには外の空気を吸わせなきゃと思ってね」
とお祖母さんは言う。
 
「だけど貴司君、まだ18だよね?」
「高校生夫婦なんです。千里はまだ17歳で」
「へー。若いのに。まあ最近の人はそれでもいいのかもね」
 
「赤ん坊はできたか?」
とお祖父さんが言う。
 
貴司と母は一瞬顔を見合わせたが、千里はニコリと笑って
「京平というんですよ。今日は遠出になるので連れてきてませんが」
と答えた。
 
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「きょーへーか。いい名前だ」
とお祖父さんは言う。
 
「お祖父さんだけに写真見せてあげます」
と言って千里は自分の携帯の画面を開くと、それを祖父だけに見えるようにして見せた。
 
「おお、元気そうな童(わらし)だ」
と言って、祖父は満足そうにしていた。
 

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お祖父さんたちと別れてから、貴司から突っ込まれる。
 
「千里、京平の写真があるなら僕にも見せてよ」
 
「ごめんね。あれ、お祖父さんにだけ見せていいと言われたの」
「なんで?」
「深くは追及しないで」
と言って千里は遠くを見る目をした。
 
「京平って誰?」
とお母さんが訊く。
 
「私と貴司さんの子供です」
と千里は微笑んで言った。
 
「あんたたち赤ちゃん作っちゃったの!?」
「京平本人は7年後くらいに生まれてくると言ってました」
「へ?」
 
「お母さん、千里はある場所で未来の僕たちの子供に会ったらしい」
と貴司が説明する。
 
「じゃ、やはり千里さん、子供産めるの?」
「どうなんでしょうか。私、自分が子供産める訳ないと思ってたんですけど、最近自信が無くなってきました」
「へ?」
 
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「だって千里って生理あるよね?」
と貴司が訊く。
 
「男の子には生理のこととか教えられませーん」
と千里は微笑んで言った。
 

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貴司は旭川空港15:10のセントレア行きで旅立って行った。いつか千里が雨宮先生に唐突に京都に来てと言われて呼び出されたときに使用した便だ。セキュリティのそばで物陰に隠れてキスをした。
 
貴司は「愛してる」と言ったが千里は「さよなら」と言った。再度千里にキスして、貴司はセキュリティのゲートをくぐった。千里の目に大粒の涙が光った。
 
その晩、千里はどうにも眠られない感じだった。昨夜も徹夜しているのに、どうしても気持ちが定まらない。《びゃくちゃん》が『寝なきゃダメ』と言って、千里を強引に睡眠に導いた。
 

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