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■女の子たちのGoodbye Boy(2)

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「昭ちゃん、ここで何してんの?」
「あ、千里さん。この橋の噂聞いてません?」
 
「聞いた。それで調査に来たんだよ」
「ボク、薫さんみたいに性転換手術まで受ける勇気無いけど、何かの間違いでおちんちん無くなったらいいなと思って」
 
薫、結局性転換したんだっけ? どうも薫の発言はどこまで信じていいのかさっぱり分からないからなあ。まだちんちんあるなんて言ってたけど、それが本当かどうか、昭子が言うように、実はもう取っちゃったのかもなどとも千里は考えていた。
 
「それで橋を渡りに来たんだ?」
「既に3回渡りました。でも何も出ないんです」
 
見てると、おちんちんを無くしたい男の子たちは5分単位で1人ずつ渡っているようである。女装している子も結構いる。しかしこの橋は太鼓橋状になっているので橋の中央より向こうはこちらからは見えない。何か怪異が起きたとしても悲鳴などがあがらない限り分からない。
 
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「これだけ騒いでいたら、さすがの弁慶幽霊も出ないのでは?」
「でもこのくらいの時間帯が出やすいらしいんですよ」
 
「天津子ちゃん、何か感じる?」
と千里はそばで橋を見つめている天津子に訊く。
 
「雑多な霊が多すぎて分からん!」
 
たしかに人が集まると霊も多数集まりやすい。
 
「夜中にまた来てみようよ」
 

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ということで千里たちは食事を兼ねてカラオケ屋さん!に行った。
 
天津子は歌が物凄く上手い。千里にしても綾子や弥生にしても楽器をしているだけあって音感は良いのだが、天津子の歌は格別だと思った。
 
「だけど例のオカマ野郎は、私もちょっと悔しいくらいに上手いんですよ」
と天津子は言う。
 
「誰だっけ?」
と綾子。
 
「天津子ちゃんが凄く嫌っているオカマちゃんの霊能者らしい」
「ほほぉ」
「あいつ音域も3オクターブ近く出るから」
「それは凄い」
 
「今小学4年生だっけ?」
「うん。私より2つ下。だからきっと近いうちに声変わりが来て、まともに歌えなくなるのではと、半分期待しつつ半分ちょっと残念な気がする」
 
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声変わりか。。。。私も小学5−6年生の頃は悩んだなと思う。でも私も声変わりは来るよと美鳳さんから予告されている。嫌だなあ。
 
「そういえば天津子ちゃん、まだ小学生だったっけ?」
「ですけど」
 
「忘れてた!」
「凄くしっかりしてるから、高校1年くらいだっけとか思ってた」
「小学生をこんな夜中まで連れ回してたら、私たちが逮捕されるな」
「そもそも高校生も10時までだったかも」
 
などと言いながらカラオケ屋さんで12時近くまで過ごしてから4人はまた橋のところまで行ってみた。
 

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車を降りて4人で橋のたもとに立つ。
 
「何か居るね」
と弥生。
「うん。これは私にも分かる」
と綾子。
 
「行ってみよう」
と天津子が言う。
 
「ねえ。こういう時はやはり笛を吹きながら渡るんだよ」
「なるほどー」
「誰か笛持ってる?」
 
「私持ってるけど」
と千里が言い、京都で《横笛》からもらった篠笛を取り出し吹き始める。
 
それで4人は一緒に橋を渡った。
 
橋の真ん中付近のいちばん高い所を少しすぎたあたりで、そいつは現れた。
 

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「なんだ。女ばかりか?」
とその僧兵姿の幽霊は言う。千里は笛を吹き続けている。
 
「私男だけど」
と天津子が言った。
 
「おお。それなら、お前のチンコを置いていけ」
「おちんちんなんか集めてどうするのさ?」
「俺は千本のチンコを集めるという大願を立てた。今まだ99本集めた所だが、お前のチンコを取れば100本になる」
 
噂では799本とか899本という話もあったが、どうも数字がオーバーになっていただけのようだ。でもひょっとしたら79本か89本だったのをこの所の騒ぎで「取られたい」希望者が殺到して本数を稼いだのかも?
 
「変な大願だね。なんでそんなの思いついたの?」
「俺は子供の頃、修行の邪魔だとか言われて師匠にチンコを切られてしまった。それが悔しいから他の奴らにも同じ苦しみを味合わせてやるのだ」
 
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「あんたがチンコ取っちゃった奴ら、悲しんでた?」
「それがなぜかみんな嬉しがってたから不思議なんだ」
 
「世の中が変わったんだよ。男の子はチンコ取られるのを今の時代は喜ぶんだよ。だからあんたは苦しみを味合わせることはできないね」
「嘘? なぜチンコを取られて嬉しがる?」
 
「だっておちんちん取られたら女の子と同じだから。今の時代は男より女の方が生きやすいし人生楽しいんだよね。大事にしてもらえるし」
 
「そんな馬鹿な。女は劣った生き物、女であること自体が地獄のようなものなのに」
「それは古い時代の考え方だね。今この世界は女優先の社会になってるんだ。だから女になりたい男がたくさん居て、この日本の国だけでも毎年1000人くらいが自分でおちんちん切って女に変わってるよ」
 
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「嘘だ!? だったら私のしていたことは何なんだ!?」
「あんたのしてたことは全く無意味だから、もう消滅しちゃいなよ」
 
天津子がそう言うと、大きな箱のようなものが現れたのを千里は感じた。チン弁慶はその箱の中に吸い込まれていき、箱は閉じた。
 
天津子が般若心経を唱えるので、千里たちもそれに唱和した。
 
周囲の雰囲気が明るくなった。
 

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「封印したの?」
と綾子が訊く。
 
「に近い。まああの箱の中からは何も悪さはできないから、せいぜい自分のしてきたことを後悔するといい」
 
「でもチン弁慶って本当におちんちんを取ってた訳?」
「霊的に取ってたと思う。だからやられた人は、おそらく男性機能を失い、勃起もできず、精子も男性ホルモンも生産されなくなっている」
 
「男の娘さんたちは歓迎だろうけど、ふつうの男の人は悲惨じゃない?」
と弥生。
「まあ、心機一転オカマになっちゃえば」
と天津子。
 
「天津子ちゃん、オカマ嫌いなんでしょ?」
「嫌いだけど。男も嫌いだからいいや」
「ふむふむ」
 
「私見てただけなのに凄く疲れてる」
と千里が言った。
 
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「あんな大物の封印はパワーが必要だもん。大半のエネルギーを千里さんからもらった」
と天津子。
 
「へ?」
「千里さん、優秀なバッテリーなんだよね。年々その容量が大きくなってるし」
と天津子は楽しそうに言った。
 

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2008年1月31日〜2月2日(木金土)、バスケット全道新人大会が旭川市のL女子高で開催された。N高校女子はこういうメンツで参加した。
 
PG 雪子(7) メグミ(12) SG 千里(5) 結里(18) SF 寿絵(9) 敦子(13) 夏恋(10)PF 暢子(4) 睦子(11) 蘭(15) 川南(16) 葉月(17) C 留実子(6) 揚羽(8) リリカ(14)
 
薫が出られないのでスモールフォワードが手薄になるため夏恋を今回はスモールフォワードで登録した。そのためシューティングガードの控えとして結里を登録したので、結果的に永子が枠外に弾き出された。ボーダー組はどうしても出たり入ったりになる。
 
その薫を今回マネージャー登録している。他の子をマネージャー登録する場合は試合を間近で見せて、オンコートの疑似体験をさせるとともに、次はコートに立ちたいと思わせるという教育目的が大きいのだが、薫を座らせる場合は薫は参謀として重要な役割を果たしてくれる。宇田先生や南野コーチがどうしても指導者としての立場で試合を見てしまうのに対して薫は自分も選手の一員として試合を見るので、違った角度からの意見が聴ける。千里にしても暢子にしても薫の分析や助言は本当にありがたいし、彼女の分析能力には南野コーチも一目置いている感じである。
 
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さて、この大会の旭川地区大会はN高校で開かれたのだが、全道大会の会場は女子は旭川L女子高と男子は旭川W工業がメイン会場となった。
 
出場校は男女各32校で1回戦は各16試合あるので、10:00 11:30 13:00 14:30 の4つの時間帯に分け、L女子高のメイン体育館とバスケ専用体育館に2コートずつ、旭川W工業も第1体育館に2コート、第2体育館に1コートと、隣接するE中学校の第2体育館を借りて1コート確保。これで初日は32試合を一気に行った。
 
地区大会ではN高校ベンチに入っていない子たちがスタッフで活躍したのと同様、今回はL女子高などでも、ベンチ枠外の選手が案内係や連絡係・記録係・掃除係などで活躍していた。彼女たちもそういう作業をすることで、大会に参加している気持ちになれる。
 
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女子では、旭川地区からは1位の旭川N高校と2位の旭川L女子高が出場したが、1回戦は順当に勝ち上がった。いづれも1.5軍の子中心に運用した。留萌地区からは留萌S高校が出ていたが、久子さんや豊香さんなど3年生が抜けて人数も 減っている上に1回戦で当たった所が割と強い所であったため、1回戦で敗退となった。
 
「新1年生で強い子が入ってくることを期待しよう」
などと言って数子たちは引き上げて行った。
 
男子では旭川地区から出場したのは旭川N高校と旭川W工業であるが、いづれも1回戦を勝ち上がった。また留萌地区代表の留萌S高校も勝ち上がった。S高校は貴司や佐々木君たちが抜けて、大林・小林の《大小コンビ》がチームの中心になっている。
 
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2日目は午前中9:00と10:30の時間帯から2回戦、時間をおいて15:00から準々決勝となる。
 
休憩時間が3時間取られているとはいえ連戦になるので、N高校では2回戦は1.5軍中心に運用し、準々決勝で主力が出ることにした。準々決勝の相手は強豪の札幌D学園である。ウィンターカップ予選までの中心選手であった181cmの銀山さんは3年生なので出ないものの、スモールフォワードの早生さんが器用かつ突破力があり、なかなかあなどれないチームである。またこの大会からスターターになった1年生の遠川さんが結構な得点能力を持っていて、この人がちょっと計算外だった。
 
実際第1ピリオドではマークに付いた寿絵がうまくやられてしまってどんどん得点され、20対16とリードを許してしまう。
 
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第2ピリオドでは夏恋を早生さんのマーカーに入れる。夏恋は瞬発力があるのでフェイントに騙され掛けてもその後の反射神経で結構相手を停める。またこのピリオドでは「第2ピリオドだけに全力投球」を言われたリリカが物凄く頑張ってリバウンドを取ったおかげで、何とか14対18と挽回。前半を終えて34対34の同点である。
 
第3ピリオドでは消耗を避けるために暢子を休ませPFのポジションには前半は睦子、後半は葉月を入れる。またセンターは揚羽に「このピリオド全力投球」を言い渡して入れる。すると暢子がいないため相手のマークが千里に集中するものの、何とか12対16とこちらがリードを奪うことができた。揚羽が特にディフェンス・リバウンドで物凄く頑張ったのがロースコアにつながった。
 
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第4ピリオドで暢子を戻し、センターも留実子にする。またポイントガードも消耗が激しかった雪子を下げてメグミを使う。メグミも最近はかなりイメージトレーニングを頑張っているので、結構相手を翻弄する攻めを見せる。千里と暢子のどちらを使った攻撃かを相手が読み切れないので守備が中途半端になってしまうところをどんどん攻める。加えてさすがに早生さんが疲れてきて動きがにぶくなってきたこともあり、このピリオドは10対28とワンサイドゲームの様相となった。
 
終わってみると、56対78の大差でN高校が勝利して準決勝に駒を進めた。
 
準決勝に顔を揃えたのは、旭川N高校、旭川L女子高、札幌P高校、釧路Z高校の4校である。
 
男子では、旭川N高校、留萌S高校、札幌B高校、札幌Y高校が残っている。札幌B高校は田代君が居るチームである。彼は2年生の新人戦になって、やっとスターティング5に収まることができた。田代君のように強い人でも強豪の中での競争は厳しい。札幌Y高校は昨年のインターハイ代表であり、ウィンターカップ道予選決勝でも留萌S高校と戦ったチームである。
 
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大会は3日目になる。この日、葉月が風邪を引いたというので南野コーチから体調管理がなってないと叱られていた。他の地区に遠征してみんなで泊まっている時は、食事にしても就寝時間にしても、きちんと管理するのだが、地元での開催の場合、各自自宅に戻るので、自宅で夜更かししたり、あるいは家族に風邪を引いている人がいたりする場合、気をつけてないと体調を崩す場合もある。更に葉月はまずいことをしていた。
 
「葛根湯を飲んだ〜?」
と南野コーチは半分困ったように声を挙げた。
 
「えっと、ダメでしたっけ?」
「葛根湯はドーピング検査に引っかかるんだよ」
「え〜!?」
「葉月ちゃん、あんた今日はベンチ外」
「済みません」
 
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新人戦道大会では特にドーピング検査は行われていないものの、アンチ・ドーピングの精神は守ることが望ましい。
 
「ふだんならいいけど、大会の直前や最中は飲める薬が限られているから、夜中でもいいから、私か山本先生に連絡して。生理痛とかの薬もほとんどがやばいから」
と南野コーチはみんなに改めて言う。
 
「ごめんなさい」
とマスクをしている葉月はほんとうに申し訳ないと頭を下げていた。
 
そういうわけで今日の試合は葉月を外した14人で臨むことになった。
 

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