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■女の子たちのラストゲーム(7)

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第2ピリオドではどちらも交代要員を使って、疲労の蓄積を防ぐとともに作戦に変化を付けてくる。向こうは2年生の道下・篠原のペアが立て続けにスクリーン・プレイを成功させて点を奪う。しかしこちらも夏恋とリリカが同様のプレイをして応酬する。
 
このピリオド、とうとう千里は花園さんの「新しいロジック」を読めるようになり、第1ピリオドほどはやられなくなる。こちらが攻撃の時も第1ピリオドはかなり停められていたのが3−4割抜くことができるようになる。それで、このピリオドではスリーは千里が7本・花園さん5本と逆転する。しかしそれ以外の対決ではどうしても地力に勝るJ学園が強い。第2ピリオドは36対28と第1ピリオド以上の点差が開く。前半を終えて68対58である。
 
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第3ピリオドでは、どちらも主力をかなり休ませる。向こうは白子/花園/佐古/篠原/米野、こちらも夏恋/千里/寿絵/リリカ/揚羽という布陣。しかしこのメンツでも、どちらもかなりのハイレベルなので、勝負の激しさはほとんど落ちなかった。このピリオドでN高校は意外に善戦して34対32と2点差で持ちこたえる。ここまでの合計は102対90である。
 
第4ピリオド、どちらも主力が戻る。しかしこのピリオドでは千里は花園さんを完全に封印した。早い時期からマークに入るので第1ピリオドでやられたように「マークされる前に撃つ」ということをさせない。しかもマッチアップでは動きを完全に千里が読むのでうまく抜くことが出来ない。そしてシュートを試みても、完全にタイミングを合わせて飛んでブロックする。
 
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それでこのピリオド前半では花園さんはスリーを1本も放り込むことができなかった。一方の千里は花園さんをうまく抜いてスリー2本、ツーポイント2本のシュートを放り込む。また千里の活躍を見た暢子と薫が気合いを入れ直して頑張ったため、ピリオド前半はN高校が猛攻した感じになり、あっという間に112対110と2点差に詰め寄る。
 
ここでJ学園はタイムを取った。
 

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「何話してるんだろうね?」
と寿絵が言う。
 
寿絵も千里もスポーツドリンクを飲みながら束の間の休憩をむさぼる。
 
暢子はひとこと
「たぶん本気で行くか、適当に流してお茶を濁すか議論してんだよ」
と言った。
 
「本気のJ学園を見たいね」
と薫は言った。
 

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暢子の言った言葉が当たったようであった。
 
そこからの約4分間は、千里の頭が空白になるような時間だった。
 
J学園の凄まじい猛攻である。
 
こちらのディフェンスはほとんど効かない。簡単に抜かれて得点を許してしまう。ただリバウンドは留実子がかなり頑張って中丸さんとの勝負でも4割くらいは確保した。しかし薫がドリブル中にスティールされたり、雪子から暢子へのパスをカットされたりして、こちらの攻撃機会を潰される。
 
残り1分の所で128対113と大量リードを奪われてしまった。この間のこちらの得点は千里のスリー1本のみである。
 
千里は対戦していて、先日のオールジャパンで対戦したプロチームより強いという気がした。
 
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雪子がドリブルで攻め上がるが、大秋さんが死角から忍び寄る。千里は
「右後ろ!」
と叫んだ。
 
大秋さんがスティールしようとする直前雪子はドリブルを左手に移す。そして雪子は今千里から声を掛けられた瞬間、しばしば南野コーチから言われていることを思い出した。
 
「薫さん取って!」
と言ってそのまま左手を振りかぶって薫の方に身体を向け、離したボールは暢子の所に飛んでくる。
 
そのまま撃とうとするものの日吉さんのガードが凄い。1回投げるフェイントを入れてから千里に高い軌道のパス。千里は後ろに下がりながら飛びつくようにして取る。が花園さんが素早く千里の前に来ている。
 
一瞬のフェイントで花園さんを左から抜く。そのままそこからシュートして3点。128対116。残りは40秒。
 
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急いで守備に戻る。花園さんをマークする千里以外はゾーンを組む。
 
「声出して声出して!」
と言い合う。
 
実はJ学園のあまりの猛攻にみんな、いつも言われている「声を掛け合う」ということを忘れてしまっていたのである。
 
相手が飛び込んで来てゾーンを解除しマンツーマンになった次の瞬間巧みなスクリーンプレイを仕掛けるも、こちらはスイッチしてポジションを変えるだけでマークにほころびはできない。それで向こうも攻めあぐねる。花園さんにボールが来る。千里とのマッチアップ。
 
花園さんはフェイントを入れずにいきなり千里の右を抜こうとした。が巧みに千里はそのボールを奪う。走り出している薫にパス。薫はそのまま速攻でボールを運んでいき、入野さんを一瞬のマッチアップで抜き去りシュート。
 
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128対118。残り20秒。
 

ショットクロックが停まった。この点差で残り20秒だからJ学園は時間稼ぎしてもよい。しか入野さんは大秋さん、日吉さんとつないだ速攻。そのまま日吉さんがシュートするが、暢子のブロックが決まる。
 
そのリバウンドを留実子が獲得する。
 
そのまま速攻を試みたが、雪子の行く手を入野さんが阻み、その間に他のメンバーも急いで戻る。残り時間は刻一刻と無くなっていく。
 
雪子から暢子へのパスがつながるが、暢子は受け取るとすぐに千里にバウンドパス。それをつかんだ千里と花園さんのマッチアップ。
 
これは恐らくふたりの高校時代のラストマッチだ。
 
千里はドリブルしながら花園さんと対峙する。千里が右に動きかけるが花園さんは(フェイントと見て)左に動く。しかし千里が更に右に身体を動かした時、花園さんも右に身体を動かす。しかし花園さんの身体が逆向きに動き始めようとした瞬間、千里は左から花園さんを抜いた。
 
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花園さんが振り返る間もなくシュート。
 
ボールはバックボードにも当たらずダイレクトにネットに飛び込む。
 
128対121。
 
しかし残りはわずか2秒。
 

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普通ならここで攻めていく最中にブザーなのだが、J学園は入野さんが超ロングスローインをした。
 
ボールは正確に反対側のゴールに飛んでいく。そこにはいつの間にか中丸さんがいる。中丸さんと留実子の激しいキャッチ争い。
 
これをいったん中丸さんが確保し、そのままシュートしようとしたのだが、留実子がうまくボールを叩いて中丸さんの腕の中からボールを奪う。そして留実子が反対側のコートに居る千里めがけてボールを投げた所でブザー。
 

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試合終了であった。
 
整列する。
「128対121で愛知J学園の勝ち」
「ありがとうございました」
 
あちこちで握手したりハグしたりする。
 
「ちょっとだけ本気になった?」
と暢子が日吉さんに訊く。
「私はいつでも本気だよ」
と日吉さんらしい弁。
 
「村山さ〜ん。また勝負しようよ。村山さんも来年Wリーグおいでよ」
と花園さん。
「私のレベルではまだプロは無理ですよ〜」
と千里は答えた。
 

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J学園のBチームが連戦になるので1時間の休憩を置いて15:00から第3試合、J学園B−P高校Bの試合を始めた。
 
どちらも1−2年生主体のチームである。インターハイの本戦を意識した試合という雰囲気になった。ただし2年生でもP高校の佐藤さんや尾山さん、J学園の中丸さんや大秋さんなど中核選手は出ていない。それでもかなり闘志あふれる試合になった。J学園にとってもP高校にとっても、ある意味この試合が今回の中でいちばん大事な試合なのではと千里は思いながら見ていた。
 
J学園の道下さんは先の試合にあまり出られなかった鬱憤を晴らすかのように活躍してひとりで26点も取っていた。千里はインターハイでは怖い相手だと思って彼女を見ていた。
 
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続けて16:30からL女子A−N高校Aの試合を行う。
 
この試合はお互いすぐ近くの高校という気安さから日常的に対戦していることもあり、普段の練習試合の雰囲気になった。N高校は千里・暢子の2人は敢えて出ず、L女子高も溝口さん・藤崎さんは出ずにその代わり3年生のメンバーを出して想い出作りという感じで試合をした。この試合では夏恋がメインのシューティングガードとして活躍しスリーを8本も入れて本人も快調快調と言っていた。試合は競ったが91対88でN高校が勝った。
 
この後予定では1時間の休憩を取って19:00からBチームの試合を2つやることになっていたのだが、さっさと終わらせて休みたいという声が出るので30分だけ休んで18:30からJ学園B−L女子B、N高校B−P高校Bを2コートで同時進行で行った。
 
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AB両チームに出ている子たちは今日3試合目である。それでもみんな楽しそうにプレイしていた。J−Lの試合はワンサイドゲームになってしまったがN−Pの試合はかなり競っていた。なにせ夏恋・結里・昭子と得点力のあるシューターが3人もいるので、さすがのP高校も3人のシューターに同時には警戒できない。Aチーム戦ではあまり出番の無かったメグミがこの3人を巧みに使い分けて得点を奪うので、千里と隣り合う席で観戦していた花園さんが
 
「このチーム、Aチームより破壊力無い?」
などと言っていた。実際試合もかなりの大差を付けてN高校Bが勝ってしまった。
 
「なんかP高校のメンバーで泣いてる子がいるけど」
と入野さん。
 
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「Bチーム戦はボーダー組にとってアピールの絶好のチャンスだからね。負けるとインターハイのベンチが遠くなっちゃうもん」
と千里。
 
「ああ、それはうちのBチームもやばいな」
と花園さん。
 

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試合は20時前には終わったので、全員で御飯を食べに行くことになった。
 
「札幌ラーメンが食べたい」
「ジンギスカンでお肉をたくさん食べたい」
「蟹〜。北海道に来たら蟹食べなきゃ」
 
という声が出たのでシュート対決で決めることにした。
 
ラーメンを主張したN高校の寿絵は安奈を氏名、ジンギスカンを主張したL女子の登山さんは竹浦さんを氏名、蟹を主張したJ学園の米野さんは須山さんを氏名。各々指名された3人でフリースローを5本ずつ撃って決めることにする。
 
安奈は2本入れたが竹浦さんは3本入れて、まずラーメンが消える。須山さんは「個人的にはお肉食べたい」などと言いながらも4本決めて、今日の晩御飯は蟹と決まった。
 
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100人を超す大人数なので、そんな人数が入れる所があるだろうかと思ったものの、時間帯がふつうの晩御飯の時刻より少し遅かったのが幸いしたようで、市内のホテルが結婚式などに使う広間を21時からならOKという返事だったので、そこに食べに行くことにした。
 

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「そこまで何分くらいで移動できますか?」
「10分もあればいいですね」
「移動はP高校とL女子高のバスで、無理矢理詰め込めば何とか入るかな」
「あ、うちもう1台動かしていいですよ。私が運転しますから」
 
などと言っていた時、
「まだ少し時間があるからスリーポイント大会やろう」
と花園さんが提案した。
 
J学園から花園さん、作倉さん、桑名さん、道下さん。
P高校から尾山さん、横川さん、佐藤さん、大滝さん。
N高校から千里、夏恋、昭子、結里。
L女子高から登山さん、空川さん、浜川さん、溝口さん、。
 
と各高校から4人ずつ出て各々10本撃つことにした。但し各高校のトップシューターは20本撃って成績としては2分の1することにした。
 
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各高校の4番手が入った4番ゴールでは結里が5本入れて勝利した。3番ゴールでは昭子が7本入れて4本入れた佐藤さんも3本入れた浜川さんも脱帽していた。2番ゴールでは夏恋が7本、作倉さんが6本、横川さんが5本入れるというハイレベルな戦いになった。
 
しかし1番ゴールはやはり別世界であった。尾山さんは20本中12本入れた。これは充分優秀な成績である。登山さんも11本入れた。しかし千里も花園さんも1本も外さず20本全部入れた。
 
「あんたら凄すぎる。人間じゃない」
とP高校の竹内さんが言ったが、見ていた人の感覚を表していた。
 
「だってフリーなら入るよね?」
「うん。試合中に外れるのは不完全な体勢から撃たざるを得なかったりするから」
 
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と千里と花園さんは言うが、みんな半ば呆れていた。
 

「取り敢えず順位。1位10本。N高校村山・J学園花園。3位7本。N高校湧見・N高校白浜、5位6本 J学園作倉・P高校尾山」
 
「N高校凄すぎる」
「湧見さんって半陰陽だったのを男の子になることにして、おちんちん付けちゃったと聞いたけど、せっかく付けたのにもったいないけど、それまた取っちゃって女の子に戻りなよ。対決したい」
などとP高校の大滝さんが言うが
 
「なんかそれ話が違うみたいな」
と寿絵。
 
「私、普通の男子ですー」
と昭子は言うが。
 
「いや、少なくとも普通の男子ではない」
との声。
 
「だって普通に女の子に見えるよね」
 

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女の子たちのラストゲーム(7)

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