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■女の子たちの事故注意(3)

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各自いちばん書きやすい環境で書いてと言われたので、北原さんはレストランのオープンスペースで待機していた恋人らしき人に付き添われて近くの★★レコードの専用スタジオに移動し、新島さんはホテルがいいと言って手配してもらってそちらに向かった。毛利さんは車の中が書きやすいと言って近くに駐めていた車に向かった。中央高速を走ってどこかのSAで仕上げるなどと言っていた。
 
「あんたはどうする? 車を運転しながらがいいなら適当な車を調達するけど」
「私、免許持ってません!」
 
全くこの先生はこういう場で何を言い出すんだ? 私制服でここに来てるのに。
 
「どこかファミレスのような所があったら。そこでドリンクバーでも飲みながら書きます」
 
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「じゃ僕が連れて行くよ」
と加藤課長が言うので、お願いすることにした。
 

本当は深夜に高校生が出歩いていてはいけないので、私服に着替えた上で近くの駐車場に行き、加藤さんのブルーバード・シルフィに乗せてもらった。
 
「これ買ってからまだ新しいですね」
と千里は助手席に乗って尋ねる。
 
「ええ。先月買ったばかりなんですよ。中古ですけどね」
「前のオーナー、そんなに走らせてなかったみたい」
「1年ほどで手放したみたいですね。メーターが6000kmしかなかった」
「この車種は奥さんがお選びになったんですか?」
「よく分かりますね〜。私はもっと小さいのでもいいと言ったんですけど、こちらの方が乗り心地がいいと言って」
 
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「確かにゆったりしてますもんね。だけど奥さんもおられるし、お子さんが・・・娘さんふたりかな?」
「いえ、娘1人ですが」
「あ、そうか。今もう1人妊娠中ですよね?」
「よく分かりますね!」
「その子も女の子ですよ」
「へー!」
「年が開いてるみたい」
 
「そうなんです。今娘は幼稚園に行っているんですよ。そのあとずっと出来なかったのが急に妊娠して。私も女房もびっくりしたんですが」
 
「でもお子さんもおられるから、加藤さんは間違いなく男性みたい」
「あはは。さっきの話ですね。雨宮先生があれだから、あの人の周囲にもどうも性別の曖昧な人が集まりやすいみたいですけどね」
 
「なるほどー」
「醍醐さんもどうみても女子高生のようだし」
「ああ。私男ですよ」
「えーーー!?」
 
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「男だと主張して男子バスケ部に入ったら、性別に疑いをもたれて精密検査受けさせられて、君は女じゃん!と言われて、女子バスケ部に移動になったんですけどね」
 
「いや、醍醐さんみたいな可愛い女子高生が男を主張しても誰も信用しません」
と言って、加藤さんは冗談と思ったようで笑っていた。
 

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24時間営業のロイヤルホストに連れて行ってもらった。隣にコンビニがあるのでそこからFAXは送れる。ドリンクバーとシーザースサラダを頼んで、渡された歌詞をあらためて眺めた。
 
『恋する想い』か。
 
しかし・・・・
 
さすがロイヤル高島さん。これって演歌の世界観だよ!?
 
歌詞は自由に直してもらっていいと言われているので、少し修正させてもらう。取り敢えずアイドル歌謡の世界観に変更する。40代のおじさんの価値観を10代の「男の子」の価値観に変えてしまう。アイドル歌謡は歌うのは女の子だけど聞くのは男の子たちだから、男の子好みにする必要がある。
 
その上で千里は言葉のリズムから自然に出てくるメロディーを五線譜に綴って行った。
 
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一通りのメロディーを付け終わるまでに30分近く消費している。現在時刻は2時15分。3時までにピアノ譜レベルで送らなければならないのであれば2時半にはそのピアノ譜作成作業に入らないと間に合わない。
 
しかし千里はオージービーフのステーキを注文した。
 
料理が来るまで10分ほど神経を眠らせる。そして女子大生っぽいウェイトレスさんが料理を運んで来たのを笑顔で受け取り、食べる。食べ終わったのが2:40である。
 
千里は猛然と五線譜にメロディーを書き始める。
 
「よし」
と声をあげ、それをAメロにして、急いでピアノ譜を書いていく。
 
アレンジャーさんであれば分かるはずの省略した書き方をかなり多用する。千里のボールペンは凄い速度で紙の上を走る。
 
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そうして楽曲を仕上げて時計を見たら2:57であった。ウェイトレスさんに断って隣のコンビニに行き、雨宮先生が入っているスタジオ宛てFAX送信する。
 
それでファミレスに戻ったが・・・・
 
私この後、朝までどうしたらいいんだっけ? と千里は悩んだ。
 

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千里はドリンクバーのホットコーヒーをゆっくりと飲んだ後で精算してファミレスを出た。雨宮先生の詰めているスタジオへタクシーで移動する。コンビニで少し食料を買ってから中に入った。
 
「お疲れ様です」
「お疲れ〜。1時間半で書いたとは思えない良い出来だった」
「ありがとうございます。サビの部分も少しひねりたかったんですけどね」
 
「まあこの時間では仕方無い。でもまだ更にいじるなら、いじってもいいよ」
「そうですか?」
「追加修正させるから」
 
「じゃここで考えます。あ、おやつどうぞ」
「うん。食べる食べる」
 
千里はスタジオの廊下に出て、たらこおにぎりを食べながらサビの部分を考えていた。
 
「ああ、そうか」
 
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ちょっと思いついたモチーフがあったので軽く書き留めてから、スタジオの中に入り、ギターを貸してもらって持って出る。廊下の椅子に座ってギターをつま弾きながらサビのメロディーを作り上げた。
 
雨宮先生に見てもらったら「うん。こちらの方がいい。多分彼女もまだここまでは入力していないよ」と言って、FAXしてくれた。実際問題としてそのまま伴奏として使えるMIDIデータを確定させる作業では曲想のイメージを膨らませて全体の雰囲気を考えたりするのに最初の2時間くらいを消費しているはずだ。もっともだいたいイメージが固まったところでサビを差し替えてと言われたら、向こうも焦っているかも知れない。
 

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その後は雨宮先生が書いた曲を試唱したり、あるいはピアノやギターで弾いてみたりする作業を手伝って朝6時になったところで先生の楽曲もだいたい完成する。「お疲れ様。帰ってもいいよ」と言われたので、千里はそのまま羽田に行き、7:45の旭川行きの搭乗券を買う。
 
通学鞄にパソコンを入れ、着替えの入ったスポーツバッグは手荷物で預け、通学鞄は機内持ち込みすることにして手荷物検査場を通った。それで搭乗案内を待っていた時、雨宮先生から電話が掛かってくる。
 
「お疲れ様です」
「千里、申し訳ないけど、戻って来て」
「は?」
「毛利の馬鹿が飲酒運転で捕まった」
「えーーー!?」
 
「なんか甲府市内で事件があったらしくて、高速でも検問やってたらしいんだよ。あいつSAでビール飲んでて、そのあと思いついた曲を運転しながらまとめようとしてて、その検問に引っかかってしまったらしくて」
 
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「じゃ毛利さんは今・・・」
「留置場の中」
「どうするんです?」
「だから千里、あんたが戻って来てもう1曲書いて」
 
「私、もうチェックインして手荷物検査も通って搭乗待ちなんですけど」
「まだ飛行機に乗ってないなら、そのまま戻って来れるはず。私も飛行機からパラシュートで飛び降りて来いとまでは言わないからさ」
 
いや、この先生なら言いかねん。
 

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それで千里は空港の職員をつかまえて、急用ができて旅行を中止したいという旨を話した。
 
「手荷物は預けられておられますか?」
「はい」
 
するとたちまち職員が難しい顔になる。
 
「こちらへお越し下さい」
と言われて、何か小さな部屋に通されるが、何だか屈強な男性職員が2人もついて監視されてるみたい!?
 
手荷物のタグを渡したのだが、15分ほど待たされた上で、その荷物を持って何だか怖そうな感じの女性職員さんがやってきた。
 
旅行中止って、そんなにいけないことなの〜〜〜?
 
「これがあなたの荷物ですか?」
「はい、そうです」
「中身を開けてもいいですか?」
「どうぞ」
 
職員がスポーツバッグを開ける。
 
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中に入っているのは体操服、下着、タオル、生理用品、ティッシュ、絆創膏、サロンパス、裁縫セット、それにタロットに筮竹などである。
 
「占いをなさるんですか?」
「はい。神社の巫女をしているので」
 
職員さんが頷く。神社と言ったので少しこちらを信用してくれた感もあった。でもここで「占い師です」と名乗ったら、逆に疑いを深められたかもという気もした。
 
「この生理用品、開封してもいいですか?」
「構いません」
 
それで職員さんはテープを外して開き、中を触っていた。
 
「問題ありませんね。そちらのお持ちの鞄も念のため確認させて頂いてもいいですか?」
「はい」
 
そちらは学校の教科書とノート、筆記具、五線紙、カード型のキーボード、パソコン、機内で食べようと思っていたおやつのチロルチョコなどである。パソコンは起動できるかと言われたので起動した。キーボードも演奏できるかと聞かれて演奏してみせた。更にチョコは開封していいかと言われ、開けると、食べてみてくださいと言われたので面倒くさいので全部食べちゃった。
 
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「念のため身体検査させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「はあ?」
 
「いえ、実は手荷物に爆弾を入れて預けて自分は旅行中止して上空で飛行機を爆破するというテロが過去にあったので」
 
それでこんな大事になっているのか!? 生理用品もそれで中まで確認したのだろうし、チョコレートなどもプラスチック爆弾をお菓子に偽装できるから検査する側も確かに怖いよな。
 
「構いませんよ。何なら裸になった方がいいですか?」
「はい、そうさせて頂きたいと思っていました」
 
それでその女性職員とふたりだけで別室に入り、千里は服を全部脱いで裸になった。職員は千里が脱いだ服も全部金属探知機のようなものでチェックしている。
 
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「たいへん失礼ですが、足を広げていただけませんでしょうか?」
 
そこまでチェックされるのか!
 
「いいですよ。何なら中を覗きます?」
「そこまでやると苦情がくるので、よほど怪しい人以外はしません」
 
怪しいとあそこの中までチェックされるのか!
 
しかし女の身体で良かった、と千里は思った。これでおちんちんが付いていてタックしていたら、また話がややこしくなっている所だった。
 

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女の子たちの事故注意(3)

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