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■女の子たちの男性時代(7)

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翌朝(8月10日)、貴司はいつものように合宿所のベッドの中で目を覚ました。ふと心配になって自分の股間に触ってみる。
 
付いてる! 良かったぁ。
 
それで安心したら、したくなってしまったので、枕元からティッシュを取り、布団を汚さないように気をつけて一発する。すると2日くらいしていなかったはずなのに、出た液は少量だった。
 
貴司は少し考えてから千里に電話した。
 
「お早う」
「お早う」
「昨夜はごめんね」
「ううん。ハンバーグランチおごってもらったし、ノープロブレム」
 
「千里、あの後、僕の合宿所に来たっけ?」
「は?」
「昨日、千里ホワイトアローで帰ったんだっけ?」
「貴司見送ってくれたじゃん。旭川駅に0:23に着いたから、その後タクシーで家に帰ったよ」
「その後、こちらに来てないよね」
「どうやって行くのよ? 私空とか飛べないし」
 
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と千里が言うと、《りくちゃん》がとんとんと千里の肩を叩く。まあ《りくちゃん》に乗って空を飛ぶのは気持ちいいけどね。あまりしょっちゅうはやりたくないけど。
 
「じゃやはりあれ夢だったのかなあ」
「何の夢?」
 
それで貴司が昨日千里と別れて合宿所に帰ってから「起きたできごと」を語ると千里は大笑いしていた。
 
「それってやはり貴司、女の子になりたいという願望があるんだよ」
「そうだろうか?」
「女装してみる? いろいろ教えてあげるよ」
「やめとく。自分が怖い」
「でも私が見てないと、女の子を自分の部屋にあげちゃうんだ?」
「いや、向こうが強引だったから」
「まあいいよ。今回は未遂と空想だけだから」
「ごめーん」
 
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それで電話を切って貴司は朝食に行く準備をした。
 

朝食を取る場所でSと遭遇したので貴司は声を掛けた。
 
「昨日はごめんね」
「うん。いいよ。でも結婚してるならそうと最初から言ってよね」
「ごめーん」
「大丈夫。気にしないから」
と彼女は笑顔である。
 
「Sちゃん、あのあとで合宿所の僕の部屋に来たりしてないよね?」
「え?何それ?」
「ごめん。別の人かも。ドアにノックがあったもんだから」
 
「さすがに私も夜ばいまでは掛けないよ」
と言って彼女は笑っていた。
 

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その日の昼、千里は暢子と一緒に深川の体育館近くの安食堂でお昼を食べていたが、トイレに立つ。それでいつものように洋式の便器に座り、おしっこをしてからペーパーでタックした股間の濡れた部分を丁寧に拭いた。その時、微妙な違和感があった。
 
『今日はこれ立たないんだな』
とほとんど独り言のように思ったのだが、《いんちゃん》が言った。
 
『千里、男の子の力が消えたからだよ』
『へー。なんで?』
『それを他人に譲ったから』
『そうなんだ?』
『必要だった?』
『要らなーい。ここのところ、これ勝手に大きくなって凄く困ってた。なんかひとりHしたい気分になっちゃうし』
『ひとりHしてみれば良かったのに』
『嫌だよ、そんな男の子みたいなこと』
 
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『でも千里、昨夜最後の射精をしたんだよ』
『え?夢精してた?気付かなかったけど』
 
『貴司君の中に射精しちゃったのさ。そして千里の身体はあと1ヶ月ちょっとしたところで性転換手術受けちゃうから、もうこのあと射精することはないよ』
 
千里は少し考えた。
『ね。まさか今朝貴司が言ってた夢って現実?』
『少なくとも現実ではないね。千里、そんな霊能者か超能力者みたいなこと、できないでしょ?』
『私、霊感なんて無いもん』
『やっぱり千里って嘘つきだ』
 

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その日の夕方、神社に奉仕して軽作業をしていた時、宇田先生から千里の携帯に電話があった。
 
「ああ、村山君。ご苦労様だけど、明日・明後日、ちょっと国体の予選に顔出してきてくれない?」
「は?」
 
「あまり深く考えなくていいけど、無理せず怪我はしないようにね」
「はい?」
 
それで翌日、千里は朝からJRの特急に乗って札幌まで出かけて行った。交通費は後で渡すと言われた。会場に行くと暢子と久井奈さんも来ている。
 
旭川チームの監督になっている旭川L女子高の瑞穂監督が「お疲れ様」と声を掛けてくれた。他には、M高校の橘花と友子・葛美も来ている。
 
「いや、インハイで私の高校バスケ歴も終わりかと思ってたから、国体予選に出てと言われてびっくりした」
などと友子は言っている。
 
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「私も同じく」
と久井奈さんが言っている。
 
集まっているのは、N高校が千里・暢子・久井奈さんの3人、M高校が橘花と友子・葛美、他にR高校が2人、A商業が1人、そして旭川L女子高が3人である。「旭川」と染め抜かれたユニフォームを渡されるので、控室でそれを身につけた。千里はメンツを眺めてポジションを確認する。
 
PG.岬(N) 近江(R) SG.村山(N) 松村(M) SF.本間(L) 愛沢(A) 大津(R) PF.溝口(L) 中嶋(M) 若生(N) C.池谷(L) 野田(M)
 
瑞穂監督がこの国体予選のシステムを説明する。
 
「北海道内を14のブロックに分けて、それぞれの地区で中高生を12人集めてチームを編成する。実際にはほとんど高校生になる。中学生で選抜されるのは極めて優秀な子」
 
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「それで今日は1回戦・2回戦をやって、明日は準決勝と決勝。旭川選抜と札幌選抜はシードされてるから2回戦からね。それで優勝したチームが、秋田県三種町で9月30日から10月3日まで行われる国体本大会に出場する」
 
「質問です」
とR高校の近江さんが手を挙げる。
「札幌選抜のメンバーは?」
「ほぼ札幌P高校だね」
 
うーんと悩んでいる。
 
「9月30日から10月3日って選抜地区予選の後で、秋季大会の前ですよね?」
「日程的にはちょっと慌ただしいね」
「その時期に臨時チームに入って道外遠征とかあまりしたくないなあ」
「万一それで主力が怪我するとやばいよね」
などといった声があちこちから出ている。
 
「ところでこの予選をする意味は?」
とA商業の愛沢さんがダイレクトに訊く。
 
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「まあ北海道のトップ・バスケガールの親睦イベントと思ってもらえば」
「なるほどですねー」
「でももし札幌選抜に勝てたら、国体で愛知J学園や岐阜F女子高などと戦うことができるかも」
「それはちょっと魅力を感じるな」
「村山さんたち、J学園との対戦どうだった?」
「凄く気持ちよかったよー」
「いいなあ」
「そういう無茶苦茶強い所と、やってみたいね」
 

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留萌選抜は半分くらいがS高校のメンツだったので、数子や久子さんたちと「おお、そちらも来たか」「まあ頑張ろう」と言いあった。
 
その留萌選抜は1回戦であっけなく函館選抜に負けてしまった。千里たち旭川選抜は2回戦で帯広選抜と対戦する。何だか向こうのチームも見知った顔が多い。試合前の挨拶もお互いに
 
「怪我しないように楽しくやろう」
などと言い合って握手した。
 
試合はお互いあまり無理はしない感じでプレイ、70対50で旭川選抜が勝った。
 
その日はいったん特急で旭川に戻り、また翌日出てくる。
 

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準決勝の相手は1回戦で留萌選抜、2回戦で南空知選抜を破って勝ち上がってきた函館選抜である。函館F高校の正岡さんなどもいる。
 
「お手柔らかに〜」と言って試合を始める。
 
この試合はお互いあまり守備には力を使わず、交替で攻撃して得点を競うという雰囲気になった。それで点数が増えて結局109対92で旭川選抜が勝った。千里も友子もどんどんスリーを撃ってゴールに放り込んでいた。
 
友子は
「気持ちいい〜! やっぱバスケは楽しいよ」
などと笑顔で言っていた。
 
午後から決勝戦であるが、相手は予想通り、札幌選抜である。
 

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試合開始前にL女子高の溝口さんが、唐突にみんなに近くに寄るよう言った。
 
「ちょっと相談なんだけどさ」
「うん」
「この試合、勝っちゃおうよ」
 
「・・・・・・」
 
みんな左右を見たり、あるいは腕を組んだりしている。
 
「やるか」
と暢子が言う。
 
「よし。ちょっくら気合い入れるか」
と近江さん。
「秋田の名物って何だっけ?」
と愛沢さん。
「しょっつる鍋、きりたんぽ、ハタハタ、比内地鶏、稲庭うどん」
 
「稲庭うどんって食べたことないな」
「すっごく美味しいそうめんって感じ」
「そうめんなの?」
「作り方はそうめんと同じ。それの少し太いの」
「食べてみたいな」
 
「しょっつる鍋と北海道の石狩鍋と、どちらが美味しいか食べ比べるというのもいいよね」
「ああ、しょっつる鍋も食べてみたい」
 
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「ゾーンで守るぞ。佐藤さんは村山さんがマークして、残り4人でボックス4。前は左が近江さん、右が愛沢さん、後ろは左が私、右は中嶋(橘花)さん」
と溝口さんが配置を決める。
 
「OKOK」
「ボール運びは近江さんに任せた。私と中嶋さんが深く入って、愛沢さんと村山さんは遠くからチャンスを伺う。村山さんは撃てそうだったら、どんどん撃って」
「了解」
 

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それで全員にこやかな顔でコートに出て行く。旭川選抜のキャプテンはL女子高の池谷さんなのだが、この試合のスターティング5には入っていないので愛沢さんが最初はキャプテンマークを付けている。
 
全員整列して、両者笑顔で握手する。
 
「楽しくやりましょう」
「お手柔らかに」
「怪我しないようにしようね〜」
「北海道代表頑張ってね」
などと旭川組が言うので、札幌組も笑っている。
 
札幌の佐藤さんと旭川の橘花でティップオフ。
 
橘花が勝ってボールを溝口さんが確保。物凄い勢いで走って行っている暢子にロングパス。そしてそのままドライブインしていってダンクに近い強烈なシュート! 2点ゲット!
 
「えーー!?」
 
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という顔を札幌の尾山さんがしている。片山さんが苦笑いして溝口さんを見るが溝口さんはポーカーフェイスである。
 
竹内さんがドリブルして攻め上がってくる。旭川はゾーンを作っている。それを見て札幌のメンバーの顔が引き締まる。佐藤さんに千里が付く。
 
尾山さんにパスが来る。が、愛沢さんがその前に立ちふさがってパスカット。橘花にボールをトスして、そのまま速攻で攻め上がる。片山さんが必死に走ってその前に回り込む。すると橘花は片山さんが回り込んできたのと反対側の誰もいない所にボールを高く放り投げる。そこに千里が走り込んで来てボールをキャッチ。即撃って3点。0対5.
 
試合は旭川が先行する形で始まった。
 

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旭川がマジ全開なので、札幌もすぐに全開になる。千里は6月に対戦した時に比べ、P高校の個々の選手の動きが格段に進歩していることに気付いていた。
 
竹内さんのドリブルはスピードアップしているし、隙が少なくなっているのでなかなか簡単にはスティールできない。こっそり死角から忍び寄っても佐藤さんあたりが気付いて声を掛けるのですぐ反対側にドリブルを移してしまう。どうも千里の「忍者モード」での接近スティールに対抗するには全員で気をつけて声を掛け合うしかないという結論に到達したようである。
 
尾山さんは下半身をかなり鍛えた感じでシュートする時に足腰がぶれない。安定した発射台から発射することでスリーの入る確率が上がっている。
 
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宮野さんも片山さんも、かなり手強くなっている。
 
そして佐藤さんの進化は凄かった。やはりインターハイ出場を逃して、その悔しさで激しい練習を日々やっているのだろう。千里の方が実は道大会の時より身体が退化しているのもあったのだろうが、その日は千里が攻める場合8-9割停められていた。ただスリーに関してはインターハイを戦い抜いて得た経験が千里の感覚を大きく進化させていることもあり、半分はブロックされずに放り込むことができた。
 
千里の肉体はインハイの時の1年前に戻ってしまっているものの、千里の精神はインハイを準決勝まで戦い、特にJ学園との死闘を経験したことから物凄く進化しているのである。千里は身体が自分の思うようには動かないものの、心理戦では佐藤さん相手でも、決してひけをとらない気分であった。
 
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女の子たちの男性時代(7)

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