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■女の子たちの男性時代(4)

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8月4日の夕方旭川空港に戻ると、明日(日曜日)はゆっくり休むようにと言われ、6日月曜日が登校日なので、その日部会をするからと言われた。またバスケ部の練習はお盆まで休みにするので、その間に充分身体を休めて、体力を回復させ、お盆過ぎからまた頑張ろうということであった。
 
またM高校やL女子高とも連絡を取り、練習試合はお盆明けから再開することにした。実際にはM高校は休むようだが、L女子高は結構ハードな練習をしているような感じであった。
 
帰宅すると美輪子から
「お疲れ様」
と言われる。
 
ケーキを買ってくれていたので、紅茶を入れて一緒に頂く。
 
「美味しい美味しい」
「ここのケーキ美味しいよね」
「このケーキ屋さんは、こういうムース系が美味しいんだよね」
「そうそう。スポンジは微妙だよね」
 
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「でも日程の最後まで居たの?」
「うん。準決勝まで行ったから、表彰式にも出たよ。3位だし、個人賞ももらったし。これメダル」
 
と言って荷物の中からもらった銅メダルを見せる。
 
「すっごーい!!」
「金色のが欲しかったけどね」
「いや全国大会で銅メダルって凄いよ」
 
メダルの表側には2007という数字が入ったこの高校総体を表すデザインが浮き彫りにされ、裏側には競技名が入っている。このメダルの内側は有田焼になっているらしい。
 
「なんか格好いいね。鳥か何かをデザインしたのかな」
「佐賀県の形を図案化したのではとか言ってた人もいた」
「へー。でもセンスいいよね」
「公募して佐賀県の女子高生が作ったデザインを採用したらしいよ」
「なるほどー。やはりインターハイって高校生の手作りなんだね」
「うんうん。それがまたいいよね」
 
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それで美輪子は感心しながらメダルの裏側を見る。
 
「・・・・・」
「どうしたの?」
「バスケットボール女子って書いてあるけど」
「どうかした?」
「あんた女子の試合に出たの?」
「私、男に見える?」
「女に見える!」
 
「男子は今回道大会の決勝リーグに残れなかったんだよ」
「なんであんた女子で出られるの〜?」
 
「だって私女子選手だもん」
と言って千里はバスケット協会の登録証を見せる。
 
「女子って書いてある!いつの間にそういうことになったんだっけ?」
 
「言ってなかったっけ? 私、去年の11月に病院で検査されて、あんたは女って言われちゃって、それで女子バスケ部に移動されちゃったんだよね」
 
「あれ冗談じゃなかったの〜?」
「冗談でそんなこと言わないよ」
「だって、あんた冗談と本当の区別が付かない」
「そうだっけ?」
 
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美輪子叔母はしばらく考えている。
 
「だったら千里、もしやと思ってたけど、性転換手術しちゃったの?」
「まさか。私、男の子だよ」
「おちんちんあるの?」
「あるけど。触ってみる?」
「触らせて!」
 
というので千里はショーツを脱いで触らせる。
 
「おちんちん無いじゃん」
「隠してあるんだよ」
と言って千里は美輪子の指を誘導する。
 
「ほんとについてる!」
と言って美輪子は納得するように頷いた。
 
「じゃ、千里、男の子なのに女子選手として出たの?」
「まさか。女の子の身体でなきゃ女子選手としては出られないよ」
 
「でも今は男の子の身体だよね?」
「うん。でも試合に出た時は女の子の身体だったよ」
「じゃ今触ったおちんちんはフェイク?」
「まさか。本物だよ」
「じゃ、いったん切ったおちんちんをまたくっつけたの?」
 
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「なんかその辺が私もさっぱり分からないのよねぇ」
「千里も分からないなら私も分からないよ!」
 
「でも、性別を誤魔化したりする不正行為はしてないと天に誓って言えるよ。私昨日までは確かに女の子の身体だったのに、今朝起きたら男の子になっててびっくり」
 
「あんた、頭大丈夫?」
「言われると思った。どうも私、神様にもてあそばれてるみたいなのよね」
「うーん・・・・」
「たぶんまたしばらくしたら女の子の身体に戻ると思うから、その時はまた触らせてあげるよ」
「分かった」
 

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翌日の登校日。千里は普通に女子制服を着て学校に出て行った。
 
「千里、もうこのあとはずっと女子制服で学校に出ておいでよ」
と蓮菜から言われる。
「私もそうしようかなあという気になって来た」
と千里。
「うん、それがいい、それがいい」
と京子も言う。
 
全体集会の場で校長から、バスケット部のインターハイ3位と特別賞の受賞、それに千里のスリーポイント女王獲得が報告され、大きな拍手が送られる。バスケ部のベンチ入りメンバー(睦子を含む)がインターハイ3位のメダルを掛けたまま壇上に登る。
 
「旭川N高校殊勲賞」というメダルをもらったのだが、プレゼンターを務めてくれたのは、10年ほど前に女子バスケ部が全国BEST8まで行った時のキャプテン・富士さんである。富士さんはその後関女(関東大学女子バスケットボール連盟)の1部リーグに所属するK大学に進学してそこでも活躍した。現在は関東の実業団有力チームに入っているが、このイベントのためにわざわざ旭川に戻ってきてくれた。千里たちは大先輩から「頑張ったね」という声を掛けてもらいひとりずつ笑顔でメダルを首に掛けてもらい握手をした。千里は先輩と握手しながら、その手の力が凄く強いなあと思った。
 
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なお、留実子は女子制服を着てきていたが、その件で後から久井奈さんに突っ込まれていた。
 
「実弥、今日は女子制服で良かったの?」
「もう男子制服にしようかと思ったんですけどねー。昨日、彼氏と会って話してたら、少し気分が晴れて、もうしばらくは女でもいいかなと思いました」
 
「会ってというか、セックスしたんでしょ?」
と寿絵からツッコミが入る。
 
「もちろんしたよ」
と留実子は堂々と言う。
 
「なるほど」
 
「千里もしたの?」
「してないよ」
「会うのは会ったんでしょ?」
「ううん。10月の連休にデートするよ」
「ほほお」
「貴司は自動車学校の合宿に行った」
「へー!」
 

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貴司たちは昨日は日曜日ではあるが、校長が出て来てインターハイの報告会をした。全体集会での報告は、9月に2学期が始まってから、するらしい。
 
それで貴司や佐々木さんなど数名が、今日から札幌の自動車学校に入り、合宿方式の自動車免許取得コースを受けているのである。6日に入校して、順調にいけば8月21日火曜日に卒業し、翌22日には免許を取得できるらしい。
 

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千里たちは全体集会の後、各クラスで1時間のホームルームが行われ、先生のお話などもあり、夏休みで集中が途切れがちのところを引き締める。千里がインターハイに向けての合宿をしていた頃、他の進学組・特進組の生徒は補習を受けていた。千里には担任から「プレゼント」と言われて、その間のテキストが渡され「休み明けまでにレポートを提出するように」と言われた。これでしばらく暇無しになりそうだ。盆が過ぎるとすぐ夏休みが終わり20日から授業が再開される。むろんバスケ部の練習も再開される。
 
ホームルームの後は解散になるが、千里たちはバスケ部の練習場である南体育館朱雀に集まる。
 
男子部員・女子部員の全員が集まっている。理事長・校長先生・教頭先生に富士さんも来て、あらためて女子バスケ部の健闘が称えられた。この健闘は試合に出られなかった部員も含めて全員の力によるものと言われ、女子部員全員に理事長さんからポチ袋が渡された。中身は5000円の図書カードと5円玉であった。
 
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理事長さんたちが退席した後で、2学期以降の新しい部長・副部長を決める。実際の交替は2学期(10月上旬の連休明け)からであるが、3年生はもう実質引退なので、お盆過ぎからは2年生を中心にした体制で活動することになる。
 
男子の方は既に道大会の後、北岡君と氷山君を中心に活動をしてきていたので、そのまま北岡君が新部長、氷山君が新副部長と決まった。
 
「次、女子ですが、新部長はもう若生さんでいいよね?」
と久井奈さんの指名に拍手が起きる。暢子もそのつもりでいたようで、立ってみんなにお辞儀をした。
 
「副部長も村山さんで異論は無いと思うけど」
と久井奈さんが言うので、みんな拍手をする。
 
「えっと、私、性別問題があるんですけど、いいんでしょうか?」
「性別問題はとっくにクリアされていたはず」
「それで東京で精密検査されたんでしょ?」
「なんか精密検査で卵巣・子宮もあることが確認されたとか」
 
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どうも勝手に話が変形されて広まっているようだ。
 
「卵巣・子宮はMRIに写ったような気がしたけど、間違いだったんですけどね」
と本人。
「まあ一番の間違いは村山が最初に男子バスケ部に入ったことだよな」
と真駒さん。
 
「特に問題なければ、副部長は村山さんということで」
再度拍手があったので、千里もあらためてみんなにお辞儀をした。
 

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部会が終わった後で、暢子が昭ちゃんに声を掛ける。
 
「昭ちゃん、女子制服を着てない」
「勘弁してくださいよぉ」
 
「昭ちゃん、ほんとに女子制服着たいなら、先輩でまだ持ってる人いると思うから、聞いてみようか?」
とみどりさんが言う。
 
「うーん。どうしようかなあ・・・」
 
みどりさんは半分冗談で言っているのだが、どうも本人は真剣のようである。
 
「おちんちんは戻したんだっけ?」
「千里さんから4日以上やってはいけないと言われたので、4日の日に解除しました。でも、またやってみたくなって今日はテープでやってます」
「ほほぉ!!」
 
「うまくできた?」
「全然うまくできません。線がまっすぐにならないし、すぐ外れちゃうんですよ。今日も全体集会の後で1度トイレで修正しました」
「まあやっている内に、だんだんうまくなるよ」
 
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「でもおちんちん無くて困らなかった?」
「トイレで個室を使わないといけないから、空いてないと待つのが大変でした」
「君、男子トイレ使ってるの?」
「はい」
「女子トイレ使えばいいのに」
「使えませんよ!」
「でもこないだ女子トイレに入ってたよね?」
「えっと・・・人目が無かったら」
「人目があっても使えばいいんだよ」
 

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「まだちょっと勇気が。あと温泉でちょっと焦りました」
 
「昭ちゃん、温泉に行ったの?」
「3日の日、伊万里の祖父の家に行ったら武雄温泉に入りに行こうよと言われて」
 
「・・・・」
 
「で、女湯に入った?」
「入れません!」
「じゃ、まさか男湯に入ったの?」
「ずっとお股を隠してました」
 
「おちんちん付いてない子が男湯に入っちゃいけないよね」
「全く全く」
「バレなかった?」
 
「知らない男の人に見られちゃいました」
「何か言われた?」
「君、女?って訊かれた」
「何て答えたの?」
「男ですけど、病気で、おちんちん取っちゃったんですと」
「ほほぉ」
「そしたら、君可愛いからいっそおっぱい大きくして女の子になったら?って言われちゃった」
 
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「うんうん。それ推奨。ちょっと病院に行って、豊胸手術受けてこない?」
「・・・・」
 
「なんか悩んでる」
「やはり強制的に拉致していって豊胸させちゃおう」
 
「・・・・・・」
 
「どうも、ほんとにおっぱい作りたいようだ」
 
「どうせ強制拉致して手術しちゃうのなら性転換手術だよ」
「うん、それがいいね」
「昭ちゃんの女子選手としての登録証を申請しよう」
 
「・・・・・・」
 
「どうも、ほんとに強制手術されたいようだ」
 

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部会の後で、また理事長さんたちや富士さんたちも戻って来て(その間富士さんは校長室でいろいろお話していた模様)、男子部員も入れて全員で市内の海鮮料理店に行き、理事長さんのおごりで食事会もした。最初料亭という話もあったようだが、和食の苦手な子が結構いるという話から好き嫌いの少ない中華系ということになったようである。
 
「2年生・3年生の女子で関東方面の大学に来るつもりのある子いないの?」
と富士さんから訊かれる。
 
「今いる3年生は全員就職か専門学校志望だな」
「大学進学予定の子は2年生で引退しているから」
「じゃ2年生の子で大学進学希望は誰々?」
 
「特進・進学コースに入っているのが、千里、留実子、川南、葉月の4人だね」
「私は今の所千葉のC大学を志望校にしてます」
 
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「なんか不思議な所を。東京方面の国立に行くなら、どーんと東大を目指すとかは?」
「そんな頭無いです」
「だったら、いっそ私の出身校のK大学とかにはこない?」
「私立に行くお金が無いです」
「ああ、千里はお金が無いというのがいろんな問題で制約になってるよね」
 
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女の子たちの男性時代(4)

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