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■女の子たちの男性時代(2)

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「私、体力だけはあったから、中学の頃は『お前ほんとに女か?』とか言われてましたよ」
と花園さん。
 
「ああ、からかわれてたね」
とみどりさんが言う。
「でも、そういう馬鹿にしてた男がみんな亜津子ちゃんにかなわなかったから『参った。名誉男子の称号をやる』とか言われてたね」
 
「名誉男子なんて嬉しくないけどね」
と言って花園さんは笑っている。
 
「でもバスケガールって、背が高い子多いし、スタミナある子多いから、男子顔負けって言われてた人、多いんじゃない?」
と日吉さん。
 
「私はそのまま男って言われてた」
と麻樹さん。
 
「僕は小学校の時、ソフトの試合に出てて、男が混じってるって通報されて係の人と一緒にトイレに入って脱いでみせたよ」
と留実子が言う。
 
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「お、ボク少女だ」
 
「ああ、バスケガールにもボク少女は割といる」
「はーい!ボク少女です」
と中丸さんが手を挙げている。
 
「性別検査受けさせられた子も、結構いない?」
 
すると手を挙げる子が何人もいる。
 
「しかしそちら女子高でしょ?万一性別検査で男子と認定されちゃったらどうするの?」
「それは学校を転校するか、性別を転換するか二者択一かな」
「ふむふむ」
「性別を転換するって、男に転換するのかな?女に転換するのかな?」
「ああ、それは悩むところだね」
 
「でも村山さんも検査受けさせられたんだ?」
「私、去年の秋に旭川の病院で検査されて、このインハイの直前にも東京に呼び出されて再検査されましたよ」
「それはまた厳重に検査されているな」
 
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「この千里の身体を見たら、誰も女ではないとは思わないだろうけどね」
と暢子。
 
「僕はこの身体を見て病院の先生が『君、もしかして半陰陽じゃないよね?生理ある?』とか訊かれた」
と留実子。
 
「確かに花和さんは身体付きが男っぽいかも」
と中丸さん。
「ボクもかなり男っぽいと言われて、停留睾丸とかないかってんでMRI取られたし」
と彼女は付け加える。
 
「ああ、僕もMRI取られた。僕、男性ホルモンの濃度が高いらしいんだよね」
「ああ、ボクも高いと言われた」
と何だかそのふたりは意気投合している感じ。
 
「睾丸があるって言われたら、いっそ性転換手術受けて男として生きるのも悪くないかな、なんて少し思ったんだけどね」
「ああ、僕はむしろ男になりたい」
「へー! 花和さん男でもやっていけると思うよ」
「中丸さんもけっこう男で通るかも」
 
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とそのふたりは本当に意気投合した感じだ。
 

「でも中丸さん、胸大きい」
「花和さんも大きい」
「こんなに胸あると男装した時に邪魔だよねー」
「あ、男装する?」
「僕、男子制服も持ってるよ」
「あ、いいな。うちは女子高だから男子制服が無いや」
「学生服買っておけばいいんだよ」
「あ、そうか。買っちゃおうかな」
 
「あれ、そこにいる子は胸ちっちゃいね」
「すみませーん」
「おっ低音ボイス」
 
「そのくらい胸が小さくて、低音ボイスだと男装行けそう」
「おお、昭ちゃん、男になっちゃう?」
「えー? どうしよう?」
 
すると花園さんが少し難しい顔をして訊く。
「あのさ、まさか君、男の子ってことないよね?」
 
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「ごめんなさい!」
と言って昭ちゃんは俯いてしまった。
 
J学園の子たちが顔を見合わせている。
 
「この子は女の子になりたい男の子なんだよ」
と暢子が説明する。
 
「ほぉ!」
「身体はまだ男の子なんだけど、心は女の子だから、男湯には入りたくないと言っていたから女湯に連れ込んだ」
「ほほぉ!!」
「女湯は初体験らしい」
 
「でも、おちんちん付いてないね?」
と日吉さんが湯の中を覗き込んで言う。
 
「ああ。女湯に入る以上、おちんちんあったらまずいからということで、私が一時預かってるから」
と暢子。
「ふむふむ」
 
「決勝戦が終わったら返してあげることにしたんだけど、私たち決勝戦に出ないから、来年のインハイまでこのまま預かっていることにする」
「えーー!?」
 
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「ああ、だったら、もうそのまま女子になっちゃうといいね」
と入野さんも言う。
 
「この子、凄いシューターなんだよね。千里のバックアップシューターとして育てているから、男子バスケ部には渡したくないのよね」
と暢子。
 
「それは楽しみだな」
と花園さん。
 
「ああ。だったら、おちんちん取ってるのなら、もうおっぱいも大きくして女子バスケ部に入れればいいよね」
と日吉さん。
 
「でしょ、でしょ?」
 
昭ちゃんは真っ赤になっているが、この話を全然嫌がっていない。
 

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「ところでウィンターカップで再戦しようよと言っちゃったけど、そちら国体には出て来ないの?」
 
千里と暢子は顔を見合わせる。実は国体の話は全く聞いていなかった。それについては、みどりさんが説明する。
 
「北海道の事情でさ、国体の代表は事実上札幌P高校のメンバー中心に選ばれちゃうんだよ」
「今年インハイに旭川から2校出たのに?」
「システムがそうなっちゃってるからね。うちのメンバーは国体には出られないと思う」
「なんか複雑だね」
 
「いや、愛知県だって事実上、J学園のメンツだけで国体チームは編成されてしまう」
「似たような事情かな」
 
「そちらはウィンターカップも今のチームで出てくるの?」
と日吉さんが訊く。
 
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「私も含めて、今の3年生は抜けちゃう。だから私も今日が最後の試合になってしまった。うち進学校だから3年生は春夏の大会までなんだよね」
とみどりさんが言う。
 
「ああ。残念。こちらは大学に進学する子でも12月いっぱいまでは活動できる」
と日吉さん。
 
「するとウィンターカップが最後になるわけか」
と暢子は感慨深げに言った。
 
すると少し考えているふうの花園さんが言う。
「ね、ウィンターカップはウィンターカップとして、別途練習試合とかもしない?」
と花園さん。
 
「ええ、しましょう。でもいつやります?」
と暢子。
 
「ウィンターカップの前にあまりお互い手の内は見せたくないだろうから、その後とかは?」
 
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「ウィンターカップが終わった直後、東京でやるというのもいいかもね」
「東京は今から年末の会場確保が難しいかも知れない」
「だったら北海道に来ます? 5月にも札幌に来てP高校と練習試合やってましたね? あれを見て私たちもちょっと奮起したんですよ」
と暢子。
 
「ああ。でも私、あれに出られなくて悔しい思いしたんですよ」
「そうだ。お祖母ちゃんの容態が悪くなってということでしたけど、どうでした?」
と千里が訊く。
「うん。医者からは覚悟して下さいと言われたんだけど、奇跡的に回復して、今はピンピンしてる。こないだから登別温泉に遊びに行ってるみたいだし」
「良かったですね!」
 
「北海道でなければこちらが愛知に行く手もありますよね」
「東京以外なら何とか会場は確保できると思う」
「もしどちらかがウィンターカップに出られなくても練習試合はやるという方向で」
「J学園さんが出ないってことはまずないだろうから、問題はうちだなぁ」
「いや、代表が1校というシステムはうちだって何かあると落とす可能性はある」
 
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「その練習試合の詳細は後日、顧問も入れて検討しませんか?」
「うん、そうしよう」
 
「もし両者がウィンターカップ決勝戦で当たった場合は、決勝戦のアンコールということになりますね」
 
「ああ。しかしウィンターカップの決勝戦まで行っちゃうと、昭ちゃんにおちんちんを返してあげないといけなくなるな」
と暢子。
 
「だったらその前に焼却処分しちゃうといい」
 
「そのおちんちん私がもらっちゃおうかな」
と留実子。
 
「あ、私も欲しい」
と中丸さん。
 
「ではその時はじゃんけんで」
「ふむふむ」
 
「まあ焼却するにしても、花和さんか華香がもらっちゃうにしても、無くなってしまったものは返しようがないよね」
と花園さん。
 
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「ふむふむ」
「おちんちんを返す代わりに、女子選手の登録証を渡すというのでは?」
と日吉さん。
 
「ああ、それは良いアイデア」
 
昭ちゃんはまた俯いていたが、凄く何かに期待するような目をしていた。
 

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その日の夕食はバイパス沿いにあるビフカツのお店に行った。この日勝てば、しゃぶしゃぶという約束だったのだが、負けてしまったので予定変更である。(この店は筆者は2006年頃に行ったが今もあるかは不明)
 
「まあ次はカツようにということで、カツね」
と南野コーチ。
 
「ああ。うち、大会の日の朝によくお母さんがトンカツ作ってくれてた」
などと言っている子もいる。
 
「でも悔しいなあ」
「ほんと。あとちょっとだったのに」
と言う声が出るが
 
「表面的にはあとちょっとでも、多分200万光年くらいの距離があったんだよ」
と暢子は言う。
 
「今回は相手が最初こちらを舐めてたから接戦になったのもあると思う」
と穂礼さんは言う。
「うん。だから次回はこうはいかない。きっと最初から全開で来る」
と千里も言う。
「その最初から本気の愛知J学園と再戦したいですね」
と揚羽。
 
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「今回、福岡C学園や秋田N高校に勝てたのもその要素があると思う。向こうがこちらを充分に研究していたら、ああは行かなかった」
「秋田N高校とか、うちを全く研究していなかったのが、明らかだったもんね」
 
「次全国に出て行く時はもっともっと鍛えてないといけないということ」
 
「ウィンターカップ出たいね」
「うん。東京体育館に行きたい」
「ウィンターカップで優勝したら帝国ホテルのディナーで」
「理事長さんに掛け合ってみるよ」
 
「ウィンターカップで優勝したら、市長さん主催の祝勝会くらいやってくれたりして」
「インターハイに比べると知名度が落ちるけど全国制覇だったら市長の表彰状くらいもらえるかもね」
 
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「よし、それに向けて頑張ろう!」
 

翌8月3日。
 
インターハイのバスケットは最終日を迎える。今日は男女の決勝戦だけが行われる。10時から女子の決勝、11:40から男子の決勝である。
 
千里たちは台風の風がまだ残っている中を部員全員で会場の文化体育館まで出て行った。
 
悪天候にもかかわらず、観客席は満員である。
 
10時。愛知J学園と岐阜F女子高との試合が始まった。
 
しかしバスケ強い所は女子高や元女子高が多いなと思った。千里たちの旭川N高校も、同じく準決勝で敗れた東京T高校も元々は女子高でここ10年ほどの間に共学化された学校である。
 
試合はハイレベルな内容であった。一昨日、岐阜F女子高の試合を初めて見たメンバーたちはその雰囲気に飲まれてしまったのだが、今は愛知J学園と接戦を演じたという自信が、みんなを精神的に大きく成長させている。みんな静かに試合を見守っていた。
 
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「くっそー。あそこに出たいよ」
と暢子が言う。
 
「うん。決勝戦で戦いたかったね」
と千里も言う。
 
「佐藤さんもそんな思いで昨日の私たちの試合を見ていたんだろうね」
「まあ、今も観客席のどこかで見てるよね」
 
「ああ、あそこに居るよ」
と言って千里は指を差す。
 
そちらを見ると本当にP高校の佐藤さんや徳寺さんが居る。
 
「おお、ほんとに居る居る」
と言って暢子たちまで指を差して見ていたら、向こうもこちらに気付く。佐藤さんが手を振るので、こちらも手を振った。
 

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この試合で、花園さんや日吉さんは精彩を欠いていた。やはり昨日の試合の疲れが完全には抜けていないのだろう。しかしその分、他のメンバーが頑張る。それで試合は熱戦が続いていた。どちらもしっかり守備するので、なかなか点数が入らない。特に今日は花園さんが本来の調子ではないので、スリーによる得点も少ない。
 
結果的には試合はロースコアで推移し、最終的には66対43で愛知J学園が勝った。2年連続の優勝である。
 
千里と暢子は下に降りて、J学園のメンバーがフロアから出てくる所を迎えた。
 
「おめでとうございます!」
と声を掛ける。
 
「ありがとう」
と花園さんと日吉さんが笑顔で言い、千里・暢子と握手した。
 

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