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■女の子たちの男性時代(6)

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『ごめーん。きーちゃん、運転頼める?』
『OKOK』
 
《きーちゃん》に身体を任せるが、千里も自分で運転を覚える感覚にする。
 
セレクトレバーがPになっていることを確認。シートベルトをしてブレーキを踏んだままエンジンを掛ける。ヘッドライトを点ける。Dレンジにする。ウィンカーを出して後ろを良く見てから、ブレーキペダルを踏む足を弱め、クリープで発進。アクセルを少しずつ踏んで加速する。
 
「この車、こないだのより遅い気がします」
「2500ccだから。こないだ千里が運転したマジェスタは4300ccだよ」
「へー」
「そのあたりを走ってる車の多くは1200とか1500だよ」
「これよりもっと弱い車もあるんですか」
 
「あんた、最初からこんな強い車ばかり運転してると軽とかは運転できなくなるかもね」
 
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「軽って何ですか?」
「ああ。軽油で動く車だよ」
「へー。これはガソリンですか?」
「そうそう」
 
雨宮先生は冗談で言っているのだが、千里は冗談ということに気付いていない。
 
雨宮先生は千里がちゃんと運転しているのを見て安心した感じで、どうもレコード会社の東京本社に電話して、ちょうど居た加藤さんに北原さんの件のフォローをお願いしていたようであった。そちらから恐らく札幌支店の方に連絡が行き、誰か病院に行ってくれるのだろう。
 

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カーナビの指示に従ってインターチェンジまで行き、ランプを登る。ETCと書かれたゲートを見て、そこにゆっくりと進入した。ピッという音が鳴ってゲートが開いたので中に入る。札幌方面と書かれた道へ進行。加速しながら後ろを目視確認。合流して更に加速する。
 
「ふーん。ほんとに巧いね。ちゃんと目視確認もしてるし」
「母がよく言ってたんです。こういう合流ではバックミラーでは死角に入った車を見落とすことがあるから必ず目視確認しないといけないんだって」
 
「ふーん。あんたお母ちゃんに運転は習ったの?」
「習ってません。これが車を運転するのはまだ3度目です」
 
「そういう無意味な嘘をつくのはやめなさい」
「嘘なんてついてないんだけどなあ」
 
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「ところで私にはちゃんと教えてよ」
「はい?」
「あんた結局いつ性転換したのさ?」
 
「それなんですけどね・・・」
「うん」
 
「インターハイの時は実は性転換から1年経ってたんです」
「やはりあんた伊勢に行った時、もう性転換してたんだ?」
「でも今は性転換手術を受ける1ヶ月くらい前なんです」
「はぁ!?」
「そして私が実際に性転換手術を受けるのは2012年なんですよね〜」
 
「あんたやっぱり嘘つきだ!」
 
「なぜ誰も信じてくれないんだろう」
「あんたがでたらめばかり言ってるからだよ。罰として今月中に3曲書くこと」
「まあ、いいですけど」
 
「あんたのバッグの中に曲のタイトルと歌手と作曲者名義のリスト入れておくから。できている分の歌詞も。まだ歌詞のできてない1曲はあとでFAXする」
「了解です」
 
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千里と雨宮先生を乗せたボルボV50は21時前に札幌きららホールの裏口に到着した。雨宮先生がスタッフ証を見せて中に入れてもらい、車を駐める。雨宮先生は
 
「やはりあんた車の運転うまいよ」
と褒めてくれた。
 
「また頼むね」
「次は免許取ってから」
「あ、そうそう。バスケット、結局3位になったんだって?」
「あ、はい」
「おめでとう。これ、私からのささやかなプレゼント」
 
と言うと先生は千里に銀色のブレスレットをくれた。
 
「重い」
千里は受け取ってからその重さにびっくりする。
 
「純銀だから」
「これ高かったのでは?」
「まあ私お金持ちだから」
「ありがとうございます!」
 
なんかじわっと来た。
 
「千里も今日はありがとね」
「いえ」
 
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「じゃ、また」
「はい」
 
『きーちゃんありがとね』
『うんうん』
 

それで千里がホールを出て、地下鉄の方に向かおうとした時《いんちゃん》が言った。
 
『千里、地下鉄じゃなくて市電に乗りなよ』
『へ?』
『少し楽しいものが見られるから』
『ふーん』
 
それで千里は市電に乗り《いんちゃん》が教えてくれた電停で降りる。そして言われたお店の中に入っていくと、貴司の姿があり、その貴司のテーブルに寄って行きつつある女の子の姿を認めたのであった。
 

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「でも千里、よく僕がここにいるって分かったね」
と貴司は激辛ハンバーグを大量の水を飲みながら食べつつ言った。
 
「愛の導きだね」
「まあいいけど。今日はどうするの?」
「終電で帰るよ。札幌駅23:03」
「そっかぁ」
 
と言って貴司は残念そうだ。ふふふ。私も貴司とデートしたいけど、今日は私の身体が不自由なんだよ。ごめんねー。でも浮気は許さない!
 
「練習頑張ってる?」
「うん。でもやはりインハイ終わってガクっと来たのか、調子が出ないよ」
「まあそれに向けて集中してきていたからね」
「貴司は身体がなまらないようにね」
「うん。バスケットボールでも持って来てれば良かったと思った」
「女の子ナンパする時間があるなら、町でボール1個くらい買ってこれると思うよ」
「今日の千里は言葉がきつい」
「当然。あんまり浮気してるとちょん切っちゃうぞ」
「勘弁して〜」
 
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千里が最終の旭川行きスーパーホワイトアロー33号に乗って笑顔で手を振り去って行くのを見送って、貴司は駅からタクシーで合宿所に戻った。千里は物陰でキスをしてくれたが、それでよけい性的なストレスは溜まってしまった感じでもあった。
 
それで合宿所の部屋に戻ると、すぐズボンを脱ぎ、パンツも脱いで、それをいじり始める。かなり溜まっている感覚だったのですぐ逝きそうな気がするのに、なぜかその晩はなかなか逝けない。
 
ちょっと疲れて一休みした時、ドアをノックする音がする。
 
慌ててパンツとズボンを穿き、こっそり撮っていておかずにしていた千里のヌード写真も机の引出に片付ける。
 
それでドアを開けたら、なんとSが居た。
 
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「あ・・・」
「夜分ごめん。ちょっと入って良い?」
「あ、うん」
 
それで貴司はSを部屋にあげてしまった。紅茶を入れて出す。
 
「今日はごめんね」
「ううん。あの子とは実際どういう関係なの?」
「結婚しているのは本当。入籍は25歳くらいになってからしようよと言っているんだけど」
「セックスもしてるの?」
「してる」
「ふーん」
 
「だから君とは付き合えない。本当にごめんね」
「それで済むと思ってる?」
「えっと・・・」
 
貴司は相手の態度に戸惑った。この子、こんなに強引な子だったんだっけ?むしろおとなしすぎるような雰囲気だったのに。
 
「あんな所で恥を掻かせられて、ごめんだけで済ませようなんて甘いよ」
「ちょっと待ってよ」
「私とセックスしてもらうよ」
「えーーーー!?」
 
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それでSは貴司のそばまで来ると、その上に覆いかぶさってきた。
 
「ちょっと、Sちゃん、冷静になろうよ」
「私、柔道やってるから、そう簡単には負けないよ」
 
貴司は最初女の子相手だから、本気を出せば押しのけられると思っていた。ところが彼女の腕力が凄いのである。最初は遠慮がちに抵抗していたものの、これはやばいと思い、こちらも本気で押し返す。が、彼女の力にかなわない。それであっという間にズボンもパンツも脱がされてしまった。
 
うっそー!?
 
いやだ。千里以外の女の子とのセックスにも関心が無い訳ではないけど、こんな形でセックスなんてしたくない!
 

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しかし彼女は貴司を押さえつけたまま、貴司のあれを握り強くいじる。すると貴司の意に反してそれは立ってしまう(ほぼ物理的な反応なので仕方ない)。そして彼女はそれを自分の中に入れてしまった。
 
やだぁ!これってレイプじゃん!!
 
彼女が腰を動かす。うっ。これ気持ちいい。
 
でも・・・・千里とやる方がもっと気持ちいいけどな、と貴司は思っていた。
 
行為はたぶん5分くらい続いた。
 
貴司は逝かない。
 
「なんで逝かないのよ?」
と彼女は言う。
 
「ごめん。たぶん僕、自分の妻以外とは逝けないのかも」
「役立たずのペニスだね」
「ごめーん。デートに誘ったことは謝るから、今日は帰ってくれない?」
 
「仕方無いね」
と言って、彼女はやっと貴司を解放してくれた。
 
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逝かないまま大きくなっているペニスがある。それを見ていた彼女はとんでもないことを言った。
 
「こんな役立たずの男性器は取ってしまおう」
「へ?」
 
彼女はどこからともなく巨大な鎌を取り出す。貴司があっけに取られていると彼女はその鎌をビュッと音を立てて振るう。すると、貴司の男性器はスパッと切断されていた。
 
何〜〜〜!?
 
「これ記念にもらって帰るよ。じゃね」
 

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彼女がそれで玄関に行き、ノブに手を掛けた時、先にドアが開いた。
 
千里が立っていた。
 
「あ」
とSは驚いたように声を出す。
 
千里の身体から物凄い光の塊が発せられる。
 
「ぎゃー」
と声をあげてSは倒れる。その時貴司は確かに見た。倒れたSの身体から何かが分離して開いている玄関から飛び出して行ったのを。
 
「貴司、大丈夫?」
と千里が言う。
 
「どうしよう? チンコ取られちゃった」
と貴司。
 
千里は貴司のそばに寄る。
「あぁ。無くなっちゃったんだ。まあ浮気ばかりしてるから天罰だよ」
と言って千里は何も無くなってしまった貴司の股間を撫でた。
 
「その子は?」
「何か悪い霊にでも取り憑かれていたのでは」
「チンコ取られる前に彼女にやられちゃった」
「サッキュバスかもね。サッキュバスって男とたくさんセックスして精液を貯めたら男性型のインキュバスに変化するんだよ。その時、最後にセックスした男のおちんちんを持って行っちゃうんだって」
 
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「ひぇー」
と声をあげながら貴司は倒れているSが気になる。
 
「その子、死んでないよね?」
「気を失っているだけみたい。この子の部屋、分かる?」
「たぶん鍵を持っているのでは?」
 
それで千里が倒れているSのスカートのポケットをさぐると726という札の付いた鍵がある。それでパンツとズボンを穿いた貴司と協力して彼女を726号室まで運んで寝せてあげた。
 

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貴司の部屋に戻る。
 
「僕これからどうしよう・・・」
「何が?」
「チンコ無くなっちゃったら、千里と結婚できない」
「おちんちんくらい無くても平気だよ」
「そうなの?」
「貴司、これからは女の子として生きていけばいいんだよ」
「いやだぁ!」
「バスケ部も女子バスケ部の方に移籍で」
「そんなあ」
 
「取り敢えず今夜は私が貴司を抱いてあげるよ」
「抱き合って寝てくれるの?」
「私が貴司の中に入れる」
「へ?」
 
それで千里がスカートを脱ぎ、ショーツを下げると、そこには立派なおちんちんがぶらさがっている。
 
「嘘!? 千里、チンコ付いてたの?」
「私が男の子であることは承知で貴司、私と結婚したんだよね?」
「それはそうだけど、でももうチンコは無いものと思ってた」
 
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「おちんちんはあるよっていつも言ってたじゃん」
「でも千里、嘘と冗談と本当が区別つかないから」
「私、そんなに嘘ついてるかなあ」
 
そんなことを言いながら千里は貴司にキスをして貴司を押し倒した。
 

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千里が貴司の股間をまさぐる。すると入れられる場所があるようである。
 
「ああ、ここに入れればいいね」
と言って千里は大きくなったそれを貴司の中に入れてきた。
 
うゎっ!?
 
貴司は初めて味わう「入れられる感覚」に戸惑っていた。千里が腰を動かして出し入れすると、何だか気持ちいい。
 
女の子側って、こんなに気持ちいいのか。
 
貴司は初めて体験したその感覚に少し酔っていた。
 
やがて千里は逝ってしまったようで、脱力して体重を掛けてくる。貴司はその千里の背中をしばらく撫でていた。
 
僕たち・・・こんな関係になっちゃうの?これから・・・
 

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そんな混乱した気持ちの中にあった時、千里が貴司にキスして言う。
 
「射精って、わりと気持ちいいね」
「うん、気持ちいいよ」
 
「男の子がハマっちゃう訳少し分かった気がした。でも私が射精して貴司がそれを受け入れるのって変だよ」
「変な気分ではある」
 
「私、男の子の性器要らないし、貴司は無いと困るだろうから、私の男性器、無くなっちゃった貴司のものの代わりにあげるね」
 
「え?」
「要らない? 要らないなら私、来月タイに行って手術して取ってもらうけど」
「取ってしまうんならもらう」
「じゃあげるね」
 
そう言って千里が貴司にディープキスをする。すると、今まで千里が自分のものを貴司の中に入れていたはずなのに、貴司が千里の中に入れているような気がした。
 
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千里が微笑んで身体を起こす。
 
すると本当に貴司には男性器が付いていて、千里のお股は女の子の形になっていた。千里がそれの先を舐めてきれいにしてくれた。
 
「このおちんちん、本来は私のものだからさ」
「うん」
「私以外の女の子とセックスしようとしても使えないから」
 
「別に構わない。千里以外の女の子とセックスするつもりないし」
「怪しいなあ。貴司浮気性だから。でも今夜は遅いし、私帰るね」
 
「どうやって帰るの?」
「札幌−旭川間くらい走って帰るよ」
「嘘!?」
「140kmくらいかな。朝までには着くんじゃないかな」
「無茶な」
「貴司もそのくらい鍛えた方がいいよ。じゃね」
 
と言って千里はパンティを穿き、スカートも穿いて出て行った。
 
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貴司はしばらく呆然としていた。
 

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女の子たちの男性時代(6)

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