広告:不思議の国の少年アリス (2) (新書館ウィングス文庫)
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■女の子たちの男性時代(3)

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続く男子の決勝戦は秋田R工業と福岡H高校の対戦であった。お昼を食べに行く部員も多かったが、千里も暢子も売店で買ったおにぎりを食べただけでずっと試合を見ていた。
 
「さすが男子はスピードとパワーが違うね」
「うん。男子の最高峰はまた凄い」
 
「千里、女子の方に来ちゃって、ちょっと惜しくは思ってない?」
「少しだけね。でも私は女の子だから、女子の方で頑張るよ」
「そのあたり、だいぶ女としての自覚が出て来たよね」
「えへへ」
 
試合は第1ピリオドで秋田R工業がリードを奪ったものの、そのあと福岡H高校が必死に追い上げた。しかし最後は届かずR工業が逃げ切った。最終的な点数は95対89であった。
 
「なんか凄い試合だったね」
「昨日の試合も、私たち第1ピリオドでもっと頑張っていれば、逃げ切れたのかなあ」
「そのあたりは結果論だけど、前半は私たちかなり頑張ったと思うよ」
「そうかもね」
 
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表彰式に移る。
 
昨日は3位の4校だったが、今日は1位・2位の4校のベンチ入りメンバーがフロアに整列した。千里と久井奈さんは主催者席の近くに座って様子を見ていたが、あそこに並びたかったなという気持ちが強まった。今日はふたりとも制服を着ている。
 
最初に女子の1位・2位、男子の1位・2位の学校名が読み上げられ、代表者が前に出る。
 
女子の1位・愛知J学園が表彰され、花園亜津子が優勝旗を受け取り、日吉紀美鹿が賞状を受け取る。J学園には他にも様々な○○杯の類が渡されるので何人も前に出ては受け取っていた。全員に金メダルが贈られた後、2位の岐阜F女子高が表彰されてキャプテンの鏡原さんが賞状を受け取り、銀メダルが贈られた。
 
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男女の1・2位の表彰が終わった後、特別賞というのが発表された。
 
「延長3回という激戦を戦い、しかも両軍合わせてファウルが4つしか無いというクリーンな試合をした、愛知J学園と旭川N高校」
と読み上げられ、久井奈さんが笑顔で前に出て行く。
 
J学園の花園さんと並んで一緒に賞状を受け取り、ふたりで握手をしていた。
 

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続けて個人の表彰が行われる。
 
「女子・優秀選手賞、愛知J学園・花園亜津子さん」
 
花園さんが優勝旗を入野さん、特別賞の賞状を大秋さんに預けて前に出る。
 
「得点女王、愛知J学園・日吉紀美鹿さん」
 
日吉さんも優勝の賞状を中丸さんに預けて前に出る。
 
「スリーポイント女王、旭川N高校・村山千里さん」
 
千里はびっくりしたが、久井奈さんに背中を押されて前に出た。
 
「リバウンド女王、東京T高校・森下誠美さん」
 
千里たちが座っていた所の近くに座っていた制服を着た女子高生が出て来て列に並んだ。この子はかなりの長身だ。身長168cmの千里が見上げる感じである。こことは今回対戦していないが当たると手強いなと千里は思った。
 
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「アシスト女王、岐阜F女子高・前田彰恵さん」
 
ああ、この人は目立っていたよなと千里は思った。アシストだけでなく自らもかなり得点をしていたはずだ。結果的に自分の得点になったかアシストになったかの違いだけであろう。
 
その後、男子の個人表彰の名前も読み上げられた。10人並んでから、ひとりずつ賞状をもらい主催者さんと握手をした。それで下がるが、千里は花園さん、日吉さんとも握手をする。その流れで何となく、F女子高の前田さん・東京T高校の森下さんとも握手をした。その時、前田さんが千里に「やりたかったよ」と小さな声で言った。それで千里は「今度やりましょうよ」と答えた。彼女は頷いていた。
 

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表彰式が終わった後、体育館から出ると雨があかっている。
 
「台風、どうなったんだろ?」
「ああ。もう通り過ぎちゃったみたいよ」
「飛行機は飛ぶんですかね?」
「福岡−羽田間は再開したみたい」
「羽田−旭川は?」
「今台風が能登半島付近にいるみたいなんだよね」
「ということは?」
「今日はまだ多分飛ばない」
「羽田まで行ってもどうしようもないですね」
「ということで今夜も唐津泊まりだね」
「あらあら」
 

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その日は取り敢えず昭ちゃんは解放することにした。JRは点検で運行見合わせ中ということだったので、バスで伊万里の祖父宅に向かう。暢子からやっと男物の服を返してもらって着替えていたが、結局女の子下着はそのまま着けていたようである。しかも、着替え用の女の子下着数点や暢子が買ってあげたスカートなどを荷物に入れていた。どうもこの数日間に女の子ライフに完璧にハマッてしまったようである。
 
ああ、この子は間違い無く5年以内に性転換しちゃうなと千里は思った。
 
「ところで昭ちゃんのおちんちんはどうしたんだっけ?」
「本人がこのままでいいと言ってたから、そのまま。剥がし液だけ渡した」
「ということは、お股は女の子仕様のままか」
 
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「お祖父さんちで温泉とかに行こうって言われたらどうするんだろ?」
「そりゃ女湯に入るしかないね」
「ふむふむ」
 
「でも千里、あれそんなに何日もやってていいの?」
「長期間やっていると、男性機能に障害が出る可能性が高い」
「ああ」
「将来お婿さんになりたければ、絶対に長時間やってはいけない」
「まあ、昭ちゃんはお嫁さんになりたいだろうから、よいのでは?」
「どうも本人、完璧にその気になっちゃったみたいね」
「まあ昭ちゃんの夏期鍛錬だね」
「鍛錬なんだ!」
「女の子になるためのレッスンだよ」
「ほほぉ」
 
「よし昭ちゃんは夏休み明けからは女子バスケ部入りだな」
「昭ちゃんの男性時代は終わってしまったんだよ。これからは女性時代になるんだ」
「なるほど」
 
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千里たちはその日も唐津市内のホテルに泊まった。千里はここ数日の疲れがどっと出て、その晩は物凄く深く眠った。
 
8月4日の朝、起きると何だか身体に違和感がある。
 
ちょっと寝過ぎたかなと思いながら取り敢えずトイレに行く。それでおしっこをしていたら、なんか感触が変だ。
 
へ?
 
なにげなく自分のお股を触ってみると、割れ目ちゃんが開けない!? 何??と思ってよく見ると、割れ目ちゃんは接着剤でくっつけてある。
 
え?なんで?
 
と思ってその付近をもっとよく触ってみると、とんでもないものが身体に付いていることを認識する。
 
うっそー! 何でこんなものが私の身体についてるのよ!?
 
すると《いんちゃん》が答える。
 
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『千里、インターハイが終わったから、男の子の身体に戻ったんだよ』
『えー!? やだよぉ、こんなの』
 
『まあ心配しなくても、来月上旬に、選抜大会の地区予選が始まる前にはちゃんと女の子に戻れるから』
『そうなんだ!』
『国体予選に関しては男の身体で我慢してよ、と安寿さんは言ってたよ』
 
と《いんちゃん》が言ったので、千里の「体内時間」の組み替えの計算をしてくれたのが安寿さんという人(?神様?)であることを知る。
 
『でも私、男の身体をしばらく誤魔化さなきゃ! ばれたらうちの学校の成績が取り消されちゃう』
『頑張ってね〜』
 

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千里は頭に付けていたウィッグも外してみた。
 
うーん。。。と思う。
 
千里は12月に女子バスケ部に移動されてから、部活の時はずっとこのショートヘアのウィッグを着けている。一方学校の授業には、ウィッグを外して短髪の頭にして男子制服を着て出席していた。ただ、千里は友人達にも指摘されていたように2年生になってから、かなりの確率で女子制服を着てショートヘアのウィッグを着けて出ていた。
 
それはハードなバスケの練習+毎晩のようにやっていた山駆けの疲れで朝いつもボーっとしていたので、叔母が「千里、ここに制服置いとくよ」と言われた服を何も考えずにそのまま着て出て来ていたからであった。
 
ところが歴史上の5月21日の朝、千里は唐突に女の子になってしまった。
 
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歴史上の2007年5月20日は(2月以降時間の流れの外で山駆けしていたたので)千里の肉体的には2007年8月12日(その夜修行をしたのが8月13日)だったのだが、歴史上の翌2007年5月21日は《いんちゃん》の説明によると、肉体的には2008年7月11日になるということだった。
 
そしてその21日の朝、千里の本当の髪の長さは肩くらいまであったのである。女子としても違反になる長さであったし、突然髪の長さが変わっては変に思われると思い、千里はその後ずっと長い髪をヘアゴムでまとめてから、ウィッグの中に押し込んでいた。
 
ところが今、鏡を見ると、千里の髪はまた短い状態に戻っているのである。
 
「まあ、みんなは本当は私の髪は短いんだと思い込んでいるから、これはこれでもいいかな」
と千里は独り言を言った。
 
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このような肉体の突然の変化はこの後、何度も起きるので、千里は何種類かのウィッグを大学4年生の頃まで使い続けざるを得なかった。
 

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※千里が髪を切った時期
 
2006.04 入学式前に留実子の姉・敏美に切ってもらう。丸刈り
2006.06 旭川市内の理髪店で丸刈りに
2006.09 〃
2006.11 〃
2007.01 〃
2007.04.08 最後の?丸刈り (肉体時刻 2007.5.31)
2009.07.06 塾の先生するのに長いと言われて調髪 (肉体時刻 2008.4.22)
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2007.05.21 突然女の子になった日 (肉体時刻 2008.7.11)
2007.08.04 突然男の子に戻った日 (肉体時刻 2007.9.15)
 

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それで千里は貴司に電話した。
 
「あのさ、インターハイが終わったんで、例の成功報酬なんだけど」
「なんだっけ?」
「ほら、1回戦勝ったら1回、2回戦勝ったら2回っての」
「忘れてた! 結局何回やんなくちゃいけないんだっけ?」
 
「貴司は3回戦まで勝ったから4回、私は4回戦まで勝ったから8回。合計で12回」
「ひゃー!」
 
「でもさ、私、夏の間はちょっとバスケの練習に専念したいのよ」
「それは僕もだけど。あと実は自動車学校に行くつもりなんだよ」
 
「へー。で、取り敢えず9月か10月の適当な時期に延期しない?」
「それがいいかも!」
「じゃ10月の連休にデートしようよ」
「いいよ」
 
さすがに男の身体で貴司とセックスするのはやばすぎる。でも《いんちゃん》から10月の連休は女の子の身体だよと教えてもらったのである。
 
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「10月まで延期する利子で2回足して14回」
「あははは」
「頑張って14回連続でしてよね」
「さすがに自信無い」
「ちゃんと出来なかったら、罰としてちょん切っちゃうから」
「勘弁して〜。あれって男は重労働なんだから」
「だから体力をもたせる訓練だよ」
「それも訓練なのか!」
 
「私も騎乗位とかで頑張ってあげるから」
「今凄いことばを聞いた気がした」
「騎乗位嫌い?」
「いや14回もやるなら、そのうち4−5回は女が上の体位でないと無理だと思う」
「私も頑張るからさ」
「やはり訓練なのか」
 
「秋の大会に向けての自主トレだよ」
「なんか僕たちって乱れてない?」
「夫婦だからいいじゃん。それやってて貴司が行為中に死んだら、私、操を立てて再婚しないからさ」
 
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「まだ死にたくない!」
「まあ死ななくても途中でできなくなったら女の子になる道だから」
「それも嫌だぁ!」
 
「コンちゃんは念のため3ダースくらい用意しておこうよ」
「確かにそれはそのくらい必要な気がする。付けても立たなくて休憩して再戦とかも出てくると思うし」
 
「最後の2回はおまけだからいいとして、12回目が立たなくなったらお化粧しちゃおう」
「まあいいけど」
「11回目で立たなかったらマニキュアしちゃう」
「そのくらいは我慢するかな」
「それで学校に出て行ってよね。10回目で立たなかったら女の子パンティ穿いてもらおう」
「千里のパンティくれるなら考えてもいい」
「それは検討するとして。9回目で立たなかったらスカート穿いて私とデートして」
「千里がいいのなら、頑張って挑戦してみる」
「実はスカート穿きたいんじゃないの?」
「そんなことない!」
 
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「怪しいなあ。8回目で立たなかったら女子制服を着てもらおう」
「うーん。なんか怪しい道に迷い込んでしまいそう」
「7回目で立たなかったらブラジャー付けてもらおう」
「千里のブラをくれ〜」
「貴司、私のブラを1個隠し持ってるでしょ?」
「そんなこと無い!」
 
かなり焦っているので図星っぽい。
 
「6回目で立たなかったら女性ホルモン飲ませちゃおうかな」
「そんなの飲んだらもっと立たなくなるじゃん!」
 
「5回目で立たなかったら豊胸手術受けてもらおうかな」
「えっと・・・・」
 
「ふーん。おっぱい実は欲しいのか」
「べ、べつに!」
 
「なんか貴司のセクシャル・アイデンティティも結構あやしい気がするなあ。4回目で立たなかったら去勢手術ね」
 
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「睾丸を失うと子供作れなくなるから」
「その前に精子を冷凍保存しておく手もあるよ」
「うーんと・・・」
「ね。実は去勢したいの?」
「嫌だ。去勢したら多分チンコ立たなくなる」
「かもねー。3回目で立たなかったら性転換手術ということで」
 
「3回くらいは頑張れると思う」
「じゃ、性転換する羽目にならないように頑張ってね」
 

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「だけど千里、僕が女になっちゃってもいいわけ?」
「貴司がどうしても女の子になりたいというのであれば、中身が貴司であるなら、身体は女であっても愛せると思う。私も頑張ってレスビアンを覚えるよ」
 
「いや別に女にはなりたくないけど、レスビアンってどんな世界だろ?」
「ちょっと手術受けて体験してみる?」
「手術受けたら元に戻れないから」
「ああ。もし元に戻れるなら、女になってみたいんだ?」
 
「それは多くの男がそうだと思うよ」
「へー!」
 
「女になって女子トイレに入ってみたいとか」
「私、男の子だった頃から女子トイレに入ってたけど」
 
「女になって女子更衣室に入ってみたいとか」
「私、男の子だった頃から女子更衣室を使ってたよ」
 
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「女になって女湯に入ってみたいとか」
「私、男の子だった頃から女湯に入ってたよ」
 
「今は千里、女の子なんだよね?」
「まさか。私は男の子だけど」
「今更そんな意味不明の嘘つかないでよ!」
「私、嘘なんかついたことないけどなあ」
「それがいちばん大きな嘘!」
 

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