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■女の子たちの水面下工作(7)

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「ね」
「うん?」
「実は不安なの。インターハイなんて大舞台で私、萎縮しちゃったりしないかって」
「千里でもそんなの不安になるんだ? 千里っていつも達観している感じなのに」
「私だって不安になる時はあるよ」
 
「不安になった時は、千里、自分の携帯ストラップを見なよ」
「あ・・・」
 
千里がトートバッグから携帯を取り出す。金色のリングのついたストラップが付いている。貴司も自分のポケットから携帯を取り出す。同じ金色のリングのついたストラップが付いている。
 
「僕たちは夫婦なんだから。たとえ物理的に離れていても、ずっと一緒に居るんだよ。試合中でもお互いそばに居るんだよ」
「うん」
 
そして貴司は千里の唇に5秒ほどキスをしてくれた。
 
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周囲の乗客はこちらを黙殺している。
 

「私さ」
「うん」
 
「ずっと貴司の奥さんのつもりでいてもいい? 貴司そのうち普通の女の子と結婚するんだろうけど、貴司とその奥さんの迷惑にならない所でずっと貴司のこと思ってる」
と千里は言った。
 
「できたら千里と法的にも結婚したい」
と貴司は言った。
 
ふたりはしばらく無言で見つめ合った。
 
「でもそれがかなわなかった場合でも、僕は千里のこと、奥さんだと思っているかも。他の女性と結婚したら重婚になっちゃうけど」
と貴司。
 
「うん。それでいいよ。私もひょっとしたら他の人と結婚しちゃうかも知れないけど」
と千里。
 
「お母さんの手前、貴司が就職するまでの期間限定なんて言っちゃったけど、本当は永遠の愛を誓ったつもりなの」
「実は僕もそのつもり」
 
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ふたりは再度短いキスをした。
 

「なんかこんなこと話したら、気持ちが凄く楽になっちゃった」
「実は僕も」
 
「頑張ろうよ」
「うん、頑張ろう」
 
今度はふたりは握手した。
 
「貴司、1回戦勝ったら1回、2回戦勝ったら2回、3回戦勝ったら4回、4回戦勝ったら8回、準決勝勝ったら16回、優勝したら32回、させてあげるね」
「32回もやる自信無いなあ」
 
「私が1回戦勝ったら1回、2回戦勝ったら2回、3回戦勝ったら4回、4回戦勝ったら8回、準決勝勝ったら16回、優勝したら32回、抱いてよ」
「努力はしてみる」
 
「だから2人とも優勝したら64回だよ」
「そんなに連続してやったら、もう立たなくなっちゃうかも」
 
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「立たなくなっちゃったら、いっそ取っちゃって女の子になったら?」
「いやだ」
「女の子同士になったら、また対戦できるよ」
「うーん・・・、それは千里とまたやりたいけど、そのためにチンコ捨てる気にはなれない」
「うふふ」
 

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自分の車両に戻ると
「長かったね」
と寿絵から言われる。
 
「実は貴司と会っちゃった」
「あ、去年試合中にキスした男の子?」
「うん」
「同じ列車だったんだ?」
「びっくりした」
 
「キスした?」
などと暢子が訊く。
 
「した」
「ほほぉ」
 
「何かそれで凄く気持ちが楽になっちゃった。試合、頑張るね。インターハイなんてとんでもなく強い所ばかり揃ってて、私シュート1本も撃てずに100対0で負けちゃったりしないだろうかって、変な不安感じてたけど、貴司と話したらスッキリしちゃった」
 
「キスしたからスッキリしたのでは?」
「えへへ」
 
「まあ相手チームだって私たちと同じ女子高生なんだから、100対0ってことはないでしょ」
「でも愛知J学園は地区大会の1回戦で268対0の試合やったらしいよ」
「すげー!」
「どうやったら268点なんて入るの?」
「40分の試合なんだよね?」
「全部2ポイントだったとして18秒に1回ゴールしたことになるね」
と寿絵が携帯の電卓を叩いて計算した。
 
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「どんどんボール奪われて得点されたんだろうな」
「しかし女王も容赦無いね」
「いや、絶対に手抜きをしないから女王なんだよ」
 
「道大会の決勝リーグも最初のP高校とC学園の試合でP高校がもっと容赦なく点数取っていたら、P高校が代表になれたろうしね」
「結果論だけどね」
「おかげで私たちは今ここに居る」
 

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千里たちは唐津駅市内の駅で降りた。貴司たちはまだ乗っている。更に先の駅まで行くのだろう。
 
駅の周りには何も無かったが、送迎バスで比較的新しい感じのホテルに入った。
 
「なんかこのホテル高そう!」
「ホテルは学校が直接予約してるんだっけ?」
「インハイは全学校分まとめて旅行会社にオーダーされてるはず」
「たまたま良いホテルに当たったのでは?」
 
千里が何か考えている風なので寿絵が訊く。
「どうしたの?幽霊でもいる?」
「うん。ここ出ると思う」
「うっそー!」
「だって、このホテル、以前お墓だった所に立ってるよ」
「えーー!?」
 
「そんなの分かるんだ」
「ただしかなり昔だよ。おそらく・・・・100年くらい前」
「そんなに昔でも幽霊って残っているもんなの?」
「うーんと。当時の幽霊はさすがに残ってないと思うけど、霊団が維持されてるんだよ。ここ近くに大きなお墓があるみたい。もしかしたらここにあった墓地をそちらに移転したのかも。それでそちらで迷ってた霊とかを呼び寄せて。大きな道路がそばにあるから、その道路沿いで事故死した人とかあと海も近いからそちらで亡くなった人とかの霊も呼び寄せて。今居るのはここ20-30年以内のものがほとんどだと思う」
「うむむ」
 
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「でも大丈夫だよ」
と言って千里は微笑む。
 
「うん?」
「今うちのメンバー全員に防御を掛けたから」
「ほほぉ」
 
『くうちゃん、ありがとね』
と千里は後ろの子に声を掛けた。
 

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その日の夕食は焼肉であった。この宿では夕食は毎日焼肉だから、どんどん食べようと南野コーチから言われる。千里もたくさんお肉を食べて
 
「高校に入ってきた頃の千里からは、想像が付かん食べっぷりだ」
などと言われていた。
 
「合宿でもよく食べてたもんね」
「千里が食べてるから、私ももっと食べろと言われた」
などと同じように少食な穂礼が言う。
 
「体重もかなり増えたでしょ?」
と暢子から言われる。
 
「昨日合宿所のお風呂で体重計に乗ったら57kgだった」
「1年生の頃は50kgあるかないかだったでしょ?」
とメグミから言われる。
 
「体重測定の直前に水を2L飲んで50kgと言われた」
「つまり48kgだったんだ!?」
「重い方に誤魔化すのはわりとできる」
 
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「でも誤魔化しても、痩せすぎだと言われてたんだよね?」
「まあね」
「ちょっとお腹さわらせて」
と言って暢子が千里のお腹を触る。
 
「全く贅肉が無い」
「私のお肉はほとんど筋肉だって、こないだ病院でも言われた。脂肪の蓄えが少ないからマラソンとかは走れないかも」
「それだけ物凄いトレーニングを積んでいるってことだな」
 
「でも千里は、1年生初めの頃から脂肪も増えてるかも。筋肉の方がずっと増えてるから相対的な比率は小さくても」
とメグミ。
 
「ああ、それは言えてる。最初の頃があまりにも痩せすぎだったんだよ」
と暢子。
 

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部屋に入る。同室になっているのは暢子・寿絵・夏恋である。今回留実子は南野コーチ・山本先生と一緒の部屋にしてもらっている。おかげで堂々と男子下着がつけられるなどと留実子は言っていた。(千里たちと一緒の部屋でも堂々と男物下着をつけていたが)
 
その日、暢子はなかなか寝付けないようで1時近くまでひとりごとを言っていたと寿絵は言っていた(つまり寿絵も寝付けなかったのだろう)。しかし千里は11時くらいまでには熟睡の状態になっていた。
 
そして夜中誰かに起こされる。
 
「これ、起きよ、起きよ」
「なんですか〜?」
と言って起きると、なんか古風な飛鳥時代か?と思えるような衣装を着けた女性が2人枕元に立っている。
 
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「姫様がお呼びじゃ。来られよ」
「姫様ってどなたでしょう?」
「姫様を知らぬとはなんたる不届き者」
「すみません。こちら初めてなので」
「初めてなら仕方あるまい。何人も声を掛けたのに、返事したのはそなたが最初じゃ」
 
もしかしてうちのチームの選手全員に声を掛けていたりして? 千里はそんなことを考えながら、その女性2人について行く。やがてどこか古い宮殿のような所に入った。
 
「そなたたちは何者じゃ?」
と何か偉そうな感じの人のそばにいる女性が尋ねる。
 
「私は北の国、北州島より参りましたバスケットボールの選手です」
「ばすけと? それは何か新しい戦(いくさ)の武器か?」
 
「戦争とかではありません。むしろお互いに仲良くなるためのお遊びです」
「本当に戦(いくさ)ではないのか? 何やら『勝つぞ』とか『戦うぞ』とかいう声がたくさん聞こえたし、物凄く体格の良いものが男も女も集まっているようだが」
 
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「戦うというのはそのお遊びのことです。12人ずつ二手に分かれ、5人ずつ場に出て玉の取り合いをします」
「なんだ。玉の取り合いなのか」
「玉を籠にたくさん入れた側の勝ちなのです」
「ほほぉ」
「それで2組ずつ戦っていって、最後まで勝ち残ったところが優勝ということで旗をもらいます」
「負けた側は奴隷にでもされるのか?」
「そんなことはありません。次の大会で勝てるよう、また身体を鍛えるだけです」
「ほほお」
 
そんなやりとりをしていたら、玉座に座る女性が自ら発言した。
 
「そういう遊びというのは以前にも何度か見たことがある。しかし今回は物凄い者たちが集まっておるな」
 
「私たちは数え年で17から19の者が集まっています。このヤマトの国でこの年齢で一番この遊びが上手い者たちの大会なのです」
「それでか。取り敢えず女兵士たちの中で、特に凄い者10人に声を掛けたのだが、ここまで来てくれた者はお前だけだった」
 
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へー。特に凄い人10人の中に私も選ばれたのか。花園さんとかは絶対入っているんだろうなと千里は思った。
 
「戦(いくさ)でなければ問題無い。頑張ってよく遊ぶように」
「ありがとうございます」
 
「それにそなた、どこぞの神様の守護が付いているな?」
「はい。陸奥(みちのく)の出羽の国、羽黒山大神に色々して頂いております」
 
「おお。羽黒山大神には一度お会いしたことがあるぞ。美しいお方じゃ」
「はい。私は身分が低いのでお顔は拝見できないのですが、美しいお声の方と思っております」
 
「羽黒山大神にお土産を持たせよう」
「ありがとうございます。お預かりします」
 
それで千里は何やら包みをもらった。
 
「お主にも褒美を取らせる。そうだ。そのお遊びに勝てるよう、力を授けようか?」
「ありがたきお言葉ですが、ご遠慮申し上げます。自分の力だけで勝てないと、戦う者として、ずるいですから」
 
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「ふむ。そういう欲の無いところが気に入った。では記念にこの珠でも授けよう」
「珠でしたら、頂きます」
 
それで千里は姫様から直々に何か白い勾玉をもらった。貝で出来ているようだ。
 
「ところで姫様。呼びに行った時に、われらに物を投げつけたおなごはどうしましょうか」
「無礼な奴だな。あの者には重しを付けて動きにくくしてやれ」
 
わぁ、可哀想!
 

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