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■女の子たちの水面下工作(6)

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千里が注目されている間に留実子はさっと男物の下着も取って裸になっていた。留実子は最近試合の時以外はブラもつけてないようである。
 
全員で浴室に入り、各自身体を洗ってからまた浴槽の中でおしゃべり+情報交換である。
 
「P高校の佐藤さんは、怪我は大したことなくて、大事を取って数日休んだけど、すぐ練習に復帰したらしい」
「それは良かった」
「でもP高校の監督さん、辞表出したらしいよ」
「ひゃー」
「いや仕方無いよ。あそこはインハイに出るのが当然と思われているから」
 
「一応校長先生預かりになったらしい。ウィンターカップで決めるということ」
「ということは、秋の大会はかなり必死になってくるな」
「夏休み中40日間の合宿だって」
「すごっ」
「私たちもインハイが終わった後、毎日練習試合やろうよ」
「うん。やりたいやりたい」
 
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「インハイ、どこまで行けるかなあ」
「BEST16くらいは行きたいね」
「やはり優勝を目指そうよ」
「おっ」
「旭川N高校と旭川M高校で決勝戦やろう」
 
両者は同じ北海道代表ということで別の山になっているので当たるとしたら決勝戦である。
 
「そこまで行けたら死んでもいい」
「いや、まだ死ぬには早すぎるよ」
 

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お風呂から戻ったのは22:50である。
 
「さあ、寝よう、寝よう」
と千里は言ったのだが
 
「さて、それでは千里のあそこを公開してもらおうか」
と暢子は楽しそうに言う。
 
「えーー!? ほんとに見るの?」
「さっき見ていいと言ったろ?」
「言ったけど」
 
などと言っている内に、橘花と友子までやってくる。
 
「なんか楽しいものを見られると聞いたから」
「なんで〜!?」
 
「さて、おとなしく脱ぐのと、無理矢理脱がされるのと、どちらがいい? 私は無理矢理引っぱがす方がいいけど」
と暢子。
 
「おとなしく脱ぐよう」
 
と言って、千里は体操服のズボンとショーツを脱いだ。
 
「開脚しようか」
「もう」
 
言われた通り、足を広げる。暢子と橘花が寄って見る。寿絵と友子もその後ろ見ているが夏恋と雪子は少し離れた場所から眺めている。留実子は窓際の椅子に座って外を眺めている。
 
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「ちんちん無いね」
「あったら大変」
「タマタマも無いね」
「それあったら女子として認めてもらえないよ」
 
「それちょっと広げてみない?それとも私が広げてもいい?」
「自分でやるよ」
と言って千里は両手の指でそこを開いてみせる。
 
「以前お風呂の中で見た時は偽装してるんだって言ってたけど、これはやはり本物だよね?」
「そうだね」
「ほんとに手術したんだ?」
「そうだけど」
「すごーい。ふつうに女の子の形だと思う」
 
「私自分でも自分のってあまりじっくり見たことないや」
と寿絵。
「じゃ、次は寿絵を解剖してみるということで」
と暢子。
「勘弁して!」
 
「このあたりがクリトリス?」
などと言って暢子は触っちゃう!
 
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「うん」
「おしっこ出てくるところあるね」
「無かったら困るよ!」
「ちゃんとヴァギナもある」
「そこにクスコ入れられて詳細に調べられた」
「まあ、千里は処女じゃないしな」
 

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「よし。確かに千里が女だというのを確認した」
と言って暢子は観察を終了した。手を洗ってくる。
 
「私のも見せてあげようか?」
「いや、別にいい」
 
「まあ、女同士見られてもいいよね」
「いいけど、ふつうはあまり女同士でもこんなにじっくりと見るものではない気はするけど」
 
「だけど実際問題としていつ手術したの?」
「1年くらい前だよ」
「さっきもそんなこと言ってたね。じゃ去年の夏休みくらいか」
「まあ夏休みでもなければこんな手術受けられない。だから去年の6月道大会で函館に行った頃は、まだ本当に男の身体だったんだよ」
「それでも千里、函館の旅館では女湯に居た」
「私、小学校4年生の時以降、男湯には入ってないよ」
「ほほぉ」
 
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「去年の夏休み以降、部活のサボりが多かったのは身体を休めてたんだ?」
「うーん。まあ確かに手術の後、5ヶ月くらいはずっと療養してたよ。その後練習再開したんだよ」
「確かに1月以降、気合いが違ってたもんなあ」
 
千里は自分で言いながら、なんか矛盾点が少ないようにできてるなあと思っていた。去年の秋頃中だるみして練習をサボっていたのが結果的には身体を休めていたかのように思ってもらえる。実際には性転換手術の後、療養していたのは、大学4年生の夏で、その後のリハビリ兼身体作りというのは大学1年生の春から夏に掛けて「した」ものであることを、千里は《いんちゃん》から教えてもらっていた。つまり私って、大学に入ってもバスケ続けるのかな?と思うと不思議な気持ちがした。まあ、バスケ楽しいし、一生続けてもいいよなという気もする。貴司もきっと一生続けるのだろうし。私と貴司って結局バスケ仲間というのがいちばん太い軸なのかも知れないと千里は思う。
 
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バスケ部の合宿は26日の夜までたっぷりと行われた。M高校とN高校のメンバーは、翌7月27日(金)朝、旭川空港に向かい、羽田行きの飛行機に乗る。この旭川空港に、M高校もN高校も見送りの集団が来ていて、一部のメンバーは家族と会って、着替えのバッグを交換したりもしていた。千里や暢子などは合宿所のコインランドリーで洗濯していたので、交換不要でそのままである。でも美輪子と玲羅も見送りに来てくれていた。玲羅は旭川に出てくる時はS高校男子の人たちと一緒だったので、貴司や佐々木さんなど顔見知りのメンツと言葉を交わしたらしいが、千里は空港では貴司を見かけなかった。
 
羽田でお昼過ぎの福岡空港行きに乗り継ぐが、この機内でお弁当を食べた。お弁当だけで足りずに自主的に調達した唐揚げを食べている子もいて、唐揚げの入った袋が座席の間を移動していた。14時過ぎに福岡空港に降り立った。
 
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M高校のメンツと別れ、空港から地下鉄で移動して福岡市内のK女学園に行く。ここの体育館を練習用に借りられることになっているのである。ここのバスケ部コーチと南野コーチが大学時代の同輩であったことから実現したものであった。
 
K女学園も全国大会常連校なのだが、今年は県大会の決勝リーグ3位で惜しくもインターハイ進出はならなかった。
 
最初基礎的な練習をするが、1時間ほど汗を流した所で、そのK女学園チームと練習試合をした。
 
さすが全国区のチームだけあって強い、強い。千里たちは旭川のL女子高クラスのチームと戦っている手強さを感じていた。千里や暢子にも凄く強い人がマークに付き、千里もなかなかフリーにさせてもらえなかった。
 
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試合としては82対72でN高校が勝ったが、双方とも気持ち良く汗が流せて終了後あちこちで握手したりハグしたりする姿が見られた。
 

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地下鉄から直通運転されているJR筑肥線でバスケットの会場がある佐賀県唐津市に向かう。
 
夕食は向こうに着いてからホテルで食べるのだが、たっぷり汗を流した後でみんなお腹が空いている。唐津までも持たない!といって、地下鉄の駅そばにあったマクドナルドでハンバーガーを注文して地下鉄に持ち込む子が大量に居た。
 
暢子などクォーターパウンダー2個にポテトL・コーラL2杯などと頼んでいたが、千里もダブルチーズバーガーと爽健美茶Lを頼んだ。
 
「千里が1年の頃から進化したポイントが3つある」
と暢子は言った。
 
「何?」
と寿絵が訊く。
 
「ひとつはちゃんと練習するようになったこと」
「ああ、千里ってほんとよくサボってたもんね〜」
 
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「ひとつはちゃんと食べるようになったこと」
「うんうん。別人なくらい食べてるね」
 
「そして体力が付いたことだな」
「うん。私、以前は前半でもうバテてたもん」
と本人も言う。
 
「まあ動きも素早くなったし、撃つ速度も上がったけどね」
「千里、最近よく高い軌道のシュートを撃ってるよね」
「うん。ブロック回避のひとつの手段」
「腕力が付いたから撃てるようになったシュートだな。昔の千里の腕力なら、45度の方向に撃たないと届かなかったんだ」
 

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「45度がいちばん届くというのは発射点と同じ高さの所に入れる場合なんだよ。バスケのゴールは私の発射点より1.5m高い所にあるから、いちばん弱い力で到達させるための角度は45度じゃなくて50度になる」
 
と千里は物理学の計算を言う。
 
「そういう難しい話は分からん」
と暢子はいきなり匙を投げた。
 
「でも私の場合、ビデオに撮ってもらったのを見ていたら実際にはだいたい40度くらいの低い弾道で撃ってる。J学園の花園さんのシュートは随分youtubeに上がっている映像で見て研究したけど、彼女は35度くらいで撃ってる」
 
「なんでそんなに低いの? だってボールがゴールに向かっていく時のリングの断面積を考えたら、高い角度から落とした方が入りやすい気がする」
と少しは物理学(というよりこれは数学の問題)が分かる寿絵が言う。
 
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「高い軌道のボールはぶれやすい」
と千里は明解に言った。
 
「あ、そうか!」
 
「実際に計算してみると角度75度で撃つと50度で撃った時の倍の滞空時間がある。角度24度で撃つと50度の時の半分の時間でゴールに到達する」
「ふむふむ」
 
「優秀なシューターはみんな相手から無茶苦茶マークされる。だから僅かな隙に撃たないといけないから、正しくセットする余裕が無いんだよ。高い軌道のシュートというのは、確かに数学的には入りやすいかも知れないけど、滞空時間が長い分、軌道がぶれる。すると余裕の無い中で撃つと結果的には入る確率は落ちるんだ」
と千里。
 
「うーん。まあ要するに、いろんな撃ち方ができたら、それだけ攻撃の幅が広がるということだよな」
と暢子はとっても大雑把な結論を言った。
 
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福岡市の中心部から唐津までは1時間ちょっと掛かるが、乗る前に大量に水分を取っていたので千里はトイレに行きたくなった。それでトイレのある車両まで行く(地下鉄なのにトイレが付いているのは全国的にも珍しいらしい)。
 
するとバッタリ貴司に逢ってしまった。
 
「わっ」
「わっ」
「この電車に乗ってたんだ!」
「うん。3時頃福岡空港に着いて、市内の協力校で練習させてもらってから宿舎へ移動中」
「私たちも同じ!」
 

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それでトイレに行って来た後で少しお話しする。トイレのある車両にはS高の佐々木さんや清水さんなど、顔なじみのメンバーが居て何だかにやにやしているので、ふたりは隣の車両に移動した。うまい具合にその車両の端の方は乗客が居ない。2人はS高のメンツから死角になる位置に並んで座った。身体が接触して少しドキドキする。
 
「そういえば千里、なんかまた検査を受けたんだって?」
 
こういう情報って、どうやって貴司の所に到達しているのだろうと千里は疑問を感じる。
 
「道大会でスリーポイント女王とか取ったから、本当に女なのか再確認させてくれとか言われて」
「大変だね!」
 
「秋の検査は『本当に男なのか?』を検査されたんだけど、今回は『本当に女なのか』を検査されたって感じ」
「なんか難しいな。確かに千里って、男の領域と女の領域の微妙な所を漂っている感じもするし」
「貴司、もしかして普通の女の子より私みたいな子の方が好きだったりして?」
「う・・・」
 
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ふーん。図星かなあという気がする。
 
「裸にされて身体のお肉の付き方観察されて。まあこれがいちばん重要だったみたいだけど。あとおしっこと血液と取られて、主としてホルモンの量を検査されたみたい。内診台にも乗せられたしMRIなんて2度ふつうのに入ったあと、オープンMRIにまで掛けられたし。なんか細胞の隅々まで見られた気分だよ」
 
「その点、僕も疑問があったんだけど、千里やはり既に女の子の身体になってるんだね? 内診台にまで乗せられたって。内診台ってあの中を見るんでしょ?」
 
「そうだよ。貴司も一度乗ってみる?」
「男には《内側》が無いから内診台で見るべきものがないでしょ?」
「ふふふ」
 
千里は去年の秋なんて《内側》が無いにもかかわらず内診台に乗せられて観察されたな、というのを思い起こしていた。
 
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女の子たちの水面下工作(6)

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