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■女の子たちの辻褄合わせ(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-08-02
 
 
両軍整列して挨拶する。ティップオフはN高の留実子とM高の葛美で争い、留実子が勝って久井奈さんがボールを確保。攻め上がる。M高は千里に葛美がマークに付く。
 
右側に居た穂礼さんが敵陣に走り込む。久井奈さんがそちらにボールを投げる。が受け取ったのは左側からワンテンポ遅れて走り込んだ千里である。葛美がチェックに来る間もなくそこから撃つ。
 
入って2点。
 
試合はN高校の先制で始まった。
 
この試合、第1ピリオドでは、とにかく千里も暢子もよく走り回った。走り回ることで相手のマークを外すのである。毎日練習試合をして、お互いに手の内を知り尽くしている相手なので、相手を欺くような手はあまり通用しない。だからこの試合は運動量勝負だと千里と暢子は試合前に話し合った。
 
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千里のマークは葛美、暢子のマークは橘花がしているが、どちらもいつもより動きが鈍い気がした。あるいは厳しい戦いだった午前中のL女子高とのブロック決勝の疲れが残っているのかも知れないが、こちらは容赦はしない。相手が弱い所に付け込むのが、誠実さである。
 
結局第1ピリオドを終わって24対18とN高校がリードを奪う。
 
するとM高校は第2ピリオド、葛美・橘花・友子の主力を下げてしまった!?
 
「この試合を捨てて残り2試合に全力投球?」と暢子。
「まさか。何かの作戦だよ」と千里。
 
向こうは、PG.茉莉奈 C.月乃(本来PF) SG.伶子(本来PG) PF.蒼生 SF.宮子 というラインナップである。こちらも次の交替できるタイミングで千里と暢子をいったん下げて、透子と揚羽を出す。揚羽が点取り屋さんなので、点差は広がっていく。第2ピリオド終わって56対32とダブルスコアに近くなる。
 
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そして第3ピリオド、葛美・橘花・友子の3人がコートに戻る。すると、3人の動きが違う! どうも3人ともまだ疲れが残っているようだったので敢えて第2ピリオドを休ませて体力の回復を図ったということのようであった。
 
こちらも千里と暢子を戻すが、向こうがこちらの動きに結構付いてくる。
 
またこちらがディフェンスの場合、葛美−留実子、橘花−暢子、友子−千里、茉莉奈−久井奈、宮子−穂礼、とマッチアップしていたが、宮子がしばしば穂礼さんを振り切ってフリーになり、得点を奪っていくケースが見られる。あっという間に点差が縮んで、第3ピリオド半ばまでで66対52とぐっと詰め寄る。
 
そこで疲れが目立つ穂礼さんの代わりに雪子を入れる。雪子は巧いのでマークを簡単には外させない。しかし橘花・友子が練習試合では見せていなかったたくみな連携プレイで暢子・千里を振り切ってフリーになるケースもあり、第3ピリオド終了時点で72対62と、どちらに転んでもおかしくない点差となる。
 
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しかし向こうも必死だが、こちらも勝てばインターハイに行ける確率が高いので必死である。第4ピリオドは取りつ取られつのゲーム展開になる。
 
そして第4ピリオドはM高校がかなり追い上げたものの、それまでの貯金が利き89対84でN高校が逃げ切った。ほんとに辛勝という感じであった。
 
試合終了後あちこちでお互いにハグし合う姿が見られる。千里も相手主力全員とハグした。
 
ともかくもN高校は決勝リーグ第一戦で貴重な1勝を挙げたのである。
 

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「今日の試合はどちらも気合い入ってたね」
「全力戦だった。第1ピリオドを見て、主力3人を敢えて休ませたのは監督の英断だと思う。やはりL女子高との試合が激しかったから、体力が足りなかった感じ。第4ピリオド最後まで走り回れるように敢えて休ませたんだと思う。最後は試合が終わったら倒れてもいいという感じで全力出してた」
 
「こちらも必死だったけどね」
 
「試合終了後、いっぱいハグした」
「まあキスはしないのが、女同士だね」
「ああ。誰かさんはS高校男子との試合に出てたらキスしてたな」
「いや感動してセックス始めてたかも」
「コート上でセックスというのは前代未聞だな」
「チームが除名処分くらったりして」
「こわー」
「やはり千里を女子チームに移動させて正解だ」
 
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などとみんな勝手なことを言っている。
 
「でも疲れたぁ」
「これでインターハイ行けるかな?」
「明日午後のC学園戦に勝つのが絶対条件だけどね」
「C学園戦に賭けて、P高校戦は捨てる?」
「まさか。全力勝負」
「明日も頑張ろう」
 
「とにかく今夜は寝よう」
「うん。食べて寝るに限る」
 

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宿舎は男子が帰ってしまって、今日は女子だけである。北田コーチは男子生徒と一緒に帰ったが、白石コーチは力仕事の必要なものがあるかもということで残っている。なお、男子の部屋は午前中にキャンセルしたので、キャンセル料は不要であった(大会参加の中高生を受け入れる宿には、そういうルールの所が多い。午後にキャンセルすると9割のキャンセル料を取られるので夕方の試合で敗退が決まったりすると、お金も辛い)。
 
そして今日の晩御飯はスキヤキ(食べ放題)だった。
 
「お、今日も千里は積極的に食べている」
「お肉食べます!」
 
「家でも食べてる?」
「食べてるよ。叔母ちゃんが、どうしたの?って驚いてる」
 
「でも何か心境の変化あった?」
「うん。色々ね。でもやはり、筋肉付けても男みたいな身体にはならないと確信が持てたのもあるかもねー」
 
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「そりゃ睾丸が無いんだから、男みたいな身体になるわけない」
「筋肉付けて男みたいな身体になるんだったら女子スポーツ選手はみんなお嫁に行けなくなる」
 
「私、もうお嫁に行っちゃったしね」
「・・・・」
「細川君と結婚したの?」
「うん」
「すごーい!」
 
「このストラップが実はマリッジリング代わりなんだよ」
と言って千里は携帯に取り付けた金色のリングの付いたストラップを見せる。
 
「おぉ!」
「細川君とお揃いなの?」
「うん」
「やるなぁ」
 
「実は1月に結婚したんだよ。その時点でまだ17歳と15歳だったから、年齢が足りないけど、自分たちは恋人というより夫婦という意識でいようと」
「へー!」
「18歳と16歳になったら入籍すんの?」
 
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「それは自分たちが今のまま26歳と24歳になるまで恋人同士であったら入籍してもいいと細川君の両親からは言われた。でもさすがにそこまで恋人関係を維持する自信は無い」
「8年は厳しいかもね」
 
「でも、うちの学校、在学中に結婚してもいいんだっけ?」
「そのあたり微妙だったけど、忍ちゃんの奮闘で、今後は問題無く認められる可能性が高い」
 
「でも千里、妊娠しないように気をつけろよ」
「そうそう。今妊娠されたら困る」
「ちゃんと避妊してるから大丈夫だよ」
と千里は微笑んで答えた。
 

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「そういえば結婚といえばさ」
と暢子が言う。
 
「私の従姉がこないだ結婚したんだけどね」
「それはおめでとう!」
「いや、それが色々問題あってね」
「お姑さんとうまく行かないとか?」
 
「そういうこと以前の問題。実は赤ちゃんができたんで結婚することにしたんだけどね」
「まあ、多いよね、最近そういうの」
 
「結婚した相手と付き合い出したのは5ヶ月前。でも従姉は実は妊娠6ヶ月なんだよ」
「は?」
「でも旦那には妊娠5ヶ月ということにしている」
 
「それって・・・」
「うん。旦那の子じゃない」
 
「えーーー!?」
 
「でも1ヶ月程度の早産はよくあるからさ。このままばっくれるつもりでいるみたいだ」
 
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「うむむむむ」
 
「まあ1ヶ月の誤差だから、辻様合わせも何とかなるんだけどね」
「いや、そのくらいの時間差が限界だと思うよ」
 
「でも生まれた後で、血液型とかで、バレる可能性もない?」
「あ、それはうまい具合にどちらも同じ血液型なんだって」
「ほほぉ」
 
「でもこの社会、実際には7人に1人は旦那の子じゃないらしいよ」
「そんなに!?」
「いろんな国でDNA検査してみた結果というのがだいたい、どこでもその程度の数字になってる」
 
「今みたいに生殖技術が発展してくると100人に1人は奥さんの子じゃない、なんてことも起きうるかも」
 
「それ、どうやったら、そうなる!?」
 

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道大会は最終日に入る。
 
午前中は決勝リーグ第2試合である。最初9時から、橘花たちM高校とC学園の試合が行われる。この試合、橘花がC学園の武村さんのマークに付いた。C学園との戦い方は昨日P高校がやったように「武村さんに仕事をさせない」というのがポイントである。他の選手から武村さんにボールが渡らないようにする。ボールを持たれても中に入れないようにする。橘花は激しい運動量で完全にボールのパス筋を塞ぎ、武村さんを封じ込んだ。
 
一方で友子は快調にスリーを入れるし、相手の守備にちょっとでも隙間があるとすかさず宮子が侵入していって着実にゴールを奪う。
 
それでM高校はC学園に83対27の大差で勝った。
 

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続いて10時から千里たちN高校と《女王》P高校の試合が行われる。昨年秋の道大会でも、2月の新人戦でも決勝で当たって負けた相手である。佐藤さんはやはりまだ怪我の状態が良くないのかベンチにも入っていないが、それ以外の主力組は全員揃っている。向こうとしてはインターハイの前哨戦くらいの気持ちかも知れないが、こちらは全力戦になるだろうと覚悟して臨んだ。
 
整列して挨拶して試合開始。ティップオフは向こうが取って即攻めて来る。こちらは最初敢えてゾーンで守る。するとシューターの尾山さんがスリーポイントラインの外側から撃つが入らない。リバウンドを留実子が確保して反攻。
 
千里のマークにはC学園の武村さんのマークにも付いていた片山さんが付く。向こうはこちらの動きをかなり研究してきているようだが、千里の運動能力が新人戦の時からは格段に上がっている。それで片山さんはしばしば千里に振り切られていた。
 
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それで第1ピリオド途中から、片山さんと交代で1年生の猪瀬さんが入り、千里に付いた。彼女は身体も大きく身体能力があるので、千里の動きに何とか付いてくる。
 
しかしこういう相手には千里は相手の一瞬の意識の隙を狙って、相手の眼前から消えてしまう。それで「あれ?あれ?」と向こうがこちらを探している間に、久井奈さんからのパスを受けて、千里はもうシュートを撃つ体制である。
 
結局、第1ピリオドを終わって、20対24とN高校がリードする展開となった。24点の内15点は千里がスリーで稼いだ点数である。
 
第2ピリオドになると、佐藤さん不在の中でP高校の得点の多くを稼いでいた宮野さんが千里のマークに付いた。向こうとしてはとにかく千里を封じないことには、下手すると負けるというので必死だ。しかし千里はほんとにグレードアップしていて、スピードもあるし気配のon/offも進化しているので、宮野さんでも完全に封じることはできない。それでも第2ピリオドは千里のシュートを3割は叩き落とし、千里の得点は9点に留まった。しかし宮野さんが千里に付いていると暢子が片山さんのマークを振り切って得点するので、結局第2ピリオドが終わっても、38対44とむしろ点差が開いてしまう。
 
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第3ピリオド、とうとうP高校は、千里に片山・猪瀬のダブルチームを付けて暢子に宮野さんが付くという体制で来た。残りの2人でN高校の残りの3人に対抗するというリスキーな戦略である。
 
ここでN高校は穂礼に代えて体力に余裕のある雪子を投入する。すると千里・暢子の2人が封じられていても、久井奈−雪子のラインで得点を稼ぐので、N高校の勢いは止まらない。それでもやはり第2ピリオドまでほどの差にはならず、向こうも必死で得点していく。尾山さんのスリーも調子良く決まる。
 
それで第3ピリオド終了時点で60対62と2点差に詰め寄られた。
 

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