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■女の子たちの初体験(8)

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ライブは4つのアマチュアバンドが共同で開いたもので、田代君たちのバンドはその3番目ということであった。最初のバンドはGt/B/Dr/Keyという4ピースバンドで、ベースの人がボーカルなのだが、かなりの音痴だ! しかし演奏自体のノリはいいので、みんな手拍子を打ちながら聴いていて、結構盛り上がった。
 
2つ目のバンドは同じく4ピースバンドだが、Gt1/Gt2/B/Drという構成だ。田代君たちはGt/B/Dr/Voの4ピースだし、4ピースバンドにも色々あるんだなと思いながら千里は聴いていた。
 
その演奏が終わりの方まで来た頃、肩をトントンされる。
「おはようございます、毛利さん」
「おはようございます、醍醐さん」
 
それは雨宮先生の関係者(大学時代の後輩らしい)毛利さんだった。
 
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「お仕事ですか?」
「うん。今日のライブの4番目に出てくるバンドが有望らしくてね。偵察」
「毛利さん、スカウトとかもするんだ?」
「毎年たくさんスカウトしてデビューさせてるよ」
「ほんとかなあ」
 
暢子が首を傾げているので
「こちら作曲家の毛利五郎さん」
と紹介する。
「有名な人? 私、ポップスの方はあまり知らなくて」
と暢子。
「ああ、無名な人だから心配しなくてもいいよ」
 
「今無名だけど、その内有名になるから」
などと言って毛利さんはその場に居た5人全員に半ば強引に名刺を配った。
「君たち、もし歌を歌った録音とかあったら送ってよ。君たちみたいな美人ならデビューできる可能性あるよ」
などと言っている。
 
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「毛利小五郎じゃないんだ!?」
「あれは名探偵」
「いや迷う探偵」
「毛利五郎さんは迷う作曲家」
「醍醐さん、言葉がきついなあ。こないだはおごってあげたのに」
「話の聴き賃で」
 
「だいご?」
「うん。私のペンネーム」
と説明した上で、
「相棒の葵が、次のバンドのボーカルやりますよ」
と千里が言うと、毛利さんは
「お、それは見なければ」
などと言っている。
 

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やがて田代君たちのバンドが出てくる。ギター・ベース・ドラムスの3人の演奏をバックに蓮菜が歌っているが、千里はドラムスがもう少しうまければいいのに、と少し惜しい気がした。ハイハットやバスドラの打ち方が不安定なのである。それでどうもベースの人がリズムキープしている雰囲気であった。このバンドではドラムスを聞いてしまうと歌えない!
 
「あのボーカルいいね」
と毛利さんが言う。
「可愛いし、結構うまいし、スカウトしちゃおうかな」
 
「葵はスカウトには応じませんよ。彼女、東大医学部の志望だから、歌手とかにはなりませんよ」
と千里が言うと
「ひぇー。東大医学部って、そんな才媛なんだ?」
と言っている。
 
「うちの学年でもいつも成績でトップ争いしてますから」
「あんなに可愛いのにもったいない」
 
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もったいないのか!?
 
「歌より美貌ですか?」
と暢子から質問が出る。
 
「当然。歌唱力より顔が重視されているのは、今の歌謡界見たら分かるでしょ」
「でも美人だからといって売れてる訳でもない気が」
「むしろ凄い美人はまず売れない」
 
「まあ実際には売れる子に法則性は無い」
と毛利さんは言う。
「絶対に売れないパターンは幾つかあるけどね」
と更に付け加える。
 

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やがて田代君たちの演奏が終わり、最後のバンドの演奏が始まる。
 
「なるほどー。これは毛利さん、わざわざ札幌まで来た甲斐がありましたね」
と千里は言った。
「うん。この子たち凄くいい」
 
Gt1/Gt2/B/Dr/Key/Vo という6ピースバンドなのだが、演奏者がみな上手いしボーカルもとてもうまい。プロですと言われても信じるよなと千里は思った。ポップスは分からないと言っていた暢子も
 
「私、このバンドは凄くいいように聞こえる」
などと言う。
「いや、この人たち上手いよ」
と橘花も言う。
 
「ボーカルの人の音域が広いですね」
と雪子。
 
「うん。2オクターブ越えてる気がする」
と千里。
 
「よし。この子たちを楽屋に戻ってきた所でキャッチしよう」
と言って毛利さんは千里たちに別れを告げ、バックステージの方に行ったようであった。
 
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この最後のバンドの演奏があっていた最中に蓮菜も千里たちを見つけて客席にやってきた。
 
「お疲れ様〜」
「そうそう。東京のスカウトさんが、蓮菜をスカウトしたいと言ってたよ」
と言って暢子が自分のもらった名刺を蓮菜に渡す。
「えーー!? でも私、勉強があるから無理」
と蓮菜。
 
「そう言って私が断っておいたから」
と千里。
「親切だな」
と蓮菜は少しがっかりしたように言う。
 
「雨宮先生の後輩だから、連絡はいつでも取れるよ」
「なーんだ」
「多分雨宮先生以上に連絡が取りやすい。雨宮先生にこちらから連絡が取れないのは、どうも業界では有名みたい」
「へー」
 

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千里たちがラーメンを食べて帰るというと、蓮菜も一緒に行くと言う。
 
「田代君とデートするんじゃないの?」
「うん。別に私たちは恋人じゃないし」
 
「え?」
「恋人だとばかり思ってた」
「恋人にしか見えんかった」
「じゃただのバンド仲間?」
 
「うーん。セフレかなあ」
と蓮菜が言うと
「えーーー!?」
という半ば驚き、半ば非難の声があがる。
 

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それで結局蓮菜も入れて7人でラーメン屋さんに入り、オホーツクラーメンというのをみんなで頼む。千里は最初から蓮菜や暢子に少し麺を移させてもらう。
 
「だけど最後に出て来たバンド、ほんとに上手かったね」
「みんな良く練習してる感じだった」
「あれ、やはり、たくさん練習してるのかなあ」
「元々上手いのかも知れないけど、それでもたくさん練習してると思う」
「やはり上手な人がたくさん練習するから、それだけ上手くなるんだよ」
「それと、多分良い音楽を聴いてるよね」
「あ、それあると思う。やはり良いものを吸収するから自分たちのセンスも上がる」
 
そんな話をしていた時に、橘花が何か考えているようである。
 
「どうしたの?橘花」
「いや、今の話ってさ、そのままバスケにも置き換えられない?」
と橘花。
「うん、私も思った」
と暢子。
 
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「ね、N高とM高で定期的に練習試合やらない?」
「私もチラッとそれ考えた」
 
「やはりJ学園・P高校みたいな所だって、ああやって強い所と練習試合やって自分たちを鍛えてる訳じゃん。私たちはとてもあのレベルには負けるけど、私たちなりに高めあえるものはあると思う」
「よし、持ち帰って顧問に相談しようよ」
「でも定期的にってどのくらい?」
 
「毎日だな」
と暢子。
「えーーー!?」
 
「私も毎日というのに賛成」
と橘花。
 
「でもいつから?」
「明日から」
「えーーーーー!?」
 
それでその翌日の日曜日から、N高校とM高校は毎日夕方7時から練習試合をすることになるのである。
 
インターハイ予選(道大会)は1ヶ月後である。
 
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月曜日、練習疲れでまたまた千里は女子制服を着て学校に出て行った。お弁当を食べた後、その日も音楽練習室に行こうと廊下を歩いていたら、また野球部の男の子がいる。何だか緊張した顔をしている。千里は笑顔で「こんにちは」と挨拶した。
 
すると彼は何やら封筒を千里の前に出して「あのぉ、読んでもらえませんか」と言う。へ?と思い受け取ると、なんとラブレターであった。
 
「ごめーん。私、恋人がいるから、これは受け取れない」
「わあ、そうなんですか。彼氏もここの生徒ですか?」
「ううん。別の高校だけど、中学の時のバスケ部の先輩なんだよ」
「そうだったんですか。バスケうまいですか?」
「うん。全然叶わない。君も今はまだ控え組にも入れないみたいだけど、練習しっかりしてれば甲子園に行けるかもよ」
「そうですね。頑張ります」
「うん。頑張ってね」
 
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彼はお辞儀をしてとぼとぼと去って行った。
 
それをどうも見ていた風の蓮菜が寄って来た。
 
「頑張って勇気出して告白したんだろうけど残念だね」と蓮菜。
「まあ恋愛は先着優先だから」と千里。
「横取りはあるけどね」
 
そう言った蓮菜の言葉に千里は何か引っかかりを感じた。
 
「だけど、ああやって告白できる子自体が実は少数だよね」と千里。
「うん。中高生の恋愛って、告白もできずにただ片想いって子が大半。私たちみたいなのは、むしろやりすぎ」と蓮菜。
「そうなんだよね。小学校の頃から私たちのグループって恋愛に積極的だったから、そのあたりの感覚が他の子とずれてるのは感じる」と千里。
 
「私も小学3年生の時、初めて2つ上の男の子に告白した時は凄い勇気が要ったよ」
「私は小学3年生の時に近所のカナダ人の男の子から告白された」
「私たちって早熟だったのかもね」
「かもねー」
 
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「でもあの子、千里の性別は知らないんだろうね」
「私の性別、3年生でも知ってる人少ないみたい」
「もっとも2年生でも半分くらいの子は千里は女の子だけどなぜか男子制服を時々着てると思っている感じ」
「うーん・・・」
 
「今日で11日連続女子制服だね」
「うむむむ」
 

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「昭ちゃん、可愛いよ」
「似合ってる、似合ってる」
「そうですか?」
 
と答える昭一はもう真っ赤になって恥ずかしがっている。彼は一応男子バスケ部の部員なのだが、シューターの素質があるので千里のシュートをたくさん見て覚えたほうがいいというのと、これまであまり運動をしていなかったので体力が無く男子の練習に付いてこれないというのもあり、現在暫定的に女子と一緒に練習をしている。
 
彼はしばしば女子部員たちのおもちゃにされていたのだが、今日はとうとう女子更衣室に連れ込まれて、スカートを穿かされてしまったのである。
 
「そのスカート貸してあげるから、このままおうちに帰ってもいいよ」
「勘弁してください!」
 
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と言いつつ、昭一は顔は嬉しそうな顔をしている。元々そういう傾向のある子なのだろう。
 
「でもスカート穿くの別に初めてじゃないでしょ?」
「初めてです!」
「じゃスカートに慣れよう」
 
「最初は恥ずかしいかも知れないけど、すぐ慣れるよ」
「誰でも最初のスカートは緊張するかも知れないけどね」
 
「スカート初体験なら、次は女の子パンティ初体験かな」
「その次はブラジャー初体験で」
「お化粧初体験もいいよね」
「やめてくださいよぉ!」
 
言葉では嫌がっている風でも顔は明らかに期待に満ちている。それで女子たちの言葉(妄想)も暴走する。
 
「それにハマると脱毛初体験」
「その内、去勢初体験」
「去勢は初体験もなにも1度しかできないのでは?」
「2度去勢した人を知ってる」
「それはまた不思議なことを」
「最後は性転換初体験」
「性転換こそ2度はできないでしょ?」
「世の中には3度性転換したなんて人もいる」
「それは無茶しすぎ」
 
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女の子たちのそういう暴走気味の発言の中でスカートを穿かされた昭一はほんとに恥ずかしそうに俯いていた。
 
 
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