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■女の子たちの初体験(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-07-18
 
「私とうとう初体験しちやった」
と京子は言った。
 
その言葉を、その時居た友人達(蓮菜・鮎奈・千里)は意外に感じた。
 
「香取君と?」
と鮎奈が訊くと
「うん」
と言って頷くが、何だか照れていて可愛い。
 
「香取君《とは》初めてってことかな?」
「ううん。私、男の子としちゃったの初めて」
「嘘。京子、とっくに体験しているものと思ってた」
「だって乱れ牡丹とか松葉崩しとか教えてくれたの京子だよ」
「クラブサンドイッチとかデイジーチェーンとか」
「私、耳年増なんだよー」
「なるほどー」
 
「でもどこでしたの?」
「ホテルに行っちゃった」
「お、凄い」
「偉いな。私なんか初体験は体育館の用具倉庫だったのに」
「そんなところでするのって危険!」
 
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「で、どうだった?初めての体験」
「凄く良かった」
「ああ、気持ちよくなれたのは相性が良いということ」
「そうそう。何も感じないとか苦痛だったとかいう子も多い」
 
「彼のをやさしくやさしく舐めてあげたら液体が飛び出してきちゃってびっくりした。最初おしっこ漏らされたのかと思って」
「あはは」
「彼すごく感動してるみたいで、強く抱きしめてキスしてくれたの」
「へー」
 
「避妊具はちゃんと使ったよね」
「ええー、使ってない」
「それダメ!」
「絶対付けさせなきゃ」
「妊娠したらどうすんのよ?」
「こないだの忍ちゃんの騒ぎ、他人事じゃないんだから」
 
「だって買うの恥ずかしくて」
「京子らしくもない」
「おやつや何かと一緒に買えば気にならない」
「京子が買わなくてもいいから、ちゃんと彼に買わせなきゃ」
「でもお口に精液入っても妊娠しないよね?」
 
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「・・・・・」
 
「ねえ、京子、フェラした後で、彼のをヴァギナに受け入れたんだよね?」
「え?ヴァギナには入れさせてないよぉ、だってそんな所に入れるの怖いじゃん」
 
「ちょっと待て」
 
「まさか、ホテルに行ったのにフェラしただけ?」
「あ、うん。フェラして出ちゃったから。あれって1度出ると翌日までもう大きくならないんだって」
 
「そんなことない」
「30分も休めばまた立つ」
「え?そうなの?」
「千里並みに弱い子なら1日に1度しか立たないという可能性もあるが」
「いや、千里は1度も立ったことないはず」
「いや、千里はそもそも立つようなものがなかったはず」
 
「じぉ結局、ヴァギナは使ってないんだ?」
「うん」
 
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「京子、それまだ初体験は成立してない」
「えーーー!?」
 

千里たちの学校では通常の部活は夕方18時で終了なのだが、バスケット部、ソフトテニス部、野球部、スキー部だけが特例で19時まで練習できる。更に2007年春は、バスケット部の宇田先生の努力で取り敢えずインターハイまでの期間超特例で20時までの練習が認められていた。バスケ部が20時まで練習を認められたことを聞いた野球部の監督も、だったらうちもと訴えたので野球部も甲子園までの期間、やはり20時までの練習が認められた。この時期、この2つの部だけが20時まで練習していた。
 
ある日、千里が練習終了後、制服(女子制服)に着替えてから、暢子や留実子たちと一緒に帰ろうとしていたら、廊下の交差するところで横から走ってきた男の子と千里がぶつかってしまう。
 
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「ごめんなさい」
「いや、こちらもごめんなさい」
 
とお互い謝ったが、千里にぶつかってきた丸刈り頭で野球部のユニフォームを着た男の子は何だか千里に見とれているような感じであった。
 

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「だったら本当に去勢しちゃえばいい」
と雨宮先生は言った。
 

千里はゴールデンウィーク前半の4月28日。雨宮先生から突然呼び出されて京都に行き、新人歌手・大西典香のデビューアルバム用の曲を2曲書いたのだが、その後、5月12日の土曜日、今度は蓮菜と一緒に、雨宮先生から「ちょっと《制服を着るか持つかして》京都に来て」と言われた。
 
先日作った大西典香のアルバムが葵祭りに絡む作品で、今日はその葵祭り当日なのでその関連だろうか、と話し合い、2人とも制服(女子制服の冬服)を着て旭川空港に行く。
 
「千里、最近女子制服を着た時の照れが無くなってきた気がする」
と蓮菜に言われる。
「そうかな?」
「以前は女子制服を着ている時、ちょっと恥ずかしそうにしていたのに最近は普通に着ているんだよね」
「うーん。確かに最近何だかよく着ている気がするし」
「そろそろもう男子制服を着るのやめたら?」
「そういう訳にもいかないよ」
「もう、みんな千里は女子制服を着ているのが普通と思ってるよ」
「うーん・・・」
 
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雨宮先生が予約だけしといたよと言っていた12時発の関空行きの飛行機に乗った。千里は「これは去年の夏に貴司たちがインターハイに行くのに乗った便だ」というのを思い出していた。
 
あの時ヴァイオリンもらったのに・・・・その後、あまり練習してない!
 
私って本当に練習が苦手だなあ、などと千里は思うが、本人は自分が《飽きっぽい》性格であるという自覚があまり無い。
 
14時半に関空に到着するが、関空から当然京都方面に移動するつもりでいたら、空港に着いてから携帯の電源を入れると「和歌山行きに乗って」というメールが来ていた。
 
なんか嫌な予感がするね、などと言いながら阪和線で和歌山に移動する。到着したのは15:42だった。駅で待っていたのは、雨宮先生ともうひとり50代の男性で《∞∞プロ代表取締役・鈴木一郎》という名刺をくれる。
 
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「お早うございます。お初にお目に掛かります。醍醐春海とこちら葵照子です。あいにく名刺を切らしておりまして」
と千里は言った。
 
「あ、名刺作ってるの?」
「いいえ」
「面白い子だね」
「ええ。変わってると友人みんなから言われます」
「ははは、こういう子、僕大好き」
 
取り敢えず駅の近くのレストランに入り、お話ししたが、話の内容は先日日米2000本安打を達成した松井秀喜の話に始まり、創設された野球のBCリーグの話、更にサッカーの話などに終始して、あまりその方面の知識が無い千里は話が頭の上を飛び回っていたが、蓮菜は結構詳しいようで、普通に会話に参加していた。
 
「でも松井も凄いですけど、イチローも凄いですよね」
と千里はかろうじて持っている知識で何とか話に加わる。
 
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「社長と名前が似てますよね」
と蓮菜。
「そうそう。彼も鈴木一朗だけど、朗の字が違うんだよね」
 
「だけど、鈴木一郎なんて、よく書類の書き方サンプルなんかに使われる名前じゃん。だから僕がどこかに登録するのとかに名前書くと『まじめに本名書いてください』と注意されることが良くあったよ」
「なるほどー」
「きっと、向こうのイチローさんも同じ苦労してそう」
 
「でも社長は長男ですか?」
「そうそう。うちの親父が長男は一郎でいいだろうと言って、お袋の反対を押し切って付けちゃったらしい」
「野球のイチローは次男よね」
「えーーー!?」
その話を知らなかった千里が驚く。
「あの家は男の子には全部一という字を付ける。お兄さんは一泰」
「へー!凄い」
と千里が本当に驚いたように言うと、社長は楽しそうである。
 
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最後の方になってから、突然大西典香の話になる。この業界の打合せでは90%の時間を世間話に費やして最後になって短時間で商談をまとめることがよくある。
 
「そうそう。これ、君たちにも1枚ずつあげるね」
と言われて、この日発売の大西典香のCDを頂いた。
 
「ジャケットも完璧に京都ですね」
「うんうん」
 
大西典香が金閣寺をバックに涼しげな夏の装いでギブソンのレスポールを持って写っており、五山送り火、清水の舞台、京都タワー、そして上賀茂神社の立砂なども写っている。
 
「これ和服着せたら、演歌のCDと間違われそう」
「そうそう。だから洋服を着せてギターまで持たせた。制作に協力してくれた観光協会からはぜひ浴衣でと言われたんだけどね」
と鈴木社長は言う。
 
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「あれ?この曲の作詞作曲クレジットが」
「あ、ごめーん。その件、バタバタとしてて、連絡するの忘れてた。事後承諾でお願いしたいんだけど」
「はい」
「大西典香の作詞作曲に関しては、共同名義にしようということになって」
「それが、この鴨乃清見ですか」
「うん。賀茂神社と清水寺から取って、鴨長明(かものちょうめい)に引っかけたんだけどね」
「最初、鴨乃清明にしたんだけど画数が悪いというので鴨乃清見に変えたのよ」
「安倍晴明(あべのせいめい)にも引っかけるつもりだったんだけどね」
 
「印税はちゃんと遅滞なく配分するから」
「それでしたら名前は別に構いませんよ」
 
「実はこのプロジェクトはどうも京都絡みの人が多く関わっていてね。今回そもそも京都の観光案内の番組だったし、君たちの本来のペンネーム、醍醐・葵ともに京都に馴染みの深い名前」
「確かに」
「雨宮先生と鮎川さんが舞鶴の生まれ」
「ああ、同郷だったんですか!」
「そそ。それで最初意気投合したのよ」
「宝珠さんはお母さんが京田辺市の出身」
 
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「ほうじゅ?」と千里は訊く。
「きんたまちゃんね」と雨宮先生。
「は?」と蓮菜。
 
「新島さんはご本名が大谷さんなんですよね。別に本願寺とは関係無いのですが」
 
「大西典香自身もお祖父さんが同志社を出てるんですよ」
「なるほどですねー」
 

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1時間ほど話してから
「また今後もよろしく」
と言って社長は蓮菜・千里と握手をして帰って行った。
 
残った雨宮先生がふたりに訊く。
「あんたたち、おひな様の元祖、見たことある?」
 
「元祖ですか?」
「見たことないね。じゃ、連れて行ってあげる」
と言ってふたりを駐車場に連れて行く。
 
「あれ?今日はフェラーリじゃないんですか?」
「うん。フェラーリのリアシートだと長時間のドライブは辛いだろうと思って友人のクラウンマジェスタを借りてきたのよ」
 
千里と蓮菜は顔を見合わせる。
「あのぉ、そのおひな様の元祖って遠くですか?」
「ううん。30分くらいよ」
「ということは、その先に長時間ドライブが待っているんですか?」
「ふふふ。それは乗ってみてからのお楽しみで」
 
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千里と蓮菜は再度顔を見合わせてしかめ面をした。
 

取り敢えず乗り込むが、マジェスタのリアシートはとっても快適である。フェラーリ612スカリエッティのリアシートもあのタイプの車にしては快適なのだが、やはりマジェスタはゆったりしている。しかし長時間ドライブってどこに行くんだ? もしかしてここから京都まで?などと千里は考えていた。
 
車は最初はかなり「まとも」な道を走っていたが、やがて海岸が見えてくると、マジェスタのような大きな車で通るには、かえって不安になるような狭い道を走る。そして小さな神社の小さな駐車場に無理矢理な感じで駐めた。
 
「ここ、こんな大きな車を駐めて良かったんですか?」
「枠からははみ出てないわよ」
 
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確かにマジェスタは駐車場の枠にぎりぎりで入っている感じだ。とにかくも境内の方へ行く。千里は何かを感じて自然に霊鎧をまとった。
 
「蓮菜待って。先生も」
と言って、千里はいつも持ち歩いている塩を2人に掛けた。自分にも掛ける。
「何かあるの?」
「用心です」
 
そして境内に入って、蓮菜も千里も絶句した。
「何これ〜〜〜!?」
「壮観でしょ」
 
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