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■女の子たちのベビー製造(7)

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「でも先生もずっと書いておられるようですし、今回何曲用意するんですか?」
 
「ゆまにも2曲課題にした。今、洛北のホテルで頑張って書いているはず。あの子には京都市内のツーデイパス(2日乗車券)を渡した」
「わぁ」
「ゆまのお友だちで、作曲センスのある、キンタマ子ちゃんって子にも1曲書かせている」
 
「は?」
「ああ。名前はちゃんとあるんだけど、キンタマってアダ名があるのよ」
「えっと、男の娘さんですか?」
「残念ながら、ゆまの同類。男の娘じゃなくて、女の息子さんって感じ。本人は否定してるけどFTXっぽい雰囲気。でも格好良い女子だよ。その子もサックスを吹く。私は指導してないけどね」
「へー」
 
しかし雨宮先生の周辺には性別の微妙な人が多いんだな、と思ってから自分もそうか!と気付いて千里はつい微笑んだ。
 
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「全部で10曲くらいですか?」
「そうそう。私が3曲、鈴世(雨宮先生の後輩の作曲家)が2曲、ゆまが2曲、キンタマが1曲、千里が2曲。今回全部女性作曲家で固めたかったんで、あんたも引っ張り出したのよ」
「アルバムなんですね」
 
「大西典香については、シングルではなくアルバムでデビューさせようという方針なんだよ」
「変わったことしますね」
 
「凄く実力が高いから、高い年齢層にもアピールするはずという考え方でね。20代後半より上の層はシングルは買わない。むしろアルバムを買う」
「実力者シンガーということですか」
 
「で、ちょうど葵祭のスペシャル番組があるんでね。まあ葵祭りを軸に京都の観光案内をするような番組なんだけど。その音楽をまるごとこの子に歌わせようというので、今回急遽アルバム制作することにしたのよ」
 
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「えっと・・・葵祭って確か5月でしたよね」
「5月15日」
「それを今作るんですか〜?」
「今日から音源製作に入る」
「ひぇー。何て無茶なスケジュール」
 
「スペシャル番組はその前の12日・土曜日に放送する。その撮影は昨日から今日に掛けて市内あちこち飛び回ってやっている。それで今日の夜から音源製作に入って5月6日までに音源製作を終えて、番組の放送日12日にアルバム発売。実際には配送の関係で金曜日に届くように配送しなければならないから10日木曜日に発送」
 
「4日間でプレスできるんですか?」
「やらせる」
「なんか3月の富士宮ノエルちゃんの時より更に無茶なスケジュールですね」
 
「まあ本当は夏頃までに楽曲を準備して秋頃デビューの予定だったんだけど、突発事態が起きてね。松田聖子なんかもそうだけど、そういう突発事態で売り出した子って、結構化けるものなのよ。だから行こうということになった」
「へー」
 
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「実は葵祭スペシャルは別のタレントさんがやることになっていた。そのために別の作曲家さんが書いたアルバムも制作されていた。プレスも5万枚されていた。廃棄しないといけないから凄まじい損害が出る」
「どういうトラブルですか?」
 
「近い内に大騒動になると思うけど、その作曲家がクスリやってたんだよ。今警察が逮捕に向けて証拠固めしている最中」
「そんな情報が周辺に流れてるんですか?」
 
「だってその人の周辺、今警察から徹底的に取り調べられてるんだもん。それで本人も実はクスリやっていたことをレコード会社の幹部に告白したんで急遽選手交代になったのさ」
 
「わあ」
「多分逮捕者は10人以上出る。有名バンドのメンバーもいるよ」
「ぎゃあ」
 
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「だから急遽、こちらに話が回ってきた。結果的にレポーター役も交代。ちょっと可哀想だけどね。その作曲家の愛弟子だもん。その子はクスリはやってないみたいだけど。それで、前の子がやってた役をそのままやらせるから2日で番組の撮影もできたけど、ほとんど生番組に近い作りになったみたい。でも新人を売り出すにはかえって良いかも知れないよ。少々のセリフミスとかはむしろ愛嬌になるし」
 
「それはありますね」
 

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千里は雨宮先生の作業が一段落した所で、楽曲の修正をしたいから少し寝ててと言われて、シャワーを浴びて、ベッドに入る。襲われたりしないよな?と少し不安ではあったが、襲われたら慰謝料請求しちゃろと考えて、とにかくぐっすりと眠った。目が覚めたらもう15時だった。
 
「こちらはだいたいまとまった。あんたの楽曲を見ようか」
と言って、一緒に楽曲を検討しながら多少の修正なども入れていく。だいたい赤いボールペンで修正を入れていったが、やや大きな修正点に関しては、新たに五線紙に書き出したりした。
 
昨日書いた『古都の夕暮れ』と今日書いた『My Little Fox Boy』の2曲の修正が終わったのは、16時頃である。
 
念のため明日の夕方まで待機しておいてと言われて、雨宮先生が別の(普通の)ホテルの予約を入れ、千里はそちらに移動し、先生は音源製作のスタジオに入ることになる。
 
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「旭川に戻れる最終便は伊丹を18:30に出る新千歳行きに乗ることみたいね。それで23:30に旭川に戻れる」
「ではそれで帰ります」
「うん。じゃ予約入れるね」
 
連休なので取れるかどうか不安だったが、うまく予約できたようであった。
 
「私のカードで決済したい所だけど、それだとそのカード持って行かないとチケットが受け取れないから、空港で現金で自分で払って」
「はい」
「あんた、来る時いくらくらい使った?」
「えっと、きちんと計算してないですけど、航空券が37000円くらいと新幹線が5000円くらいでした」
 
「この帰りのルートは乗換案内では44210円と表示されるね。じゃ概略で少し余裕持って12万渡しておく。後できちんと計算してみて足りなかったら精算。余ったらそのままもらってていいや。その分まで入れて経費で落とすから」
「分かりました」
 
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それで先生は千里に1万円札を12枚渡した。
 

「でも先生、現金でたくさん持っておられるんですね」
「この業界は現金主義の人が多いからさ。結構な高額を現金で決済する必要がある場合も多い」
「なるほどー」
「いつもだいたい40-50万円は持ち歩いてるよ」
「すごーい」
「女の子何人か誘って飲みに行って一晩で無くなっちゃったこともあるけど」
「どういう飲み方したら40-50万が一晩で無くなるんですか!?」
「さすがに覚えてない」
「ああ」
「朝目が覚めたらホテルに居て、同じベッドに女の子3人裸で寝てて、お金はホテル代を精算する程度しか残ってなかった」
 
「乱れた生活してますねー」
「あんたともちょっと遊ぼうかと思ったけど、気力が無かったからやめといた」
「・・・・もしかして触ったりしました?」
「パンティの上から触ったけど、女の子みたいなお股だった」
「えっと・・・」
「あんた性転換手術したんだっけ?」
「秘密です」
「まあ、いいや。さすがに今日は私もしんどい」
 
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それで先生が車で千里を今夜泊まる京都駅南側のホテルに送ってくれて、先生はそのままスタジオに入ったようであった。千里はホテル近くのコンビニで食料や飲物を調達してから、とりあえずベッドに入った。
 

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夜21時頃に携帯の着信で起こされる。作業用にパソコンを1台人に持たせたからと言われた。それから30分ほどして、若い男性から雨宮先生に頼まれたのでという連絡が入る。千里は簡単に身支度を調えてロビーに降りた。
 
「あ」
「あ」
 
その男性は昨日京都タワーでしつこく千里をナンパしていた男性であった。
 
「雨宮先生の関係者だったんですか?」
「あんたが醍醐さん?」
「変なナンパ男と思った」
「醍醐さんって、もっとおばちゃんかと思った」
 
お互いに非友好的な会話をしたが、取り敢えず握手をしておいた。
 
「いや、あの日は最初、あんたを迎えに行ったものの、予定が変わって迎えなくてもよくなったと言われたんで、誰か可愛い子居ないかなと思って物色してたんだけどね」
「結局ナンパですか?」
 
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「あ、これ僕の名刺」
と言って彼は名刺をくれた。《音楽家・毛利五郎》と書かれている。
 
「毛利小五郎?」
「いや、五郎」
「あ。《小》の字が無いや。音楽家って楽器なさるんですか?」
「いや、ピアノとかエレクトーンとかギターとか習ったけど何にも物にならなくて、ドラムスやらされたこともあるけどリズム感悪いんで5分でクビになった。今は打ち込み専門。実は音痴なんで、歌もボカロイドばかり」
「それでも音楽家ができるんだ! あれ?昨日ギター弾くって言ってませんでした?」
「弾くけど上手には弾けない」
「なるほどー」
 
「一応アイドルとかの曲を年間20-30曲書いてるんだけどね。今回は女性作曲家で全部やるということだったから、出番無し、使い走り専門」
 
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毛利さんが持って来てくれたサブノートパソコンにはCubaseとメール環境がインストールされていた。パスワードだけ自分で設定してと言われたので設定しておく。このホテルは有線のLANが導入されていてネットにアクセスすることができる。
 
そのCubaseのシステムに既に4曲楽曲が入れてあったが、その後メールで次々と楽曲のデータが送られてくる。そして
 
「『賀茂の少女』をあんたの感覚でチューニングアップして」
などと言われる。
「私の感覚でいいんですか?」
「ここはできるだけ若い感性が欲しいんだよ。必要なら歌詞やメロディーも多少修正していい」
「分かりました」
 
何度かのやりとりをした時、千里は唐突に雨宮先生に言った。
「作詞作曲のクレジットは先生のお名前ですか?」
「ううん。あんたたちの名前にするよ。作詞:葵、作曲:醍醐で」
「それに下の名前を付けてもいいですか?」
「ふーん。どんな?」
「作詞:葵照子、作曲:醍醐春海。実はあの後、作詞者とふたりで葵とか醍醐だけだと短くて落ち着かないよね、という話をしていたんです」
「ああ、別にいいよ」
 
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ということで、葵照子・醍醐春海という名前がこの時に誕生した。
 

雨宮先生は、スタジオから離れた場所にいる千里に、敢えて騒然としたスタジオでは得られない感覚での楽曲チューニングを期待したようであった。
 
「でも雨宮先生、ほとんど寝ておられないでしょう? 大丈夫ですか?」
と千里は本気で先生の体調を心配して言った。
 
「終わったら3日くらい、ひたすら寝るよ。まあ1人の歌手をデビューさせるというのは、自分の子供を産むようなものだから」
 
千里は雨宮先生が既に睾丸を1個除去していることを知っている。残りの睾丸1個は精子を生産しているのであろうか?
 
「確かにそのくらい大変なことなんでしょうね」
「歌手は本当に子供と同じだよ。産んだ子供は育てていかなきゃいけない。楽曲を提供し続けなきゃいけないし、人気が出るようにあれこれ骨を折ってあげないといけない」
 
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「ほんとに子育てですね!」
 
と言って、千里は京平に「母親になってあげるよ」と約束したのは少し安易だったかなと反省した。
 
「千里ちゃんさ、特に私たちみたいな種族って、自分の遺伝子は残せない可能性が高いじゃん」
「あ、はい」
「だから、私、こういうのには余計力が入るのかも知れない」
「何となく分かります」
 
「もっとも私は睾丸取る前に精子を冷凍保存しているから、それで子供を作れる可能性はあるけどね」
「わ、凄い! それってどのくらい持つんですか?」
「半永久的に持つという話。ただし専用の冷凍施設にずっと保管しておかないといけないから、費用は掛かるけどね」
「費用って?」
「冷凍精液1本につき年2万円」
「わっ高い!」
「私はそれを10本作った」
「すごーい」
「女の子10人に双子で産んでもらうと20人子供が作れる」
「そんなに作ってどうするんですか!」
 
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「野球チームを2つ作る。今DHだから1チーム10人必要じゃん」
「なるほど」
「あんたも去勢する前に精子冷凍しておけばよかったかもね」
「私、これまで射精って1度しかしたことないんです。そもそも精子なかったかも」
 
「これまでって、既に去勢したんだから、もう今後もしないよね」
「去勢してないって言っても誰も信じてくれないだろうなあ」
「それはボクシング選手が今まで人を殴ったことはありませんと言うのに等しいくらい、無意味な嘘だね」
「うーん・・・」
 
結果的に千里もその晩はほとんど徹夜になり、翌日も短い仮眠を入れながら、午後まで曲作りのお手伝いを続けた。
 
今回のアルバムでは結局12曲の内、6曲のチューニングアップを行った(残りの6曲はキンタマさん、こと宝珠七星さんがチューニングアップをしたらしい。その12曲を最終的に6人のプロのアレンジャーが2曲ずつ分担して5ピースバンド(Gt.B.Dr.Pf.Sax) 用に編曲して伴奏音源を作ったということであった。
 
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「そのパソコンはさ、あんたにずっと預けておくから、その代わり旅に出る時とかは必ず持ち歩いてくれない?」
「分かりました」
「なんかあんたと旅先でバッタリ会うみたいだし」
「不思議ですね」
 

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