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■女の子たちの修学旅行・高校編(7)

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翌日は奈良に行く。
 
京都の旅館はこの日までだったので荷物を持って旅館を出てバスに乗り込む。バスの荷室に大きな荷物は積み込んだ。
 
奈良の西方、斑鳩の里を訪れ、法隆寺に入り、五重塔の前でまたクラス単位の記念写真を撮った。その後、となりの中宮寺に行き、ここで美しい如意輪観音半跏像を見る。千里たちは、そのなまめかしさに見とれていた。
 
バスで移動して薬師寺、唐招提寺、と見ていき、お昼を食べたあと興福寺に行く。ここは阿修羅像が目玉である。
 
「中宮寺の半跏思惟像とはまた趣の違う美しさだね」
「あちらはおとなの女の美しさ、こちらは少女の美しさだよ」
「私たちにとってはこの阿修羅が等身大かも」
「中宮寺の菩薩様みたいなおとなになれたらいいね」
 
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その後、少し歩く。東大寺に行き、大仏様を見る。それから奈良公園で鹿と戯れ(?)てから春日大社まで行った。
 
「千里なんか少しホッとしてる雰囲気」
「うん。私って神社体質だから、お寺ではいまいち落ち着かないんだよ」
「へー」
「神社に来るとホッとする」
 
「その内神社の巫女さんになるとか?」
「千里は既に巫女さん」
「そうだった!」
 

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短い区間だがバスで近鉄奈良駅に移動する。ここで荷物を持ってバスを降りて近鉄電車に乗り込む。なお千里は移動中はショートウィッグに変更しておいた。特急で約30分で京都駅に来る。そのまま新幹線に乗り換え東京を目指す。品川駅で降りてバスに乗り込み、日の出埠頭に移動して、ここで東京湾のクルーズ船に乗り込んだ。
 
「これ、この修学旅行のエポックだよね」
「うん。今夜の御飯はこの旅の中で最高額」
 
素敵な船の素敵なレストランで全員制服のまま素敵なお食事をした。夜景が美しい。自然の美は昼間しかその美しさを鑑賞できないが、都会はむしろ夜にその美しさをあらわす。
 
「しかし千里、ほんとに少食だなあ」
「ごめーん」
ということで、千里はこの素敵な御飯も半分くらいを、蓮菜・鮎奈に食べてもらった。
 
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「牛肉がとろけるように美味しい」
「こんな美味しい牛肉を少ししか食べないなんて千里もったいない」
「えー。だって入らないもん」
「スポーツやってる子とは思えないよねー」
 

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クルーズが終わった後、バスで移動して浦安市内のホテルに泊まる。ここで2泊することになる。部屋割は洋室の4人単位であった。中に入ってみると元々ツインの部屋で、ふつうのベッドを外して代わりに小さめのベッドを4個入れたという感じである。しかしそれでも部屋に余裕があるのが安ホテルとは違うところだなと千里は思った。このホテルでは蓮菜・留実子・孝子と一緒の部屋であった。
 
「お風呂が部屋に付いているというのは良いことだ」と留実子。
「千里も留実子も安心してお風呂に入れるね」と孝子。
「千里は本心は女体を人に見せたいのかも知れないけどね」と鮎奈。
 
「ここは大浴場ではないのね」と千里。
「大浴場は無いみたいね」
とフロアガイドを見て孝子が言う。
 
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その日は部屋付きのお風呂なので早めに交代で入浴し、11時頃にはみんな眠ってしまった。
 
朝御飯はバイキングである。
「最近はホテルの朝御飯はたいていバイキングだよね」
「まあ配膳の手間が省けるという問題がある」
「労働単価が高くなってるからね」
 
「でも美味しいね!」
「うん。さすが良いホテルだけのことある」
「うちの高校の修学旅行って結構グレードが高いのかも」
「ああ、そういう気はするよ」
 

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その日は終日ディズニーランドである。朝一番に中に入り、夜8時までたっぷりディズニーの世界を満喫した。入場直後にシンデレラ城をバックにクラス単位で記念写真を撮った。この日は千里もショートヘアのウィッグを付けていたので、このディズニーランドでの写真はこの修学旅行の中で唯一のショートヘアの記念写真となった。
 
その後、班単位の行動になる。ここで男子は比較的班を守っていたものの、女子は嵯峨野同様かなり入り乱れる。一応、班長に指名されている人は全員としばしば携帯で所在の確認を取りながら回っていた。
 
千里は鮎奈・京子・蓮菜と4人で歩き回った。花野子が以前来たことがあり、要領のよいまわり方をみんなに教えていたので、ファストパスをうまく使って人気アトラクションなどもあまり並ばずに見ることができた。
 
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「今日歩いた距離って、京都で三十三間堂とか八坂神社をまわった時より長くない?」
「長いかも知れないけど楽しいから疲れない」
「やはり神社お寺を巡るのと、ジェットコースターやイベントを巡るのとでは疲労度が全く違う」
 
「でも昔の人は多分寺社巡りが凄い息抜きだったんだろうけどね」
「寺社もイベント志向になるといいのかも?」
「閻魔大王の血の池コースターとか?」
「不動明王と綱引きとか?」
「天照大神の天岩戸迷路とか?」
「須佐之男命の八岐大蛇シューティングとか?」
「風神雷神の乗り物?」
「いや、それは既にある」
 
今日は(原則として)班単位の行動だったので、お昼は各自班(?)単位で食べたが、夜はホテルに戻って食事だった。
 
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「ここは晩御飯もレストランで食べるのね」
「まあホテルはだいたいそういうもの」
 
「旅館でもそういう方式のところが今はほとんどだけど、京都で泊まった旅館は良いところだから部屋まで持って来てくれたね」
「昔は旅館はたいてい部屋まで持って来てくれてたらしいよ。でも経費節減でほとんどのところが食堂方式にしてしまった」
 
「でも朝御飯のバイキングも美味しかったけど、晩御飯はまた美味しい」
「私、個人的には自分の食欲の分だけ食べられるバイキングは悪くない」
「ああ、それはたくさん食べる人にとってもそうだね」
 
今日も千里は自分の分を鮎奈や留実子に食べてもらっていた。
 

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翌13日(火)は最終日である。千里は今日はまたロングヘアのウィッグを付けた。ホテルをチェックアウトし、朝から浅草寺を見た後、皇居を見学する。この皇居でまた記念写真を撮る。その後、東京タワーを見てからお台場に移動した。ここでお昼を食べてFテレビを見学する。
 
ここでもまた班(?)単位の行動になる。1時間後に25F球形展望室に集合である。千里は鮎奈・蓮菜・京子・花野子・梨乃と一緒にドラマなどの台本や小道具などの展示を見た後、花野子がなぜかローソンに連れ込む。
 
「なぜローソン?」
「いや、実は前回来た時にここで歌手の丸井ほのかを見かけたんだ。ここに居るとごく稀に芸能人を見ることがあるらしい」
「ほほぉ」
「ちょっとした穴場か」
 
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それで番組グッズなどを眺めながら少しのんびりとそこで過ごしていると、花野子が小さな声で「あっ」と言う。
 
「誰か来た?」と小さな声で訊く。
「あそこの緑のカーディガンの人」
「誰だっけ?」
「富士宮ノエルのマネージャーで確か蕪田さんって言ったよ」
「マネージャーか」
と少しがっかりした声。
「でもマネージャーがいるということはノエルちゃんも居る?」
「居るかも知れないけど、さすがにアイドル歌手はこういう一般人と遭遇する可能性もある所には出て来ないだろうな」
「だよねー」
 
もうしばらく店内でウダウダしてると、全員が注目する人物が入ってくる。
「うそ」
「すごーい」
 
ドリームボーイズのベース大守さんであった。
 
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「サインねだったらダメかな」
などという声が出ていたが、店内にいた若い女の子が本当にアタックしている。しかし「ごめーん。今急いでいるから」と言われていた。大守さんは本当にバタバタと出て行った。
 
「ああ、残念」
 

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結局20分近くそこで過ごしてから適当なグッズを買って店を出る。色々な番組のコーナーのある方へ行こうとしていたら、バッタリと思わぬ人に遭遇する。
 
「谷津さん?」
「あら、あなたたち。何かお仕事?」
「いえ、修学旅行です」
「へー!」
と言ってから
「10分後にLucky Blossomが出演するんだけどスタジオで見ない?」
と言う。
 
「見ます!」
と全員即答する。
 
「あなたたち時間は?」
「14:30に25F展望室に集合です」
「だったら間に合うね」
 
谷津さんがローソンで何かを箱で買って来たのを京子が「持ちます」と言って代わりに持つ。谷津さんが肩から掛けていたバッグを千里が「そちら私が持ちますね」と言って持つ。それでエレベータを上ってスタジオのあるフロアで降りる。千里たちがまるで助手か何かのような顔をしているので、守衛さんは何も咎めなかった。
 
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スタジオに入ると、隅の方にLucky Blossomのメンバーがいる。鮎川さんと咲子さんが、こちらを見て笑顔で手を振ってくれたので、千里たちも会釈した。
 
静かに番組の進行を見守る。やがてLucky Blossomの出番が来る。鮎川さんたちは千里たちに手を振ってカメラの前に出て行った。そして演奏を始める。
 
「やっぱりあの人たち凄いね」
と花野子が言う。
「鮎川さんはスターの顔だよね」
と千里も言った。
 

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そして演奏がもう終わろうとしていた時、千里はいきなり誰かに後ろから両胸を両手でつかまれた。
 
「だ〜れだ?」と小さな声。
「おはようございます、雨宮先生」と千里は小さい声で答えた。
 
「偉いね。悲鳴をあげないのは」と雨宮先生。
「スタジオですから」と千里。
 
蓮菜たちもびっくりして会釈をしている。習慣を知っている蓮菜・花野子・梨乃が「おはようございます」と言い、それを聞いて鮎奈・京子も慌てて「おはようございます」と挨拶した。
 
「Lucky Blossomを見に来たの?」
「偶然来合わせたので」
「私たち修学旅行なんです」
「ふーん」
と雨宮先生は言ってから
「今日の予定は?」
と訊く。
 
「この後、新宿都庁を見たあと、羽田に移動して北海道に戻ります」
「飛行機は何時?」
「17時50分です」
「あんたパソコンは持ち歩いてる?」
「いいえ」
「それは残念。あんたいつまでこのビルにいるんだっけ?」
「あと10分したら集合場所に行きます」
 
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「急用ができたからと言って、新宿はパスしなさい」
「そんな無茶な」
「羽田まで送って行ってあげるよ。17:50の飛行機なら17時前に着けば大丈夫だよね」
「うーん。ギリギリですけど」
 
「今から3時間ほどで曲を1つ書いてくれない?」
「え?」
「今日の夕方から録音作業を始めないといけない歌手の曲がまだできてないのよ」
「何という歌手ですか?」
「富士宮ノエル。営業政策上これ以上スケジュールを遅らせられないんだ」
 
思わずみんな顔を見合わせる。
 
「先生がノエルの歌を書いておられるんですか?」
「本当は木ノ下大吉先生なんだけどさ。こんなこと余所で言わないでよ。あの先生、もうほとんど曲が書けなくなっているんだよ。創作の源泉が尽きてしまっている感じ」
「・・・・・・」
「だからゴーストライターなのさ」
「もしかしてゴーストライターの下請けですか?」
「私も昨夜頼まれたんだよ。でも今日はついさっきまで別件で飛び回っていてさ。どこかで時間見つけて書くつもりだったんだけど、どうにも時間が取れなかったんだ。この後、別件の打ち合わせも1時間ほどあるし」
 
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「歌詞つきですか?」
「うん」
 
「蓮菜書ける?」
と千里は訊く。
 
「ノエルちゃんが歌うような歌、書くのもちょっと面白そうだな」
と蓮菜は言った。
 

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