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■桜色の日々・男の子をやめた頃(7)

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9月の上旬、令子が好きなバンドのライブを見るのに上京してきた。7月に大阪で会った時は令子は男装して来て、私たちは疑似デートのようなことをしたのだが、今回は令子も女の子の格好で来ていたので、コンサートが終った後、私たちは女友達の状態で会い、夜の焼肉屋さんで一緒に食事をした。
 
興奮が抜けやらない感じで、令子はライブの様子を熱く語り、私は楽しくその話を聞いていた。令子は焼肉を無茶苦茶食べたので、私もたくさん食べた。
 
「今日は気分がいいから、食が進むのよ」
「お店も女性料金2人分じゃ元が取れないかもね」
「でも今日、男同士で会っていたら、男性料金2人分払わないといけない所だったね」
「女って便利な所あるよね」
「まあ、便利じゃないものの方が多いけどね」
 
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食事の後はコンビニでデザート、おやつの類をたくさん調達してうちのアパートに入った。予備の布団を出して、一緒に寝ることにする。パジャマは私のを貸した。シャワーを浴びてからくつろぎ、お茶を入れておやつを食べながら、またあれこれ話す。
 
「でも、ハルと私って、結局は女友達感覚になってしまうんだなあ」
「お互いに自分の性別意識は揺れてるけどね」
「ハルが男の子の場合と女の子の場合、私が女の子の場合と男の子の場合で、4種類の組み合わせが発生するけどね」
「どの組み合わせでも、私たちって友達だよね」
「7月の時はホテルのベッドでじゃれあったけど、またやってみる?」
「やめとこうよ。変な気分になったらいけないし」
 
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「私たちって恋人になる可能性って無かったんだろうか?」
「性別がヘテロになった時期があったら、それあったかも知れないけど、あまり無かったよね」
「そうだね。小学3〜4年生の頃、ちょっと微妙な雰囲気もあったけど、ハルがすぐに女の子になっちゃったから、結局同性のまま。ここ1年半はふたりとも男の子だったしね。そして一緒にまた女の子に戻っちゃった」
 
0時半頃に「おやすみー」と言って寝たが、何かどこかに拉致されて改造手術を受けるような夢を見て目が覚めてしまった。ちょっと改造されてみたいな・・・などという気がしたのだが、身体が重い。「ん?」と思ったら、少しずつ意識がハッキリしてくるにつれ、令子が私の身体の上に半分自分の身体を乗せていることに気付く。それに何だかあの付近を触られている!
 
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「ね、何してんの?」
「改造手術」と令子。
「えー!?」
「もう少しでできるから、待ってて」
「えっと・・・・」
 
言われるままに、しばらく待っていたら「できた〜!」と令子が言う。
「ほらほら見てみて」
 
私は起き上がってその付近を見たら、きれいな割れ目ちゃんができている!
「タックだ!」
「あ、知ってたのね」と令子。
「こないだ私も覚えて何度かやってみたんだけど、どうもうまくできなくて」
と私が言うと
「私もこないだ何気なくネット見てる時に見つけてね。面白そうだからやってみたい気がしてたのよね〜。自分の身体じゃできないから、今度ハルに会った時に寝込みを襲ってみようかと思って」
「へー。でも凄い。きれいにできてる」
 
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それまで私が自分でやったタック(テープタック)は5分とか10分で外れてしまったのだが、その夜令子にしてもらったのは結局翌日の夕方まで外れなかった。そしてその日を境に、私はタック生活を始めたのであった。
 

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10月のある日曜日、神保町で古本屋さんをのぞいていたら、バッタリと田代君に遭遇してしまった。
「やあ」
「ごぶさた〜」
 
こちらはひとりだったが、彼の方は友だち2人と一緒だった。
「何か本探し?」
「うん。半ば散歩だけどね」
 
「誰?」と友人のひとりが訊く。
「俺の元カノ」と田代君。
「うん。まあ、そういうことでいいよ」と私も笑って答える。
 
「今暇?」と田代君が訊く。
「うん、まあ暇だけど」
「ちょっとゴーカートとか乗りに行かない?」
「どこまで行くの?」
「埼玉県だけど高速で行くから1時間くらいで着くよ」
「へー。面白そう。行ってもいいかな」
「よし。女の子がいると雰囲気変わるしね」
「私みたいなのでもよければ」
 
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ということで、私たちは田代君の友人の川中君の車に乗り、埼玉県にある小さなゴーカート場にやってきた。
 
「晴音ちゃん、車の運転できるんだっけ?」と川中君。
「免許は持ってるよ」
「俺と自動車学校で知り合ったんだよ」と田代君。
「でも、あのあと全然運転してないから忘れてるかも」
「とりあえず、右足がアクセル、左足がブレーキ。とにかく何か自分でよく分からない状況になったら取りあえず左足を踏み込もう」
「分かった」
 
あまり慣れてないなら近くにほかの車がいない状況で走った方がいいと言われて、ひとりで先に走り出した。わあ、これ結構スピード出る!
 
直線は良かったのだがカーブで少し目測を誤って端に寄りすぎた。思わずブレーキを践む! カートが停まってから「ふう」と息をつく。よし、気を取り直して。改めてスタートする。おっ、調子いい。前方に踏切がある。でも何も通ってないし、そのまま走っていいよね。信号などもあるので赤信号で停まり青信号で出発。ここは元々交通安全の指導などに使われる施設なのでこういうのが付いているようだ。本来子供向けだが年齢制限が無いので大人も楽しめる。
 
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坂を上る。ちょっと苦しい。アクセルを踏み込む。下り坂になる。今度は軽くブレーキを踏みながら降りていく。橋を渡り、少し急カーブの連続をスピードを落としながら走って、ゴール! うん。けっこう感覚戻ってきた。カートの速度は時速15kmくらいかな?
 
カートを降りたところで注意された。
「晴音、踏切で一時停止しなかったろ?」
「あ、そうか! 踏切は一時停止して左右と音の確認だった!」
「アメリカだと停まらなくていいんだけどね。ここは日本だから」
「ごめんなさい。気をつけます」
 
その後は1人乗り2台と2人乗り1台を使い、交代しながら乗って楽しんだ。2人乗りも色々な組み合わせで乗る。田代君とも、川中君とも、もうひとりの辻野君とも楽しく会話ができた。3人とも私の性別を知った上で女の子として扱ってくれている感じで快適。私は自分の身体にコンプレックスを持つのはやめようと心底思った。
 
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「でも晴音ちゃん、今日1日でずいぶんうまくなったね」と川中君。
「うん。運転って楽しいね」
「あ、そうだ。もしふつうの車も運転するならレンタカーの会員証作らない?」
「ああ、レンタカー! そうか。そういう手があるよね」
「晴音ちゃん、去年の春に免許取ったんなら、もう若葉卒業してるから普通に貸してくれるよ。実は俺がレンタカー屋さんでバイトしてるんだけどね」
「へー」
「うちの会員証作ってたら、全国どこででもすぐ車を借りられるから」
「じゃ、書類送ってくれる? 住所メモするね」
 
そういって、私はレンタカー屋さんの会員証を作ったのだが、実際に車を借りたのは12月の「あの日」が最初だった。
 

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田代君たちとゴーカートに行った週の金曜の夜。私はバイトを終えて少し休憩してから帰ろうとして、雨が激しく降っているのに気づいた。どうしようと思っていた所に、ちょうど進平が車で通りかかった。
 
「傘持ってないの?乗せてくよ」
「助かった。凄く降ってるからどうしようかと思ってた」
 
最初彼が私の家まで送ってくれるということだったのだが、彼が山梨までドライブしてくるつもりだということだったので、私は付き合うことにした。すると山梨に行く途中で、進平の友人(椎名君と花梨, 深谷君と麻耶, 高梁君と美沙)と遭遇。結局彼らと一緒に韮崎の近くの温泉に行くことになった。
 
脱衣場に入って行く私を進平は心配そうに見ていたが、私はけっこう余裕だった。脱衣場で突然おっぱい比べになる。
 
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「花梨のおっぱい大きいね」と私が思わず見とれて言うと
「Fカップだからね」と花梨。
「何食べてるとそんなに大きくなるの?」
「ねぇ大きいよね」と言う美沙もけっこう大きい。Eカップ近くありそう。
 
「晴音はCカップくらい?」
「うん。パッド入れてDカップのブラ付けてる日もあるんだけど、今日は素直にCカップのブラ付けてきた」
「私もCカップ。私たち微乳同盟だね」と麻耶。
「うん。同盟、同盟」
 
などと言いながら浴室に入る。
 
その時期はいつもお股はタックしてきれいな女性の形になっていたし、胸にはブレストフォームを貼り付けていた。当時、私の「生胸」はAカップより少し大きいくらいだったのだが、ブレストフォームを貼り付けてCカップにしていた。
 
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実はこの時期、私は2種類のブレストフォームを使っていた。AカップからCカップまでボリュームアップするものと、Eまでボリュームアップするものである。6-7年ほどAカップの胸と付き合ってきたので、いきなりEカップにすると、何か違和感を感じてしまった。そこで少し小さめのものも買ってC にしたりEにしたり、Cにしてパッドを入れてDにしたりしていたが、その日はたまたまCの方を付けていた。しかし花梨たちにこのサイズの胸を見せてしまったので、その後は当面このサイズのブレストフォームを付けておかなければならなくなってしまった。
 
なお、後に麻耶に譲ったのはEに上げる厚い方で、実は使用回数がそう多くなかったので譲ることができたというのもあった。Cに上げる薄い方はブレストフォームの使用をやめた3年生の5月頃は、度重なる温泉での使用もあったのだろうが、テープを貼り付けている内側が若干痛んでいたのである。
 
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しかし2年生の10月の時点で、私に生胸があることを知っていたのは、中高生時代の友人たちと涼世だけで、他の人には私の身体は未加工で胸も無いということにしてあった。
 
その場合、ブレストフォームというのは、私を完全に女と思っている人には、CあるいはEカップサイズの胸を主張して女として埋没するのに役立ったし、逆に私を男と思っている人には、それを貼り付けておくことで自分の生胸を隠す道具にもなっていたのであった。
 
実際にはトップとアンダーの差が11cmのところを薄手のブレストフォームで16cmにボリュームアップしていたのだが、トップアンダー差5cmのAAAカップの状態から厚手のブレストフォームで15cmのCカップに上げていることにしていた。本当は生胸に厚手の方を貼り付けると21cmのEカップになるのである。
 
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このカラクリを知っていたのは涼世だけである。
 

11月の下旬、母が突然アパートを訪れた。私はまだその時期は自分が完全に女になってしまうのか、それとも再度男に戻ることもあり得るのか、心が完全には定まっていなかったこともあり、1年半の男装生活にピリオドを打ち女子生活に戻ってしまったことをまだ母に言っていなかったので、母は仰天したようだった。
 
最初、母は私だと言うことに気付かなかった。
 
「あら、晴音(はると)のお友達ですか?私、晴音の母でございます。ちょっとこちらに用事で出てきたので、寄ってみたのですが。晴音は外出ですか?」
などと訊く。
 
「あ、えっと・・・・・・お母さん・・・・私・・・・・」
「え!?・・・・もしかして、晴音なの?」
「うん」
「あんた、何て格好してるの?てっきり彼女かと」
「私、最近ずっとこういう格好してるの」
「えぇぇ!!?」
 
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「でも、私のこういう格好はお母さん、中高生時代にいやほど見てるのに」
「だって、あんた男に戻ったって言ってたし。それに高校生の時とは見違えちゃうよ。昔とは全然別人。あんた、完璧に女の雰囲気になってるもん。もしかして、もう性転換手術しちゃったの?」
「まだしてないよ。でも夏頃からずっとこんな感じで過ごしてるから、雰囲気は完全に女になっちゃったかも」
 
「あんた、その格好で学校にも行ってるの?」
「うん。実はもう男の子の服、持ってない。全部捨てちゃった」
「それでどうするの?性転換するの?」
「まだ分かんない。足の毛とヒゲは脱毛しちゃったけど」
「まあ、そのくらいはいいだろうけど・・・・」
と母は何を言ったらいいか分からない感じだ。
 
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「あ、御免ね。お茶入れるね」
「だけど、この部屋、ほとんど女の子の部屋だね」
母が部屋を見渡して言った。
「個室持ったの初めてだったし。可愛くまとめちゃった」
 
「でも何か私ショックだわ・・・・ちょっと心の整理が付かないよ」
と母が言う。無理もない。
「御免ね。私、このまま完全な女の子になっちゃうと思う」
「はあ・・・・」
と母はため息を付いた。
 
「私、お父ちゃんに何て言えばいいかしら・・・・」
「私、もう男装はしないし。しばらく実家に行かないね」
「うん・・・・少し私の中で考えまとまるまで何も言わないことにしよう」
 
「取り敢えず、どこかに出てお昼しない?」
「そうだね・・・」
 
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