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ロバの皮(8)

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そして赤の国。王宮に正午を告げる鐘が鳴り響きました。
 
ポリーヌはジル王子の前、急遽用意された毛氈の上でひざまずいて言いました。
 
「この国に居る全ての者が来てよいということでしたので参りました」
 
ジル王子が訊きます。
「そなたの名前を教えて欲しい」
 
「私は青の国のシャルル王の娘で、ポリーヌと申します」
とポリーヌは初めて自分の身分と名前を名乗りました。
 
ジル王子も、その両親の王様・お妃様も驚愕しています。
 
しかしジル王子は言いました。
 
「君がシャルル王の姫君だったのか!だったらさ、僕、君がまだ5歳くらいの時に僕と結婚してとプロポーズしているよ」
 
「はい、覚えていますよ、王子様」
「だったら、僕と結婚してくれる?」
 
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「その指輪が私を受け入れてくれましたら」
と言って、ポリーヌは左手を王子の前に出します。
 
王子はゴクリと唾を飲み込むと、ケーキの中から出てきた黄金の指輪を手に持ち、ポリーヌの左手薬指に填めました。
 
指輪は他の娘が試した時のように逃げたりはせず、きれいにポリーヌの指に納まりました。
 
そして指輪が指に填まった瞬間、ポリーヌは自分のお股の付近が突然“動きまわっている”のを感じました。ああ、きっとボクは女の子に変わりつつあるんだ。男の子のボク、さようなら。そして女の子の私、こんにちは。私はこれから女として生きていこう。ジルって少し頼りなさそうだけど、彼とは親子関係とか無いから、安心して結婚できる。
 
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ポリーヌは微笑みながら、そんなことを考えていました。
 
「指輪が君を選んだ。僕の妃になってほしい」
「謹んでお申し出を承ります。よろしくお願いします」
と言ってポリーヌは礼をしましたが、ジルはポリーヌにキスをしました。
 
王様・お妃様など周囲の人々がみんな拍手をしてくれました。
 
楽隊がおめでたい音楽を演奏し始めました。
 

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ポリーヌは赤の国の王宮に部屋が与えられ、取り敢えず数日滞在してから一度青の国に戻ることになりました。取り敢えず数人の侍女も付けられました。
 
ひとりになった時に、おそるおそるあの付近を見てみましたが、おちんちんは無くなっているし、割れ目ちゃんができているので、思わずため息を付いてしまいました。まあ、女になることは自ら望んだことだし、別にいいよね?さようなら、私のおちんちん。
 
でもおっぱいも随分大きくなったなあ。重たいくらいだよ。
 

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“ポリーヌ王女”が赤の国のジル王子と婚約したことが青の国に報されると青の国では国中が歓迎ムードになりました。青の国と赤の国は今後友好国として、共に栄えていきたいという、ポリーヌとジルの共同メッセージも公開されました。
 
3ヶ月後の春の日、ポリーヌ王女とジル王子の結婚式は盛大に行われ、両国の貴族たちが大勢出席しました。
 
ポリーヌは青の国で行われた婚約報告・祝賀会では“月のドレス”を着て、赤の国で行われた結婚式・披露宴では“太陽のドレス”を着ました。
 

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結婚式が行われた夜、ポリーヌはベッドの上でため息を付きながら待っていました。状況は2年半前に青の国・王宮の一室で娘たちの訪問を待っていた時と似ていますが、あの時は男だったのに今回は女の側です。
 
女に変わってからまだ3ヶ月ですし、うまくできるかな・・・と少し不安はありましたが、きっと何とかなるだろうと思いました。
 
やがてジル王子が緊張した面持ちで部屋に入ってきます。
 
「結婚式は終わったけど、今から本当の僕たちふたりだけの結婚式だよ」
「はい。愛しております、ジル様」
「うん。僕も愛しているよ、ポリーヌ」
 
王子様が服を脱ぎ、ベッドに入って来ます。
 
そしてあちこち触られます。きゃー、こんなことまでされるの?と少し恥ずかしくなる場面もありましたが、やがて王子が自分の中に入ってくると
 
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「これ本当に気持ちいい!」
と思いました。
 
ジルは結局1回逝っただけで眠ってしまいました。ポリーヌはその背中を優しくなでていました。
 
“夜の営み”って、女の方が男より気持ちよかったんだ!私、女になってよかったかも!
 

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ポリーヌはその年の暮れ、玉のような男の子を産みました。赤の国の王様・お妃様は世継誕生に大喜びでした。
 
もっとも産んだポリーヌは
「赤ちゃん産むのがこんなに辛いとは思わなかった!」
などと、青の国から来てくれたリリアにこぼしていました。
 
「コレット様も、ポール様とした時は気持ち良かったけど、ソレイユ様やコスモス様を産む時が辛かったとおっしゃっていました」
 
「コレットとまたしたい気持ちもあったけど、もうできなくなっちゃったしなあ」
「まあ女になってしまったのですから、仕方ありませんね。ジル様にたくさん愛してもらってください」
「うん、そうする」
 
そんなことを言いながら、ポリーヌは自分の乳房に吸い付いているレオの背中をゆっくりと撫でてあげていました。
 
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この後、ポリーヌはジル王子の子供を3人(レオ・ローズ・アポロ)産みました。それで彼女はポールとしては5人の王子王女の父親になり、ポリーヌとしては3人の王子王女の母となったのです。
 

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ちなみにポリーヌがジルの王子レオを産む4ヶ月前にコレットはポールの第2王子コスモスを産んでいました。
 
ずっと姿を見せないポール王子について国民の多くが「実は亡くなったのでは」と思っていたので、コレットが今更産んだ子についても「誰か他の男の種では?」と考えました。しかし、コスモス王子が廷臣たちや地方長官などにお披露目されますと、その美しい金色の髪や耳の形がポール王子に生き写しだったので、
 
「コスモス王子は間違いなくポール様の御子だ!」
「ポール様は姿は見せないけど生きておられるのだ!」
 
と人々は言いました。そしてコスモスがシャルルの孫であり、ポール王子、ソレイユ王子の次の第3王位継承権を持つことを認めてくれました。
 
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ずっと後には、赤の国の王子レオと、青の国の王女ルナが結婚したのですが、レオはジルを父、ポリーヌを母とする王子であり、ルナはポールを父、バルバラを母とする王女であり、ふたりは世間体的には従姉弟ということにはなっていますが、本当は姉弟です。
 
またその翌年には青の国の王子ソレイユと赤の国の王女ローズも結婚したのですが、ソレイユはポールを父、コレットを母とする王子、ローズはジルを父、ポリーヌを母とする王女で、こちらのふたりも世間体的には従兄妹ですが、本当は兄妹です。
 
でもどちらも異母姉弟/異母兄妹でも異父姉弟/異父兄妹でもない不思議な関係でした。
 
なお、ポール王子の消息についてシャルル王は「王子は海外に留学中」と死ぬまで言い続けました。そしてシャルル王が亡くなった後は、『ポール王子が辞退したので』と称し、ポリーヌの助言もあって、孫のソレイユ王子が後を継いで次の王になりました。
 
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※野暮な解説
 
青の国の“王女”が3枚の豪華なドレスをもらったので、これを赤の国の王子が主催する3回のパーティーに一晩1枚ずつ着て出席したら、完全にシンデレラと同じパターンになるのですが、前半の流れから、“王女”が積極的な行動に出るのは不自然ですし、彼女はシンデレラのように低い身分の者でもないので、この物語では3日目のパーティーにだけ出る形で物語を構成しました。
 
グリム版の物語ではここで王女がひじょうに積極的になっており、不自然さがぬぐえません。
 
指輪の適合について原作では物理的な適合の話になっていたため、シンデレラと同様に指を削って填めようとする娘たちが出るのですが、シンデレラの問題点としてもあげられるように、細ければいいのなら幼い娘なら填められるはずです。今回の物語では“物理的な鍵”ではなく“霊的な鍵”(電子キー?)にしたことでこの問題を回避しました。
 
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ペロー版「ロバの皮」では、王女の父は反省して、隣の国の王子との結婚が決まった娘を祝福し、両者は和解することになっています。これに対してグリム版のほぼ同じ話である「千匹皮」では、王女の父のその後のことは何も書かれていません。
 
しかし実はグリム「千匹皮」の“初版”では、王女は隣国に逃げ出すのではなく、王宮に留まり、結局父王と結婚してしまいます。ですから「父のその後」を書く必要はなかったのです。近親相姦をおかすので“いったん畜生の身に落ちた”というのが、動物の皮をかぶった意味なのではという解釈もあるようです。
 
グリム版は、実は2つの話をくっつけたもののようです。そのため前半と後半の王女の性格が違うなど、色々問題点が出てきてしまいました。グリム自身も違和感を覚えたものと思われ、第2版では、後半の王様というのは、別の国の王様ということにして結果的に近親婚も回避しています。
 
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類話の年代
1634 Giambattista Basile「雌熊」
1694 ペロー「ロバの皮」
1812 グリム「千匹皮」(初版)
1819 グリム「千匹皮」(第2版)
1893 Joseph Jacobs「猫の皮」
 

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古代エジプト“新王国”第18王朝の末期はひじょうに複雑な近親婚が行われている。
 
“鍵”となる人物は大神官アイ(Ay)である。アイの同母同父の妹がティイ(Tiy)で、アイの最初の妻がテイ(Tey)と、この2人の名前が紛らわしい。ネットに流布している書き込みの中にはこの2人を混同しているものも見掛けられる。
 
アイの妹ティイはアメンホテップ3世と結婚して2人の間にアメンホテップ4世(別名アクエンアテン)が生まれる。一方、アイとテイの間にはあまりにも有名なネフェルティティ(エジプト三大美女の1人)が生まれる。
 
ネフェルティティは最初叔母の夫であるアメンホテップ3世と(ティイの死後)結婚したが、アメンホテップ3世死後はその息子(ティイとの子)アメンホテップ4世と結婚した。つまり義理の息子(従兄妹でもある)との結婚である。
 
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アメンホテップ4世とネフェルティティの間には6人の娘が生まれた。特に重要なのが長女メリトアテンと三女アンケセナーメン(別名アンケセンパーテン)である。
 
アメンホテップ4世の別の妻(詳細不明)との間に息子・スメンクカーラーが生まれるが、ネフェルティティ亡き後、アメンホテップ4世は自分の息子であるスメンクカーラーと結婚して共同統治者になった。エジプトでは王族の娘と結婚しなければ王の地位を保てないので、苦肉の策だったのかも。スメンクカーラーは死後、墓に女装で埋葬されている。ひょっとすると古代のトランスジェンダーMTFだったのかも。もっともスメンクカーラーはメリトアテンとも結婚している(あるいはメリトアテンの死後、性転換し、女になってアメンホテップ4世と結婚したか?)。
 
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アメンホテップ4世亡き後は、アメンホテップ4世と更に別の女性との間の息子(スメンクカーラーの異母弟)であるツタンカーメンが王となり、アンケセナーメンと結婚した。
 
ここでアンケセナーメンは父がアメンホテップ4世、その母がティイであり、また母はネフェルティティでその父がアイである。つまり母の父と父の母が兄妹である。
 
そしてツタンカーメンの死後は、アイが(自分の孫娘である)アンケセナーメンと結婚して王の地位にあがった。
 
この付近はあまりにも複雑すぎて系図に書くのが困難である。3回くらい書き直してみたが、結婚線・親子線が入り込みすぎていて、図を見てもさっぱり分からなかったので、系図は省略する。
 
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この物語の年表。
 
ジャンヌが亡くなった年を00年で数えた場合
 
00.05 ポール10歳
00.06 ジャンヌ死去
01.05 ポール11歳
01.06 没後1年
01.09 第1回のパーティー
01.12 第2回のパーティー
02.03 第3回のパーティー。ポリーヌが見いだされる
02.05 ポリーヌ12歳
02.06 没後2年
02.07 ポリーヌが実はポールだっとことを王が知る
02.09 4人の娘が妊娠判明。空のドレスをねだる
02.12 空のドレス完成。月のドレスをねだる。
03.03 月のドレス完成。太陽のドレスをねだる。
03.05 ポリーヌ13歳
03.06 太陽のドレス完成。娘たちが出産。ロバの皮をねだり王宮を去る。 
03.06 没後3年
03.09 リリアが訪問。ドレスと指輪を渡す。
03.12 ジルが初めてロバの皮を見る
04.01 ジルが2度目にロバの皮を見る
04.02 ジルが3度目にロバの皮を見る。ロバの皮と話す。
04.05 ポリーヌ14歳
04.06 没後4年
04.07 ジルが病気に。ケーキをねだる
04.09 ジル回復。
04.10 最初のパーティー
04.11 2度目のパーティー
04.11 シャルル王への手紙。その返事をコレットが持ってくる。
04.12 3度目のパーティー。ジルとポリーヌが婚約する。
05.03 ジルとポリーヌの結婚式
05.05 ポリーヌ15歳
05.06 没後5年
05.08 コレットの第2王子コスモス生まれる
05.12 ジルとポリーヌの長男レオが生まれる
 
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