広告:放浪息子(8)-BEAM-COMIX-志村貴子
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ロバの皮(3)

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ポール王子がポリーヌとしての生活を送るようになってから、4ヶ月ほど経った頃、大臣と王様の侍医が難しい顔をしてポリーヌの部屋にやってきて、人払いをしました。
 
「実は困ったことになっている」
と大臣は言いました。
 
「せっかく新しい王妃としてそなたが見つかったのに、実は王子のポール様が行方不明になっているのだ」
 
そりゃ行方不明でしょうね〜。ポールはここに居るんだからとポリーヌは思います。
 
「それでこのままではお世継ぎがなくて困る。そなたには子供は産まなくてもよいと言っていたのに申し訳ないのだが、やはり女になってもらって、王のお世継ぎを産んでくれないか」
 
「そんな無茶です!」
とポリーヌが言いますが
 
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「女になるのは、そんなに難しい手術ではないのだよ」
と侍医は言います。
 
「手術!?手術をするんですか?」
「そなたは毎日朝晩、胸を大きくする薬を飲んでくれているから、既に10歳くらいの娘程度には胸が膨らんでいる」
 
「え?毎日飲んでいたのは、おっぱいを大きくする薬だったんですか?」
「言わなかったか?」
「聞いてません!」
 
それ絶対、わざと言わずに飲ませてたのでは?だから、こんなに胸が大きくなってきたのかとポリーヌは納得しました。
 
「あとは、お股の形をちょっと変えて子供を産めるようにするだけなのだよ」
「ちょっと変えるって?」
 
「まあ男にあるが女には無いものを取り払い、女にはあるが男には無いものを作るだけだな」
 
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「あるもの?無いもの?」
 
「まあ手術を受けてみれば分かる」
「そんなぁ」
 

「まあそれで明日手術をするから」
「嫌です!私は女になんかなりたくない」
「王様との間に世継を作らなければならないから、君には悪いが女になってもらうしかない」
「女の身体になって最初は戸惑うかも知れないけど、すぐ慣れるから」
 
本当にすぐ慣れてしまいそうで怖い、とポリーヌは思いました。
 
「待って下さい、侍医殿、大臣殿、私は本当にポール王子なんです」
「またそんな冗談を言っている」
 
「この顔じゃ分かりませんよね?今お化粧を落としますから」
 
と言って、ポリーヌは隣の部屋で控えていたコレットを呼びます。彼女に手伝わせて、化粧落としの油を取り、顔に塗って、本当に化粧を落としてしまいました。コレットが布で残っているお白粉などを拭き取ってくれます。それで初めて素顔を侍医と大臣に見せました。
 
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「これは何としたことか!」
「そなたが実はポール王子だったのか!」
 
「私、何度も言いましたよ」
「すっかり冗談だと思っていた」
 
「だから私が王子に戻れば、世継問題は解決です」
 
侍医と大臣は顔を見合わせました。
 
「王様とも相談しよう」
「そうしてください!」
 

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それで大臣たちはコレットにこのことは誰にも他言しないよう命じ、ポリーヌ、実はポール王子を連れて王様の所に行きます。侍医・大臣・ポリーヌ(ポール)と4人で緊急の話し合いをしました。
 
「お前がポールだったのか!」
「私、最初から言っていたのに。誰も聞いてくれないんだもん」
 
王様は驚いたものの、ポール王子が無事だったことから、泣いて彼を抱きしめました。
 
「良かった。生きててくれて良かった」
 
父に抱きしめられてポールも涙が出ました。
 
「しかしどうします?」
と侍医が尋ねます。
 
「“外国に留学に行っている”ということにしていたポール王子が帰国した、ということにすれば何も問題無い」
と大臣は言います。
 
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「でもそしたらポリーヌ様は?」
「ポリーヌ様は予定通り王様と結婚して頂く」
「はぁ!?」
 
「だからポール様は王子様、ポリーヌ様はお妃様、両方を兼任で」
 
「そんなぁ!じゃ、まさか私、やはり父と結婚しなければいけないの?」
と心細そうにポリーヌが言います。
 
「ポリーヌ様が王様と結婚するのであって、ポール様が父君と結婚する訳ではありません」
と大臣が言う。
 
「王様は、ポリーヌ様のことが好きになってしまわれたでしょう?」
「実はそうだ。ジャンヌ亡き後、どうすればいいか分からない日々を送ってしまったが、ポリーヌが来てくれてからは私は元気になった」
 
「この3〜4ヶ月は、王様が以前の賢王に戻ったと国民の評価も高いです。王様、ポリーヌ様と結婚したいでしょう?」
 
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「したい!でも息子と結婚する訳にはいかない」
「だから、王様が結婚するのはポール王子ではなく、あくまでパーティーで見いだされた美人のお姫様・ポリーヌ様なのです」
 
「そんなことができるのか?」
 

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大臣は計画を説明しました。
 
「ポリーヌ様、当面、昼の間は女の格好でポリーヌ様を演じてください」
「昼?」
「そして夜はポール様になって、何人かの娘と日替わりで夜の営みをしていただきます」
 
「その夜の営みというのがよく分からないのだけど」
「相手をする娘たちに言い含めておきますから大丈夫ですよ。されるままになさってください」
 
それって、王様との夜の営みについて訊いた時も同じこと言われたなとポリーヌは思いました。
 
「それで2人以上の娘が妊娠した所でポリーヌ様には女になる手術を受けていただきます」
 
「やはり女にならないといけないの〜〜?」
 
「王様はポリーヌ様が男でも結婚できますか?」
「できたら女のほうがよい」
「ではやはり女になって頂きましょう」
「そんなぁ!」
 
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ボク結局、女になって父と結婚しないといけないの?嫌だよぉ。
 
「ポリーヌ様はもはや国民にはなくてはならない存在なのです。ですから、ポリーヌ様との婚儀が終わったら、儀式などでどうしてもポール様が必要な時だけポール様が出て、ふだんはポリーヌ様として王様のお側に」
と大臣は言う。
 
「夜もなの?」
 
「娘たちと夜の営みをすることで、女の側がどうすればいいのかも分かると思いますので」
と大臣。
 
「ああ、それはちょうどいいですね」
と侍医まで言っている。
 
「最愛の息子ポールがポリーヌとしてわが妻になってくれるのなら、私もポリーヌを末永く愛していけると思う」
などと王様は言っています。
 
ちょっと!それ絶対変だよ!とポリーヌは思いました。
 
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「早速今夜からポリーヌ様のお部屋に娘たちを行かせますので」
 

そしてその晩、ポリーヌが大臣の奥方に言われて服を全部脱ぎ、裸でベッドの中で待っていますと、
 
「失礼します」
と言って聞き慣れた声がします。
 
それはコレットでした。
 
「大臣様のご命令で、王子様の愛を頂きます。よろしくお願いします」
 
「あ、うん」
 
それでコレットはその場で服を脱ぐと、裸になってベッドに潜り込んできました。
 
「ポリーヌ様、おっぱいが大きい」
と言って、そのおっぱいを撫でている。
 
「今ボクはポールだよ」
「はいはい。私がいちばんポリーヌ様に目を掛けてもらっているから、お前がいちばん最初に行って、夜の営みのことを教えろと言われました」
 
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要するに本命とする前の練習台ということのようです。
 
「でも私も初めてだから、よく分からないんです。失敗したらごめんなさいね」
 
と言って、コレットは“夜の営み”を始めたのでした。
 

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コレットが“王子のお手付き”となったことから、リリアがコレット付きの侍女とされました。リリアはポリーヌ本人に内容を告げずに毎日おっぱいが大きくなる薬を飲ませていたことを謝りました。
 
「いいよいいよ。命令されてやったことだから。まあおっぱいはあっても邪魔にならないし」
「ポリーヌ様、自分のおっぱいで遊んだりしない?」
「えっと・・・」
「じゃ今夜もこれ飲んでくださいね」
「まだ飲むの〜〜〜?」
 

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それからの日々、ポリーヌは昼間は王様の婚約者として、賓客の応対をしたり、王様と一緒に儀式をしたり、兵隊の観閲をしたりしますが、夜になるとドレスも脱ぎ裸になって、ポール王子として、日替わりでやってくる娘たちと、とても気持ちのいいことをすることになりました。
 
ポールと夜を共にしたのは、コレットの他、大臣の娘ソフィ、フィリップ大公の娘バルバラ、将軍の娘ヴィヴィアンで、いづれも秘密を守れる“内輪”の娘たちでした。ソフィもポリーヌの侍女のひとりです。ソフィとバルバラがコレットの示唆した“本命”っぽい気がしましたが、ポールは4人の娘を分け隔てなく愛しました。
 
夜の営みは男は気持ちいいけど、女はどうなんだろう?と少し疑問に思ったので一度コレットに訊いてみたのですが、彼女によると女の側もとても気持ちいいらしいので安心しました。
 
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「だからポリーヌ様が本当の女になっても気持ちよくなれると思いますよ」
とコレットは言います。
 
「それは少し気が重い」
「親子だなんて考えなければいいんです。単に男と女ですよ」
「それ、割り切れないよぉ」
 

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2ヶ月後、ポリーヌが王様の婚約者として暮らし始めてから6ヶ月が経った秋の日、ポールの所に通ってきていた4人の娘が全員妊娠したことが分かりました。ポリーヌは12歳になっていました。そして胸の方はあれからますます育ち、もう13-14歳の娘くらいの大きさになっていました。
 
そこに侍医がやってきて言いました。
 
「それでは明日、女になる手術を受けて頂きます」
「明日なの〜?」
「成人年齢にはまだ1歳足りませんが、王族の場合はそれより若い年齢での結婚もございますから」
「そうかも知れないけど」
 
「手術の後、3ヶ月ほど身体を休めて、冬至の頃の結婚式ということで」
「3ヶ月も身体を休めるって、もしかしてけっこう回復に時間が掛かるものなの?」
「そうですね。痛みが取れるのに2ヶ月くらいかかりますので」
「そんなに痛いの!?」
 
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