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手術は2時間近く掛かりました。しかし手術が終わるとそこにはきれいに女の子の形になったフェリシアのお股がありました。しっかり縫い合わせてあるので、もう血も止まっています。割れ目ちゃんの外側に2筋縫った跡があるのですが、なぜ2筋あるのだろう?とロゼは思いました。切り開いたのは1ヶ所だけなのに。
でも、ついさっきまで、おちんちんとタマタマが付いていたのが、それが無くなってしまい、こんな形に変わるなんて、本当に凄いと思いました。
最後にお医者さんは気を失っているフェリシアにお酒を吹きかけ耳をつねり、意識を回復させました。
しかし意識を取り戻すと同時にフェリシアは物凄く痛がっているようです。激しい苦痛の表情をしています。
「あんた顔色悪いけど、大丈夫?」
とクロレンダが言いました。
「ちょっと刺激が強かったかも」
とロゼは言いました。
「でもあんたもこの手術を受けるんだからね」
「気が重い」
「それとも死刑がいい?」
「死刑になるくらいなら、女の子になる手術を受ける」
「よしよし」
クロレンダは下に降りてフェリシアの傍に寄り
「完全に女の子になれたね。おめでとう」
と言っていました。それを聞いてフェリシアの顔が一瞬笑顔になりました。でもやはりかなり痛そうです。
ロゼはそれを見ると、ふらふらと立ち上がり、少し左右にぶつかりながら、何とかお屋敷の外に出ます。
そして少しボーっとしたまま歩いていたら、向こうから王子様が歩いてきました。
「ロゼ、見つけた」
と王子様が言います。
その後ろの方にティカベが居ました。
「ごめーん。もうバレちゃった」
とティカベが言っています。
「なぜ僕から逃げるの?後のお支度はこちらでするから、今すぐ王宮へ行こう」
待って。今はまだ結婚できない。女の子になる手術を受けてからでないと、凄く痛そうで気が重いけど、あの手術を受けないとお嫁さんになれないよぉ、とロゼは思ったものの、今その女の子になる手術を実際に見たばかりでまだ足がふらついていました。
「顔色が悪いね。王宮に行ってから休むとよい」
と言いました。
王子様の指示で、ここに馬車が呼ばれました。
そしてロゼは王子に手を取られて馬車に乗せられてしまいます。
「ティカベ殿、トルカンナ殿、そなたたちにも馬車を用意しますから、クロレンダ殿と一緒に追って王宮にいらしてください」
と王子は困ったような顔をしているティカベ、腕を組んで考え込んでいるトルカンナに言いました。
それでロゼは王宮に連れていかれました。
ロゼは超豪華な衣装を着せられ、王子との結婚式に臨みました。指にはもちろんアクアマリンの指輪が輝いています。そしてロゼはクレアから借りたままのダイヤモンドのハート型のブローチと、ガラスの靴を履いてこの式に出ました。
永遠の愛を誓う口付けをされて「ひぇーっ」と思います。結婚を祝う宴は、お昼から始めて夜遅くまで10時間ほど続きました。○○公とか、○○伯とかなんか凄そうな名前の人たちが祝辞を述べていました。パーティーの時に最初にロゼと踊ったアラザン少尉も宴には来ていて
「僕もあなたを狙っていたのですが、王子に取られたのなら仕方ありません」
などと笑顔で言って、ふたりの結婚を祝福してくれました。
トルカンナ・クロレンダ・ティカベも王子が用意してくれた豪華なドレスを着て、挨拶回りをしていました。
ロゼの父を知っていた人も結構この宴に来ていました。
「マニアンが亡くなってから随分苦労したみたいだね」
などとロゼやトルカンナに言っていました。
「でもロゼちゃんが王子様のお妃になるなんて良かったじゃない。苦労した甲斐もあったね」
などと、ねぎらってくれました。
ロゼは自分の性別がバレるのではとヒヤヒヤだったのですが、実際にはみんな可愛いドレスを着ていた幼い頃のロゼを覚えているので、そもそも自分を女の子と誤解していた人ばかりのようでした。あれは両親もかなり悪のりして、僕に女の子っぽい服を着せていたからなあ、とロゼは思いました。
「可愛いお嬢ちゃんですね」
と言われて
「可愛いでしょ?私たちの自慢の娘です」
なんて答えていたし。
やがて宴が終わります。
ロゼは覚悟を決めて、王子と一緒に寝室へと行きました。
もう死刑へのカウントダウンが始まっているような気がするのですが、今はただ笑顔で王子のことを見つめていました。僕、わりとこの人のことが本当に好きになってしまった気がする。王子様は笑顔だけど、この笑顔があと30分もしたら、怒りの顔に変わるんだろうなと思いました。しかし最後の瞬間まで自分は笑顔で居ようと思いました。
「ロゼ。愛しているよ」
と言われてキスをされます。
「私も殿下のことが好きです」
とロゼは言いました。
「君からその言葉を聞いたのは初めてだ」
と王子は言いました。
「そうでしたっけ?」
とロゼはそういえばそうかもと思いながら答えました。
「でも『殿下』とか『王子様』なんてのは、人が居る所だけでいいよ。僕たちの2人の間では、ロゼ、エステルと名前で呼び合おうよ」
「そうですね。では私の命が尽きるまでよろしくお願いします、エステル」
とロゼは言いますが、実際には明日にも処刑されて自分の命は尽きるんだろうなと思っています。
「僕も自分の命が尽きるまで君と一緒に居たい、ロゼ」
とエステルも言いました。
それでふたりは再度キスしました。
そしてふたりはそのまま着衣のままベッドに入りました。
お部屋までお供している侍女が灯りを消しました。侍女は《結ばれた時刻》を記録しなければならないのだそうです。
もう死刑へのカウントダウン10秒前かなあ、などとロゼは思いましたが、それでも最高の笑顔を王子に献げようと思いました。
「ロゼ、結婚するってどういうことか知ってる?」
「全然知らなかったんですけど、クロレンダに習いました」
「うぶな感じだなあと思った。でも習ったのなら大丈夫かな」
「そうですね」
「僕が脱がせていい?それとも自分で脱ぐ?」
「エステル様にお任せします」
「じゃ僕自分が脱いでから君を脱がせるね」
「はい。目を瞑っていてもいいですか?」
「うん。いいよ」
それで王子は自分の服を脱いでいるようでした。やがて王子の手がロゼの服に掛かります。あまりドレスを脱がせることに慣れてないんだろうなという感じで、けっこう手間取っています。その手間取る時間だけ自分の寿命は延びているなと思います。
王子の手がロゼの胸に触ります。
ああ。。。。とうとうバレた。
と思ったのですが、王子はそのままロゼの平らな胸の乳首を自分の口に含んで舌で舐めています。
ん?
なぜバレないんだろう?
とロゼは疑問に思いました。それともまだ幼いからおっぱいが小さい女と思われたかな??
そしてやがて王子の手がロゼのお股に来ます。そしてあれに触ってしまいました。
ここまでか。。。。とロゼは思ったのですが、王子はそれを手で弄んでいる!?
「あのぉ・・・」
とロゼはさすがに不思議に思って王子に訊きました。
「私、ちょっと、あれなんですけど」
とロゼは言いました。
「知ってるよ」
「え?」
「僕は君みたいな子を探していたんだよ」
「どういうことです?」
「国中から“娘”を集めたら、絶対その中には可愛い“男の娘”もいるはずって大臣が言うからさあ。最初ガバン公の“娘さん”を見て『おっ』と思ったけど、彼女は最初からお相手が決まっていて、あのパーティーをお披露目の場にしたみたいだし、そもそも翌日にはペルシャの医者の手術を受けて本当の女の子になってしまうということだったし。その後、君を見つけたけど、僕は君を選んで良かったと思っている」
と王子は言いました。
「あのぉ、もしかして・・・・」
ロゼは確か男の人同士で結婚するという趣味の人もいると聞いたことがある気がしました。王子様ってそれなんだろうか?そういうの何とか言ってたけど、何ていう言葉だったっけ?と、ロゼは戸惑いながら王子の言葉を聞いていました。
「ねえロゼ、エステルという名前はね、女の子の名前なんだよ(*12)」
「ごめんなさい。意味が分かりません」
「大きな声出さないでね。これ僕と君だけの秘密だから。僕のお股に触ってごらんよ」
へ?
それでロゼは王子のお股に触りました。
ロゼは大いに困惑しました。
「なぜ無いのでしょうか?」
「君にあるから問題ないでしょ?」
「ちょっと待って」
「男子でないと王位は継げないんだよね。だから僕はあくまで男、君はあくまで女ということでいいんじゃない?」
「赤ちゃん、どうするんです?」
「僕が産む」
「えっと・・・」
「それでさ、ロゼはあくまで女ということでないと困るから、あまり男っぽくなって欲しくないんだよね。だから僕が赤ちゃん3人くらい産んだら、ロゼ、悪いけど、睾丸は取ってくれない?」
「ちんちんも取るの?」
「ちんちん取っちゃったら、僕とひとつになれないじゃん。だから取るのは睾丸だけ。ロゼまだ13歳だから僕が多分3人目の子供を妊娠するのは君がまだ17歳の頃。そのくらいで睾丸を取ればあまり男っぽい身体にはならないんだよ」
タマタマ取るくらいなら・・・別にいいかなとロゼは思いました。フェリシアの手術を見ていた感じでは、タマタマを取るのは、ちんちんを切るのに比べたら、まだ痛みが小さいような気がしました。
「それでおっぱいが大きくなる薬もあるから、タマタマを取った後はそれを飲んでくれない?」
へー!薬で大きくする方法もあるのか。まあ、おっぱいくらいあってもいいよね。
「いいですよ、私の王子様」
「じゃ末永く、仲良くしていこうよ。僕のお姫様」
ふたりは再度キスをしました。
そして王子の侍女がふたりの「結ばれた時刻」を記録したのはその10分後のことでした。
翌朝、もう死刑は免れまいと諦めて王宮内の別室で静かにその時を待っていたトルカンナたち3人は、ノックの音で覚悟を決めてドアを開けました。
そこには笑顔の王子とロゼが居ました。
「お母様、朝の宴をしますので、いらしてください」
と王子が言いました。
「あのぉ・・・昨夜は?」
とトルカンナは戸惑うように訊きます。
「私たちはひとつになりましたよ」
とロゼが笑顔で言いました。
トルカンナは、クロレンダ・ティカベと思わず顔を見合わせました。
「ホントに結ばれたの?」
とティカベが訊きます。
「ええ。素敵な殿方でした」
とロゼ。
「素敵な姫君でした」
と王子。
それで楽しそうにしている王子とロゼの後を、首を傾げながらトルカンナとクロレンダとティカベは追うように歩き、食堂の方へと進んでいきました。
ガバン公の“長女”フェリシアとブロー公の三男ジョルジュの結婚式も半年後に行われ、王子とロゼはその宴に出席して祝福してあげました。
そしてロゼ様がお世継ぎの男の子を産まれたと国中に報せがあり国民たちが大いに沸いたのは、王子とロゼの結婚式の1年後でした。
もちろん本当に産んだのは19歳になるエステルの方ですが、そのことを知る者は僅かでした。
ちなみに生まれたのは本当の男の子でしたが、とっても可愛いので
「女の子にしてあげたいくらいだね」
「女の子にする手術受けさせちゃう?」
などとベッドに寝ているエステルと、その傍に立って赤ちゃんを抱いているロゼは言い合って、笑いました。