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■シンデレラは男の娘(6)

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「取り敢えず僕の愛の証をここに」
と言ってエステル王子はシンデレラに何か小さなものを握らせました。何だろうと思い、掌の中の物を見ようとした時
 
カーン!
 
という音がします。
 
ふと時計を見ると12時です。
 
やばい!魔法が解ける!!!
 
「ごめんなさい」
と言うとシンデレラは無理に王子の手を振りほどき、広間の出口に向かい駆け出しました。
 
「あ、待って」
と言って王子が追ってくるようです。でも捕まったら大変です。魔法が解けたら、このドレスは元の安物の試作品のドレスになってしまいます。ここに来る時に使った馬車はカボチャに、馬はハツカネズミに、御者はドブネズミに、召使いはトカゲに戻ってしまいます。
 
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そんなの見られたら、僕、魔女だとか言われて死刑になるかも!?
 
時計の音が鳴り響きます。シンデレラは全力疾走しました。そして宮殿の玄関に辿り付き急いで階段を駆け下りますが、その時、あんまり急いでいたもので、躓きそうになり、何とかもちこたえたものの、ガラスの靴の片方が脱げてしまいました。
 
拾おうとしたのですが
「ロゼ待って!」
というエステル王子の声が響きます。時計の音はもう既に8つ鳴っています。時間がありません。お父様の大切な記念の品ですが、靴を放置してシンデレラは階段を下まで降りました。
 
「御者、馬車を出して!」
と声を掛けると、馬車に飛び乗ります。御者が馬をあやつり、馬車はお城の庭を走ります。そしてお城の門を出てすぐ、お城の時計は12個の鐘を鳴らし終わりました。
 
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魔法が解けます。
 
シンデレラは突然空中に放り出されました。
 
カボチャが転がっていきます。ハツカネズミが6匹とドブネズミが1匹、そしてトカゲが6匹逃げて行きました。シンデレラの服も粗末なリンネルのドレスになっています。残っているのはガラスの靴片方と、胸につけているダイヤのブローチだけです。
 
「このまま走って逃げよう」
とシンデレラは自分に言うと、ガラスの靴を脱ぎ、手に持って全速力で家まで走って帰りました。
 
はあはあと息をついていた時、シンデレラはふと自分が何か握っているのに気付きます。何だっけ?と思いますが、別れ際に王子が自分に何か握らせたことを思い出しました。
 
それでよくよく見ると、大粒で美しい水色のアクアマリンの石を乗せた金の指輪でした。
 
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きゃー。こんなの持ってたら泥棒か何かと間違えられたりして。
 
シンデレラの頭の中に、色々な展開が浮かびます。
 
豪華な宝石を持っていたので泥棒として捕まり死刑。
 
男なのに女と偽って王子様を騙したとして死刑。
 
魔法を使ってカボチャを馬車に変え王宮に来たので魔女として死刑。
 
何かどうやっても僕って死刑になりそう!と思うと絶望感で頭の中が一杯になりました。
 

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取り敢えず片方だけになったガラスの靴は丁寧に拭き、クレアから借りたダイヤのブローチ、王子様から渡されたアクアマリンの指輪と一緒に靴の箱に入れ、自分のワードローブの奥に隠しました。
 
そして急いでお化粧を落とすと、普段着に着替えベッドの中に入りました。
 
そして寝たふりをしようとした所で家のドアが開きます。結構ギクッとしたのですが、入って来たのはトルカンナとクロレンダとティカベでした。
 
「ただいまあ」
「お帰り〜。ごめん。寝てた」
 
「豆はきれいに片付けてくれたのね。ありがとう」
「あ、うん」
 
クレアさんありがとう!と心の中で言います。
 
「これお土産の料理」
とティカベは今日も革包みに料理を入れて持って来てくれました。
 
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「ありがとう!」
 
それでティカベが持ち帰ってくれた料理を食べます。結局シンデレラは今日は最初からずっとエステルと踊っていたので何も飲み食いしていません。疲れたしお腹空いたなあ、などと思いながら骨付きの鶏肉にかじりついていました。
 
「だけどとうとう、今日王子様のお相手が決まったのよ」
とクロレンダが言います。
 
「え?ほんと?」
などといいながら、シンデレラは冷や汗を掻いています。
 
「昨日も最初から最後まで王子様と踊っていたけど、今日もずっとふたりだけで踊っていたのよね。今日はその女の子も凄い豪華なドレス着ていて、とてもお似合いだった」
 
「へー」
 
「もうこのまま婚約発表するんじゃないかと期待して見てたんだけどね。なぜか女の子が走って逃げてった」
「あらら」
「恥ずかしかったのかもね。でもあらためて婚約が発表されると思うよ」
「だといいね」
 
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と言いながら、やばいよーとシンデレラは思っていました。
 

翌日王宮から発表されたメッセージに国中で戸惑いの声があがりました。
 
「王子の妃選びのパーティーで2日目・3日目にずっと王子と踊っていた女性を王子は探している。できたら名乗り出て欲しい。またその女性を知っている人が居たら教えて欲しい」
 
要するに、王子様の意中の女性の身元がよく分からないということのようです。
 
「かなり豪華な服を着ていたから絶対どこか良い所のお嬢様だと思うのに」
「物凄い豪華な6頭立ての馬車で来ていた。でも王子様が馬車の後を追ったけど、忽然と消えてしまったらしい」
「どこか他の国のお姫様じゃないの?」
 
などとパーティーに出席した女性たちは噂をしていました。
 
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しかしそれでも誰も名乗り出る者は無く(若干居たものの、別人として却下)、またそのお嬢さんを知る人も出てきませんでした。
 
とうとう王宮ではこんなメッセージが出ました。
 
「姫の履いていたガラスの靴が片方残っていたので、それと全く同じサイズのレプリカを5個作った。これを持って調査団が国中を回るので、8歳から30歳までの未婚の女性は全員この靴に足を入れてみること」
 
どうも噂を聞くと残された靴に粘土を詰めて型を取り、その型に合わせてガラスと熱膨張率の近い陶器で靴を作ったらしいのです。ですからこの陶器の靴にだいたい合う人はガラスの靴に足が合う可能性があるということででした。
 
それでみんなその陶器の靴に足を合わせようとするのですが、そもそもこの靴がかなり小さいのです。それで実際にはほとんどの女性が靴に足を入れる前に「あんたには無理」と調査団の人に言われていました。
 
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「たぶんこの靴に合う人って、まだ11-12歳なのでは?」
という噂が立ちました。
 

「私たちも足を合わせに行ってこよう」
などと言ってクロレンダとティカベも、町の広場に行き、テスト用の陶製の靴を履こうとしたものの、ふたりとも実際に履く前に
「あんたには無理」
と言われてしまいました。
 
実際に履いてみているのは、やはり10-12歳くらいのまだ小さな女の子が大半です。この日はこの広場で靴のテストに合格した女の子が5人出ましたが、いづれも、王子のダンスのお相手を務めた女性を実際に見ている王子の侍従が「君は違う」と言い、別人であることが判明しました。
 
国のあちこちで一週間ほどにわたって行われた靴のテストでは結局誰も該当者が出ませんでした。
 
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すると王宮ではとうとうこんなメッセージを発表しました。
 
「王子自身がテスト用の陶製の靴と本物のガラスの靴を持って国中の家々を回るので、女性は全員その靴を履いてみるように」
 
前回は8歳から30歳までということにしていたのですが、それで見つからないので年齢関係無く、女性であれば全員試してみようということになったようです。
 

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実際には、王子はガラスの靴を持って各町の町長さんの家などに待機していて、調査団の人が陶製の靴を持って全ての家を回ることになったようです。
 
やがてシンデレラの町にも王子と調査団がやってきました。ガバン公のお屋敷では、女の子になりたてのフェリシア(元フェリックス)まで陶製の靴を履いてみるように言われていましたが、靴は合いませんでした。実際フェリシアは1日目のパーティーには行ったものの、パーティーの2日目が行われた日に女の子になる手術を受けて、2日目・3日目は行っていないので、該当するはずがないのです。
 
そして調査団はシンデレラの家にまでやってきましたが、トルカンナもクロレンダも、実際に足を入れる前に「君は無理」と言われていました。調査団と一緒に来ている王子の侍従は、ティカベを見て
 
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「あなたは王子のお相手に似ている」
と言いました。
 
「おお、凄い。ティカベ、入れてみて」
とトルカンナは嬉しそうに言ったものの、やはりティカベの足はその陶製の靴には全然入りませんでした。
 
「うーん。残念、人違いであったか」
と侍従は残念そうに言います。
 
「この家にいる女性はあなたたち3人だけですか?」
「はい、そうです」
 
それで調査団は帰ろうとしたのですが、ひとりが居室のドアの陰から様子を見ていたシンデレラに気付きます。
 
「そこに居る子は?」
と訊かれます。
 
しまったぁ!とシンデレラは思いました。ずっと隠れているつもりだったのにどんな様子だろうと思い、覗き見したばかりに見つかってしまいました。
 
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「この子は男の子ですよ」
とトルカンナが言いました。しかし侍従が言いました。
 
「いや、君も王子と踊っていた女性に似ている」
 
そう言われて、シンデレラはギクッとします。
 
「でも男の子ですし、パーティーには行ってませんよ」
とトルカンナ。
 
「男の子でも構わないから、君、この靴を履いてみて」
と侍従は言いました。
 

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シンデレラは参った!と思いました。しかし逃げ出したら捕まって・・・とその後のことを考えると、もうどうにでもなれ!と開き直りの気持ちができました。
 
それでシンデレラは陶製の靴に足を入れました。
 
足はピタリとその靴に合います。
 
「おお、やはりそうだ!あなたが王子と踊った方でしょ?」
と侍従は言いました。
 
「うっそー!?」
とトルカンナたち3人が驚いて言います。
 
「あなたの名前を教えてください」
と侍従は言いました。
 
「ロゼです」
とシンデレラは名乗りました。
 
「おお!まさにその通り。王子と踊った女性はロゼと名乗られたのです」
 

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その時トルカンナがハッとしたようにして言いました。
 
「そうだった。私もすっかり忘れていた。13歳の誕生日が来たから、シンデレラという名前はやめて、本名のロゼに戻すことにしていたんだった」
 
この時トルカンナはわざと「ロジェ」ではなく「ロゼ」と言いました。
 
シンデレラも、もうこうなったら運を天に任せるしかないと思いました。
 
「1日目に着た衣装はこれです」
と言って、寝室に行き、トルカンナのベッドの上にある箱を取り出しました。そこには、母の形見の少し古風なドレスと銀色の靴、花の形の銀色のブローチが入っていました。
 
「そうです、そうです。初日はそういう服を着ておられた」
と侍従。
 
「あ、その服に似てると思っていた」
とトルカンナ。
 
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「2日目に着た衣装はこれです」
 
と言ってロゼはワードローブの中からパッチワークのドレスを取り出します。そして暖炉の上に掛かっている時計を降ろすと、裏のふたを開けて箱を取り出しました。そこには金色の靴と、鳥の形をした金色のブローチがありました。
 
「そこにそんな物が入っていたなんて!」
とトルカンナは本当に驚いています。どうもこれはトルカンナも知らなかったようです。
 
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