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■アレナクサン物語(6)

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それで2人は今夜の宿を取り、また馬を預かってもらったりするため、小王国に入りました。もう目の前に見えていた王国の門の所まで行きます。
 
門番がいるので声を掛けたのですが・・・
 
「石になってる!?」
 
それで王国内に入っていくと、行き交う人々がみんな石になっているのです。道を歩いている人が歩く格好のまま石になっています。走っていたふうの飛脚は走る格好のまま空中で石になっています。抱き合った若い男女は抱き合ったまま石になっています。
 
やがて王宮に至りますが、ここでも門番が石になっていますし、中庭でネズミを追いかけていた猫が、ネズミもろとも石になっていました。宮殿内に入ると、兵士も貴婦人も石になっていますし、厨房では料理人が料理を作りながら石になっていて、料理は空中に浮いたまま!石になっていました。どうも料理を鍋の中で返そうとしている最中に石化してしまったようです。
 
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やがて玉座に行くと、ここにひとりだけ、上半身が石化していない人がいました。
 
「君たちは誰だね?」
とその老人は言います。
 
「失礼します。みなさん石になっていたので、案内も無しで勝手に入ってしまいました。コンスタンティノープルの皇帝の使いで参りました、アレナクサン・アリマンと申します。これはどうなっているのでしょうか?」
 
「それは遠い所から来られた。私はこの国の王じゃ。40年ほど前にこの国に飛来した魔女にやられてしまったのだ。物凄く強力な魔女で、国中を石にしてしまったが、“命の水”のありかを吐かせようと、私だけ、身体の下半身のみ石にして上半身は生身にしているんだ」
 
「それは大変でしたね」
「魔女は毎日お昼になるとやってきて私を責めて吐かせようとするが、私は絶対にしゃべらない。それが40年ほど続いている」
 
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「それは大変な苦難でした。魔女を倒す方法はないのでしょうか?」
 
「40年の間に向こうがうっかり漏らしたことがある。山の麓の森の中に神聖な泉があるのだが、その泉のそばのナツメの木に鏡が掛かっていて、その鏡に魔女を映すと、魔女は滅びてしまうのだよ。それにその泉の水をコップ一杯程度でいいから、王国の中央にある噴水に流し込むと石にされた者たちも生き返るらしい」
 
「だったら、その鏡と泉の水を取ってきましょう。泉への道を教えてください」
とアレナクサンは言いました。
 
「ただ、困ったことに、その泉の周囲には結界が張られていて、その結界を通過できるのは、男に生まれたものだけ。でも泉の水を汲んだり、鏡を掛けてあるナツメの木から取ることができるのは女だけなのだよ。つまり誰にも取れないということなんだ」
 
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しかしアレナクサンは言いました。
「たぷん取ってこられます。道を教えて下さい」
 

それでアレナクサンは水を汲むための瓶と、木の枝から鏡を取るための足台と棒を王から教えられた王宮内の厨房と倉庫から取ると、それを持ってカリナと一緒に出かけます。
 
「出る前にトイレ借りていこうよ」
「そうだね」
 
それで王宮内のトイレに入ります。トイレは男女に分かれているようですが、カリナは当然女トイレに入りますし、アレナクサンも女トイレに入ります。半年以上の女装生活で、アレナクサンも女トイレに入ることには何の抵抗も無くなっていました。ここは壺が並んでいて、そこにするようです。
 
「あれ、これどうやっておしっこすればいいんだろう?」
などとアレナクサンが言います。
 
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「普通にすればいいと思うけど」
 
いつものようにスカートの中に壺が入るようにし、そこにまたがるようにします。アレナクサンは少し不安を感じながら、してみましたが、ちゃんとできたのでホッとしました。
 
「できるみたい」
「それはおしっこできなかったら困る。周囲が結構濡れるから、布で拭いてね」
「いつもあれの先を拭いてるけど」
とアレナクサンは言ったものの、した後、結構広い範囲が濡れているので、びっくりしました。アレが付いてた時は、先の方を少しだけ拭けば良かったのに。
 
「割と大変だった」
「でもこれからはずっとそれだからね」
 
「うん。慣れなくちゃ。でもおしっこ自体は凄くしやすい気がした」
「へー」
「男のおしっこは雨樋を通った後、飛び出していく感じ。女のおしっこは、そのまま落ちていく感じ」
「私は男になったことないから、分からないけど、出しやすいのは良かったね」
 
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ともかくも、それから2人は荷物は王宮内に置かせてもらった上で、足台と棒に瓶を持ち、馬に乗って森の中に入っていきました。
 
王が書いてくれた地図を頼りに1時間も行きますと泉が見えてきます。
 
2人は馬を下りました。
 
「ああ、ここから先は私は通れないみたい」
とカリナが泉の手前10mくらいの所で言います。
 
「私は通れるよ」
 
と言ってアレナクサンは“男に生まれた者だけが通れる関門”を通過して中に入りました。確かに泉があり、そばにナツメの木があります。鏡は木の下から3mほどの所に掛かっていました。アレナクサンは木の下に足台を置き、その上に登って棒を鏡の方に伸ばします。
 
アレナクサンは確かにその鏡を取ることができました。
 
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「ちゃんと取れたよ」
「女の子になったからね」
「えへへ。この身体割といいね」
「良かったね」
 

アレナクサンは泉の水も瓶に一杯汲みました。そして王宮に帰還します。
 
ちょうどそこに魔女がやってきました。魔女が杖で王を責めようとしますが、アレナクサンはそこに飛び出し、魔女の杖を叩き落としてしまいました。落ちた杖をすかさずカリナが確保します。
 
「何じゃお前たちは?」
「旅の者だが、国王殿に助太刀させてもらう」
 
「ふん。女に生まれた者に私は倒せんわ」
「へー」
「ちなみに男にも私は倒せんぞ」
「そう?」
 
「だから私が倒されるのは、男が女に変わった時くらいだろうね」
と言って魔女は大笑いしました。
 
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「ではこれを見なさい」
と言って、アレナクサンは泉の傍のナツメの木から取ってきた鏡を魔女に向けました。
 
「その鏡は・・・馬鹿な?まさかお前は男から女に変わった者なのか!?」
「まあそういうこともあるかもね」
とアレナクサンは言いましたが、鏡に映された魔女は小さく縮んで消えてしまいました。
 

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「噴水に泉の水を入れてきます」
「頼む」
 
それでアレナクサンたちが、町の中央にある噴水の所に泉の水を少し注ぎますと、そこから光のようなのが広がっていき、石になっていた人たちが皆復活しました。
 
道を歩いていた人は歩き続けます。走っていた飛脚は走り続けます。抱き合っていた若い男女はますます強く抱擁します。
 
町の入口の番人も、王宮の入口の門番も何事もなかったように監視を続けます。ネズミを追いかけていた猫は、ネズミもろとも復活して、そのネズミを追いかけていきました。王宮内の兵士や貴婦人も復活して何事もなかったかのように行進を続けたり、おしゃべりをしたりします。料理人は料理ごと復活して、炒め物を作り続けました。
 
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そして王の下半身も復活して全身生身に戻りました。
 
「ト、トイレ」
と言って、王はトイレに駆け込みました。40年分のトイレをするのはなかなか大変だったようです。
 

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アレナクサンたちが王宮に戻ると、王は玄関まで出て、2人を歓迎してくれました。
 
石になっていた人たちは自分たちが40年も石になっていたことに全く気づいていませんでした。ただ当時20代だった王がいつの間にか60代になっているので驚いたようです。
 
「上半身は60代なんだが、どうも下半身は20代のようで困ったものだ」
などと王は言っています。
 
「若いお嫁さんをもらって、お子さんを作られるといいですよ」
とカリナは微笑んで言いました。
 
その日2人は王に歓迎されて、夕食も頂きましたが、出て来た料理は40年前に作りかけたまま時が停まっていた料理で、40年間に熟成したのか物凄く美味しい料理でした。ワインも頂きましたが、このワインも40年物なので、とても美味しく「10本くらい持って行きなさい」と言われたので、皇帝に届けることにしました。
 
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「コンスタンティノープルというと、私の姉がコンスタンティノープルから来た役人と恋をして、嫁いで行ってしまった。私がああなってしまったから連絡もできなかったが、元気でいるかなあ」
と王様は言いました。
 
「何という人に嫁いだのですか?」
「ハヤチ・アカイという人だったよ」
 
アレナクサンとカリナは顔を見合わせました。
 
「君たち知ってる?」
「それ・・・先代の大臣の名前だよね?」
「おお、あの男、大臣にまで出世したのか!」
「5年ほど前に亡くなられて、今は息子さんのゲンコ・アカイが大臣をしています」
「おぉ!」
「陛下のお姉さんって、エリエさんですか?」
「うん!」
「まだお元気ですよ。お手紙でも書かれますか?」
「うん。書く。届けてくれる?」
「もちろん」
 
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つまりグルセは図らずも義母の出身地の近くにアレナクサンたちを行かせたことになります。
 

「ところで陛下、実は私たちはキリマ・ンジャロの頂上の神殿にあるという泉に湧いているという“命の水”を汲みに来たのですが、行き方が分かりますか?」
 
「それは無理だ」
と王は言いました。
 
「無理というと?」
 
男に生まれたものしか通過できない・女にしか獲得できない、といったものなら自分が行けるけどと思ったのですが、国王の答えは思いも寄らないものでした。
 
「その神殿は人間には辿り着けないのだよ。まあ魔女なら行けたんだけど、場所も絶対に教えなかったし、門を通る呪文も教えなかったけどね」
 
「うーん・・・」
 
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「神様か天使の知り合いでもいたら、頼むと取ってきてくれるかも知れないけど、まあ普通そういう知り合いはいないからね」
と王は笑って言いました。
 
取り敢えずアレナクサンたちは、泉への地図と、門を通過するための呪文だけ教えてもらいました。
 

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翌朝、王宮でぐっすり休み、美味しい朝御飯も頂いたふたりは王からエリエ様への手紙も持ち、お互いによく御礼を言い合ってから、城下町を出ました。
 
昨日女神様と約束した場所に来ます。
 
やがて女神様が現れます。アレナクサンは言いました。
 
「女神様、キリマ・ンジャロ山の山頂の神殿前の泉に湧いているという“命の水”を取ってきて頂いたりはできませんか?」
 
「ああ、そんなものでよいのか」
「そこには人間は辿り着けないと聞いたので」
「うむ。人間は死んだ者だけが行ける。何なら今すぐ死なせてもよいが」
「遠慮します!」
「では天女に取って来させよう」
 
と言うと、女神は天女を呼び寄せます。先日アレナクサンが衣を縫ってあげた、若い天女でした。彼女は
「すぐ持って参ります」
 
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と言って、アレナクサンから瓶を預かると、山の頂まで飛んで行き、ガラスの瓶いっぱいの“命の水”を汲んできてくれました。
 
「あの神殿は、そもそもその場所に行っても、生きている人間の目には見えない。更に泉の水を汲むには、番をしているライオンに認められなければならない。よこしまな心を持つ者はライオンに食い殺されてしまうのだよ」
と女神様は言います。
 
「だったら、魔女にはどっちみち無理だったね」
とアレナクサンはカリナに言いました。
 
「しかし“命の水”など、何にするのだ?」
「コンスタンティノープルの皇帝の皇后様が病気で伏せっていて、治すには命の水が必要だと、大天使セブラールから言われたらしいのです」
 
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「大天使がわざわざ人間の病気治療のことなど言うとは思えないがな。神も天使も本来は人間の世界には関わってはいけないのだよ。人間の世界には人間の世界の秩序があるから、我々の関与はしばしば秩序を破壊し、混乱をもたらす」
 
「ああ、そういうものですか?」
 
それで女神様は石化された町も特に救済しなかったんだろうなとカリナは思いました。
 
「今回のことは私たちが助けてもらったゆえ、特別なことだから」
と女神様。
「はい、承知しております」
とカリナ。
 
「しかし、病気を治すのに使うのであれば、お前たち早く帰りたいだろう?」
「はい」
 
「ではお前たち、速攻でコンスタンティノープルに送り届けてやろうか」
「いいんですか?」
 
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「お前たちの望みがどちらも小さくささやかなものであったから、まあサービスだ」
「本当にありがとうございます」
 
性別を変えるのが“小さくささやかな”ものなのかなあ、とカリナは疑問に思いました。
 

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アレナクサン物語(6)

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