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■夏の日の想い出・新入生の初夏(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2011-11-20/改訂 2012-11-11
 
5月最後の土曜日の午後、私と政子は、琴絵・仁恵・小春と5人で埼玉県内の屋内プールに向かった。
 
この場所を選んだのは、ここがローズ+リリーのメジャーデビューの場であったことと、都心から離れていて、私と政子に気付く人が少ないと思ったことであった。また、この日取りになったのは、元々琴絵が5月にプールに行こうよと言っていたものの、この日まで私のスケジュールが空かなかったためであった。仁恵は当然ながら乗ってきたが、礼美はバイトで来られなかった。そして5人で電車を待っていたら、ちょうどそこに風花が通り掛かり、プールに行くというと、私も行く !というので一緒に行くことになり、結局一行は6人となった。
 
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「風花、大学はどう?やはり凄い人たちばかり?」
「超絶凄い人ばかり。これだけ音楽の天才がいるのかって。もう私、上の方ばかり見てて首が痛くなる感じだよ」
 
風花はこの春から調布市内の音楽専門の大学に通っている。
 
「わあ、でも凄く鍛えられそう」
「うん。物凄く刺激になるよ。もちろん才能的には全然かなわないけど、やはり凄い人たちの間で揉まれるのは自分の力を引き出す原動力になる。冬たちもさ」
「うん」
「実力のある人たちと、たくさん交流するといいよ」
「そうだね。ありがとう」
 
今回は豊胸後のリアルバストの初披露となったので、更衣室でみんなに触られた。
 
「えーっと以前と全然変わらない気がするのですが」と仁恵。
「うん。まあ要するに、シリコンのバッグを体外に貼り付けてるのか、体内に埋め込んでいるかの違いだからね」
「そのために、わざわざ痛い手術を受けるわけか・・・・」
「まあ、これで女湯にも入れるということで」
「以前にも入ったことある癖に」と政子と琴絵。
「あはは」
 
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「でもプールとか入って良かったの?」
「先生に確認したけど、水に入るのは構わないって。でも激しい運動はもう少し待った方がいいと言われたから、今日はあまり泳がないで、水浴びに徹するよ」
「なるほど」
 
私が今回はあまり泳げないので、政子は風花を誘って25mプールに行き、泳いでいた。政子は風花と話したのは今日が初めてだったのだが、けっこう意気投合した感じであった。
 
私は仁恵・琴絵・小春とボール遊びをしたり、流れるプールでゆっくり歩きながらおしゃべりしたり、ゴムボートに乗ったりしていた。その内、泳ぎ疲れたといって風花が戻ってきて、小春を誘ってシューターの方に行った。
 
「でも、とうとう体にメスを入れたんだね」と仁恵。
「うん。やっちゃった。ついでに来週には玉も抜くよ。もう事前診察受けて、予約済み」
「わあ、改造まっしぐらだ」と琴絵。「おちんちんも取るの?」
「それはまだ。でも股間形成までするから、見た目は完全に女の子になっちゃう」
「おちんちんが付いてる内にいちど冬と寝てみたいな」
 
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「そんな私みたい子じゃなくて、ふつうの男の子を狙いなよぉ」
「いや、政子とあまりに仲がいいから邪魔してみたくなるだけ」
「あはは」
「たぶん、政子以外で冬とキスしたことのある女の子は私だけだよね?」
「女の子ではコトだけかなあ。。。。。中学の時に付き合った子とはキスまで行かない内に別れちゃったから」
 
「えー?キスっていつの間に」と仁恵。
「ふっふっふっ」と琴絵。
 
「あ、ごめん。もうひとりいた。関西で活動してるパラコンズという女性デュオのくっくという子にキスされた。ステージで歌って袖に引き上げてきた所で感動した!とか言われて、やられた」
「おお」
 
「あれ?女の子ではと言ったよね」
「男の人では2人かな」
「おお」
「一人は友だちだけど、もう一人は実はレイプされかけ」
「うむむ」
「やられかけた所にちょうど人が来て助かったけど」
「冬って、少し無防備な所あるもんね」
「そう?」
 
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「でもその友だちの男の子とはキスした後、どうなったの?」
「いや、その別に・・・ふつうに付き合ってたよ」
「付き合うって、恋人になったの?」
「違ーう。そういう意味じゃなくて、ふつうの友だち付き合いだよ」
「怪しいね」
「うんうん、怪しい」
「もう・・・・」
 

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プールで4時間遊んだ後、みんなで都心に戻り、シダックスに入ってカラオケをしながら夕食にした。
 
「冬ちゃん、高い声、今どこまで出るんだっけ?」と風花。
「ふだん使ってるミックスボイスではG5まで。コーラス部に入った頃はE5までしか出てなかったのを、ずっとみんなと一緒に歌っている内にそこまでは出るようになった」
「冬ちゃんの声、個人的に少し指導してあげたかったんだけどねー。冬ちゃん、いい指導者に付いて練習すればたぶんC6まではすぐ出ると思うんだけどなあ」
 
「うーん。どこかにそういう指導者いるかなあ・・・」
「元男の子でここまで高音が出るだけ凄いんだけど、うーん。この手の発声を指導できる人か・・・うちの大学にもいなさそうだなあ。でも基本的には裏声を鍛えることで、ミックスボイスも声域広がると思うのよね」
「裏声の発声か・・・・何か適当な歌がないかな?」
 
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「There must be an angel とかどう?先頭のスキャットの所、かなり高音だよね」
と仁恵。
「あれはD#まで使ってるよね」と風花。
「あそこ、私は裏声でないと歌えない」と私。
「裏声でもいいよ。一緒に歌ってみよ」
と言ってカラオケを呼び出す。
前奏を聴いて、私と風花は『あれ?』と顔を見合わせた。
 
「キーが半音高い!」「うん」
「ティラリラリラリラー」というスキャットを、風花はミックスボイスで、私は裏声(ヘッドボイス)で歌った。
「ふたりともすごーい」と仁恵と政子が感心している。
 
歌本体の所は、私と風花にくわえて政子も一緒に歌った。他の3人は手拍子を打っている。最後にまた、私と風花でスキャット部分を歌って終了。拍手。
 
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「けっこうちゃんと出てるじゃん、裏声」と風花。
「でも響きが少なすぎる感じで不満なのよねー」
「確かに声量は小さいよね」
「そうそう。それもある」
「裏声が純音に近くなるのは仕方ないと思うなあ。『夜の女王のアリア』のコロラトゥーラとか、一流のソプラノでも、響きの少ない機械的な声になっちゃってるよ。あのピッチの音に更に倍音まぜるのは難しいもん。でも声量は少し練習すればもう少し出るようになると思う」
「ほんと?」
「ちょっと今練習してみよ」
 
などということになって、その日私は風花と一緒に裏声の声量を出す練習を『There must be an angel』のスキャットを使って、ひたすらやったのであった。この短時間の練習で裏声の声量が飛躍的に増えた。風花はさすが教え方がうまいと思った。更に!G5までしか出ないと思っていたミックスボイスも、G#5まで出るようになってしまったのであった。
 
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「あとね、今日はポイントだけ教えたんだけど、やはり高い音域出すには、喉の筋肉を鍛えないといけないのよ。今冬ちゃん、出そうなのに我慢できずに音が壊れちゃってるところあるでしょ」
「うん」
「あそこが筋肉鍛えることで壊さずにちゃんと出せるようになるの。首を回したり上下左右に曲げたりとか、舌を出したり左右に動かしたりとか、あと肩の上げ下げとか、顔全体のマッサージとか、そういうの毎日やって、とにかく首の付近の筋肉を鍛えるといいよ」
「分かった、頑張ってみる」
 
「でも時々一緒に練習しようよ。私もいい勉強になる。学校ではクラシックばかり歌ってるから、ポップスの発声を鍛える機会が少ないんだ」
「うん、やろうやろう」
 
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「でもさ、冬、来週タマタマ取っちゃったら、高い声出るようにならないの?」
と琴絵。
「え?冬ちゃん、取っちゃうの?」と風花。
「えへへ。取っちゃう。でも取ったからって声には影響しないよ。小学生の頃に取っちゃってたら、高音が出てたんだろうけどね」
「カストラートだよね。もう現代ではあり得ないよね」
「うん」
 
そう。現代にカストラートはあり得ないと思っていた。青葉や春奈に会うまでは。
 
その日はカラオケ屋さんで解散の予定だったのだが、カラオケ屋さんを出て、みんなで駅のほうに向かって歩いていたら、政子が「おなか空いた。何か食べてから帰ろうよ」などと言い出した。
 
「えー?今食事してたんじゃないんだっけ?」
「でもけっこう歌ったし」
 
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という訳で、私たちは駅の近くのファミレスで軽い食事をしてから別れた。政子はステーキセットを頼んで、みんなに呆れられていた。なんだかんだ言いながら琴絵も大きなイチゴパフェをたいらげた。私はチキンバーを3本とサラダを食べていた。
 

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駅で琴絵と仁恵は千葉方面に、風花は調布方面に、小春は新宿方面に帰る。私と政子は一緒に、政子の家に帰った。
 
私たちは家の中に入るなり、抱き合いキスをした。
「ベッドに行こう」
「シャワーを浴びてからね」
「うん。それとタック外してよ」
「いいよ」
 
ここのところ政子は私に毎日夜間はタックを外すよう要求していたので、私はしばらくテープタックをしていた。ただ今日はプールに行くので接着剤タックにしていた。テープの時は政子が自分でテープを開封していたが、接着剤は剥がし液を使う必要があるので、その作業をしてから入浴した。
 
私が先にベッドに入り少し待っていると政子もシャワーを終えて部屋に入ってきた。ベッドに潜り込み抱きついてくる。いつものように枕元には避妊具を1枚、お守りに置いている。そのまま1時間ほど、私たちは睦み合っていた。
 
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「冬のクリちゃんは少し大きいですね。邪魔でしょ。こんなに大きいとお嫁さんに行った時、お婿さんがぴっくりしますよ。もう少し小さくしなきゃ」
「はい。お医者さんに切ってもらって小さくします」
「いつ切りますか?」
「もうちょっと先」
 
「あら、クリちゃんの下になんかごろごろするものが付いてますよ」
「それは今度の金曜日にお医者さんに取ってもらいます」
「よしよし。こんな変な物、お股に付けてちゃいけませんね。冬は女の子なんだから」
「はい。割れ目ちゃんも作ってもらいます」
「うん。素直ですね。ご褒美におっぱいを吸ってあげます」
「あう・・・」
 
この時期、政子は言葉責めに燃えていて、私のを毎晩いじりながら、いろいろな言葉で私を興奮させていた。脳逝きになってしまうことも何度もあったが、脳逝きは「気持ちよくなりすぎたらストップ」のルール外と言って、政子は止めなかった。
 
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少し疲れたので休憩して暖かいココアを飲む。
 
「ねえ、ここ数日、完璧に一線を越えてる気がするんだけど、お守り開封しなくていいの?」
「うーん。わたし的には、開封一歩手前の感じ。冬ったら、私のグリグリしてくれないし」
「開封したらするよ」
 
「でも確かに、ここのところ毎日だね」
「私たちまるで新婚さんみたい」
 
「ね・・・・恋人になっちゃう?」と私。
「ううん。まだ友だちでいい」と政子。
「私、金曜日には男の子の元を取っちゃうけど」
「うん。取っちゃって。冬は女の子なんだから。あ、金曜日に金を取るって少し面白いかも」
 
「何を突然オヤジギャグみたいなことを。。。。でもマーサは反対しなかったね。お母ちゃん説得するのには半日掛かった。もう子供作れない状態になっていることは以前言ってたのに」
「そりゃ、お母さんとしては冬のこと大事だから、慎重にって言うよ。子供はたぶんもう1年前から諦めたんじゃないかなあ。私はちょっと無責任かも」
 
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「ううん。マーサも私のこと大事にしてくれるから反対しないんだと思う」
「まあね」
「琴絵やお姉ちゃんからは煽られたけど、それもやはり私のことを真剣に考えてくれてるからだろうなって、少し涙が出た」
 
「でも、冬にまだ男の子機能があった内に1度しておけば良かったなあ」
「ごめんね」
「考えてみれば、金沢のホテルでの一夜が唯一のチャンスだったのかなあ」
「そうかも」
 
「やはり物事って、やれる時にやっておかないとチャンスは消えるのね」
「・・・・それって色々な意味でそうだと思う」
「また今度ってのは、絶対来ないのよ」
「同感」
 
「でも冬がもしヴァージンもらってくれないなら私悩んじゃう。誰にあげるか」
「そんなの彼氏作ったら、その彼氏にあげればいいじゃん」
 
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「彼氏作る前に誰か特別な人にあげたいのよ」
「変なの!」
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