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■夏の日の想い出・そして誰も居なくなった(4)

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さてKARIONのアルバム制作の方であるが、これは元々8人(組)のソングライターから楽曲を提供してもらいKARIONの4人で歌うということで「四方八方」というタイトルを付ける予定で進行していた。その時予定していた8組とは、
 
泉月 森之和泉(いずみ) 水沢歌月(ケイ) 
雪鈴 ゆきみすず すずくりこ 
広花 広田純子 花畑恵三 
照海 葵照子(蓮菜) 醍醐春海(千里) 
福孝 福留彰 TAKAO 
櫛信 櫛紀香 SHIN 
スイート・ヴァニラズ 
樟南 
 
というものであったが、その後、スイート・ヴァニラズはEliseが妊娠出産で詩を書けないということで、代わりに天万:岡崎天音(=マリ)+大宮万葉(=青葉)が書くという話に(青葉には無断で)なって、その後東堂千一夜さんが1曲提供してくれるという話が出てきたのだが(このあたりで和泉も何組のソングライターが動いているのか分からなくなって来た)、福留さんが絶不調に入り提供のメドが立たなくなったということであったが、更にアルバム制作の時期がずれ込んだことから、Eliseから「1曲できたけど、どうする?」という打診があり「ください」と返事する。そしてどさくさまぎれにマリが勝手に「マリ&ケイからも1曲提供するね」と言って、結局9月中旬の段階で次のような曲のスコアが目の前にあった。
 
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泉月『Around the Wards in 60 minutes』 
マリ&ケイ『ゆりばら日誌』 
雪鈴『アイドルはつらいよ』 
広花『滝を登る少女』 
照海『嵐の山』 
櫛信『皿飛ぶ夕暮れ時』 
スイート・ヴァニラズ『もう寝ろよ赤ちゃん』 
樟南『トランプやろう』 
天万『黄金の琵琶』 
東堂千一夜『アラベスクEG』 
神崎美恩・浜名麻梨奈『フレッシュ・ダンス』 
紅ゆたか・紅さやか『夕釣り』 
 

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「なんか既に12曲あるんだけど」
 
「泉月(森之和泉+水沢歌月)で4−5曲書かなくても、既にアルバムを作るのに必要な曲数は揃っているね」
「でも『四方八方』という仮題はどうする?」
「この際『十二方位』で」
「何だっけ?」
「西洋の方位だと、東・南・西・北・北東・南東・南西・北西と45度ずつ8分割だけど、東洋の方位は、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥と30度ずつ12分割」
「へー」
 
「ああ、子(ね)の方角とか、午(うま)の方角とか言うよね?」
「それで子の方角と午の方角を結ぶのが子午線(しごせん)だよ」
「そうだったのか!」
 
「卯の方角と酉の方角を結ぶのが卯酉線(ぼうゆうせん)、寅と申なら寅申線(いんしんせん)、辰と戌なら辰戌線(しんじゅつせん)」
「色々あるんだ?」
 
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「《いんしん》って別の物を想像するな」
「こらこら」
 
「古いお寺や神社は、しばしば寅申線や辰戌線に沿って並んでいる」
「何か意味あるの?」
 
「日本の長崎から茨城程度の緯度では、夏至の太陽は寅の方位から昇って戌の方位に沈むし、冬至の太陽は辰の方位から昇って申の方位に沈む。つまり自然の太陽の動きを反映した方位なんだよ」
 
「へー!」
 
「春分や秋分の太陽は?」
「それは卯の方位(東)から昇って酉の方位(西)に沈む」
「あっそうか!」
 
うやむやの内に、このアルバムは「四・十二・二十四」という名前に改題することとなった(回文になっている)。歌うのが4人、ソングライターは12組で24人なのである。
 
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森之和泉・水沢歌月・マリ・ケイ・ゆきみすず・すずくりこ・広田純子・花畑恵三・葵照子・醍醐春海・櫛紀香・黒木信司・Elise・Londa・Carol・Susan・Minie・樟南・岡崎天音・大宮万葉・東堂千一夜・神崎美恩・浜名麻梨奈・紅ゆたか・紅さやか、と並べると25の名前があるが、この中でマリと岡崎天音は同一人物なので24人ということになる。
 
「水沢歌月とケイもだぶってると言われそう」
「それは別人という公式見解で」
「今回福留彰さんが入ってないから、Eliseと同一人物だろうと言われないな」
「あれは本人たちもびっくりしていたみたいね」
「福留さんに、ぜひ実際に女装してみてくださいと言ったら、勘弁してと笑っていたらしい」
「ほんとに親戚関係とかないの?」
「ふたりとも先祖は高知県の出身らしい。だからひょっとしたら、どこかでつながっている可能性もないことはないけど、さすがに分からないということ」
「ほほぉ」
 
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「ところで神崎美恩・浜名麻梨奈が提供してくれた曲、凄く本格的だね。これXANFUSのシングルで出してもいい曲なんじゃないの?」
と小風が言う。
 
私は顔を曇らせた。
 
「実は、神崎美恩・浜名麻梨奈は&&エージェンシーとの契約を切られた」
と説明する。
 
「嘘!?」
「今後XANFUSの楽曲は、ダンスナンバーで定評のあるガラクン・アルヒデトさんの作品を使用することになった」
「なんか一昔前の人という気がするなあ」
「一世風靡した人ではあるけどね」
 
「でもどうしたの?斉藤社長と喧嘩でもしたの?」
「いや、斉藤さんが社長を解任されたのが発端なんだよ」
「えー!? 斉藤さんが解任って、じゃ今、&&エージェンシーの社長は誰なの?」
 
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「悠木朝道さん。初代社長の甥だよ」
「斉藤さんって2代目だったの?」
「初代社長が亡くなった後、後をついだ弟さんが芸能界のこと分からないというので、斉藤さんを連れてきて社長に据えた。でもその弟さんが亡くなって息子さんが株を継承したんだよ。それで自分が社長をやるというので、斉藤さんとしては、創業家の人が社長をやると言われたら、引き下がるしかない」
 
と私はできるだけソフトに説明したが、実際には某筋からの情報ではある日突然会社に乗り込んできて、今日から自分が社長をやるから、君はすぐ荷物をまとめて退出しなさいと通告したらしい。一応退職慰労金として1億円払ってくれたそうだが、この金額は要するに文句言うなということだ。
 
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「でもアルヒデトさんって、むしろハウス系じゃない?」
「そうそう。だいたい打ち込みなんだよね」
「生バンドのノリに合わせて歌うXANFUSには合わない気がする」
と小風。
 
「実はPurple Catsも契約解除された」
「うっそー!!」
 
「だから今後のXANFUSの伴奏は全部打ち込みで行く」
「なんか、音楽の方向性が全然違ってしまいそう」
 
ただ私はこれだけで果たして済むだろうかという不安を感じていた。
 

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ところで今回のアルバムの曲名の多くは映画や漫画のタイトルのもじりである。
 
『Around the Wards in 60 minutes』は『Around the World in 80 days』。80日間世界一周を60分間区一周にしている。Wardとは新宿区とか品川区とかの「区」のことである。60分というのは山手線の一周の時間から来ている。
 
『ゆりばら日誌』は『つりばか日誌』。更に作詞作曲者がローズ+リリーであることにも引っかけている。
 
『アイドルはつらいよ』は『アイドルを探せ』と『男はつらいよ』。元アイドルである、ゆきみすず・すずくりこ先生たちが若い頃のことを思い起こし書いてくださったもの。
 
『滝を登る少女』は『時をかける少女』。『嵐の山』は『嵐が丘』。
『皿飛ぶ夕暮れ時』は『空飛ぶ幽霊船』。『トランプやろう』は『トラック野郎』。『もう寝ろよ赤ちゃん』は『こんにちは赤ちゃん』。『夕釣り』は『夕鶴』。『フレッシュ・ダンス』は『フラッシュダンス』。
 
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『黄金の琵琶』は実は『黄金の日日』(あるいは『黄金の豚』)と『ビルマの竪琴』をもじって『黄金の竪琴』にするつもりだったのが、政子が青葉に作曲依頼する時、誤って『黄金の琵琶』と書いてしまったものである。ところが青葉が作曲した際に作ってくれた仮音源の琵琶演奏があまりに素晴らしかったので、琵琶というのを活かすことにした。
 
『アラベスクEG』はこれだけもじりになっていないが、東堂千一夜先生から頂いた曲なのでそのまま使用することにし、アルバムの最後に入れておふざけは終了という意味合いで使わせて頂くことにした。
 

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「私、運転免許取ろうかなあ」
と政子はその日唐突に言った。
 
「うん。いいんじゃない? 免許くらい持ってていいと思うよ。車も買う?」
「そうだなあ。マイバッハとかどうかな」
「よく、そんなブランド知ってたね」
「こないだ若葉の所にお見舞いに行ったら、高校の同級生さんが来ていて、帰る時、ここまで乗せてもらったんだよ」
「その車がマイバッハだったんだ?」
「うん。マイバッハ75とか言ってた」
 
「うーんと、それマイバッハ57ということは?」
「そうかも知れん。ねぇ、車見に行くの付き合ってよ」
「いいけど、先に免許を取って、その後にすれば?」
「そうだねー。じゃとりあえず合宿コースで取りに行くかなあ」
 
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「それは困る。アルバム制作中なんだから」
「むむむ」
「何とか通学コースで頑張ってよ」
「じゃ、私、冬がKARIONの制作の方に行っている間に自動車学校に行ってくる」
 
この時期、私はローズ+リリーとKARIONのアルバムを同時進行で製作している。だいたい午前中に和泉と一緒にKARIONのスコアの検討をして、午後は政子や七星さんたちとローズ+リリーの制作を進め、夕方からはまたKARIONの方に行き和泉・美空・小風およびトラベリングベルズのメンバーと夜中まで実作業をしている。
 
「だけど私はマーサが寝ている間にKARIONの制作に行ってるよ」
「う・・・。だったら、私、寝る時間を削って自動車学校に行かないといけないのだろうか」
「今1日12時間くらい寝ているのを8時間くらいにすれば時間は作れると思うけど」
「私、12時間も寝てる!?」
「最近、なんだかそういうパターンになってるよ。お昼くらいまで寝てるのに、夜はだいたい12時くらいで寝てるし」
「気付かなかった!」
 
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結局政子は、朝私がKARIONの制作に出かけるのと前後して自動車学校に出かけていき、午前中に教習を受講した後、お昼過ぎからスタジオに入ってローズ+リリーの制作作業を夕方までするというパターンで行くことにする。
 
私は政子を起こす所まで正直付き合っていられないので(政子はおおむね起こし始めてから本当に起きるまで1時間かかる)、政子が個人的に雇った付き人(?)近藤妃美貴ちゃんに起こしてもらうことにした。彼女は私たちの高校以来の友人・近藤詩津紅の妹で、現在専門学校に通っている。専門学校の授業は就職活動しやすいように弾力的なスケジュールなので、午前中にバイトしても問題ないらしい(本人の弁)。彼女は既に運転免許も持っているので、政子を起こして自動車学校まで連れていくというお仕事を取り敢えず政子が自動車学校を卒業するまでの期間お願いすることにした(車はお母さんの買物用のモコを使用するということ)。
 
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