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■夏の日の想い出・長い道(2)

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「ありがとうございます。私の生徒手帳、そもそもこうなっているんですよねー」
 
と言って、私は女子制服の写真が貼られている生徒手帳を見せる。
 
「あれ? これこの制服で撮り直したの?」
「いえ。入学の時に手違いでこうなっちゃったみたいで。でも私はかえって好都合だから、ずっと、このままにしてます」
「へー!」
 
「でも、この写真が貼られていると、図書館で本を借りる時、学生服着てると『これ違います』って言われるんですよ」
 
「あはは、それはそうだろうね」
「だから、私、図書館で本を借りる時は、いつも女子制服を着ていってます」
「面白いことするね!」
 
と言ってから、学年主任は
「こんなこと言っていい? 君って今みたいに学生服を着ていても、女生徒がコスプレしているように見えちゃうんだけど」
 
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「はい、よく言われます」
と私は笑顔で答えた。
 
この時期、私は2月初めに少し切った髪が伸びて、肩より下まで行ってしまったので、ヘアゴムで結び、ポニーテールにしていた。
 

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新学期初日。体育があった。
 
2月に学校に復帰した時は、男子更衣室に行って、男子生徒たちから苦情が入り、次回から面談室の空き部屋を使って着替えるように言われた。それでその日は体操服を持って面談室に行き着替えて男子の集合場所に行く。体育座りして先生が来るのを待っていたら、同級生の男子(この時は名前を知らなかったが、数年後私の恋人になる木原正望である)に声を掛けられる。
 
「君、女子は向こうで集合してるよ」
「あ、すみません。ボク、男子なんで」
と私は女声で返事する。
 
「面白い冗談だね。でも早く行かないと先生に叱られるよ」
「いや、本当に男子なんですけど」
 
そんなことを言っていたら、琴絵・仁恵・奈緒・紀美香の4人がやってきて
「冬はこっちに来てって」
と言って、「え!?」と言っている私を拉致して、女子の集合場所の方に連行して行った。
 
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女子の体育担当・向井先生が
「唐本さんは今年の体育は女子の方に参加してもらうことになりましたから」
と言った。
 
最初に校庭を3周走り、その後、柔軟体操をするのだが、琴絵が
「冬、組もうよ」
と言って寄ってきたので、肩を真向かいに組んで上半身を曲げたり、背中を押し合ったりした。
 
この7-8組合同の女子のクラスの中では琴絵と奈緒がお互いに気兼ねない。でも琴絵がどうも、事前に先生に呼ばれて私と柔軟体操で組んであげてと言われていたらしい。
 
「冬。以前より体つきが女らしくなっている気がする」
「気のせい、気のせい」
「女子の二次性徴が発達してるよね?」
「ああ、それはあるかもねー」
 

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その日はダンスをした。マドンナの『Material Girl』の音楽に合わせて、先生が教えてくれるように踊る。
 
「冬ちゃん、もう覚えちゃった? ここに出てきてみんなの前で踊ろう」
などと言われて、模範演技係にされた。
 
「冬ちゃんの踊り、手がピシっと伸びていて、動く所と止まる所もハッキリしていて、メリハリがあるね」
などと先生が言うと
 
「冬は、小学生の時から芸能スクールでダンス鍛えられてますから」
と奈緒がバラしちゃう。
 
「へー、それで!」
「それ以前はバレエも習ってたんですよ」
「それは凄い!」
 
「習ってない、習ってない。習っている友だちのレッスンの見学してただけ」
「でも、バレエの発表会で踊ってますから」
「ほほぉ」
 
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「ああ。冬って、見ただけで踊りを即コピーできるもんね」
と仁恵も言う。仁恵は1年の時も同じクラスだったので、私がそういうことをする所を何度も見ている。
 
「ね、奈緒ちゃん。冬がバレエやってたって、それ男の子役?」
と仁恵が奈緒に訊く。
 
「まさか」
「やはり女の子役か!」
 
クラス一同が何だか納得したような顔をした。
 
「じゃ、冬ってチュチュとか着てたの?」
「私が見たのはフラメンコみたいな衣装だったけど、きっとチュチュも着てる」
と奈緒。
「おぉ!」
 

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そして4月は身体測定もある。1年の時は様々な偶然の重なり合わせで1人少し遅れて受けることになり、その日、保健室の先生が休んでいて臨時の先生が来ていたので、ふつうに女子と思われて測定されてしまった。昨年はわざと仮病で休み、1人だけ別の日に受けた。
 
そして今年は最初から1人だけ別に測定すると言われた。
 
「うーん。女子の下着姿にしか見えない! 男子更衣室から追い出される訳だ」
と保健室の先生は言った。
 
「胸はシリコンパッド?」
「ええ、そうです。もっとリアルなブレストフォームってのを貼り付けてる日もありますけど、今日は身体測定だから付けてないです」
「なるほどね」
 
「私も少し勉強したけど、最近は中学生くらいで女性ホルモン飲んで自前のおっぱい膨らませてる子とかもいるのね」
 
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「ええ、ちょっと羨ましいです」
などと答えながら冷や汗だ。パッドを付けている限り、胸が無いからパッドを入れていると思ってもらえる。
 
「ほんとは豊胸手術したいくらいだけど、高校生のうちはダメって親から言われてるし」
「そうね。高校生に豊胸手術は早いね。お股の所に膨らみが無いのは?」
 
「タックって技法で隠してますが、おちんちんはまだ存在してますよ」
 
「ふーん。なんか、あなた女子更衣室で着替えてもいいみたいな感じ」
「同級生たちから解剖されそうなので遠慮しておきます」
「ああ、やられかねない!」
 

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次の体育の時間があった日。前の時間が英語で、その授業の分からなかった所を近くの席の窓歌から訊かれたので教えていた。
 
「ああ、なるほど。そういうことか。これ複雑だね!」
「長い文章は修飾語の掛かり具合をよく考えないと分からないことあるね。日本語でもそうだけど」
 
などといった話をしている。
 
「あ、次体育だから着替えなくちゃ」
 
と言うので、私が着替えの入ったスポーツバッグを持ち、面談室の方に行こうとしていたら、窓歌から
「あれ?どこ行くの?」
と訊かれる。
 
「ああ。面談室で着替えるように言われてた」
「確かに、冬ちゃん。男子更衣室では着替えられないよね!」
と言ってから
 
「あ、女子更衣室で着替えたら?」
などと言う。
 
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「それはまずいよー」
と私は言ったのだが、そこに他に数人の女子が寄ってくる。
 
「あ、冬ちゃん。女子更衣室に行こうよ。冬ちゃんだったら大丈夫だよ」
「お仕事の時は女性の楽屋で着替えてたんじゃないの?」
「まあ、それはそうだけど」
 
「ひとりで個室で着替えるなんて寂しいじゃん。みんなでおしゃべりしながら着替えようよ」
 
などと言われ、結局私は彼女らに連れられて、女子更衣室に行ってしまった。
 

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私が彼女たちと一緒に女子更衣室に入ると、私が学生服を着ているので、一瞬ギョッとした顔をした子たちもいたが
「なーんだ。冬ちゃんか」
と言って、みんな受け入れてくれる。
 
「今日から女子更衣室を使うの?」
「いや、ちょっと拉致られてきた」
「いや。ずっとこちらを使えばいいよね」
「そうそう」
 
などとみんな言う。
 
それで私はいいのかなぁ、などと思いつつも、スポーツバックから体操服を出し、学生服を脱ぎ、ズボンを脱ぎ、ワイシャツも脱ぐ。
 
「ちゃーんと、女子の下着を着てるんじゃん」
「まあ、それはね」
 
「女の子の身体にしか見えないんですけど!」
「この身体で男子更衣室で着替えたら、男子たちが困る訳だよね」
 
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などといった声が上がる。
 
「胸はそれ本物?」
「まさか。パッドだよ」
「凄い、リアル」
 
「お股に何も付いてないように見えるのは?」
「隠してるだけ」
と言って私は笑っておく。
 
そして、体操服を着ようとした時のことだった。
 

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どうも最初から示し合わせていた計画的犯行だったようだ。
 
数人の女子がいきなり、私に飛びかかってきた。
 
「ちょっと、何? 何?」
 
「貴重な科学の発展のために、冬を解剖させて」
「えー!?」
 
「その胸、本当にパッドなのかどうか確認したい」
「ちょっとブラ外しちゃうね」
「ダメー!」
 
「ねえ、そのパンティもちょっとだけ降ろしてみない?」
「やだ。やめてよー!」
 
ちょっと乱戦?になり、結局バストパッドはブラの中に手を入れられて外されてしまう。でも何とか、彼女たちを振り切り、私は女子更衣室の外に飛び出し、大急ぎで体操服の上をかぶり、近くの階段の所まで走って行って体操服の下も穿いた。
 
追いかけてきた子たちに
「終了〜!」
と笑顔で告げた。
 
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「ちぇっ!」
と理桜が面白く無さそうに言う。どうも理桜が主犯っぽい!
 
「あんたたち、何やってんの?」
とちょうど通りかかった紗恵が呆れたように、こちらを見て言った。
 
そういう訳で、私は女子更衣室の利用は取り敢えず遠慮しておくことにした。
 

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その日は雨が降っていたので、体育館でマット運動をした。
 
前転・後転・ブリッジなど私がきれいにできるので、またまた模範演技係にされる。
 
「冬、バク転できる?」
「できるよ」
と言ってやってみせる。
 
「冬は後方2回転もできる」
と奈緒が言っちゃう。
 
「え?凄い。やってみせて」
という声。私は先生を見るが、私の運動神経がかなり良さそうなので大丈夫と思ったのだろう。うんうんと頷いている。
 
それで私はマットから10mくらい離れた所から助走を付けてきて、ロンダートして後ろ向きになり、連続後転から、空中抱え込み後方2回転をしてみせた。拍手が起きる。
 
「すごーい」
「体操部になれる」
「無理無理。この程度は体操では小学生レベル」
「小学生でも後方2回転するの?」
「ふつうにするよ。体操やってる人たちは」
「へー!」
 
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「あ、冬はむしろ新体操の方じゃない?」
「冬、180度開脚とかできる?」
「できるよ」
と言ってやってみせる。
 
「すごーい」
「あ、そうか。冬、バレエしてたからできるんだ?」
「そうそう。その頃、練習してできるようになった」
 
「ね、ね、冬。新体操部入らない?」
と新体操部に入っている窓歌が誘う。
 
「無理。コーラス部だけで手一杯」
「そっかー。でも1度来てみてよ」
「まあ、1度くらいなら」
 

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ということで、その日の放課後、窓歌と一緒に新体操部の練習に参加した。
 
ウォーミングアップ、準備運動した後、「こんな感じでできる?」と言って窓歌がリボンを使った演技をしてみせた。それでそのリボンを借りてやってみる。
 
かなりコピーしたつもりだったが、やはり初めてなのでリボンがどうしても床に付いてしまう(床に付くのは減点対象)。踊り終えて
 
「やっぱり、いきなりはダメ〜。リボンがかなり床に付いちゃった」
 
と言ったが、窓歌をはじめとして、部員が沈黙している。
 
「どうしたの?」
「いや、初めて踊って、それでリボンが最初から床に付かなかったら、私たちみんな新体操部辞めたくなるけどさ、冬凄いよ。踊り自体はほとんどコピーできてる。リボンを床に付けないのは要領だから冬ならすぐできるようになると思う。でも冬って、運動神経良いし、センスもいいし。ほんとに一緒に新体操やらない?」
 
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「ごめーん。無理〜」
 
「大会だけにでも出るとかは?」
「それは無理。ボク戸籍上、男子だし」
「バックれれば分からない」
「あはは」
 
「7月25日なんだけど、ほんと出られない? まだ受験も押し迫ってないでしょ?」
「ごめーん。7月25日は仕事が入ってる」
「ああ、それじゃダメか。残念」
 

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その日はリボンを常に手先で動かしておいて空中に舞っているようにするやり方を教えてもらった。何度かやっている内に、ほとんど付かなくなる。
 
「やはり物覚えが早いなあ」
 
「ね、ね。私のレオタード貸してあげるから、それ着てやってみない?」
などと窓歌は言い出す。
 
「えー?でも肌に付けるものなのに、私に貸してもいいの?」
「冬は女の子みたいだから、女の子同士だし、いいでしょ?」
「私は構わないけどね」
 
ということで、借りて体育館付属の女子更衣室で着替えてくる。今回はさすがに窓歌も私を解剖しようとはしなかった。が・・・
 
「冬、やはりレオタード着ても女の子の身体にしか見えない」
「私、女の子水着姿とかも曝してるし」
「えー!? それって、やはり冬、既に性転換済みだとか?」
 
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「それはないと思うけどなあ」
「冬って、そのあたりいつも自信無さそう!」
 
それでレオタードを身につけて踊ってみたら褒められる。更にレオタードを着たもう1人の3年生の子とペアで演技してみた。
 
「ピタリ合う」
「冬ちゃん、凄い。私あまり意識してなかったのに、きれいに合わせてくれる」
「うん。他人と合わせるのは割と私得意かな。実は合わせているというより、自然に合っちゃうんだけどね」
 
「ああ、感応しやすいタイプか」
「惜しいなあ。1年生の内に冬ちゃんのこと知ってたら、絶対強引に引き込んでいたのに」
「あはははは」
 
「そして病院に拉致して女の子に改造する手術を受けさせてた」
「ああ、そうすれば女子として出場できるよね」
「ちょっと待ってよ〜」
 
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「いや、ひょっとして冬、既に女の子に改造済みでは?」
「だって男の子がどう身体の線を誤魔化したって、こんなレオタード姿にはならないよね」
「それは私も思った」
 
「冬ってさ、心は女で身体は男ってのは建前でさ。実は心は女で身体も女なのでは?」
「それって、普通に女という意味だね」
 

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