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■夏の日の想い出・熱い1日(8)

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他の楽器を弾いているところも無いと寂しい、というのですぐ来てくれそうなギタリスト、ベーシスト、ドラマーを早朝から呼び出した。そんなことをしている内に9時になるので、三島さんを起こし、CDのデータを持って工場に行ってもらう。
 
9時半頃、集まってきたミュージシャンさんたちに『幸せな鐘の調べ』をほぼ初見で演奏してもらった所を撮影した。結局テレビスポット用の映像編集が終わったのはもう11時頃である。これに今度は歌を入れる。CD音源からコピーする。合わせてみて不自然な所の映像側を調整する。この作業が2時間ほど掛かり、スポット映像が完成したのは13時半近くであった。これを畠山さん自身が持って広告代理店に行った(畠山さんが運転すると危ないので事務所の若い人に運転してもらった)。
 
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小風と美空に、作業が終わったので移動して良いという連絡を入れる。私と和泉は取り敢えず三島さんに連れられて事務所に行き、夕方までそこの仮眠室で爆睡した。
 

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九州に行っていた小風は18時頃、北海道に行っていた美空は19時頃事務所に出てきた。すると、結局ほとんど寝てないふうの畠山さんが、私と和泉を起こし「PV撮るよ!」と言った。
 
それで私たちはまたスタジオに出て行き、先日と同様に作った『鏡の国』のセットのところで、和泉・美空・小風3人だけが出演する映像を撮ったのである。
 
「えっと・・・私も居ないといけなかったんだっけ?」
 
「当然。4人セットのKARIONなんだから」
と小風が何だか楽しそうに言う。ここ2週間ほどの不満そうだった顔とは大違いである。
 
「実際、念のため、蘭子ちゃんも入った4人バージョンも撮影しよう」
と畠山さんも言う。
 
「えーー!?」
 
と言いつつも結局、私は参加する。こういう状況の時はそれが必要かどうかを考える前に、その時やれる全てのことをしておくのが鉄則だ。
 
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スタジオでの撮影が終わった後は遊園地に行く。閉園した後の遊園地で撮影させてもらうことで話が付いていた。こんな交渉とかまでしていたら、畠山さんは寝る時間が無かった筈である。
 
そしてカリヨンの演奏装置の前で、また3人が歌う映像、そして念のためと言われて私も和泉たちと並んで歌っているシーンを撮ったのであった。
 
「でも3人バージョンしか公開しないからね。折角撮影に付き合って、全然映らないの寂しいでしょ? だからその演奏装置の前の椅子に座りなよ」
 
「えー!?」
「後ろ姿だけだから、いいじゃん」
「うむむ・・・」
 
そういう訳で、私は3人が歌っている傍で、ウィッグを付けて、カリヨンの演奏装置の椅子に座り演奏している真似をしている所を後ろから撮られた。
 
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撮影が終わったのはもう23時頃で、畠山さんはこれを朝までに編集してyoutubeにアップロードすると言った。私と和泉は顔を見合わせた。
 
「社長。その編集、私と冬子に任せてもらえませんか? 決して質の悪いものは作りません」
と和泉が言う。
 
三島さんも言う。
「社長。40男が徹夜2日目の脳ミソと目で編集するより、少しは寝てる女子高生2人に任せた方が絶対良いものになりますよ」
 
「言ってくれるね。僕はまだ37歳だけどね。でも任せるか」
 
それで私は母に電話し、今夜も帰られないと言った。ちょっとだけ、お小言を言われたが、明日は学校に行くと言うと、了承してもらった。
 

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私たちはスタジオに戻り、畠山さんが片隅で毛布をかぶって仮眠している間に私と和泉は映像の編集を進めた。小風と美空も付き合ってくれた。全体を見た上で、三島さんや映像技術者の人とも話し合いながら、譜面に合わせてシーンを選びシナリオを作成する。そしてそれに沿って実際に映像を切り出していき、1本のビデオにまとめる。
 
まずは『鏡の国』の1分30秒ほどの映像を作り、それに曲を付加して、完成形を見る。それで音楽とのシンクロの問題で多少映像の貼り直しや時間調整をして完成させる。
 
次に『幸せな鐘の調べ』の方に行くが、先ほどの作業で少し慣れているのでさっきよりはうまく作業を進めることができた。
 
結局PVの編集が終わったのは夜中の3時で、畠山さんを起こして確認してもらう。
 
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「うまく作るね! なんかセンスがいいじゃん」
と褒められた。
 
それで切替効果の付加などの最終的な調整は技術者さんにお任せして私たちは取り敢えず仮眠室に行って寝た。
 

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「冬、学校に行くのならそろそろ起きて」
と言って朝6時頃、小風に起こされた。
 
「あ、ついでに和泉も起きて」
などといって和泉まで起こされている。
 
「あのさ、私たちまた冬を入れた4人に戻ったからさ、結束の印に再度サインを書かない?」
 
「ああ、いいんじゃない?」
と和泉が言うので、小風が色紙を10枚も持って来て
 
「これに書こう」
と言った。
 
「10枚も書くの〜!?」
 
「日付はこの4人が復活した日、2007.12.16 で書こうよ。第2の結成日だもん」
「それは言えてるな」
 
「あの・・・・私、KARIONに入る予定無いけど」
と私は言ったが
「いや、冬は既に KARION の一員だよ。契約してるしてないは関係無い」
と小風は楽しそうに言った。
 
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それで美空も起こされて4人でまた「4分割サイン」を10枚書いた。
 
1枚ずつ各自で持ち、2枚は畠山さんと、後で麻布先生に渡し、残りの4枚は後にファンに配った。
 
そういう訳で、このデビュー前の「4分割サイン」の最初の日付は 2007.11.10 で最後の日付が 2007.12.16 なのである。
 

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ちなみにその日はもう家に帰って着替える時間は無かったので、そのまま女子制服に着替えて学校に出て行った。若葉のおかげで制服があった訳だが、学生服ではないので、この日1日、私は女子制服で過ごすことになった。
 
授業もそれで受けたが、誰も何も言わなかった!?
 
(もしかしたら何か言われていたのかも知れないが、こちらの意識が飛んでいたかも)
 
この日、私はもう眠たくて仕方無いのを何とか我慢して授業を受けて、6時間目が終わると、部活にも行かずに早々に学校を出た。
 
早く帰って寝よう、などと思いながらボーっとして帰りの電車に乗っていたら、トントンと肩を叩かれる。
 
若葉だった。若葉の通っている◎◎女子高は、隣の駅なのである。
 
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「お疲れ〜。今朝まで作業してたんだって?」
「あ、和泉から聞いた? いや大変だったよ。若葉も色々ありがとうね」
 
「私は写真持って行って少しお使いしただけだし。和泉は今日は休んでた。でも昼休みに電話掛かってきて話したんだよ」
 
「ああ。今日は休むのが無難だよね。ボクはお母ちゃんとの約束で学校に出てきた。でも眠くて、眠くて」
 
乗り換え駅で、一休みしようよと言われたので駅の近くの洋食屋さんに入った。オープンサンドを1皿に、コーヒー2つ頼み、一緒に摘まみながら話す。ここは少し高いので、中高生は普通立ち寄らない。つまり友だちに遭遇したりせずに話ができるのが良い所だ。値段が多少高くても、私と若葉なら全然問題にならない。
 
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「でも、これで冬も、いよいよデビューするのね?」
「しないよー。たまたま声は入っているけど、コーラス入れたのと同じようなものだし」
 
「でもPVとかは冬も入れて4人で撮ったんでしょ?」
「そういうバージョンも撮影はしたけど、表に出すのは3人で映ったものだけだよ」
 
「4人のを撮ったということは、後でそれに差し替えるということだよ。冬とちゃんと契約書を交わせば、即正式メンバー入りでしょ?」
 
「うん。。。でもお父ちゃんと全然話せなくて。こないだからまずは自分の性別のこと、何度も話そうとしたんだけど、急用が入ったりして話の核心に到達できないんだよ。手紙も書いて渡したんだけど、読んでもらえてないみたい」
 
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「冬さぁ、性別問題では、もう3年以上前から、お父さんに話す機会があったはずだよ。それを今までしていなかったのが悪い」
 
「そうだねぇ・・・」
 
「なぜ冬が今までお父さんに話さなかったのか。理由は私、見当付くけど言わない」
と若葉は言った。
 
ああ。。。。若葉には全て見抜かれているなあ、と思う。結局は自分の心自体がフラフラしているから言えなかったなんて。。。。
 

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「でも頑張って説得しようよ。デビューは1月2日なんでしょ? それまでに、ちゃんと話して契約すれば、最初から正式メンバーとして活動できるよ」
 
「そうだね」
 
「あと、冬、自分みたいなのが混じっていると色物と思われるなんて言ってたけどさ。デビュー前に性転換して、ちゃんと女の子の身体になっていれば、ほとんど問題は起きないよ」
 
「それは和泉にも言われたけど、すぐ手術してくれる所なんて無いし、そもそもボクの年齢じゃ手術してもらえないし、手術したら半年くらい稼働できないし。学校も1年留年しないといけないだろうな」
 
「簡易性転換手術という手もある」
と若葉は言った。
 
「あ・・・・」
 
「ヴァギナを作らなければ、わりと早く回復するよね。冬って体力はあるからおそらく半月くらいで稼働できるようになるよ。ヴァギナ必要?」
 
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「それは無くてもいいかも知れないとは考えた。どっちみち結婚してくれる男の人がいるとは思えないし」
 
「どうしても欲しくなったらS字結腸法でヴァギナ作る手もあるよね?」
「・・・若葉ってさ、なんでそういうのに詳しいの?」
 
「私は情報だけはよく知ってるから」
「ほんとに若葉の知識とコネって不思議!」
 
「あそこの病院なら、手術してくれるんじゃないの? もう何年も通ってるんでしょ?」
 
「確かに。。。。あの先生、高校生の性転換手術したことあると言ってた」
「じゃ、してもらおうよ」
「うーん。。。」
「今から行かない?」
 
「今から〜〜!?」
「善は急げ、性転換も急げ」
「ちょっと待って」
 
「冬って意気地が無さ過ぎるんだよ。思い切って行動しようよ」
「えっと・・・」
 
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そんな感じのやりとりをして、私があと少しで説得されてしまうかも知れないという雰囲気になっていた時、若葉の携帯が鳴った。
 
他の客も居ないのでそのまま取る。
 
「はい。。。あ、奈緒? うん。いいよ。あ、ここに冬もいるけど連れて行っていいよね。うん。じゃ、そちらに行くね」
 
と言って電話を切る。
 
「奈緒がさ、一緒に遊ぼうよって。取り敢えずドーナツ屋さん」
「ああ」
 
「でもホント今週中に性転換しちゃわない?」
「そうだね」
 
私は内心ホッとしたような、ガッカリしたような気分だった。
 

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ドーナツ屋さんで、奈緒・有咲と合流する。
 
4人でおしゃべりしている内に、私は自分の恋愛問題を指摘されてしまった。
 
「で、そのコーラス部の子(詩津紅)と、書道部の子(政子)と、どちらが本命なの?」
 
「別に恋愛とかとは違うよぉ。どちらもただの友だちだよ」
 
などとは言ったのだが、私の言葉の微妙な雰囲気から、政子と相思相愛なのではないかと指摘されてしまう。
 
「でも彼女は恋人いるし」
「関係無い」
「奪いとればOK」
 
などと大胆なことを言われる。そして若葉から「これ引いてごらんよ」と言われて、私が引いたタロットカードは『Lust(肉欲)』であった。
 

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ドーナツ屋さんで1時間半ほどおしゃべりしてから帰宅した。
 
どうせまだ父は帰ってないだろうし、もし帰っていたらカムアウトの絶好の機会だし、というので女子制服のまま帰宅する。
 
「あら? あんた女子制服の冬服も作ったんだっけ?」
「あ、これ借り物〜」
 
「まあ、あんたには女子制服貸してくれそうな友だちはたくさん居そうね」
と母も笑っている。
 
「お父ちゃんはまだ?」
「今夜も遅くなるみたい。もしかしたら帰られないかもって」
「そっかー」
 
「ほんとになかなかお父ちゃんと話せないみたいね」
「お手紙も書いたんだけど、読んでもらえてないみたい」
「ああ」
 
「こないだ昼休み狙って電話したんだけど、客先から電話があったというので途中で切られちゃったし」
「うーん」
 
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と母も悩んでいる様子。
 

「ところで、あんたいつ性転換したんだっけ?」
と母は私に訊いた。
 
「へ?」
「もう身体は女の子になってるんでしょ? だから女の子歌手としてデビューするんだよね?」
 
「まだ身体は男の子のままだよぉ」
 
「だってこないだ、あんた自分は女の子だって、お父ちゃんにも言ってたじゃない。怒らないから正直に言いなさいよ。お金は足りたの? 手術代高かったでしょ? あんた色々バイトしてるみたいだから、それで貯めて手術したんだろうけど」
 
「いや、お母ちゃん、ホントに私まだ性転換してない」
 
「ほんとに? だったら急いで性転換手術しなくちゃ! デビューはいつなの?」
と母は真面目な顔で私に言った。
 
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■夏の日の想い出・熱い1日(8)

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