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■夏の日の想い出・熱い1日(7)

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「蔵田君と代わって」
と前橋さんが言うので、電話を代わる。
 
蔵田さんは話を聞いていたが
「うん。そういう緊急事態の時こそ洋子は強い。すぐ行かせます」
と言って蔵田さんは電話を切った。
 
「今日の分はツケとくから、また制作に付き合ってもらうぞ」
と蔵田さん。
 
「分かりました。ホテル以外なら、いつでもお付き合いします」
「それ、ジュリーにバレたら、俺、殺されるから」
「あはは、私も殺されます。では行ってきます」
「うん、頑張ってきて」
 

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それで私は詳しい状況は分からないまま、スタジオを出ると、取り敢えず原宿駅まで走って(一応元陸上部)山手線に飛び乗り、新宿で中央線に乗り換えて、麻布先生のスタジオまで駆け付けた。
 
行くと、畠山さんと和泉が来ていた。麻布さんと有咲もいる。
 
「おお、蘭子ちゃん、来てくれて嬉しいよ!」
と畠山さんは本当に嬉しそうに行った。
 
「何があったんですか? 誰が辞めたんです?」
と私が訊くと
「ラムコ」
と和泉が言う。
 
「えーー!?」
 
私はどっと疲れる思いだった。だってラムのためにこの2週間、あんなに苦労したのに。学校まで休んで母に文句言われて・・・。
 
「ラムコちゃんのお父さんがインドに転勤になっちゃったんだよ」
「なんと・・・」
「それで付いて行きたいのでKARIONを辞めたいと」
 
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「それ、いつ話があったんですか?」
「お父さんから話を聞いたのは昨夜らしい。それでさっき。14時くらいかな。本人から僕の所に電話があって」
と畠山さん。
 
「それお父さんから聞いた時点で、すぐ電話して欲しい」
と私。
「あの子、のんびりした性格だからなあ」
と和泉が言っている。
「まだ月曜になってからでなくて良かったというべきなのか」
「うーん・・・」
 
「KARIONのデビューは1月2日と決めている。ラジオやテレビにスポットを打つ枠も確保している。CDのプレスは明日朝10時までにマスター音源を工場に持ち込まなければならない。これをいったんキャンセルということにすると実費だけで数千万円、違約金をいれると億単位の損害が発生する」
 
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「う・・・・」
 
そして畠山さんは私に訊いた。
 
「冬子ちゃん。君が僕なら、ここでどういう決断を下す?」
 
私は瞬間的に、その方法しかないと判断した。
 
「ラムコで作った音源の前の、私が入って録った音源に差し戻しましょう。データは取ってあるはずです」
 
麻布先生が頷く。麻布先生は途中のデータを絶対に捨てない人である。顧客が破棄して良いと言っても、念のため仕事が完全に終わるまで密かに保存しておく性格である。
 
「僕もそれしか無いと思ったんだよ」
と畠山さん。
 
本来契約の無い私にそんな要請はできない所をわざと私に言わせたのであろう。実際、この状況では、私が言い出すしかないと私自身思った。
 
「じゃ君が歌っている音源に差し戻して、君の歌を公開してもいいね?」
「はい、お願いします」
 
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私たちはその差し戻しをすることにして、今から何をしなければならないのかを話し合った。
 
「音源は冬子が歌っているバージョンに差し戻し。映像はラムコを外して、私と小風・美空だけが映っているバージョンに差し替えですよね?」
と和泉が確認する。
 
「そうするしかないと思う。本当は冬子ちゃんを入れてPVを録り直したいけど、冬子ちゃんの契約問題があるから、契約しないままそれを公開すると冬子ちゃんのお父さんを怒らせてしまう」
と畠山さん。
 
「済みません。元はと言えば私のせいですね」
 
と私は謝るが、畠山さんは
 
「今は誰が悪いとかいうのは言いっこ無し。とにかく作業を完了させることを第1に考えよう」
と言った。
 
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「はい」
と私と和泉は返事する。
 

「テレビスポットのビデオはもう納入しているんですよね?」
 
「緊急事態の発生でデータを差し替えさせてくれと連絡した。向こうは明日の15時までに新しいデータを持って来てくれなければ、前のをそのまま流すか、放送をキャンセルせざるを得ないと言っている。キャンセルになると違約金が恐ろしい」
 
「だったら、明日の10時までに音源の差し替え作業、15時までにスポットの差し替え作業ですね。今日は日曜だから、遊園地での撮影は無理ですよね。明日かな。取り敢えず今日の内に、鏡の国のPVだけでも録り直したらどうでしょうか?小風と美空は何時頃来られそうですか?」
 
「それがふたりとも無理なんだ」
と畠山さん。
 
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「小風は親戚の法事で九州に行ってる。美空は今日は実のお父さんとの面会日で北海道に行ってる」
と和泉。
 
美空の実の両親は離婚していて、美空は母に引き取られ、その母が再婚したので、現在美空はその母と新しいお父さんのもとで暮らしているのだが、時々、実のお父さんと会っている。それがたまたま今日だったのである。デビューするとしばらく忙しくて会えなくなるので、敢えてこの時期に会いに行ったのであった。
 
「作業中にふたりに連絡して承認を取ったり意向を聞いたりしなければならない状況が絶対出てくる。移動させると、途中で連絡がつかなくなる危険があるから、ふたりにはそのままそこに居ろと言っている。特に飛行機に乗ってる最中は電話連絡できない。新幹線も山陽新幹線の区間はトンネルだらけで、ほとんど電話がつながらない。だから明日の15時まで、ふたりは動けない。結果的にふたりが東京に戻るのは明日の夜になる」
と畠山さん。
 
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「うーん・・・・。だったら、映像は現在のビデオから編集でラムコの映っている所を消すしかないです」
と私は言った。
 
「やはりその方法ですよね。若干不自然な部分が出るかも知れませんが」
と和泉も言う。
 
「映像はラムコの部分を消して、音自体は冬が歌ったものに差し替えだよね」
「大変そう・・・」
 
「youtubeで公開する映像は、明日以降改めて3人で録り直すけど、テレビスポットはもう、ラムコを消す編集をしたもので行くしかない」
 

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方針が固まった所で小風と美空に連絡して、ふたりの承諾を得た。
 
ビデオの編集の方は畠山さんが直接指示して、映像技術者さんと一緒に行い、CD音源の差し戻しマスタリングの方は、私がスタジオの技術者さんと一緒にするのを、和泉がチェックする方針で進めることにした。
 
ここまで話が決まったのが既に16時半であった。私は母に今夜は徹夜になるし、明日は学校を休むと伝えた。母は了承して「寒いから風邪引かないようにね」と言った。
 
この時、和泉がハッと気付いたように言った。
 
「CDのジャケ写とレーベルはどうしましょう?」
「あ!」
 
畠山さんも忘れていたようである。
 
「どうしよう? 和泉・美空・小風の3人で撮った写真が無い」
 
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畠山さんも和泉・美空・小風に私まで入った4人の写真ならたくさん撮っているのだが、和泉・美空・小風の3人の写真を撮っていないのである。畠山さんは、最初から私を口説き落として参加させるつもりだったので、そういう写真ばかり撮っていた。
 
「イメージ画像とかにしちゃいます?」
と和泉。
「いや、それはもったいない。デビューCDだもん。3人の顔をしっかりアピールした方がいい」
と私。
「じゃ4人で映った写真から顔だけ切り出す?」
「うーん・・・・」
 
その時、ずっと黙って聞いていた有咲が言った。
 
「音源製作の初日にさ、3人で並んだ記念写真を撮ってたよね?」
 
「あ、そういえばそうだった。あれ、誰ので撮ったっけ?」
と私が言うと
「確か、小風の携帯で撮った」
と和泉。
「じゃ、そのデータをこちらにメールしてもらおうか?」
と私は言ったが
 
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「若葉もデジカメで撮ってたよ」
と有咲が言う。
 
「あ、そういえばそんな気がする。ちょっと電話してみる」
 
私は自分の携帯で若葉に電話した。若葉はすぐそのデータを持ってこちらに来ると言ってくれた。
 
「よし。ジャケ写とレーベルはその画像を加工して使おう」
 

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それぞれ分担した作業に取りかかる。畠山さんはビデオ編集のためそちらのスタジオに移動した。
 
私と和泉は、私が入って歌ったバージョンのプロジェクトデータをもらい、ミキシング技術者さんと一緒に音を確認したが、どうも「変」だ。どうかしたスタジオならこの程度の音で「ミクシング終わりました」というかも知れないが、ここのスタジオの音ではない。
 
「これ途中ですよね?」
と私は訊いた。
 
「済みません。これ**君が作業途中だったんだと思います」
と技術者さんが申し訳なさそうに言う。
 
「完了する前に、ラムコが加入することが決まって、こちらの作業は中断したのかも」
「たぶん」
 
このミクシングを担当した人が今日は来てないので不確かだが、私たちはこれはまだ作業途中だったのではと推定した。
 
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それで、結局ミクシングの最終調整から始める。問題になるのはボーカル、コーラス、伴奏のバランスやパンである。合わせてノイズに気付いた場合はその除去作業もする。時間の無い状況で作業しているので、操作ミスなどでデータを失わないよう、バックアップを取りながら作業を進める。
 
そんなことをしている内に若葉が到着した(お母さんの車で来てくれた)ので、畠山さんは居ないがこの際、私と和泉のふたりで使用する写真を選択。その縮小画像を作って畠山さんにメールして確認してもらった後、小風と美空にもメールし、その写真を使う承諾を取った。
 
「私、何か手伝うことある?」
と若葉が言うので
 
「私の自宅に行って、着替えを取って来てくれない? ここまで走ってきて汗掻いてるのに着替えられなくて困ってた」
と言った。
 
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「あ、それ私もお願い。慌てて飛び出してきたから徹夜の用意が無い」
 
「冬、ヒゲ剃りとかは要らない?」
「私、ヒゲは生えないよぉ」
「ほほぉ」
と和泉は意味ありげに微笑んだ。
 
それで若葉はそのままお母さんの車で、私と和泉の自宅に行って、着替えを持って来てくれることになった。私の女物の服の置き場所を知っているのは、奈緒・有咲・若葉・アスカくらいだ。(母は知らない)
 
若葉は1時間ほどで戻って来たが「撮影とかで使うかも知れないと思って、学校の制服も持って来たよ」と言って、私と和泉の制服を渡してくれた。
 
「若葉、冬がどこに女子制服を隠しているか知ってるんだ?」
と和泉が楽しそうに言った。
 
「もちろん。それからこれも含めて着替えを取り出す時はお母さんには部屋の外に出ていてもらったよ。制服も見せてない」
「ありがと」
 
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作業は結局最終ミクシングが完了したのが、もう午前3時過ぎであった。それからマスタリングに入るが、ミクシングする時点である程度マスタリングのことを考えていたので、そちらは大きな問題なくスムーズに進む。午前5時頃に、私も和泉も満足できるものが完成した。
 
一方でジャケット写真とレーベルの加工の方は、急遽呼び出したデザイナーさんに、このスタジオ内の機材を使って加工してもらった。基本的にはラムが入って作った4人並んでいる画像を参考に、3人並んでいる写真に同様の加工をして仕上げる。その作業の方は三島さんに見てもらっていた。作業は0時前には仕上がり、デザイナーさんも終電で帰宅していた。
 
午前5時半、三島さんがマスター音源とジャケ写・レーベルのデータを持ち、映像スタジオの方にいる畠山さんの所に行き、それを確認してOKを出した。
 
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それで私と和泉も、こちらのスタジオのスタッフさんたちに御礼を言って、映像スタジオの方に移動した。
 
CDのマスター音源と画像については、朝10時に三島さんに工場に持ち込んでもらうことにして三島さんには仮眠してもらう。そして私と和泉は映像の加工の手伝いをした。
 
「あ、そこラムの手が映ってる」
「気付かなかった。危ない、危ない」
 
などと言いながら、完全に除去したつもりだったのだが・・・実際には数ヶ所ラムの指とか髪とかが残存していて「KARION 4人説」を生み出す元になるのである。
 
「ここさ。背景と比較してみると、和泉と美空の間が大きく空いていることに気付かれるよね」
「でもそれは仕方無い。これ以上は加工できないよ」
 
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ラムコが映っている所をどんどんカットしていたら、長さが足りなくなってしまった。しかし、実はこのビデオは大元の撮影データの保存が無かった。私たちはPVは充分な長さがあるから、そこから映像を採ればテレビスポットとして流す程度の長さ(15秒)は確保できると思っていたのだが、ラムコは和泉と並んで中央で歌っているので、ラムコの絡む部分がひじょうに大きく、それを全部外すと10秒弱しか残らなかったのである。
 
「どうしよう?」
「新たに撮るしかない」
「何を?」
「和泉のアップ」
「私だけ〜? 冬も出てよ」
 
「ね、冬子ちゃんがピアノ弾いてる所を撮しちゃダメ? 顔は映さないから」
 
ということで、急遽追加の映像を撮影することになった。和泉が徹夜明けなので30分だけ仮眠させた。それで美容液パックで顔を引き締めてからメイクをして、ありあわせの衣装を着て、マイクを持ち、歌っている所を撮影した。
 
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また私も適当な衣装を着て、ロングヘアのウィッグを付けて、キーボードを弾いている所を撮影する。この時、私の顔は映らないようにしてもらった。
 
「そうだ! グロッケンを弾いている和泉も撮ろうよ」
と私は提案した。
 
「え〜!?」と和泉は言ったが、しっかり撮影される。
 

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■夏の日の想い出・熱い1日(7)

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