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■夏の日の想い出・星の伝説(4)

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彼はそれまでも色々なことに耐えていたのだと思う。それがこの時のこの言葉で、ぶち切れてしまったのだろう。
 
「男だったら、無理しないといけないんですか?」
 
その言い方に先生が一瞬たじろいだ。
 
「いや、男だろ?というのは言葉のアヤで、男でも女でも頑張る時は頑張るべきだろ?」
「こんな長い距離を走ることに意味があるとは思えません。意味の無いことで身体を酷使するのはおかしいと思います」
 
「しかし意味の無いことでもやらなければならないのが世の中だよ」
 
先生は一瞬ムカっときた感じだったが、生徒の前で感情的になってはいけないと思い直して、冷静に対処する姿勢になっている。私は、さすがと思ってこの先生を見直した。
 
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終業のベルは鳴ったが先生は会話を止めない。ここはちゃんと決着を付けておく必要があるという判断だ。
 
「僕が女でも先生は無理させますか?」
「まあ、女子には少しは加減をするな。今年の女子の持久走は2500mだよ」
 
わぁ、大変そう!2500mだって走り慣れてない子には、とんでもない長距離だ。
 
「僕、いや、私、自分は女だと思っています」
 
と突然高橋君は言った。
 
「そうか」
「だから、私、男だろ?とか、男なら頑張れとか、男の癖にふざけるなとか、そういう言われかたはしたくないです」
 
先生は少し考えている風だった。
 

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「それは俺の言い方が悪かったかも知れん。お前が女だというのを俺は知らなかったから。お前が女だったら、俺は『女だろ?しっかりしろ』と言ってたぞ」
 
その先生の言葉に、初めて高橋君は微笑んだ。
 
「授業時間終わってしまったが、このままじゃスッキリしないだろ? 高橋、お前が女だったら、女の意地で、もう1周、歩いてでいいから回ってこい」
 
「はい。分かりました! 女の意地でもう1周走ってきます」
 
そう言って、高橋君は立ち上がり、弱々しい感じではあったが1周しっかり走ってきた。
 
もう次の授業時間の開始のベルが鳴っていたが、私たちはみな拍手で迎えてあげた。
 
そして、この日以来、高橋君は学校ではいつも女言葉で話すようになり、また級友は女子に準じて扱うようになったし、特に女子の級友は名前で「吟ちゃん」
と呼ぶようになった。
 
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そういう訳で、性別傾向を隠していた(つもりの)私より、堂々と自分の傾向を主張する吟ちゃんの方が、女性傾向があることは広く知られるようになったのであった。だから「2年1組にオカマがいる」という話は、元は私の話ででも多くの人が吟ちゃんのことだと思っていたようである。
 
ただ吟ちゃんは、私も含めてクラスの女子がおしゃべりの輪に誘ったりしても何だか場慣れしてない感じで、少し緊張して話をしていたし、ちょっとぎこちない感じであった。また吟ちゃんは他の女の子を名前呼びする勇気が無いみたいで「苗字+さん」で呼んでいた。
 

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ある日、夕方から放送局に行くのに、私がセーラー服に着替えて下校しようとしていたら、吟ちゃんに声を掛けられた。
 
「唐本さん、凄いね。こないだもそれ着てたね」
「ああ、これ、お姉ちゃんのお下がりなんだよ。昔の制服だから今のとデザインが違うけど、まあ支障はないからね。一応、この制服を着てもいいというのは許可は取ってるんだよ」
 
「えー!? すごーい」
 
「吟ちゃん、学校の外では女の子の服着てるんでしょ?」
「全然。私、女の子の服持ってないの」
「えー? お小遣い貯めて買えば良いのに」
「買ったことあるけど、お父さんに見つかって殴られて捨てられた」
「うーん。困ったねぇ」
 

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4月中は平日は陸上部の練習をして、土日には伴奏などの仕事をしていたし、また蔵田さんから呼び出されて、今度は某アイドル歌手の歌を頼まれたというので、女子中学生の感覚に近くなるように歌詞を直してくれと言われて手伝った。スタジオで試唱したが
「これだけは洋子はうますぎて参考にならん」
などと言われた。
 
「凄まじい音痴の友人なら心当たりいますが」
「うーん。音痴すぎても参考にならんしなあ」
 
伴奏などの仕事の無い日は夢美の家に行ってエレクトーンを弾いたり、アスカの家に行ってヴァイオリンを弾いたり、津田アキさんの民謡教室に行き、三味線や唄の練習をしていた。4月は結局名古屋の風帆伯母の所には1度も行かなかった。
 
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やがてゴールデンウィークがやってくる。今年は4月29日-5月1日、5月3-5日、5月7-8日と3つに分かれてしまっている。2日と6日が平日だ。
 

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4月29日は例の学生オーケストラの演奏会があるということで、前日になってエツコから呼び出されて演奏してきた。またまたSさんが指揮で私がコンマスをすることになった。4月からSさんが正式に新しいリーダーになったと聞いて私は驚いた。元のリーダーNさんはヴァイオリン担当になったということだった。
 
「だったらNさんがコンマスをすれば良いのでは?」
「いや、僕は下手だから」
 
「うん。Nさんはあまり上手くない」
と他の楽団員からも言われていた。それで結局私と常トラのKさんが最前面で弾き、その後ろでNさんと楽団員だがヴァイオリン初心者のWさんが弾く形になった。
 

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翌日4月30日は予定が入ってなかったので、津田アキさんの民謡教室に行ってこようと思っていたら、名古屋の風帆伯母から電話が掛かってきた。
 
「冬ちゃーん。今日の演奏会の伴奏のメンツが足りないのよ。ちょっと来て〜」
「名古屋近辺ですか?」
「まぁ近くだけど岡山」
「全然近くない気がするんですけど!」
 
「里美も純奈・明奈も博多どんたくの準備で忙しいらしくて」
「あぁ」
 
「聖見はお腹大きいから使えず」
「予定日いつ頃でしたっけ?」
「7月くらいらしいよ」
「へー」
 
「友美はお友だちの演奏会に担ぎ出されているらしい」
「それは聞きました。私も出ない?と言われたんですけど、逃げました」
 
「空いてるなら来てよ〜。可愛い振袖着せてあげるし、交通費はもちろん出すし、豪華なお弁当もあるよ」
 
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「うーん。。。。友美さんの方に行っておくべきだったか」
 
ということで、その日は新幹線で岡山まで往復し、演奏会の三味線伴奏をしてきた。
 
出がけに、今日は父が家に居たので中性的な格好で出かけて、駅でセーラー服に着替えたのだが、私がそんな格好で三味線を持って出かけようとしていたら母が変な顔で私を見ていた。
 

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その翌日5月1日は今日こそ津田先生の所に行こうと思っていたら、吹奏楽部の貴理子から電話が掛かってきた。
 
「冬、今日は暇?」
「用事があるけど」
「それでね。今日商店街のステージでうちの吹奏楽部演奏するんだけどさ」
「いや、用事があるって」
「今日は知花先輩が親戚の法事が入って欠席なのよ。クラリネット、私だけだから手伝ってくれない?」
 
「1年生は入ってないの?」
「一応2人クラリネット組にしたけど、ふたりともまだ音が出せない」
「うーん」
 
「冬、来てよ〜。私ひとりじゃ足りないよ」
「しょうがないな。何時?」
「演奏は11時からだけど、学校に10時に来てくれない?ユニフォームも渡すから」
「ユニフォームなんてあるんだ!?」
 
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「こういうイベントとかの時に使うんだよ。冬はサイズはL?」
「私はSだよ」
「それって男の子のS?」
「女の子のS。私細いから」
「ああ、そうか。背丈はあるんだけどねー。じゃS確保しとくから」
 
そういう訳で、その日も父が休んで家に居たので、私はまたまた中性的な格好で出かけた。母がまたまた変な顔をして私を見ていた。
 

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学校に出て行くと
「なんでセーラー服じゃないのよ?」
と突っ込まれるが、
「ユニフォームに着替えるなら、いいじゃん」
と答えて、一緒に着替えに行く。
 
ユニフォームは蛍光グリーンのTシャツに白の膝丈箱ヒダ・スカートである。(男子は白い長ズボンの模様)Tシャツの背中には白字で Wind Band、胸の所には●▲ JHS (JHS=Junior High School)と黒い英字で入っている。格好いい!と思ってしまった。
 
男子は音楽練習室の隣の地学講義室、女子はその隣の生物講義室に行き着替える。私も貴理子と一緒に生物講義室に行った。生物講義室には既に何人か女子が居て着替えている最中だったが、私が入って行くと、ギョッとされる。
 
「なんだ、冬ちゃんか」
「てっきり男の子が入って来たかと思ってびっくりした」
 
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「えっと、ボク男の子だけど」
「その件に関して貴理子の見解は?」
「ふだん吹奏楽部にはセーラー服で来ていること多いしね。昼休みにはいつも合唱部の倫代といっしょに女の子の声で歌ってるし」
 
「あれ?倫代ちゃんと一緒に昼休み歌ってるのって、冬ちゃんなの?」
「そうだよ。女の子の声だから、聴いてるだけでは気付かないよね」
 
「ちょっと待って。冬ちゃんって、じゃ女の子の声が出るの?」
「あ、そうか。私はいつも両方聞いてるから何も思わなかった。冬、女の子の声で話しなよ」
「うん、じゃそうする」
と言って、私は女声に切り替える。
 
「おお。女の子の声が出るなら、それで話せばいいのに」
「その方が私たちも自然に接しやすいよ」
「男の子の声で話されるとちょっと距離置きたくなるよね」
 
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「あれ?でも私、倫代ちゃんが昼休みの発声練習してるのを一度覗いたことあるけど、セーラー服を着ている子と一緒だったよ」
 
「それが、冬はしばしばセーラー服を着て発声練習してるんだよねー。そうしないとフル声域出ないらしくて」
 
「そしたら冬ちゃんって、時々セーラー服を学校に持って来てるんだ?」
「むしろ学校から帰る時は大抵セーラー服を着ている」
 
「えー!?知らなかった」
「冬がセーラー服を着ているのを見ても誰か女の子がセーラー服を着ているようにしか見えないから、誰も気付かないよね」
 
「いっそ授業もセーラー服で受けたらいいのに」
「私もよくそう言うんだけどねー」
 
私は頭をポリポリと掻く。
 
「身体も女の子なの?」
「ほら、胸を触ってごらんよ」
と貴理子が言うので、何人かが私の胸に触る。
 
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「あ、けっこうおっぱいある」
「これ生胸?」
「うん、まあ」
 
「という訳で冬は女の子でよいと思います」
と貴理子。
 
「問題無いね」
 
ということで、ここで着替えることを認められてしまった!
 

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私が着て来たポロシャツとズボンを脱ぐと
 
「ふつうに女の子の下着姿にしか見えん」
と言われる。
 
「そりゃ冬は女の子だもん」
 
「それ、下は付いてるようには見えないけど、取っちゃったの?」
「ごめーん。それは曖昧にさせといて」
 
「まあ付いてないようには見えるけど、実は付いているのだったら痴漢として通報してよいレベルだろうからね」
 
「ああ、それで通報されないように曖昧にしておくの?」
 
「それが友だちの間でも時々議論になるんだけどねー。大半の意見は実は既に密かに手術してしまっているのではないかと」
 
「あはは」
「この年齢ではほんとうは手術してもらえないのをこっそり手術したから公開できないのではなかろうかという意見が多い」
「ほほお」
 
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「少なくともうちの中学の男子にも女子にも、冬ちゃんのおちんちんあるいはパンツの盛り上がりを見たことのある子は存在しない」
 
「じゃ、やはりこっそり取っちゃったんだ?}
「ごめん。それについては不明ということにしといて」
 
と私は笑いながら言った。
 

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ユニフォームを身につける。
 
「こういう服を着ても普通の女子中学生にしか見えないよねー」
「普通の男の子にこういう服を着せても女装している男にしか見えないもんね」
「冬ちゃんはむしろ学生服とか着ている時が男装少女に見えない?」
「ああ、それ思ってた」
 
「あ、そうだ。ところで何を演奏するんだっけ?」
 
「あ。言うの忘れてた。ブラームスの『ハンガリー舞曲第五番』と、ロッシーニの『ウィリアムテル序曲』、モーツァルトの『トルコ行進曲』、エルガーの『威風堂々』。そしてヴィヴァルディの『四季』より『春』」
 
「譜面ある?」
「うん。これ」
 
と言って見せてもらう。急いで読む。
 
「『ハンガリアン・ダンス』はいきなりメロディーか!」
「そそ。だから私1人じゃ足りないのよ」
 
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「『トルコ行進曲』でもメロディー吹く所あるんだね」
「見せ場だよね」
「この『四季』の『春』楽しい〜! こんな楽しいアレンジ初めて見た」
 
「最後に演奏するのにふさわしいでしょ?」
「うんうん」
 
「譜面は私と一緒に見ればいいよね」と貴理子。
「OKOK。じゃ私が譜面めくる係で」と私。
「うん。お願い」
 
 
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■夏の日の想い出・星の伝説(4)

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