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■夏の日の想い出・4年生の秋(3)

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「これ、どうしてもグローブ座が最終日になっちゃいますね」
「14時からの舞台って、終わるの何時でしょう?」
「恐らく17時か17時半くらいではないかと」
「それから19時半のヒースロー空港発の便に間に合いますかね?」
 
「ヒースロー空港はセキュリティが凄く厳しいんですよ。普通のやり方だと4時間前には入らないと怖いです。ただチェックインを事前にオンライン又は自動チェックインで済ませておいて、預ける荷物も無しというのであれば、60分前までに行けば大丈夫です」
 
「17時半にグローブ座を出てヒースロー空港に着くのは?」
「うまく行って1時間20分くらい。つまり18時50分頃かな?」
「つまり間に合いませんね?」
 
「うん。やはり無理ですね。公演が17時までに終わればギリギリ間に合いますが、それでも危険です。ロンドンでもう1泊して6日間のツアーにしますか?」
 
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「それが21日のお昼に外せない仕事があるんですよ。でもこれ出発を1日早くしても意味無いですね。劇場の公演スケジュールの問題でグローブ座にはどうしても19日に行かざるを得ない」
 
「となると、帰りは翌朝の便で、フランクフルト乗り継ぎにしましょうか?これだと日本に21日の朝着きます。都内でしたらお昼のお仕事に間に合いますよ」
「何時発ですか?」
「ロンドン・ヒースローを朝8時ですね」
 
「ということは朝4時頃ホテルを出ると」
「そのくらいには出ないと怖いですね。チェックインは自動チェックインにしておくか、あるいはネットで前日に済ませておく前提で」
 
「乗り継ぐということはドイツの入国審査を通りますかね?」
「そうなります」
「ドイツのパスポートやビザの条件は?」
「イギリスと同じです。短期間の観光はビザ不要ですし、パスポートは有効期限内であれぱOKです」
 
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「ではそれで。かえって、行きと違うルート・機材の方が楽しいかも」
「確かに」
 

KARIONのアルバムは8月30日までに録音作業は終わり、ミックスダウンとマスタリングも一週間ほどで完了した。その間、私と和泉は時々スタジオに顔を出して経過を見せてもらっていた。
 
花籠さんのミクシングはとても素直なもので、こちらとしてもあまり注文を付けたりするような点は無かった。ただ多数の楽器を使用したダイナミックな曲である『アメノウズメ』のミクシングには結構苦労していたようであった。最後にその曲のミクシングをしたのだが、これだけで3日掛かっている。花籠さん本人が、自分で納得できるレベルになかなか到達しなかったようで、試行錯誤をひたすら繰り返したようであった。私たちも期限は切らずに納得いくまでやって欲しいと言ったので結局3日がかりになった。
 
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その花籠さんのミクシングが終了した直後の9月5日木曜日にはアルバムに封入するミニ写真集の撮影とPVの作成をしたが、私はうまく乗せられて(顔は隠すものの)写真集にも写り、PVにも出ることになってしまった。PVを作成したのは『アメノウズメ』『天女の舞』『僕の愛の全て』『君が欲しい』の4曲である。
 
「まあ、これでトラベリングベルズに水沢歌月がいることは認めたも同然だね」
「あはは」
 
私はピアノパートが無い『君が欲しい』以外の、『アメノウズメ』『天女の舞』
『僕の愛の全て』の3本に出演した。もちろん顔は映らないようにしてもらっている。
 
このPVはちょうど私と政子がイギリスに行っている間に公開開始されたのだが、実際、この顔が映っていないピアニストが、水沢歌月なのではということでネットではかなり盛り上がったようであった。
 
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「アルバムを買ってもらうと、その中に水沢歌月の歌が入っているから、それでその声が『キャンドル・ライン』の声と同じであることが確認されるからね」
と和泉は言う。
 
「ふふふ。まあ水沢歌月もそろそろその存在をもう少し出してもいいかもね」
「なんなら顔出す?」
「パス」
 

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ところでイギリス旅行の1泊目は翌日の行動の便を考えてストラフフォード・アポン・エイヴォンのホテルに泊まることにした。
 
ロンドン・ヒースロー空港に到着するのが16:00であるが、ストラトフォード行きの最終列車は、ロンドンのメリルボーン駅を18:18に出発する。時刻表通りにいけば間に合いそうだが、もし飛行機が遅着するとリカバーのしようがない。また、元々イギリスの交通機関の時刻は日本ほどは当てにならない。更にその行程で移動すると、夕食はストラトフォードに着いた後にせざるを得ないので、政子のお腹がもたない!
 
その件に関して水曜日の午前中にチケットやクーポンの類いを持って来てくれた旅行代理店の人に相談した。
 
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「レンタカーにしますか?」
「それが無難かもですね」
「それにストラトフォードで、シェイクスピアの奥さんの家とお母さんの家は離れた所にあるので、車があると便利ですよ」
 
ということで、鉄道のチケットはキャンセルして、1400ccクラスの車でカーナビ付きのものを予約してもらうことにした。
 
それで私はその日のうちに府中運転免許試験場に行き国外運転免許証を発行してもらった。ところでイギリスは基本的にマニュアル車であるが、私は免許を取って以来、4年間一度もマニュアル車を運転したことがない!
 
それで、MT乗り(スバルインプレッサの6MTを所有)の佐野君に電話してみたら、快く練習させてくれるという返事をもらったので、その日の夕方、佐野君のアパートを訪ねた。麻央も来ていた。
 
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「冬、MTの運転経験は?」と麻央に訊かれる。
 
「それが自動車学校以来、一度も乗ってない」
「発進の仕方分かる?」
「思い出さなきゃと思って教本を探したけど、見つからなかった」
 
ということで、発進の仕方から教えてもらうことになった。運転は麻央の方が佐野君より上手いということで、まずは麻央が模範演技を兼ねて、近くの大型スーパーの駐車場まで行く。私は助手席に乗り、解説付きの麻央の運転操作を見ていた。駐車場はもうピークが過ぎて車が少ない。分からなくなったらブレーキを踏めというのだけ最初に念を押されて練習スタート!
 
「さあ、やってみよう。他の車にぶつけない範囲なら壁や標識には多少ぶつけてもいいから」
「確かにこの車、傷が凄いね」
「まあ、それは愛嬌で。元々20万で買った車だし」
「それ安すぎ!何かあったりしないの?」
「気にしない、気にしない」
 
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「最初クラッチとブレーキと踏んでおくんだっけ?」
「そうそう」
「ギアはN?」
「そうそう」
 
「それでエンジンを掛けて・・・・Lに入れて、アクセル踏んで、回転が上がって来たところでクラッチを少し上げて・・・動き出した!」
「うん。上出来上出来」
「ギアを変える時はクラッチ踏むんだっけ?」
「そうそう」
 
という感じで、最初はほんとに初心者状態だったのが、2時間ほど特訓を受けているうちに、かなり要領を思い出した!
 
その後は路上に出て、休憩を挟みつつ、2時間ほど運転させてもらった。幸いにもエンストを起こすこともなくスムーズに発進停止ができた。
 
深夜のファミレスの駐車場に駐めて一緒に夜食を食べる。駐車はATもMTも関係無いので普通にできた。
 
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「冬、元々ものを覚えるのが速いから、ほとんどゼロから、1日で充分普通に運転できるレベルになったね」
 
「麻央が丁寧に教えてくれたからだよ。ね。もしよかったら、あと2日くらい練習させてくれない?」
「いいよ。夜食付きで」
 
「OKOK」
「イギリスのお土産はネッシー饅頭かネッシー・サブレで」
「そんなの無いと思うけど。それにスコットランドには行かないし」
「じゃ、スコッチウィスキーは重たいし割れると大変だから、フォートナム&メイソンの紅茶か何かで」
「了解」
 

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16日からイギリス旅行だったのだが、その直前14日の午前中にEliseから電話があった。ちょっと相談があるのだけどということで、Eliseのマンションに行く。
 
普通なら行くといきなりカティサークかバランタインでも出てくる所だが、今日はコカコーラゼロなので、安心して頂く。
 
「ペプシネックスも試してみたが、私はやはりこちらの方が好みだ」
「この機会にソフトドリンクにも詳しくなりましょう」
「そうだなあ。でも何とかやっと、アルコールの禁断症状は出なくなったよ」
「よいことです」
 
「それでちょっと頼みがあるんだけど」
「はい」
「スイート・ヴァニラズで私が休んでいる間、妹の亜矢(芸名Anna)が私の代わりにリードギターを弾くことになったのだが、元々亜矢は友人たちと組んでバンドをやってて、その4人で来年頭くらいにもメジャーデビューという話もあっていたのだよ。バンドの名前はNadiar(ナディアル)というのだけど」
「はい」
 
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「それで、全員年末までに会社も辞める方向で、それぞれの勤め先で話をしていた。まあ、亜矢は緊急なので、もう8月いっぱいで退職させてもらったのだけど」
 
「そのNadiarの残りのメンバーに何かお仕事を紹介して欲しいとか?」
「実はそうなんだよ。それでさ、ローズ・クォーツ・グランド・オーケストラの活動継続が決まったんだって?」
「耳が早いですね。まだ発表できませんが、先月下旬に決まりました。ただし名前は渡部賢一グランド・オーケストラにします。ローズクォーツのメンバーは外れるので」
 
「それそれ。で、ローズクォーツのメンバーが外れるということはリズムセクションが要るよね?」
「ああ・・・その子たちを推薦すると?」
「うん。ベースとドラムスとキーボード。技術力は充分ある。それは保証する」
 
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「なるほど! 取り敢えずその彼女たちの演奏を聴かせてください・・・って女の子でしたっけ?」
 
「うん。3人とも女の子・・・に見えたな、取り敢えず。ニューハーフさんが混じっていても、私には分からん」
 
「私、結構見分ける自信あったんですけどね。最近私にも判別つかない完璧な人が増えてる気がします」
「レベルが上がっているんだな」
「女性ホルモンの入手が容易になってきたのもあるんでしょうけどね」
 

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「でも、あれは一応アマチュア・オーケストラなので、あまり大した報酬は払えませんけど」
 
「ローズクォーツのメンバーには幾ら払ってたの?」
「ローズクォーツのメンバーは演奏印税を受け取るので演奏料は無しですね。スターキッズのメンバーには1日1人3万円を事務所の方に払っています。多分本人たちの取り分は2万くらいではないかと」
 
「じゃさ、1人2万を直接本人たちに払うというのでは? すると月10万くらいになるよね?」
「そんなものだと思います」
 
「そのくらいもらえると取り敢えず私が復帰して亜矢がそちらのバンドに復帰するくらいまで、何とか持たせられる。まあお金以上にテンションと技術力維持の問題もあるのだけどね」
 
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「そうですね。一応、演奏を見てからお返事させてください」
「よし」
 
Eliseがどうも妹の亜矢に電話しているようである。
 
「どこかタダで使えるスタジオとかない?」
「ああ。それじゃ、UTPが借りてるスタジオに」
 
ということで住所とスタジオ名を教えてあげた。このあたりはUTPの専務としての特権を使わせてもらう。そこに夕方18時にということにして、こちらも、タカと桑村さんに見てもらうことにして連絡した。
 

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「ところでケイもマリも今忙しいよね」
「忙しいです。とにかく11月中に卒論を仕上げないといけないのに、これまでほとんど進んでいませんでしたから。明後日から5日間、イギリスに行って、シェイクスピアの生家とか、シェイクスピアが仕事をしていたグローブ座とかを見て来ます。それで最終的な流れを確定させます」
 
「ああ、シェイクスピアの研究なんだ?」
「はい」
 
「でさ。スイート・ヴァニラズの新譜を春くらいに出したいと思っているんだけどね。リードギターは亜矢が弾いて」
「はい?」
 
「本当は年末か年明けくらいに出すつもりだった。それ用の曲を先日ライブで初見演奏してもらった曲も含めて6曲までは用意していたのだが、あと6曲くらい欲しいんだよね。でも、なんか妊娠発覚して以来、全然詩が思い浮かばないんだよ」
 
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「ああ、妊娠中は体質が変わるから、その微妙な影響でしょうね」
「それでさぁ、マリ&ケイに代わりに6曲書いてもらえないかと思って」
 
「えっと・・・Eliseさんが詩が書けないということなら、マリの未発表の作品で、スイート・ヴァニラズに合いそうな詩を何点か持って来ましょうか?それで Londa さんに曲を付けてもらえばいいですよね?」
 
「うーん。そのあたりは微妙なんだけど、私とノリ(Londa)の関係は、一応私が詩を書いて、ノリが曲を付けるという分担ではあるんだけど、かなり不可分な部分があるんだよ。私が書いた詩の行間を読み取ってノリは曲のモチーフを発想する。以前試してみたことがあるのだけど、他の人の詩には、ノリはうまく曲を付けきれないと言うのだ」
 
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「ああ、そのあたりは私とマリの分担に似ているのかも」
「だからさ、マリの詩に、ケイがそのまま曲を付けてくれると助かるのだが」
「は?」
 
「ということで、春くらいまでにマリ作詞・ケイ作曲で6曲書いてもらえないかと思ってね」
 
「あはは、あははははは」
 

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夏の日の想い出・4年生の秋(3)

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