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■夏の日の想い出・カミは大事(3)

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「叔母さん、明日がありますもんね。身体休めてた方がいいかも」
とアスカも言うので、子供たちだけで行くことにする。
 
5〜8人の客と船頭1人くらいの感じで船を出すらしい。私たちは4人なので長崎県から来たという20代の女性2人組と一緒になった。
 
「女性ばかりだと気兼ねなくていいですね」
と向こうの女性から言われる。
 
こんなのはいつものことなので、私は
「ホントですね」
とにこやかに答えた。アスカと明奈がにやにやしている。
 
岸壁から出港して、船は結構なスピードで海上に出る。きゃーっと思う。本当は私も船はやや苦手なのだが、母が行かないと言ったので、あまりコロコロと人数が変動してもと思い行くことにしたのだ。
 
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やがて船は停止し、船頭さんから、釣糸を大きな糸巻きに巻いたものを配られる。
 
「この糸巻きを回して、糸を少しずつ下に沈めていきます。それでだいたい下まで行ったかなというところで今度は巻き取っていきます。この繰り返しで太刀魚が針に食らいついてきます」
と説明される。
 
へー。そんな単純なことで釣れるのかなと思いながら、やってみる。
 
船縁に座り、海に糸を垂らして糸巻きを回し、釣糸を沈めていく。かなり沈めた感じのところで今度は巻き取っていく。やがて針が海から上がってくると、
 
針には何も付いていなかった。
 
私はふっと息を付いて、また糸を水中に垂らしていく。
 
そんなことを30分ほどやっていたが、私は1匹も釣れなかった。他の人に声を掛けてみるが、アスカが小さいのを1匹釣っただけで、他は全員ボウズである。
 
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「冬、あんたがちゃんと頭をボウズにしてないから、戦果がボウズなのよ」
などと姉が言う。
 
「無茶な」
 
船頭さんも「変ですね〜。場所を変えてみましょうか」と言い、エンジンを掛けて少し移動した。
 
そこで30分ほどやっているが、やっぱり全く釣れない。「うーん」と船頭さんも悩んでいる。すると姉が「ちょっと来て」
 
と言って私を船尾の方に連れて行った。
 
「あんたさ、今下着はどっち着けてる?」
「どっちって?」
「男物?女物?」
「ボクが女物の下着なんて着ける訳ないじゃん」
「そう? あんたむしろ女物着けてる時の方が多くない?」
「うーん。小学校の間は時々着けてることもあったけど、小学校も卒業したし女装も卒業だよ」
「それ絶対、嘘。ね。私、船の上で万一チビっちゃった時のために替えの下着持って来てるのよ。それ穿かない?」
「なんでー!?」
「それとそのズボン、男物でしょ?私のズボンと交換しようよ」
「なんのために?」
「あんたは女の子の服を着ると、能力が上がるからさ」
「そうだっけ?」
「だから女の子の服を着た冬なら、きっと太刀魚が釣れる」
「そんな馬鹿な」
 
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「ほらほら、他の客は女ばかりだから見られてもいいけど、船頭さんは男だから、船頭さんが船首の方にいる間に着替えよう」
と言われ、私は女物のパンティを穿かされ、姉が穿いていた女物のジーンズを身につけた。私が小学4年生頃以降、私と姉は洋服がほぼ交換可能になっていた。(ウェストは姉の方が大きいが丈はほとんど同じ。この時ズボンはベルトをきつめに締めて調整した)
 
「よし。冬、明らかに雰囲気変わったよ」
「そうかな?」
「それで釣ってごらんよ」
「あ、うん」
 
私と姉が船首の方に戻ると、アスカが「どうしたの?」と言った。
「何か?」
「冬ちゃん、雰囲気変わった」
 
「あ、ほんとだ。これがいつもの冬ちゃんだ」
と明奈まで言う。
 
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「今日のお昼に会った時、何か違和感があったんだよね。それが消えて、私が知ってる冬ちゃんになってる」
 

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私は服を交換したくらいで、急に太刀魚が釣れたりするもんか、と思いながらも、糸を垂らしていくそしてまた引き上げて行きつつあった時、急に糸が重くなった。
 
「わっ」と声を上げ、私が糸を巻くことができずに悪戦苦闘していたら「あ、来ましたか?」と言って船頭さんが寄ってきて、代わりに糸巻きを巻き引き上げてくれた。
 
「おお、これは大物だ!」
と船頭さんは半分嬉しそう、半分ホッとした雰囲気で言った。
 
船頭さんの手で針から魚を外し、発泡スチロールの箱に放り込む。そして私はまた糸を垂らしていき、引き上げて行くと、また強い引きがある。今度もまた船頭さんに手伝ってもらって、引き上げた。
 
「おお、これも大物だ」
 
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そして私が釣れ始めたら、両隣で釣っていた姉と明奈も釣れ、アスカも続けて最初に釣ったのよりぐっと大きいのが釣れた。
 
そして私たちの方で釣れ始めると、長崎の2人組の方も釣れ始めた。
 
そしてそれからの30分ほどで、全員3〜4匹の太刀魚を釣ったのである。
 
「また少し移動してみましょうか」
と船頭さんが言い、船を少し動かす。
 
そしてその移動した先でも私たちはみんな釣れまくった。私たちの組も長崎組も発泡スチロールの箱いっぱいに太刀魚が釣れて、船頭さんも
 
「これだけ釣れたらもういいかな。少し早めだけど帰りましょう」
と言って、港に帰還した。
 
釣った太刀魚は一部は旅館の板前さんがさばいてくれてお刺身にして夕食の食卓に加えてもらった。残りは明奈・アスカ・私たち各々の家宛てにクール宅急便で送った。なお、東京に帰ってから一部お刺身にして残りは冷凍室にいれたが、この冷凍したものを後で解凍してもお刺身で充分食べられた。
 
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「太刀魚のお刺身がこんなに美味しいとは知らなかった」
とアスカも明奈も言った。
 
「太刀魚って、普通は煮るか焼くかして食べるもんね。お刺身は釣りたてのごく新鮮なのでないとダメなんだって」
と母。
 
母は以前明石で釣り好きの姉(三女の清香)のお陰で太刀魚の刺身を食べたことがあったらしいが、今回食べたのは十数年ぶりだと言っていた。
 

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さて夕食が終わった後、母は私たちが釣りをしている間に既に温泉に入っていたということで「私もう寝るね」と言って寝てしまった。
 
そこで私と姉、明奈とアスカの4人でお風呂に行こうということになる。明奈とアスカの好奇心あふれる視線が来ているのを意識しつつ、私は着替えを持ち大浴場の方へ行こうとしたのだが・・・・
 
「ちょっと待て。その着替えは?」とアスカ。
「え?トランクスとシャツに旅館の浴衣だけど」
「なぜ男物の下着を持つ?」
「だってボク男だし」
「そんなことはない。女物の下着は持ってきてないの?」
「持って来てないよー」
 
「じゃ、これあげるから」
と言って、新品のショーツとブラジャー、キャミソールを渡される。
 
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「用意周到だね」
「冬ちゃん細いから、たぶんSで合うよね?」
「うん」
「ブラのサイズはたぶんA65で行けるかなと思ったんだけど」
「あ、A65でいいよ」
「やはり、ちゃんと自分のブラサイズが分かってるんだ」
「えーっと」
 
「さあ、行こう、行こう」
「ちょっと待って。こんな女物の下着とか、男湯の脱衣場で身につけられないよう」
 
「まさか、男湯に入るつもりじゃないだろうね?」
「えー?ボクが女湯に入れる訳ないじゃん」
「お姉さん、どう思います?」と明奈。
「うーん。冬は女湯に入れそうな気がするなあ」と姉。
 
「よし、決まった。冬ちゃんは女湯で決定」
とアスカは言い、明奈とふたりで私の身体を押さえるようにして、大浴場に行き「姫様」と書かれた赤い暖簾をくぐってしまった!
 
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あはは、やはり私ってこちらに連れ込まれるのか。
 

脱衣場で空いているロッカーが4つ並んでいる所があったので、そこを使うことにする。
 
「さあ。お風呂入るんだから脱ごうね」とアスカ。
「分かった、分かった」
と言って私は明奈とアスカに見つめられた状態で服を脱いで行く。姉は自分で脱ぎながら、こちらを興味深そうに見ている。
 
セーターを脱ぎ、ズボンを脱ぐ。
 
「あ、ちゃんと女の子パンティ穿いてるじゃん」
「それは私がさっき穿かせた」と姉。
「冬がそれを穿いた途端、太刀魚が釣れ始めたのよ」
「へー。面白い」
「ああ、雰囲気が変わったのはそれでだったのか」
 
「冬は女の子の服を着せるとエレクトーンも歌も上手くなる」
「あ!」
とアスカが言う。
 
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「1年半前にプールサイドのカラオケ大会で冬ちゃんに会った時、冬ちゃん、女の子水着を着てたもんね」
「へー。女の子水着を持ってたのか」と姉。
 
「そしてこないだ結婚式で会った時は、振袖着て三味線弾いてた」
「あれ?冬、振袖持ってたの?」
「明奈ちゃんのを借りたんだよ」
 
「あれ、持って来てはみたものの、着てみたら私には小さかったのよ、それで直してみようかどうしようか、なんて言ってたんだけど、冬ちゃんにちょうどよかったから、あげたのよね」
 
「へー。じゃ、今も持ってるんだ?」
「うん、まあ」
「例の冬が女の子の服を隠してる場所には、それ無いよね」
「あ、うん」
「つまり、私が知らない隠し場所もあるのか」
「えーっと」
「東京に帰ったら探してみよう」
「もう・・・」
 
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「さて、そのシャツとパンティも脱ごうか」
「アスカさんも明奈ちゃんも脱がないの〜?」
「冬が脱いでしまったら脱ぐよ」
 
姉はもう既に全部脱いで裸になっている。
 
私は笑って、シャツを脱いだ。
 
「これ、やはり胸が少し膨らんでる」
と言ってアスカに触られる。
 
「ほんとだ。乳首も立ってるし、乳輪も大きくなりかけだし。これもう男の子の胸じゃない」
と明奈。
 
「冬、あんた女性ホルモン飲むか注射するかしてるんだっけ?」
と姉まで言う。
 
「してない、してない。そんなの調達方法も無いし」
「私が調達してあげようか。ちょっと心当たりあるし」
「要らない、要らない。これは、お姉ちゃんにもらったビッグバストドロップを飲んでるだけだよ」
「ふーん。あれ飲んだだけで、こんなに膨らんだんだ?」
「サプリですか?」
 
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「うん。ザクロの成分が入っていて、胸が大きくなる、といううたい文句なんだけど、私が飲んでもいっこうに大きくならなかったから冬にあげたんだけどね」
「どのくらい、それ飲んでるの?」
 
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