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■夏の日の想い出・多忙な女子高生(4)

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「あ、けっこう胸大きい」などとひとりの子に言われたが
「ごめーん。上げ底」と言って、パッドを片方外してみせた。
「きゃー、すごーい。こんなに上げ底できるものなの?」
と言って、パッドを抜いた状態の胸に触られる。
 
「私、おっぱい小さいのよ〜」とボクは言う。
「あ、それで脱ぐの、ためらったり、温泉に来るのためらったのね?」
「そうそう」
 
と言って笑いながら、ボクはスカートのホックを外して下に落とした。
 
ブラとパンティだけのスタイルになる。そしてブラのホックを外して小さな胸を露出させる。身を覆うのはパンティだけであるが、別にそれも脱いで構わない。
 
「ほんっとにおっぱい小さいね」
「牛乳飲むといいよ」
「納豆とかもいいらしいよ」
 
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などと言われていた時、突然
 
「ケイ、いる〜?」
と政子の声がした。
 
げっ。この姿を政子には見られたくない。
 
ボクは慌ててブラの肩紐だけ通し、ポロシャツを頭からかぶり
 
「マリ、どうしたの?」と返事した。
 
政子が脱衣場を覗き込むようにして
「ちょっと急用なんだけど」
と言う。
 
「分かった。行く。ごめんねー、みんな」
 
とボクはリュークガールズの面々に詫び、急いでスカートを穿き、バストパッドはとりあえずスカートのポケットに入れると、政子と一緒に温泉から出た。
 
政子は
「冬、女湯なんかに行ってどうするつもりだったのよ?」
と咎めるような口調で言った。
 
「うん。一緒に入りましょうと言われて、それを何とか断って離脱したかったんだけど、うまい理由が思いつかなくて。どうしようかと思ってた。助かったよ」
と答えるが、我ながらボクって嘘つきだなあと思う。
 
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「まあ、マジで急用なんだけどさ。東京に戻るよ」
と政子。
 

その「急用」というのは、唐突にメジャーデビューの話が来たということだった。
 
しかもそのメジャーデビューに際して、上島雷太先生から曲をもらえたというのである。ボクはさすがに仰天した。
 
上島先生は今いちばん旬の売れっ子作曲家である。百瀬みゆき・松浦紗雪・大西典香・mapなど、多数の人気歌手・ユニットに楽曲を提供しているし、この春にもAYA という歌唱ユニット(3人組だったのが、メジャーデビュー直前に2人やめて結局ソロプロジェクトになってしまった)に曲を提供してヒットさせているが、AYAは3人で歌っていたインディーズ時代にも結構なセールスを上げていたし、ライブはいつも満員だったらしい。でもボクらは何の実績も無い。
 
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それがなんで曲をもらえるの〜!?
 
とボクは正直、訳が分からなかった。
 

上島先生が書いてくださった曲は『その時』という、切ない片想いを歌った曲である。正直、ボクは譜面に「上島雷太」の文字を見た時も、無名の新人にくれる曲なら、どうせ適当に作った曲ではと思ったのだが、譜面をちゃんと読んでみると、物凄いリキの入った作品であることに、驚いたのである。これはボクらに渡さなくても、AYAとか松浦紗雪みたいな実績のある歌手に渡していい作品だ。
 
須藤さんは、ボクと政子に
「1曲ではCDとして出せないから、カップリング曲をあんたたちで書いて」
と言った。
 
須藤さんという人は、実際問題として相手構わず「ちょっと曲書いてみて」と無茶なことを言う癖のある人である(というのは数年付き合ってみて分かってきた)。しかしボクたちはそんなこととは知らずに、折角与えられたチャンスに頑張ろうと言って、その夜、政子の家でふたりで、結構気合いを入れて新曲を書いた。(政子が《赤い旋風》のボールペンで書いた詩に、ボクが《銀の大地》のボールペンで曲を付けた)
 
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それが『遙かな夢』という曲であった。
 
ボクたちが翌日14日の日曜日に譜面を持って行くと、須藤さんは「え?ホントに書いたの?」と驚くような顔をした。どうもボクたちには書けないだろうから自分で書こうと思っていたような雰囲気であった。
 
しかし譜面を見た須藤さんは「これ、いい曲だ! あんたたちセンスいいね!」
とボクたちを褒めてくれた。
 
『その時』と『遙かな夢』はどちらも片想いの少女の思いを歌った曲であるが、どちらかというと消極的な態度の『その時』に対して『遙かな夢』は積極的で、その対比が美しいバランスを作っていた。
 
『その時』は上島先生の相棒ともいうべき下川先生が編曲してくださったスコアが届いていたが、須藤さんは『遙かな夢』もお願いして下川先生に編曲してもらうことにした。
 
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15日、月曜日。KARIONの音源制作の録音作業が無事完了した。あとはミックスダウンとマスタリングが残っているが、麻布さんはこれをできるだけ早くすませると言った。そして毎日三島さんに「様子を見に」来てもらい、その時点でのデータをコピーして持ち帰ってくれるように言った。こちらがデータを勝手にどこかに持って行くことはできないが、発注主がデータのコピーを要求するのは自由だ。
 
「社長、ほんとにごめんなさい。私の方のユニット、メジャーデビューという話になっちゃいました」
とボクは畠山さんに謝った。
 
「いや、そうなって当然だよ。逃がした鯛は大きいなあ。でも君のことは応援してるから」
と言ってくれる。ボクはただただ、畠山さんに頭を下げた。
 
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一方で須藤さんは、その週、新しいCDに入れる曲として更に3曲のカバー曲を用意した。それぞれの曲の作者に連絡してカバーすることを了承してもらった上で、自身で編曲してスコアを作る。ボクと政子は『その時』『遙かな夢』とその3曲の合計5曲をその週は練習した。
 
そして21日の日曜日、○○プロの関連会社が運営するスタジオで、スタジオミュージシャンさんたちの伴奏によりボクと政子はその5曲を吹き込んだ。須藤さんは翌日月曜日に1日でその曲を自らミックスダウン、マスタリングしてCDプレス用のマスターデータを完成させた。
 
普通なら音源制作してからCD発売までは1〜2ヶ月の間を置き、キャンペーンを組んだり宣伝をしたりするのだが、はなっから、★★レコードとしては、上島先生の作品だから取り敢えず出すか、という雰囲気だったし、△△社としては上島先生からせっかく作品を頂いた以上、すぐにもリリースせねば、という感じだったので、このCDは音源制作してから、わずか一週間での発売ということになった。
 
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もちろん、★★レコードで何か宣伝をしてくれたりも無かったが、ちょうど発売日の27日に埼玉県のレジャープールで行われることになっていたイベント(複数のレコード会社が相乗りしたイベントでメインゲストは◎◎レコードのELFILIES)の出演者ラインナップにボクたちローズ+リリーを押し込んでくれた。それでそれがボクたちの発売記念イベント代わりとなったのである。
 

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ローズ+リリーの録音作業があった翌日月曜日。
 
ボクはいつものように補習が終わってから、いつものスタジオに行った。すると有咲を含む数人のスタッフが玄関前にたむろしている。
 
「どうしたの?」
「まあ、見れば分かる」と有咲。
 
玄関の所に何か張り紙がしてある。
 
『立入禁止。債権者』
 
と、またシンプルな張り紙である。
 
「あーあ。とうとうアウトか」
「そうみたい」
 
しかしボクはこの事態になる前にKARIONのマスターデータが完成していたことに安堵した。マスターデータは先週水曜日の夜完成して、∴∴ミュージックに引き渡されたのである。普通ならもう少し掛かるところを、麻布さんが大学生と専門学校生の助手さんたちに自腹で現金の報酬を渡して徹夜で完成させていた。
 
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その場にいた他のスタッフさんたちと
「どうしたもんですかね〜」
などと言っていた時、麻布さんを含む数人のエンジニアさんたちが一緒に難しい顔でこちらにやってきた。
 
「社長とも専務とも常務とも連絡が取れません」
と代表でエンジニア長さんが言う。
 
「私たち、どうすればいいんでしょうか?」
「強制ではありませんが、一緒に行動しませんか? 7月に出るはずだったボーナス、8月分の給料、9月に入ってから働いた分の給料、そして解雇であればもらえるはずの退職金と1ヶ月分の給料。それを団結して要求します」
 
そこでその場に集まっている人だけでもエンジニア長さんが用意したノートに名前を書いた。他のスタッフには個別に連絡を取って意向を聞くことになった。
 
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ボクと有咲は麻布さんと一緒に近くの喫茶店に入った。
 
「しかしまあ、参ったね」
 
「私や冬は大した報酬もらってないから、まだいいけど、麻布先生はかなり取りっぱぐれになるのでは?」と有咲。
 
「うーん。まあ、その分これまでたくさんもらってるからいいよ。君たちこそここの給料をいろいろ欲しいもの買うのとかに使ってたんでしょ? まだ出てなかった先月分の給料と、今月ここまで働いた分の給料+解雇ならもらえる1ヶ月分の給料は、ボクが取り敢えず立て替えて払うよ」
 
「それは申し訳無いです」
「いや、ボクが使ってた大学生・専門学校生の助手さん4人にもさっき電話してその分を払うと言っておいたから。君たちも同等だよ。お金については心配しなくていい。充分な貯金があるし、僕は独身で気楽だし」
 
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「確かにあの助手さんたちは、学資にしていたみたいだし、無いと辛いでしょうね」
 
「でも先生、これからどうなさるんですか?」
 
「・・・今朝から考えてたんだけどね。今後の経営陣や債権者との交渉はエンジニア長さんがやってくれるみたいだし、下っぱエンジニアの僕は海外に逃亡しようかと思って」
「海外逃亡ですか!?」
 
「ニューヨークにいる、学生時代の友人がね。こっちに来ないか?と誘ってくれてたんだよね。でも仕事が途切れないしと思ってたんだけど、これはいい機会かも知れないなと思ってね」
「へー」
 
「向こうで2〜3年、アメリカのスタジオの仕事の仕方を勉強させてもらうのもいいかなと思っている」
 
「そういうのもいいですね」
「武者修行ですね」
「そうそう。帰国した時に、また君たちと一緒に仕事ができるといいな」
「そうですね」
 
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それが、その年の麻布さんとの最後の会話になってしまったが、喫茶店を出て有咲と一緒に取り敢えずマックにでも行こうか、などと話していて、ボクはふと麻布先生に、ボクが政子とやっている歌唱ユニットの名前《ローズ+リリー》を結局伝えていなかったな、ということに思い至った。
 
守秘義務、個人情報保護、プライバシー、といった普段の意識のせいで、お互い、よほどのことがない限り固有名詞を出さないし聞かないという癖が、ボクらには付いていることもあった。
 

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ローズ+リリーの発売イベントをプールでするということで、須藤さんはボクたちに水着を着るように言った。当然ふたりとも女子用水着である!
 
元々女子である政子はまあいいとして、男子のボクが女子用水着を着るとなるとあれこれ誤魔化しが必要である。そのテクニックについて調べて、政子はボクに胸にはプレストフォームを貼り付け、お股はタックすればよいという結論を出した。
 
早速翌日、ブレストフォームを売っているお店に一緒に買いに行く。
 
「何カップにしたいですか?」
「どうせだから、どーんとFカップくらいに」と政子。
「いえ、Cカップで充分です」とボク。
 
「じゃ、このサイズかな」
とお店の人がセレクトしてくれる。
 
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「経験無いのでうまく貼り付けられないかも知れないから、この子に貼ってあげてくれませんでしょうか? 料金も払いますから」
と政子は言ったが、お店の人は
「作業料金はいいですよ。サービスしておきます」
 
と言い、ボクを促して試着室に入った。ボクはふっと溜息を付くと、ポロシャツを脱ぎ、ブラジャーを外した。
 
「あ」とお店の人が声をあげる。
「えっと・・・・サイズ測っていい?」
「はい」
 
お店の人がメジャーを出して、ボクのトップバスト、アンダーバストを測る。
「アンダー71, トップ82。これ、今付けておられるA70のブラでは小さいですよ。ブレストフォーム付けない時もB70になさった方がいいです」
「そうですね・・・」
 
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「ちょっと商品のサイズ換えてきます」
と言ってお店の人は、外に出ると少しして、別のサイズの商品を持って来た。
 
「価格は同じですか?」
「こちらがずっと安いですよ。シリコンの量がとっても少ない分」
とお店の人はにこやかに言い、それをボクの胸に貼り付けてくれた。
 
「済みません。外の彼女には私のバストサイズのことは言わないで下さい」
「ええ。私たちは必要なこと以外は何も言いません」
「ありがとうございます」
 
 
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