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■夏の日の想い出・ふたりの成人式(4)

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★★レコードの後は○○プロに行き浦中部長、そしてめったに顔を出さない社長さんにも会って挨拶をした。
 
「マリちゃんも3年休養してるし、そーろそろライブに復活しない?」
と社長さん。
「そうですね。。。大学卒業したら復活しようかなあ・・・・」と政子。
 
「うーん。あと2年か・・・・」
と社長さんは言うが、浦中部長は
「あれ?こないだは7-8年後なら、なんて言ってたよね?」と言う。
 
私は笑って「マリは先月には5年後って言ってましたよ」と言う。
「おお、1ヶ月で3年短縮したか!」
「実際にはたぶん来年くらいでしょうね。最初は限定的かも知れないけど」
と私。
 
「復活したら、全国ツアーやろうね。CMとかもじゃんじゃん打つから」
「そのあたりがマリは苦手みたいなので、お手柔らかに」と私は言った。
 
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その後、△△社に回る。○○プロの中家さんがちょうどそちらに行く用事があるということで、車に乗せてもらって一緒に移動した。
 
「いつもファンからの贈り物のチェックしてもらってありがとうございます」
と私は中家さんに言う。
 
○○プロにはアイドル歌手が多数所属しているので、危険なプレゼントもしばしばあるため、X線透過装置や金属探知機など、空港の手荷物検査並みの検査設備を持っていて、私たちに送られてきたファンからのプレゼントは、いつも★★レコードに来た分も、△△社に来た分も、いったん○○プロに持ち込み、検査した上で、いつも中家さんが届けてくれているのである。クリスマスには凄まじい数のプレゼントが来たので、安全確実なもののうち、ケーキなどの生ものの一部は、関東近辺の児童養護施設などに配ったが、そういう手配も中家さんがしてくれている。
 
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「でも、なかなか凄いのもあるのよね。幸いにも、ケイちゃん、マリちゃん宛のでは極端に酷いのは無かったけど」
「私たちはせいぜいカミソリくらい?」
「カミソリは日常的にあるから気にもしてないよ。あとアイドルの彼氏との密会写真とかもよくある。表沙汰にしたくなかったら幾ら幾ら払えとか」
 
「そんなのどうするんですか?」
「金払えというのは恐喝事件だから警察行き。実際には写真もまず合成だし」
「そういや、私も合成写真を写真週刊誌に載せられたことあったな」と私。
 
「○○は実は男だ、なんて密告もよくある」
「あははは」と私は笑った。
「だいたい無視してるよ。ほぼガセだしね。あまり、たくさん来るような場合は、本人の周囲にそれとなく尋ねたりすることもあるけど。本人に聞くと精神的に動揺する場合もあるから」と中家さん。
 
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「歌手やってる子って、神経図太いようで、意外に繊細な子も多いですしね」
「そうなんだよね。まだデビューしたての子で、そんな話があったってのをうっかり付き人さんが漏らしちゃって、泣き出しちゃった子、いたよ」
「わあ、可哀想」
 
「本当に男の子だったってのは、過去数件あったけど、その場合はたいてい本人もさばさばしてる。そういう場合は、こちらもバレても構わないという前提で売るけど、実際にはバレる前にフェイドアウトする。男の子でなくてもこの世界は10人の内9人はすぐ消えるから。バレたのは先日の花村唯香くらいだね。バレてから、よけい引き合いが増えたよ、あの子」
 
「あの子可愛いもんね。でも私たちの時とか、そんな密告無かったんですか?」
と政子。
「それが全く無かったんだよね。誰もケイちゃんが男だなんて思いもよらなかったんだよ。あの時は」
 
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△△社に着き、津田社長や甲斐さんなどに挨拶した。甲斐さんは昨日も会っているのだが。
 
「しかし昨年は、ローズクォーツ、ローズ+リリーの両方でミリオンヒットを出したね。今後どうするの?しばらく両方掛け持ちで行くの?」と津田さん。
「はい。ローズ+リリーは私たちのどちらかが死ぬまで続けますし、ローズクォーツも20年はやるつもりです」と私。
「優等生の答えだなあ」と津田さんは笑って言う。
「でも、ずっと続けていくつもりなら、両者の違いを明確にして行った方がいいね。でないと、ケイちゃん自身が混乱するでしょ」
 
「ええ。それで11月末に須藤と話し合って、今後はローズクォーツの方は須藤がプロデュースして、ローズ+リリーは私自身がプロデュースするということにしました」
「ああ、それはいいかもね。あと、今はライブではケイちゃんがキーボード弾きながら歌も歌ってるけど、あれは負担が大きいよ。キーボードはサポートメンバー入れるか、いっそキーボード弾けるメンバーを加入させた方がいい」
 
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「ええ。少し前からその件タカが心配してくれていて。それで、今日から始めた新譜のレコーディングでは、キーボードにサポートメンバーを入れてるんですよね。今まで何度か付き合ってくれた人で、こちらの音楽を理解してくれているので。来月の全国ツアーにも付き合ってくれることになっています」
「ああ、それはいいね」
 

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そのあと、スリファーズの新曲発表会を都内のCDショップで行うことになっていたので、スリファーズの3人、甲斐さんとともにそちらへ移動した。
 
スリファーズはそこの後、今日・明日の2日間かけて、関東の10ヶ所ほどのCDショップやショッピングモールでキャンペーンをするのだが、この日は特別バージョンということで、私がピアノを弾きながら、スリファーズの3人が歌うというステージをすることになっていた。
 
振袖を着ているスリファーズの3人と一緒に私も振袖でステージに上がり挨拶する。それから私がピアノの前に座り、ピアノパートと歌パートを抜いた音源を流しながら、彼女たちの新曲『メルリビオン』の演奏を始めた。
 
演奏が終わってから司会者の人が3人に質問する。
 
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「素敵な振袖ですね」
「はい。彩夏のお母さんが3人分とも見立ててくれました」と春奈。
「3人仲がいいんですね」
「ええ。私たち仲良しですから」と千秋。
 
「ところで『メルリビオン』ってどういう意味ですか?」
「えーっと、私たちもよく分からないんですけど、この曲はなかなか告白できずにいる女の子の心を歌ったものですね。凄く等身大な歌です」と彩夏。「曲名の意味は、ケイ先生に聞いたほうがいいかな?」千秋。
 
私はマイクを取り「それはタイトルを付けたマリに」と振る。
ステージ脇にいた政子は私の傍まで寄ってくるとマイクに向かい「私も思い付きで付けたので意味は分かりません」と答えた。
 
「ということで書いた人にも分からないそうです。恋も、自分で自分の心が分かりませんしね」などと春奈が言う。なかなか凄いフォローだ。
 
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ちなみに政子が人前でマイクに向かって発言したのはほんとに久しぶりだったのだが、本人はそのことに気付いていない雰囲気だった。
 
「でもケイさんも揃って、春夏秋冬が揃ってますね、今日は」と司会者さん。
「そうですね。なかなか見られないと思います。でもケイ先生は凄いです。私もいろいろ見習いたい」
「身近に似た傾向の人がいると心強いでしょうね」
「はい。ケイ先生も昨年性転換手術を受けられましたし、私も今年はやっちゃおうかな」と春奈。
 
観客から「きゃー!?」という声が聞こえる。スリファーズのファンは男女半々くらいなので、女の子たちから主に悲鳴があがった感じであった。
 

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「いや、手術のことは言ってもいいとは言ってたけど、あそこで言うとは思わなかったなあ」と控え室に戻ってから甲斐さんは頭を掻いていた。
 
「まずかったですか?」と春奈。
「うん。まあいいけどね。司会者さんも自分が誘導しちゃった感じになったというので恐縮してたね。でもこの後の会場では、特に聞かれない限り言わないで」
「はい」
 
「ああ、ツイッターで既に拡散して、もうトレンドにも上がってますよ」
と私は携帯を見ながら言った。
「今の世の中、凄いね。もうマスコミの報道はネットの後を追いかけてるね」
 
「ええ、変な発言して笑われる人も多いです。でもさっきのは結果的にはこのCDのセールスを後押ししそう」
「うん。そうだろうけどね」と甲斐さんも苦笑いしている。
 
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春奈の発言はtwitterからあちこちのブログにも転載され、翌朝のスポーツ新聞にも1面で報道されていた。おかげでこの曲のダウンロードが初日だけで20万件行った。CDは各地で品切れが続出し、★★レコードは慌てて大量に再プレスした。
 

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スリファーズの新曲イベントが終わった後、私たちはFM局に行き、その日から始まる新番組の生放送に臨んだ。
 
毎週月曜から木曜まで30分の帯番組なので、本来は2週間(8回)分ずつまとめて録音することになっているのだが、最初は番組の方向性を模索する必要があるのと、リスナーからのリクエストのストックが無いので、リアルタイムでリクエストを受け付けて番組を進めようということになり、今日と明日だけ生放送なのである。
 
あらかじめ提出して承認を得ていた構成脚本を再度確認、局側も流す予定の曲の音源を確認して本番に臨む。生番組で2人だけでトークするのは久しぶりなので特に政子は最初少し緊張していたが、冒頭で挨拶代わりに、私たちの歌『花模様』を、第一回放送ということで特別に弾き語り生演奏で歌うと、政子もふだんのペースをつかむことができたようであった。
 
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その日は宇多田ヒカル、安室奈美恵、青山テルマ、Crystal Kay、MISIAの曲を1曲ずつ流し(宇多田ヒカル・青山テルマがリクエスト、残りは用意していた曲)、最後に自分達の曲『神様お願い』をマイナスワン音源で歌って締めた。
 

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4日から15日までは2月に発売予定のローズクォーツのアルバムの制作をしていたのだが、私は5日も政子と一緒に振袖を着て、あちこち挨拶回りにまわった。この日は朝1番にスカイヤーズのPow-eruの自宅に行く。スカイヤーズのメンバーが集まってきていたので全員に挨拶した。
 
去年も一昨年もスカイヤーズのアルバムにはちょっとだけ参加させてもらっていたので、今年もまた何か一緒にやろうよということで、話をした。
 
その後、Eliseの自宅に回った。スイート・ヴァニラズのメンバーが集まっていたが、全員できあがっていた。話を聞くと昨日の朝からひたすら飲んでいるらしい。
 
「ケイもマリも、そんな堅苦しい服は脱いで、まあ飲め」
などと言われたが、私たちこれから放送局に行かなきゃいけないので、と言って取り敢えず逃げ出した。
 
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午後からは昨日も行ったFM局に行き、昨日生放送で流した番組の反響や、局側で感じた感想などを聞いた。意見や要望などは素直に聞かせてもらい、それを踏まえて2回目の放送に臨んだ。
 
今日は昨日の放送で告知したリクエストの宛先にたくさんメールが来ていたので、そこから曲をピックアップし、MISIA、UA、サーカス、松任谷由実の曲と、番組放送中に飛び込んで来たリクエストから、SALT&SUGARの曲を1曲流した。オープニングではまた弾き語りで『花模様』を歌った。これを1月の固定オープニングで使おうと話がまとまったのである。エンディングは今日は来月から◇◇テレビで始まるアニメで使用される予定の曲『天使の休息』をマイナスワン音源を使って歌った。11日発売予定の曲で◇◇テレビと★★レコードに事前に承認を取っての演奏であった。
 
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夏の日の想い出・ふたりの成人式(4)

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