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■夏の日の想い出・ふたりの成人式(2)

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私はすぐに、お正月に振袖を注文した呉服屋さんに連絡を取った。300万クラスの高級振袖を、今から頼んで12月中に仕上がるかどうかを確認したのだが、既に生地ができあがっているものであれば、縫製だけなら充分間に合うと言われた。
 
そこで政子とふたりで見に行こうということにしたのだが、政子が「その振袖を成人式でも着ることになるなら、冬のお母さんと一緒に選んだら?」というので、母に連絡して、一緒に行くことにした。
 
呉服屋さんのある商店街の入口のところで10時に待ち合わせたのだが、母は上等な付下げを着てきていた。(私はサンローランのワンピース、政子はヴェルサーチのワンピースを着てきていた)
 
「お母さん、御無沙汰してます」
「政子ちゃん、こんにちは。何か格好いいワンピースね」
「お母さんのも上品な付下げですね」
 
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「うん。なんか高い振袖買いに行くというから、安物は着て来れないと思ってこれ着て来たんだけど、私これ以上いい和服持ってないのよ。冬、親孝行プラス経済活性化への貢献で訪問着とか買って」
などと母は言っている。
「今度でいい?私も一度にはさすがにきつい」
「うん。お正月までにでも」
 
3人でお店の中に入っていった。この時期、駆け込みでお正月の振袖を注文しようという客も多いようで、お店は混んでいた。更には1年半後の成人式用に振袖を頼む人たちも結構いるようであった。私たちが店内に入ってきたのを見ると、予め電話していたこともあり、番頭さんが出て来て奥に案内してくれた。
 
「なんかVIPみたい」などと母が言う。
「いや、お母さん、実はVIPなんじゃないかって気がします」と政子。
 
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「唐本様は上得意様ですよ。中田様も、ぜひこれを機会にごひいきに」と番頭さん。
 
「どのようなものがよろしいですか?加賀友禅、京友禅、取りそろえて御座いますが」と言いながら、番頭さんはいちばん奥の棚の上から3段目と4段目から1つずつ生地を取り出した。どちらも白基調のもので、京友禅と加賀友禅の上等な生地である。
 
「目の保養ありがとうございます。この生地はさすがに予算オーバーですけど、加賀友禅の方が好みみたいです」と政子は左の生地の方を指し示しながら言った。
「分かりました」
 
番頭さんはその生地をしまうと、今度は同じ並びの棚の真ん中付近からこちらを見ながら4つほど生地を取り出した。
 
「ではお伝えくださいましたご予算のクラスで。唐本さま、こちら2つはお正月にお求め頂いた飛和工房の作品で、飛龍先生ご自身で染めたものなのですが」
「きれいですね。こちらはお正月に見たのと似てる」
「はい、あれは売れてしまいましたが、だいたい同じ系統の作品です」
「私はやはりこの先生ので行こうかな」
 
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「中田さま、この左側2つが今唐本様にも言いましたように、飛龍さんといいまして、40歳くらいの若い女性作家のものです。優しい絵柄が特徴ですね。真ん中のは伝統的な絵柄を重視している赤木先生のもの、右側のがやや現代的な絵柄の高山先生のものです」
「伝統的なのが好きかな」
「政子は、りりしい柄が似合いそうだもんね」
「うん。自分でもそう思う。冬はそういう優しい柄が似合うよ」
 
番頭さんは私の方には更に2つ飛龍作品を並べ、政子の方には赤木作品をもうひとつと、同様に伝統的な絵柄の宮村という人の作品、倉野という人の作品を並べた。私たちはそうやって20分ほど掛けて好みの生地を各々選んだ。私は飛龍さんの白基調の生地、政子は結局宮村さんの青基調の生地を選んだ。
 
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このクラスになると、価格もけっこうアバウトな雰囲気であったが、私も政子も即金で払うと言うと、私のも政子のも帯(これもかなり上等な品)まで含めて300万円でよい、ということになり、私がふたり分まとめて携帯を操作して振り込んだ。(私と政子の口座間は手数料無しで移動できるので、あとで調整する)
 
「仕上がりはたぶん11月下旬くらいになるかと思います。また納期が分かりましたらご連絡致します」
「よろしくお願いします」
「ところで唐本さま、お正月にご依頼頂いておりました振袖はどうしましょうか?」
「はい、あれはあれで頂きますよ」
「ありがとうございます。そちらは今月26日に仕上がりますので」
「はい。その日は東京にいる予定なので取りに来ますね」
 
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「ありがとうございます。そうそう唐本さま。ごひいきにしてくださいます御礼に、普段着用の訪問着か何かサービス致しましょうか?」と番頭さんが言うと「あ、私、訪問着欲しい!」と母が言った。
 

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呉服屋さんを出てから、近くの甘味処に入って、私たちは氷あんみつを食べた。
 
「親孝行な娘のおかげで訪問着ゲットできて私幸せ」などと母が言っている。
「でもいい柄のがあって良かったね」
「でも、すっかり『娘』にしてもらえたのね」と政子。
「あら、娘の方が息子より、色々楽しみだしね」と母は笑顔で言っている。
「誕生日過ぎたら、戸籍の性別すぐ変更するんでしょ?」
「うん」
「書類提出する前に1度うちに来て、直接お父ちゃんにもその事言ってくれる?」
「うん、そのつもりでいるよ」
 
「でも、実際問題として1月に頼んだほうの振袖、どうすんの?」と政子。
「うーん。どうしようか? 政子も成人式用に既に振袖用意してなかったの?」
「ああ、面倒くさいから出席しないつもりだった」
「そうか。そういう選択肢もあったのか。私は振袖着て成人式に出たい!ってのが最初にあったからなあ」
「冬はそうだろうね。でも私も振袖頼んじゃったしなあ。仕方ない。成人式も行くか。冬の付き添いも兼ねて」と政子。
 
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「あら?でも政子さん、冬と地区が違うのでは?」と母が訊くが
「あ、お母ちゃん。それが私、住民票を政子の家に置きっぱなしで」と私は答える。
「え?」
「去年車を買った時に、引越先のマンション探してる最中だったから取り敢えず車庫証明取るのに、私、住民票をいったん政子の家に置いて、政子の家のガレージで車庫証明作って車を受け取ったのよね」
「うん、その話は聞いた。で、マンション借りて、そちらに住民票を移したのよね?」
「それが、その後、無茶苦茶忙しくなっちゃったものだから、放置してて」
「えー?」
「だから、住民票の上では、私と政子ってずっと同居してることになってるのよね」
「私は別に構わないけどね」と政子。
「けっこう、同じ場所に住んでることになってた方が便利なことも多くて」
 
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「あきれた。ちなみに戸籍は別よね?」
「別だよ」
「私は何ならひとつにしてもいいけど、今籍を入れちゃうと、冬は性別を変更できなくなっちゃうからね」と政子。
「籍を入れるって・・・・あなたたち、そういう関係なんだっけ?」
 
「違う違う。政子はちゃんとそのうち、彼氏作って結婚すると思うよ」
「私より先に冬の方が男の人の恋人作って結婚しそうな気がするな。そして子供2人くらい産んで」
「産めないよぉ」
「いや、冬なら分からない」
「だって子宮が無いのに」
「冬なら何とかしそうだもん。お母さん、きっと孫の顔は見れますよ」と政子。「あら、そうかしら。少し期待しておこうかな」と母。
「そんなの期待されても困る」と私。
 
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「でも年始回りの方はどんな感じになるの?」と政子は話題を変える。
「年始回りは去年と似た感じだとすると、午前中に△△社、○○プロ、お昼くらいに★★レコードまで回ってから、その後、上島先生のところに行くと、ここでその先の予定が立たなくなる」
「あはは」
「何で?」と母が訊くと
「あの先生、話が長いんです。あそこ行くとしばしば徹夜になります」と政子が補足する。
「きゃー」
 

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浮いてしまった振袖に関しては、なにしろあまり安くないシロモノなので扱いに苦慮した。被災地の人に寄付しようかなどというのも政子と話していたのだが、あげる相手の選び方が難しい。誰かお友達でもらってくれる人がいないかなあ、などと話したりもしていたものの、何人かに声を掛けてみると、みんな既に注文済み、あるいは入手済みということであった。
 
そんな時、MTF絡みの集まりでこの夏に知り合った工藤和実と、中学時代の友人である山吹若葉の共通の友人である盛岡出身の平田梓という子が、震災で振袖を頼んでいた呉服屋さんが潰れた上に、震災で壊れた実家の修理でお金が必要になり新たに振袖を買うのを諦めようかと思っている、などと言っていたので、これ幸いと押しつけることにした。
 
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そんな高いのもらえませんと梓が言うので、取り敢えず無償レンタルということにしようとしたのだが、無償では申し訳無いと言うので、3万だけもらうことにして、その3万は被災地に寄付することにした。ところが、その振袖の写真を見た梓のお母さんが「3万じゃ申し訳無い。5万払う」と言い出したので、結局、梓と梓のお母さんから5万もらい、私と政子で5万だし、和実と若葉があわせて2万出して、12万を被災地に寄付するという話になった。
 
しかし、とにかくも120万で買ったほうの振袖も無駄にならずに済んで、私はほっとした。
 

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震災とその復興作業、そしてずっと続く余震の中で2011年も暮れていった。
 
12月10日にはクォーツのリーダーであるマキが結婚式を挙げたが、この日、は実は某音楽賞の授賞式でもあり、ローズクォーツの『キュピパラ・ペポリカ』.ローズ+リリーの『Spell on You』が受賞したので、私と政子とサトの3人はマキの結婚式の二次会を欠席させてもらって、その授賞式に行ってきた。ローズクォーツの方を私とサトで賞状・記念品を受け取り、ローズ+リリーの方では、私と政子が受け取った。この賞はリクエストの回数をベースに贈られる賞なので1月に発表した『Spell on You』が入賞したのだがシングルカットされていない曲が入賞するのは異例であった。
 
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そして私はその授賞式の翌日から、ローズクォーツの新曲『起承転決/いけない花嫁』のキャンペーンで全国を回った。ローズクォーツの曲のキャンペーンなので、ローズクォーツのメンバーで回りたかったところだが、マキが新婚ほやほやなので駆り出すのはさすがに可哀想ということで、私ひとりで行くことになっていたのだが、前日、音楽賞の授賞式が終わってから、政子が「付いて行こうかな」などと言いだし、臨時マネージャー役で帯同することになった。この旅は結果的にはローズ+リリーのライブ活動復帰へのステップになった感もあった。もっとも政子が再び人前で歌い始めるのは次の3月の旅からである。
 
私たちは18日の午前中に北海道から戻って来て午後関東近辺でキャンペーンをして今回の旅を終了。都内で2人で打ち上げをした。そのあと19,20日を休んで(といっても溜まっている編曲作業を自宅でやっていた)21日には翌年放映されるアニメのエンディングテーマをローズ+リリーで歌うことになったため、そのCDおよび放送音源の収録を行った。この21日は私たちが実質的にプロデュースしている ELFILIES というユニットの新曲発売日でもあったので、レコーディング・スタジオを途中1時間抜け出して、発売記念のイベントに2人で同席してきた。
 
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年末はライブハウス関係への出演が多く、新婚のマキも遠慮無く使って関東・関西のライブハウスにローズクォーツで多数出演した。30日はまた大きな音楽賞があったが、歌手主体の賞なのでローズクォーツは対象外、またCDとしてリリースされたものを対象とする賞なので、CDを出さずに音源だけ有線放送などに配布などという変な売り方をしていた『神様お願い/Spell on You』も対象外、ということで自分のユニットは受賞していないのだが、2010年11月にデビューしたスリファーズが今年の新人賞をもらったので、その付添で政子と一緒に会場まで行った。
 
素直に嬉しそうにして他の新人賞受賞者といっしょに賞状を受け取ったスリファーズの3人と握手とハグをして、控え室に戻ろうとしていたら、主催者のテレビ局の取締役さんから声を掛けられた。
 
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「ローズ+リリーも来年は辞退しませんよね? いい加減あなたたちに賞をあげたいんだけど」
などと言われる。
「すみませーん。『その時』も『甘い蜜』も辞退しちゃったから」
 
『その時』は発表直前のスキャンダルだったので辞退し、『甘い蜜』は活動休止中ということで辞退したのである。
 
「ここ2年はCDを発売せずに音源だけ発表するなんて不思議な売り方だったし」
「ええ。ちょっと色々事情がありまして」
 
昨年の審査対象になった筈の『恋座流星群/私にもいつか』、今年の審査対象になった筈の『Spell on You/神様お願い』はいづれも音源制作してCDはプレスしたものの、全国の放送局、有線放送、カラオケ各社にだけ配布して一般発売はしなかった。(ただし後にアルバムに収録して発売している)
 
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「アルバムも60万枚も売るアルバムをわざわざ10月末に発売するなんて、まるでうちの賞を要らないと言ってるみたいな売り方だし」
「ごめんなさい。あれも様々な事情の複合であの時期の発売になりまして」
 
ここの賞の審査対象となる集計期間は前年11月から今年10月までである。だから7月に出したローズ+リリーのアルバム『After 2 years』は審査対象になったものの、10月末に出した『After 3 years』は今年の集計期間に20万枚,来年の集計期間に40万枚売れたことになり、枚数が分散してしまう。『After 2 years』
は次点だったと取締役さんは教えてくれた。
 
「『涙のピアス』は今週の速報値で累計100万枚を突破したし、『可愛くなろう』
も現在65万枚くらい。年明けから始まるアニメのテーマ曲にもなってるから更にセールスを伸ばして、たぶん80万枚か90万枚くらい行くだろうしね。来年は間違いなく、優秀作品賞。状況次第では大賞もあり得ますよ」
 
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私たちはステージで歌うことはできないものの辞退はしませんから、よろしくお願いしますと言って取締役さんと握手して別れた。
 

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