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■夏の日の想い出・振袖の日(7)

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それは年末に友人数人で集まった時、私と詩津紅の関係、私と政子の関係を追及され、若葉が占ってくれた時、明確に自分の政子への思いにLust(愛欲)のカードが出たのである。
 
しばらく考えていたが私はやがて言う。
「若葉だから言っちゃうけど、政子のことは好きだ」
「ふーん。進まないの?冬ってそこまで奥手だっけ?」
 
「好きだけど、政子には彼氏が居るんだよ。それに私自身が女の子になりたいのに、女の子と恋愛関係を構築するのは無責任だよ」
 
と私は言う。中学3年の時の同級生女子との悲しい恋のことを思い出して少し辛い気持ちになる。
 
「レスビアンという手もある」
「あっ・・・・」
「そもそも私にレスビアンしてみたらって冬が勧めてくれたのに」
「そんなこと言ったね」
 
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それは若葉の男性恐怖症克服のためのワンステップとして、女の子と恋愛してみるのもいいのでは?と言ったのである。
 
「だから私も冬のこと好きだけど、レスビアン的な感情だよ。男の子としての冬には興味無いよ」
と若葉は言った。
 
私は目を瞑って微笑みながら少し下を向いた。若葉としては物凄く勇気を振り絞ってそんなことを言ったのかも知れない。でも申し訳ないけど、今の言葉には返事ができないと私は思った。
 
しばらく沈黙が続いた後、若葉は再度言った。
 
「私も正直に言って、たとえ冬とでも男女型のセックスする自信無いけどさ。冬の精子をこないだ何本か冷凍保存したじゃん」
 
「うん」
 
「ずっと将来の話だけど、私が子供産みたくなった時に、あの精子を1個使わせてよ」
 
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「・・・・それは少し考えさせて」
「うん」
 
と頷いた時の若葉の表情がすごく可愛いと私は思った。
 

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私と若葉は、その後も適当におやつを食べながら主としてお互いの学校のことなどおしゃべりしていた。
 
9時半頃、若葉が突然思い出したように言った。
 
「ねぇ、冬は年越しそば食べた?」
「あ、それが年末バタバタしてたら買いそびれちゃって。今年は代わりにストックしてたカップ麺で年越しそば代わりにした」
 
「私も食べ損なったのよ。大晦日にお食事に招待されちゃってさ。金田中で豪華な御飯食べたけど、結果的に年越しそば無し。正直とても入らなかった」
 
「金田中は凄い。あんな所一度行ってみたい」
「連れてってあげようか?」
「うーん・・・何かの機会に」
 
「じゃさ、私も冬も年越しそば食べそこなったのなら、今から食べに行かない?」
「ああ、それもいいかな」
「こないだ見つけた美味しい店があるのよ」
 
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「そこって、おそばが1万円とかしないよね?」
「しないしない。その値段したら、もはやおそばではない」
「言えてる言えてる」
「1000円もしなかった筈だよ」
「へー」
 
「公共の交通機関で行けないのよねー。車で行こう。運転手さん呼び出すね」
と言って若葉はどこかに電話を掛けている。
 
「明けましておめでとうございます。山吹ですが・・・・あ、そうか!済みません。今週いっぱいお休みでしたね。何とかしますから大丈夫ですよ」
 
と言って電話を切る。
 
「お正月休み?」
「そうそう。娘さんが結婚するというので、お正月休みを利用して挨拶に行ってるのよ」
「へー。それはめでたい」
「それで今週いっぱいまでお休み。仕方ない。私が自分で運転するか」
「ああ、若葉運転できるんだ?」
「うん。よく運転してるよ」
「へー」
 
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それで足袋と草履を借りて、それを履いて家の外に出る。ガレージにはスバル・レガシィ・ツーリングワゴンが鎮座している。
 
「若葉んちにしては庶民的な車だ」
「輸入車を使ってみたこともあるけど、結局国産車の方が品質がいいのよ」
「だろうね」
 
若葉が運転席に座り、私が助手席に座る。若葉は草履を脱いで足袋で車を操作する。
 
「でも若葉いつ免許取ったの?」
「免許?免許なら7月に取ったよ」
「へー!凄いね」
 
私はこの時、若葉の発言に何も疑問を感じなかった。
 
ガレージの戸と門をリモコンで開け、外に出たところで一時停止し、戸と門をリモコンで閉める。
 
そして若葉は車を・・・・ギュン!と発進させた。
 
うっ・・・。
 
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若葉の運転はワイルド!?である。信号ではセカンドに入れておいて青になった瞬間に急発進する。2.5秒で50km/hに到達する。停まる時はほとんど急ブレーキに近い停まり方をする。
 
あはは。。。若葉の普段の性格からは考えられない運転の仕方だ!!
 

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若葉の運転する車は最初国道16号を走っていたが、やがて八王子ICから中央高速に乗ってしまう。ETCが付いているのでノンストップで料金所を通過する。
 
「高速で行くんだ?」
「うん。その方が早いから」
「へー」
 
私は若葉とずっとおしゃべりをしていたのだが、少し気が緩んだのかあくびが出てしまう。
 
「ごめん」
「ううん。冬、寝てていいよ。少し時間が掛かるから。毎日お仕事で疲れてるでしょ」
「うん。まあね。じゃちょっと寝せてもらおうかな」
「うん」
 
それで私は眠ってしまったのだが、本当にここしばらくの疲れが出たみたいで、かなり深く眠ってしまったようだ。目が覚めると車は高速ではなく一般道を走っている。
 
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「あ、ごめん。かなり寝てたみたい」
「平気平気。あと1時間くらいで着くから」
「へー」
 
と言ったものの、私は「1時間」という数字にひっかかりを感じた。私は時計を見た。11時半!?2時間以上走っている!?
 
「ね、ここどこ?」
「今長野市内」
「長野〜〜〜!? 目的地は?」
「戸隠」
「凄い遠いね!」
「うん。だから高速で走ってきた。山一屋というお店なのよ」
 
私は戸隠までも蕎麦を食べに行くというのに驚いた。確かに信州の蕎麦は美味しいけど。
 
「以前蔵田さんにジンギスカン食べに行こうと言われて付いて行ったら札幌だったことがある」
 
「まあ札幌よりは戸隠の方が近い」
「確かに」
 

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相変わらず若葉の運転は荒いが、道はかなりカーブの多い山道に入っていた。そんな道を荒い運転で飛ばされると、こちらは、かなり酔う。
 
「ごめん。10分でいいから休憩していい?」
「うん、いいよ」
 
それで若葉は適当な駐車帯に停めてくれた。
 
「酔った?」
「うん。むしろ自分で運転したい気分」
「あ、運転してもいいよ。私もちょっと疲れたかなと思ってた所」
「でも私運転免許持ってないし」
「でも運転できるんでしょ?」
「まあね」
 
「だったらこの先、運転してくれない?行き先はカーナビに入れてるし。冬が運転してくれたら私寝てられるし。こんな所、パトカーも居ないよ」
 
「そうだなあ。じゃちょっと運転しちゃおうかな」
 
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それで休憩の後、私が運転席に座り、若葉が助手席に行く。
 
「じゃお休み〜」
と言って若葉は寝てしまった。私はふっと息をつくと車をスタートさせた。
 

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実際には目的地のお蕎麦屋さんには40分ほどで到着した。水車が回っている。これがこの店のシンボルマークのようである。私は店の向う側にある駐車場に車を駐めた。
 
「若葉、着いたよ」
「あ、ありがとう。結構ぐっすり寝た」
「良かったね」
 
それでお店に入るが、結構庶民的な感じである。お蕎麦と天ぷらのセットを頼んだが、お蕎麦は凄く美味しかった。
 
(筆者注.私はこのお店に実際に2008年頃行ったのですが、現在は閉店になったか改装中か、どちらかの模様です。本当に美味しいお店でした)
 
「いいね、ここ」
「でしょ。私としてはかなりのお気に入り。もう1ヶ所、美味しい所があるんだけど、冬場は営業してないのよね」
「へー」
「そちらは実はかなりお高い」
「若葉が高いというお値段は、私は怖い」
 
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私たちがのんびりとおしゃべりしながら、蕎麦と天ぷらを食べていたら、ビデオカメラを持った人を含む3人組が入って来た。ひとりは女性でマイクを持っている。テレビか何かの取材だろうか。
 
「こんにちは〜、お邪魔します」
などと言っているが、取材陣は私たちに目を付けたようだ。
 
「こんにちは。きれいなお召し物ですね」
とレポーターの女性。
「いえ、安物なんですよ。私が着ているのが90万円、彼女が着ているのが82万円ですから」
「高いじゃないですか!」
 
どうもレポーターさんは若葉がジョークで安物言ったと思っているようだ。若葉にとっては100万円以下は「安い」感覚である。
 
「どちらからおいでですか?」
「東京でーす」
「女子高生?」
「女子大生ですよ。ふたりで交代で運転してきました」
と若葉は言った。
 
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まあ平日の昼間に女子高生が振袖を着てお蕎麦を食べていたら変なので女子大生と言ったのだろうと私は考えた。
 
「すごーい。頑張りますね」
「車は好きですから」
「走り屋さんとかではないですよね?」
「普通に移動に使うだけですよ」
 
「お蕎麦どうですか?」
「すっごい美味しいですね。秋にも一度来て美味しかったので、今日はこれ目的で来たんですよ」
「東京から、お蕎麦食べるのに戸隠に来られたんですか?」
「私、パスタ食べたいなと思ってイタリアまで行ってきたこともありますよ」
「凄い行動力ですね!」
 
レポーターさんの表情を見ると、ジョークと思っているようだが、これは実話である。
 
「でもせっかく戸隠まで来たんだから、戸隠神社にお参りには行かれません?近くですよ」
「あ、それもいいですね。お蕎麦食べたあとで行ってみようかな」
 
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レポーターさんの質問には主として若葉が答えていて、私はたまに答える感じになった。私たちの後、レポーターさんは次に初老の夫婦の所に行って色々と尋ねていた。
 
「でもせっかく来たし、お参りして行こうよ」
と若葉が言ったので、そうすることにした。それで車に戻ろうとしたのだが
 
「1つはこの近くだから車はここに置いたまま歩いて行こう」
と若葉が言う。
 
「いいの?」
「そこの神社は駐車スペースが2台分しか無いんだよ」
「ああ、それは大変だ」
 
それで私たちは坂道を歩いて降りて、火之御子社という所に辿り着いた。確かに神社前の駐車スペースは狭い。小さな神社なのかなと思って階段を登るが、けっこう立派な社殿が建っていた。
 
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「ここは凄く優しい神社だね」
「うん。天鈿女神(あめのうずめのかみ)を祭っているから」
「へー!」
「芸能の神様だよね。冬、しっかりお参りしておいた方がいい」
「そうする!」
 
それで私は財布から1万円札を出すと賽銭箱に入れてお参りをした。
 
「私は千円にしておこう」
と言って、若葉は千円札を入れてお参りしていた。
 
「戸隠神社って、いくつかに別れてるの?」
「うん。一般には戸隠5社と言われる。実は6つある。それ以外にも境内摂社がけっこうある」
「へー!」
 
「この火之御子社、ここより更に下の方に宝光社、逆方向に中社。かなり離れた所に奥社の駐車場がある」
 
「駐車場?そこから少し歩くの?」
「うん。片道1時間くらい」
「今日はそこは無理だね」
と私は言った。
 
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「うん。奥社まで行こうと思ったら早朝から来ないと無理。それで奥社の所にあと2つ、九頭龍社というのと、もうひとつ名前の表示されてない神社があるんだよ」
「ほほぉ」
 
「今日はこの後、中社に寄って帰ろうか」
「そうだね」
 

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それでお蕎麦屋さんに戻り、車に乗って中社に行ったのだが、中社の駐車場がいっぱいで、空くのを待っている車が何台もいる。
 
「これは難しいかな」
「今日は諦めようか」
「そうだね」
 
今もう14時である。今から帰っても自宅に戻れるのは17時半くらいになりそうだ。
 

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■夏の日の想い出・振袖の日(7)

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