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■春宮(7)

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そして不動産会社でスタッフさんは説明した。
 
「家賃は月96,000円、その他に管理費が毎月3000円かかります。敷金・更新料は不要ですが、保証会社に入って頂きますのでその利用料が初回15,000円、その後毎月賃料の2%、ここの場合は1920円必要です。地下の駐車場をお使いになる場合は、月10,000円+消費税で使用できます。現在は空きがありますが、全居住者分までは枠が無いのでお使いになる場合は早めにお申し付け下さい」
 
そこまでスタッフが説明した所で、千里はグイと身を乗り出すようにして言った。
 
「それでですね」
「はい?」
「いくらまで安く出来ます?」
「え、えっと・・・・」
 
「あのマンションは3階より上は人が入るけど、1〜2階に入ろうとする人は居ないでしょ?遊ばせておくよりは毎月2万円くらいでも収入があった方がいいですよね?」
 
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「ちょっとお待ちください」
 
それでスタッフは店長らしき人を呼んできた。
 
「あのぉ、霊能者さんか何かでしょうか?」
「ええ、巫女をしています」
と言って、千里は越谷F神社・副巫女長の名刺を出した。
 
ああ、こういう時には便利な名刺だよな、と青葉は思った。
 
「ああ、巫女さんでしたか!」
 
「あそこは元々神社が建っていた土地でしょ?」
「さすがですね。それで実は入居者が居着かなくて困っていたんですよ。何度かお祓いをしたのですが」
 
「私が入居すれば、3階より上の住人も怪異には遭わなくなりますよ」
「何か処理方法があるのですね?1〜2階は?」
「バッハァ領域として必要です。普通の人が住むのは無理だと思います」
 
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「分かりました。では安くお貸しします。月4万円というのではどうでしょう?」
「駐車場も借りますからそれと合わせて3万円とかは?」
 
向こうが半額以下を提示したのに更に2万値切ってる!
 
「うーん・・・」
と店長は考えていたが言った。
 
「1年後に怪異が収まっていてくれたら、以降は月1万円でもいいですので、取り敢えず1年間は月3万円、駐車場代別というのではいかがですか?」
 
「店長さんも商売上手ですね。では1年間だけ4万円で、それ以降は駐車場代を入れて2万円という線ですか?」
 
「ええ、それでお願いできれば」
「分かりました。それでいいですよ」
 
それで千里と店長は笑顔で握手した。
 

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家賃はできたらクレカ払いで、どうしてもお持ちでない場合は自動引き落としでということだったのだが、千里が「このカードで」と言って“例のカード”を提示すると、また店長さんがギョッとしていた。
 
「分かりました!お預かりします」
と言って処理してくれた。
 
ああ、あのカードも“ハッタリ”用だよなと青葉は思う。千里姉はふだんはごく普通の住友VISA(ゴールドカードでもない)を使っている。しかしハッタリを掛けたい時と高額決済の時だけ、あのカードを使っているようである。あのカードではジェット機でも買えると言ってたからなあ。
 
「お客様も人が悪い。何か隠れ家のようなものとしてお使いですか?」
「今日はここに来ていないのですが、もうひとり居る妹が田舎から出てくるのでその子と一緒に住むんですよ」
 
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「ご兄弟が多いんですね!」
 
どういう“妹”なのかね〜?と青葉は思った。
 
物凄いカードで決済したので、結局保証料は不要ですということになった。あのカードを持っているということは収入が最低でも億はあるということである。保証会社を入れる必要はないし、便宜を図った方が後々良いという判断なのだろう。
 

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即入居可ということだったので、鍵をもらい、スタッフさんに送ってもらって、再度あのマンションに行く。
 
行ってみて、スタッフさんが最初その場所を通り過ぎてしまった。
 
「さっきの所じゃない?」
とジャネから言われて。
 
「あれ?通り過ぎてますね」
と言って慌てて戻る。
 
そして首を傾げながらそのマンションの前に着けた。
 
「ここ・・・ですよね?」
とスタッフさんは不確かそう。
 
「変わったでしょ?」
と千里が言う。
 
「もう何か処理なさったんですか!凄いです。あんなに暗い雰囲気だったのが、まるで見違えました」
 
「まあ色々秘伝があるので」
 

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それでスタッフさんは帰っていった。
 
ジャネが感心したように見ていた。青葉も大したもんだと思った。本当に『餅は餅屋』だったようである。
 
中核になっていたものはさっき処分が終わっていたから後は雑魚の処理をして結界を張るだけだったはずだが、それにしても美事だ。結界も強固で人間業とは思えない。
 
中に入る。
 
すっかり“何も無くなっている”。
 
「筒石さん、この2LDKSのSの部屋を私に下さい。残りの2LDK部分は自由に使っていいです」
と千里は言った。
 
「それでタダでいいんですか?」
 
「そうです。このSの部屋も使っていいですし、物置とか洗濯物の干し場として使ってもいいですが、私が後で持ってくる物を部屋の指定の場所に置いて、それは動かさないようにして欲しいんです」
 
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「分かりました」
 
「それとセックス禁止だよね?」
とジャネが言う。
 
「この部屋だけは」
と千里。
 
「他の部屋ではセックスしていい?」
「いいですよ。何ならジャネさんもここに住み込んだら?」
 
「そうだなあ。結婚するつもりは無いけど、東京に大会とかで出てきた時に宿代わりに使うのにはいいかな。ホテル代節約」
とジャネは言っている。
 
「ああ、それでもいいかもね。だったら2つの部屋の片方はジャネが使う?」
と筒石。
「うん。そういうことでもいいよ」
 
「じゃ3つの鍵は、千里さん、私、君康が1個ずつ持つということで」
「実質ルームシェアかな」
 
それでジャネと千里が握手をしていた。
 
多分・・・ここは用賀のアパートと同じような感じになるんじゃないかな?と青葉は思った。しかしあそこは京平君の神殿になっている。ここは誰の神殿にするのだろう?
 
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などと考えていたら、千里姉が小さい声で呟くのを聞いた。
 
「私、また住所がひとつ増えちゃった」
 
確かに。千里姉の住所はいったい幾つあるんだ!?
 
千里1は現在千葉市内の信次さんの実家に住んでいる?ことになっているが、実際には作曲作業のため、千葉市内の別のマンションに籠もりっきりである。信次さんが5月14日に名古屋に転勤になるので、既に名古屋駅の近くに信次さんと2人で住むアパートと千里姉専用の作曲作業用ワンルームマンションを確保しており、家賃も払い始めている。
 
千里1はしばしば経堂の桃香のアパートにも寄っている(多分桃香姉とセックスしている)。
 
つまり千里1だけで現在5ヶ所の住まいがある(5月下旬以降は千葉のマンションは解約して1つ減る)。
 
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千里2は日本国内では葛西のマンションを拠点にしているが、アメリカとフランスにもアパートを借りているので3つの住まいがある。
 
千里3は川崎のマンションに住んでいる。
 
これだけで9ヶ所だが、3月まで住んでいた用賀のアパート(現在は西湖が住んでいるが家賃は千里姉が払っている)と、この筒石さんが住むことになったマンションで2ヶ所。それに高岡の青葉の家まで入れると全部で12ヶ所。
 
しかし多分自分も知らない住処がきっと他にもある、と青葉が考えていたら、千里がこちらを見て言った。
 
「だから私って住所不定なんだよ」
 
こちらの思考を読んでたな!?
 
『青葉が無防備すぎるだけ』
と《姫様》が言っていた。
 
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5月15日に千里1は名古屋に引っ越して行った。名古屋駅から歩いて行ける距離の場所に家賃6万円のアパート(築25年)、熱田区内に家賃5万円+駐車場代2万円のワンルームマンション(築15年)を借りた。どちらも結局千里1自身が探して借りたようである。青葉はアパートの方に何か“影”のようなものがあるのを感じて、大丈夫かな〜?と思ったが、少々住環境に問題があっても、千里姉なら何とかするだろう。
 
千里1も昨年7月の事故の時に比べると驚異的なほどに霊的な能力を回復させてきている。既にもうふつうの霊感体質の人並みの霊的な能力は持っている。多分占い師をすれば、かなり“当たる”占い師になる。
 
ミラも名古屋に持って行き、ワンルームマンションの駐車場に置いたのだが、車の登録はそのまま放置したようである。あの車は経堂の桃香のアパートに登録されているらしい。以前は千葉市内の桃香のアパートで登録していたのを大学院を出て東京都内に引っ越した時、そちらに移動し、品川ナンバーになっている。
 
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荷物だが、千葉の川島家にあった信次と千里の荷物はアパートに、千葉市内のマンスリーマンションにあった音楽制作関係の荷物を熱田区のワンルームマンションに移動したが、引越業者に頼んだのは実家→アパートの移動で、ワンルームマンションの荷物の移動は千里1に付いている眷属たちがやってくれた(千里1は青葉が業者を手配してくれたと思い込んでいる)。
 
ただ千里1が持っていた振袖・訪問着などの和服類は千葉の川島家にそのまま置かせてもらっていた。千里1は「2DKのアパートは狭いから和服まで置けないので」と言っていたが、青葉はたぶん、川島さんのお母さんを“守る”ためなのだろうと思った。青葉も行ってびっくりしたが、凄まじく霊的な環境の悪い場所だった。取り敢えず出雲の藤原直美に頼んで霊道を動かしてもらったが、いつ元に戻るか分からない。千里の愛用していた振袖や訪問着があれば、それが、お母さんを最低限守ってくれるだろう。
 
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桃香のアパートにも寄ってみたが、こちらは千里が使っていた本などがかなり残されているものの、4月に用賀のアパートを出た時に一時的にここに移されていた衣服関係の一部は残っていなかった。
 
「全部名古屋に持ってっちゃったんだよ。置いててもいいよと言っていたのだけど」
「まあお嫁さんに行っちゃったんだから仕方ないよ」
「取り敢えず1年後には離婚して戻ってきてくれる約束なのだが」
 
何それ!?
 
「桃姉、ごはんちゃんと自分で作ってる?」
「そこの台所を見れば分かるだろ?」
「ああ」
 
カップ麺とか、お弁当のからが大量に積み上げられている。
 
「カップ麺にも随分飽きて来た。ほか弁にも飽きて来た」
「味が画一的だからね〜」
「御飯も自分で炊くと、どうしてもまともにならない。なぜあんなに不味くなるのか分からん。結局サトウの御飯を買ってくることにした」
 
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「ますますゴミが増える気がする」
「それが問題なのだよ」
「ゴキブリを飼育したくなければ、ゴミくらい片付けた方がいいと思うけど」
「ゴキブリほいほいは仕掛けているのだが」
 
「とても女性の家には見えない」
「私は性転換してもいいのだが」
「早月ちゃん、ママがいなくなっても大丈夫?」
「パパがいれば問題なかろう。必要な時は女装してもいいし」
「だったら、性転換手術代出してあげようか?」
「5〜6年考えさせてくれ」
 

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