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■春輪(7)

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さて、千里がフル代表の活動に参加するのは2度目である。2012年4月から6月に掛けても「代表候補」として、ほとんど学校に出て行けないほど忙しい活動を続けたものの、トルコで行われたロンドン・オリンピック最終予選の前日、代表から落とされた。それでも最終予選の期間中は代表に入った人たちの練習相手を続けた。この時は結果的に日本はプレーオフの決勝戦まで行ったもののカナダに敗れて本戦出場はならなかった。
 
キャプテンの三木エレン(当時35歳)は
「自分の責任です。このまま引退したい」
と監督に申し出た。しかし千里は
「レンさん、勝ち逃げなんて許しませんよ」
と彼女に言い、それで彼女は
 
「サンちゃん、4年後にまた代表枠を争おうか」
と言って引退を撤回。その後も4年間Wリーグで20代の選手に混じってまだ22-23歳かと思うほどの若いプレイで観客を魅了し続けてきた。
 
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それで今回千里が体育館で三木さんに会うと
 
「よし。来たね。まあ折角追加招集で来てくれたのに悪いけど、サンちゃんには、また本戦前に帰ってもらうことになるから」
などと三木さんは笑顔で言っている。
 
「私とレンさんで争って、フラちゃんが落ちたりしてね」
と千里も笑顔で応じる。
 
「おお。そのくらい激しく争おうよ」
と花園亜津子も楽しそうに言った。
 
なお今回キャプテンは三木エレンが「さすがにこんなおばあちゃんにキャプテンは無理。代表から漏れるかも知れないし」と言ったので、レッドインパルスの広川妙子(31)がキャプテンを務めている。広川さんこそ今回のオリンピックで代表は引退かなあなどと言っている。
 
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千里は高校生の時から広川さんを知っていて、広川さんも随分千里を可愛がってくれた。千里が今年春からレッドインパルスの練習に参加できたのは、高校の先輩・靖子さんや長年の友人・入野朋美のツテもあるが、レッドインパルス主将の広川さんから見込まれているのもあるのである。
 

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千里たちは21-22日の2日間東京NTCで練習したあと23日にオーストラリアに渡り、現地の様々なチームと練習試合。そして8月1日にはニュージーランドに移動して、またそちらで現地の様々なチームと練習試合をした。
 
やはりこういう海外のチームと練習試合をするいちばんのメリットは体格の良い選手との戦いを経験することである。
 
千里は日本代表のメンバーに混じって向こうの選手と戦っていて、どんどん自分の感覚が研ぎ澄まされていくのを感じていた。これほんっとに最高! やはり私、もっともっとバスケをしたいな。千里はそんな思いで胸がいっぱいになってきつつあった。
 

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7月23日(木)。青葉は親友の世梨奈、および合唱軽音部の1年生・久本照香と一緒に朝から新高岡駅から北陸新幹線に乗り、いったん高崎まで行く。そして上越新幹線に乗り継いで越後湯沢まで行った。
 
24-26日の間、苗場で開かれるロックフェスティバルでローズ+リリーの演奏に参加するのである。青葉はサックス、世梨奈と照香はフルートを吹く。行きの切符は郵送してもらっており、帰りはどこか寄り道などしても帰られるようにということで往路と同額を現金でもらっている。
 
ところが世梨奈は前日までの段階で「折角苗場に行くなら予習しなくちゃ」などと言って今回のフェスに出演するアーティストのCDを結構買い込んでいたようである。更に新幹線に乗り込んでくる時、山のようにおやつを持ち込んでいた。
 
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「随分買い込んだね。お母さんからお小遣いもらったの?」
などと訊くと、世梨奈は突然心配そうな顔で
 
「ギャラってその場でもらえるよね?」
などと訊く。どうも帰りの交通費を使い込んでしまっているようだ。
 
「まあ、ケイさんに訊いてみたら」
と青葉は言いながら苦笑した。
 

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「去年は青葉のお姉さんが出たんでしょ?」
と世梨奈が訊く。
 
「うん。KARIONのステージでフルートを吹いたんだよ。出る予定は無くて、ちょっと陣中見舞いに行っただけだったのが、うまく乗せられて出ることになったと言ってた」
 
「お姉さん、フルート上手いの?」
「上手い。フルートでも龍笛でも、私はちー姉にかなわないよ」
 
本人は青葉にかなわないと言ってるけど、その「かなわない」というのは演奏の「破壊力」だからなあと青葉は思う。純粋な演奏では千里の演奏は情緒性が豊かで、青葉はいったいどれだけの人生経験を積んだら、あんな音が出せるのだろうと思っていた。
 
「今年もお姉さん出るんですか?」
と照香が訊く。
 
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「ううん。今年はバスケの合宿でオーストラリアに行ってるんだよ」
「すごーい。海外合宿ですか? どこかの大学か何か?」
「ちー姉は今年の春に大学院を出て。それでこないだまでユニバーシアードの日本代表だったんだけど、その後今度はA代表の方に招集されたんだ。会社は休職にしてもらったと言ってた」
 
「今年の春卒業したということは入社して数ヶ月でしょ?首にならないんですか?」
「退職願を出したけど却下されたらしい」
「あらら」
「なんか、ちー姉が凄い良いプログラム書いているらしくて」
 
「すごーい。バスケがうまくてフルートがうまくて、プログラムも書けるって天才ですね」
 
そんな会話をしつつ、青葉は色々と疑問を感じていた。
 
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お昼くらいに越後湯沢に着き、指定されていたホテルに行く。今回の取りまとめをしてくれている★★レコードの氷川主任と連絡を取り、部屋の鍵をもらって、取り敢えず荷物を置く。その後、ロビーに出てみたら、顔見知りの高校生でやはりローズ+リリーの伴奏に参加する鈴木真知子ちゃんがいたので一緒に近くの甘味処に行き、おやつを食べながらおしゃべりをした。
 
「真知子ちゃんはケイさんの先生なんだよね」
と青葉が言うと
「それ、どうなってんですか?」
と照香が尋ねる。
 
「ケイさんが中学生の頃、当時小学生だった真知子ちゃんにヴァイオリンを習っていたんだよ」
「すごーい。真知子さん、そんなに小さな頃からヴァイオリン上手かったんですか?」
 
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「うーん。まあヴァイオリンって上手い子はほんっとに小さい頃から上手いんだよね」
などと本人も言っている。
 
「だけど私、ケイさんが男の子だなんて思ったこと1度も無かったのよね」
などと真知子ちゃんは言う。
 
「ああ」
「私がヴァイオリン教えていた時期も、いつもセーラー服を着て習いに来てたもんね」
 
「まあケイさんが主張している学生服を着て中学には通っていたという話は怪しいよね」
と青葉も笑いながら言った。
 

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「青葉ちゃんは、ヴァイオリン練習してる?」
と真知子ちゃんに訊かれる。
 
「ごめんなさい。全然してない。ちー姉とどっこいどっこい」
「千里さんはたぶん忙しすぎて、ヴァイオリンまで練習できないんだろうね」
「たぶんそうだと思う」
「青葉も忙しいもんなあ」
「今、水泳部と合唱軽音部を掛け持ちして、受験勉強もしないといけないし。それで霊能者の仕事も忙しいみたいだし」
 
「霊的な相談ごとはほとんど断っているんだけどね」
「でもこないだ火喜多高胤さんと話してた」
「まああれは私は仲介しただけで、凄い人が解決してくれたんだよ」
「へー」
 
「青葉って何か様々なジャンルの人間関係のクロスポイントに居るみたい」
と世梨奈が言う。
 
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「うん。私はクロスロードなんだって言われたことあるよ」
「天皇陛下ともつながっていたりして」
「うーん・・・・知り合いの知り合いに秋篠宮妃殿下といつでも話せる人がいる」
「すごっ!」
 

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16時になってからローズ+リリーの演奏者が全員集まり、演奏曲目・譜面の確認と楽器のチェックなどをした。この段階で楽器が無いなどという人がいたらさすがにまずい。
 
世梨奈と照香は「ちょっと吹いてみて」と言われてフルートで適当な曲を吹いたが「うまーい」と褒められた。とりあえず合格ということのようである。
 
打ち合わせが終わった後で、世梨奈はケイにギャラを演奏後すぐもらえないかと話した。すると交通費を使い込んでしまったという話にケイは笑いながらもギャラをその場で前払いしてくれた。しかし世梨奈は結局ここでもらったギャラまで苗場の会場内でグッズを買うのに使い込んでしまい、最終的に帰りの切符は青葉が買ってあげた。
 
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ローズ+リリーの演奏は26日 15:00 に始まった。会場は一応定員が4万人なのだが、明らかに5万人は入っていた。
 
青葉は氷川さんと先日のマリの「熱愛報道」のことで話した。ああいうトラブルが起きないようにするにはどうしたらいいんでしょうね、と氷川さんも悩んでいたが、青葉は「マリさんとケイさんの霊的な防御が弱いのでは」ということを言った。
 
20日の日に姉の醍醐春海がバスケの合宿に入る前にケイのマンションに行き、怪しげなプレゼントやDMの類いを7つも回収したという話をすると、氷川さんは驚いていた。
 
「恐らくですね。ふたりの人気が凄いから、色々妬みを持っている人たちも多いんですよ。そういうマイナスの気を跳ね返す仕組みを作っておかないと、またこういう恋愛問題、あるいは金銭面などで致命傷になりかねないような揉め事が起きる可能性もあると思います」
と青葉は答えた。
 
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「それ川上さんの方で防御を強める何か仕掛けとか作れません? 予算取りますよ」
と氷川さんは言う。
 
「その件では、ケイさん自身からも相談を受けているので、フェスが終わったら東京に出て、ケイさんのマンションをチェックするつもりです」
と青葉は答えた。
 

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演奏はひじょうに盛り上がった。近年のローズ+リリーの音楽はアコスティック楽器を多用し、重厚なサウンドにまとめあげる傾向が強い。そのため伴奏者の人数もかなり多い。そのスコアはケイ自身がだいたいの所を書いて最後は最近ローズ+リリーの実質的なディレクター役になっている秋乃風花さんがまとめあげているようである(実質的なプロデューサーはスターキッズの近藤七星さんである)。ケイは一時期「ローズクォーツ・グランドオーケストラ」などというのもやっていたが、元々大規模なオーケストレーションが好きなようである。
 
当初予定になかったMixtory Anglesのサックス奏者バーバラ・スクウォドフスカさんも飛び入り、七星さん・青葉と3人でトリプル・サックスの競演もした。
 
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ステージ終了後も青葉たちは最後まで苗場のステージを見てからホテルに戻った。青葉は七星さんから声を掛けられる。
 
「青葉ちゃん、ほんっとに良い演奏をするようになったなあ。明日からローズ+リリーのアルバム用の曲で『摩天楼』というのの制作をするのよ。ツイン・サックスがフィーチャーされてるから、私とケイで吹くつもりだったんだけど、青葉ちゃん吹いてくれない? ケイの負荷がハンパ無いから、できるだけ彼女の負担を減らしたいのよ」
 
「まあいいですよ。どっちみち、ケイさんのマンションを訪問して呪術的に怪しげなものがないかチェックすることになっていたんです」
 
「じゃ、東京に行くついでに」
「はい」
 

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ホテルに着いてから、ローズ+リリー関係とKARION関係の合同打ち上げをした。もっとも時間が遅いので、青葉・世梨奈・照香と真知子ちゃんという高校生4人は乾杯にだけ参加して、部屋に戻り寝た。世梨奈がパーティー会場からローストビーフやフライドチキンなどをフードパックに取らせてもらっているのを見て青葉は微笑んだ。
 
翌朝7月27日。起きて世梨奈・照香と3人で朝食を取っていたら、七星さんが寄ってきて思いがけないことを言う。
 
「ケイちゃんとマリちゃんがさ、雨宮先生のお父さんの葬儀に出るというので、昨夜の内に京都に行っちゃったのよ」
 
「夜中にですか!?」
と青葉は驚く。
 
「なんでも葬儀の時間が早まったから今朝いちばんの新幹線では間に合わないという話で。それで車を手配してくれたのに乗って向かったって」
 
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「大変ですね!」
 
「まあそれで『摩天楼』の制作はケイちゃんたちが戻って来るまで進められないけど、私と一緒に東京に行って、とりあえず練習してない?」
 
「分かりました。ご一緒します」
 
それで青葉は世梨奈・照香と高崎駅で別れ、七星さんと一緒に東京に出て、スタジオで練習をしていた。
 

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今日お葬式なら、ケイさんたちは明日のお昼過ぎに戻るかなと思っていたのだが、ケイたちは何とその日の夕方戻って来た。
 
「早いですね」
と声を掛けたのだが、ケイと一緒にスタジオに入ってきた人物に青葉はまた驚く。
 
「ちー姉!?」
「私たちを車でここまで送ってくれたんだよ」
とケイが言う。
 
「青葉、音源制作頑張ってね」
と千里。
 
「代表合宿は?」
「雨宮先生が強引でさ。私の親の葬儀に欠席するなんて、あんたそれでも私の弟子なの?とか言うから、昨日オーストラリアから飛んできた。今夜の便で戻る」
 
「うっそー!?」
「じゃね」
と言って千里は帰っていった。
 
「雨宮先生も無茶振りするよね」
とケイは笑っていた。
 
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青葉は結局その日遅くまで楽曲制作の作業をした後、冬子のマンションに泊まった。それで翌7月28日、青葉は朝食を頂いたあと、マンション内で怪しいグッズの類いか無いかチェックした。そして怪しいDMを2通見つけ出す。どちらも巧妙で、これならちー姉には分からなかったろうなと思った。要するにかなりハイレベルの呪者のしわざである。
 
ケイと青葉は話し合い、やはりこれはこの手のものが分かる人が定期的にチェックした方がいいという結論に達する。それで青葉は関東在住の霊能者・中村晃湖さんに依頼することにした。中村さんはすぐに来てくれて、冬子のマンションを彼女自身とお弟子さんとで週に2回程度チェックしてくれることになった。
 
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