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■春来(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-11-14
 
光平は夢を見ていた。あれ〜? またこれ変な夢かな。こないだ霊能者の女の娘(?)に来てもらって悪夢見なくなったと思ってたのに。
 
でもあの子、可愛かったなあ。本人は何も言ってなかったけど、間違い無く「女の娘」だよね。元「男の娘」だったけど、既に体質が完全に女性化している感じ。声も完全に女の子の声だったし。うっかり触ってしまったけど胸は既にできているみたい。きっと去勢もしてるんだろうなあ。
 
夢の中では武装した男たちが多数歩き回っている。しかしその武装がこないだまで見ていた者とは雰囲気が違う。こないだまで見ていた夢に出てきた男たちは長い銃身の銃などを持っていて迷彩服を着ていたのだが、今日の夢で見る男達は何だか古めかしい甲冑をつけ、刀を持っているのである。
 
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その内、敵襲があったようで、あちこちで刀を抜いて組み合っている男たちがいる。きゃーと思って見ていたら、ひとりの男を斬り倒した男がこちらに向かってきた。
 
殺される!
 
と思ったのだが、その男は光平の手をつかむと、争いの場から少し離れた岩陰に連れて行った。そして光平を押し倒すと服の裾をめくる。ちょっと〜。何するの!?と思った次の瞬間、光平は何とも不思議な感覚に貫かれる。
 
男に何か(?)をされながら、光平は快感と嫌悪感が混在する不思議な感覚を覚えていた。目から涙が一筋こぼれたが、怖い感じはしなかった。
 
その時、光平はふと疑問を感じた。
 
もしかして、僕、女の服を着てる!??
 

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「ねぇねぇ、良かったら読んで感想聞かせてくんない?」
と青葉はクラスメイトの純美礼からUSBメモリーを渡された。
 
「何か書いたの?」
「うん。短編小説なんだけどね。古代男の娘物語なのよ」
「へー」
 
純美礼はけっこう同人小説のようなものを書いているようである。以前にも何度か見せてもらったことがある。概してBLが多い。
 
「舞台は古代サハリ国。当時サハリ国では砂漠の向こうの国から流入してきたコスミル人の人口が増えすぎてサハリ人との軋轢が問題になっていた。そこでサハリ王は産婆たちに命じた。コスミル人のお産に立ち会って、女の子ならそのまま生かしておいてよいが、男の子であったら殺すようにと」
 
「それ聖書の出エジプト記の話じゃない?」
「そうそう。それがヒントなのよ。でも実名使ったらどこかからお叱りが来そうだから架空の名前で。それである所でコスミル人夫婦に男の子が生まれた。このままでは殺さなければいけない」
 
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「何となく読めた」
「そこで父親が機転を利かせて生まれたての男の子のおちんちんを切っちゃった」
「ふむふむ」
「それでこれは女の子だから殺さなくてもいいですよね?と産婆に言い、産婆もちんちんは見なかったことにして、そのまま帰ってくれた」
 
「で、その子が成長してモーゼになる訳?」
「いや、モーゼという名前を使ったら叱られるからマナカという名前で」
「ふむふむ」
 
「その子はちょっとした経緯から、サハリ国の王女が自分の娘として育てることになる。それでサハリ国の王子に見初められてその愛人になる」
「ヴァギナあるわけ〜?」
「そのあたりは適当に誤魔化して。あれって誤魔化す方法無いの?」
 
「まあスマタという手はある」
「なるほどー」
「さすがに3000年前の医療水準では性行為に使用できるほどのヴァギナを人工的に作るのは不可能だったろうからね」
「当時から性転換手術ってあったんだっけ?」
 
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「AD65年頃に、ローマ皇帝ネロが愛人の男の娘スポルス・サビナに性転換手術を受けさせている。どの程度の内容かはよく分からないけど、まあおちんちんとタマタマを取って、割れ目ちゃんくらいまでは作ったかも。でもさすがにヴァギナまで作るのは無理だったと思うなあ。AD220年頃のローマ皇帝・ヘリオガバルスは自身がいつも女装していて配下のものに自分を女帝と呼ばせ、やがて性転換手術も受けて、この人はヴァギナまで作ったとも言うんだけど、怪しい話という気もするし、ヴァギナを作ったとしても、ほんとうに使えるものができたかどうかは疑問だと思う」
 
「当時って麻酔無いよね?」
「うん。だから凄まじい痛みに耐える必要があったと思うよ。恐らく半分以上の確率で死亡していたと思う」
「こわーい」
と純美礼が言うが、その凄まじい痛みが怖いのか、高確率で死ぬのが怖いのか、どちらだろうと青葉は思った。
 
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「ヘリオガバルス帝の場合、自分が手術を受ける前に男の子を連れて来ては去勢させていたという話もあるから、事前にたくさん実験したのかも」
「実験で性転換させられた男の子たちはちょっと可哀想かな」
 
「元々女の子になりたかった子ならいいけど、むしろちんちんの大きな子を好んで去勢させていたという説もある」
「やはり迷惑な皇帝だ」
 
「そういえば青葉はヴァギナあるの?」
「あるよー」
「セックスに使えるの?」
「使ってるけど」
 
「う・・・実験済みか」
「でも手術前はスマタでたくさんやったよ」
「私セックスもスマタも経験したことないな」
「まあ大学に行ってから彼氏見付けてやってみるといいよ」
 
「あれって入れられて痛くないの?」
と隣から彩矢が訊く。
 
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「私は気持ちいいけど」
と青葉。
「日香理もしてるんでしょ?どう?」
などと突然振られて日香理はびっくりしていたが
 
「ごめーん。まだ私はセックス未経験」
と言う。
 
「あれ?でもこないだ彼氏とお泊まりデートしたんでしょ?」
「お泊まりはしたけどセックスはしてない」
「我慢させられるもの?」
「オナニーする所を見てあげた上で、抱き合って寝たよ。まあ生殺しかも知れないけど」
 
「ちょっと可哀想」
「まだ私、妊娠したくないし」
 
「青葉は妊娠できるんだっけ?」
「それは子宮が無いから無理」
「青葉子宮無いの?」
「うん。卵巣も子宮も無い」
「あれ?でも青葉、生理あるよね?」
「うん。そのあたりの仕組みが実は自分でもよく分からない」
「ふむふむ」
 
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2015年5月。
 
ゴールデンウィークに青葉は、東北に出かけ、八戸で咲良に会い、その後真穂と一緒に盛岡〜気仙沼近辺で様々な相談事に対応した。ひとつひとつは簡単に解決するものや、病院に行かせたほうがよい類のものばかりで、青葉は2日間で11件もの案件を処理した。それはその場で全部解決したものと青葉は思っていた。
 
ところがである。
 
盛岡近郊で処理した1つの案件についてその後また動きがあったのである。真穂からの電話を受けた時、青葉は木ノ下大吉さんと明智ヒバリの件で沖縄に来ている所だった。
 
「青葉ちゃんに見てもらった直後は悪夢を見なくなったんだけど、一週間もしたら、また見るようになったらしいのよ」
「あらあ」
 
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そのクライアントの場合、住んでいる家に霊道が通っていたので、出雲の直美さんに頼んで霊道を動かしてもらったのである。それで解決したと思っていたのだが、もしかしたら霊道が戻ってしまったのだろうか?
 
「それは困っているでしょうから、こちらの案件のキリのいいところで何とか一度そちらに行きます」
と青葉は答えた。
 
その時、青葉は沖縄にまだ半月くらい滞在しなければならないかも知れないと思っていたのだが、思わぬ展開から数日で解決してしまった。実際には青葉はほとんど何もしていない。むしろ千里と二人で見届け人の役を果たしたような感じであった。
 
それで5月20日に高岡に戻り、21日は学校にも出て行ったのだが、5月22日学校が終わった後、新幹線に乗って岩手に出て行った。
 
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新高岡1750-2026大宮2040-2227盛岡
 
その日は真穂のアパートに泊めてもらい、翌日5月23日(土)、朝から盛岡近郊にあるクライアント石切さんの自宅を訪問した。
 
まず霊道は動いてないことを認識する。
 
ということは、霊道以外に悪夢を見させている原因があるんだ! これはもしかしたらかなり大変な案件かも知れないぞと青葉は気を引き締めた。
 
中にあげてもらう。居間に通されるが、コタツの上に郵便物がいくつか出ていて、石切光平様という封書と、石切由紀様という封書が混じっているのに気づいた。石切さんは独身と聞いていたのだが、実は同棲しているのかなと思った。二人暮らしであれば防御方法が少し変わる。そういえば化粧品の匂いもする。もしかして自分達が来る直前まで一緒にいたのだろうか。邪魔して悪かったなとも思う。
 
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「済みません。遠くからわざわざ来て頂いて」
と言って石切さんは青葉たちに座布団を勧めた上でテーブルの上にあるものを片付けた。
 
「いえいえ。とにかく状況を把握しなければと思いまして」
と青葉は答えた。
 

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石切さんは1975年生まれの39歳である。盛岡市内で従業員300人ほどの中堅の事務機販売会社に勤めていて取締役部長の肩書きを持っている。若いのに大したものだが、見た感じはそんなにやり手には見えず、物凄く優しい雰囲気を漂わせていた。青葉はたぶん凄い人ほど凄そうに見えない例なのだろうと、彼を見て思った。
 
石切さんが悪夢を見るようになったのは3年くらい前かららしく、ちょうどその頃、近くで大規模なスポーツ施設の建築が行われたらしい。青葉はその工事の影響で霊道が石切さんの自宅を通るようになってしまい、それで異変が起きるようになったのではと推測していた。
 
それであらためて話を色々聞いていた時、家に訪問者がある。
 
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「あら、ごめーん。お客様だった?」
と60代くらいの女性が言う。
 
「あ、お母さん」
と石切さんは声を出した。そして青葉が彼女を見た時、この問題はこの家系に絡むものだということを確信し、同時に自分がとんでもない大事件に足を踏み入れてしまったかもと思い緊張した。
 
石切さんはお母さんにここ数年ずっと悪夢を見ていたので、会社の友人を通して霊能者の「川上先生」に相談したら、自宅に霊道が通っているということでそれを動かしてもらった。それでしばらくは悪夢を見なくなっていたのだが、先週くらいからまた見るようになったので再度相談したのだと説明した。
 
「でも悪夢の内容が微妙に違うんですよね」
と青葉は確認する。
 
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「そうなんです。以前見ていた悪夢は昭和時代くらいの人が出てくるもので、手足がちぎれたり凄い血が出ていたりする人が転がっていて、泣き叫ぶようなのが多かったんですが、ここ最近見るようになったのは、古代の武具を身につけた《もののふ》という感じで、奈良時代くらいかなあ」
 
そう石切さんが言った時、お母さんがハッとする感じがあった。それで青葉はお母さんに尋ねた。
 
「お母様も、そういう悪夢を見られたことはありませんか?」
 
するとお母さんは
「どうしてそれを?」
と言った。
 

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「たぶん家系的なものではないかと思うんです。実は私の祖母と叔母の1人もそういう古代の《もののふ》が出てくる夢を子供の頃見ていたんです。おとなになってからは、めったに見なくなったのですが、見なくなったというより、見ないように心にブロックを掛けている感じなんですよ」
 
「自分を守るシステムができあがったんでしょうね。光平さんの場合、恐らく強い守護で守られていて、防御システムも必要無かったのが、それが最近何かの原因で利かなくなって、霊道の影響も受けたし、それが排除されたら、その家系的な問題が現れてきたのだと思います」
 
「いやまさにそういうことという気がします。この子の防御を何とか作ることはできませんかね?」
 
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「すみません。ご実家はどちらでしたでしょうか?」
「青森県の新郷村というところなのですが」
「そちらにお伺いしてもよろしいでしょうか。どうもこの問題は一度そちらを見てみないと対処が難しいようです」
 
「はい、でも料金は?」
「この事件は先日3万円で受けて、それで契約は済んでいますから、ここから先はアフターサービスということで」
 
と青葉は笑顔で言う。
 
「でしたら交通費・食費・宿泊費だけでも出します」
「そのくらいはありがたく頂きましょうかね」
 

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