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■春虎(1)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-10-21
 
その日遙佳は遅くまで勉強していて、唐突にコーラが飲みたくなった。それで台所に行き、冷蔵庫を開けてみるが、あいにくコーラは無い。冷蔵庫の隣に置いている箱(ここに冷蔵庫に入りきれない飲み物を置いている)を見るが、ビール系飲料やチューハイはあるが、コーラは切れているようだ。
 
遙佳がダウンコートを着て毛糸の帽子をかぶり、手袋をしてマスクをして出掛けようとしているので母が声を掛ける。
 
「あんた、こんな夜中にどこ行くの?」
 
「自販機まで行ってコーラ買ってくる」
と言って、小型の懐中電灯を持って出掛けた。
 
雪は止んでいるが、結構風がある。早く帰ろと思って歩いて行く。
 
病院前の交差点にさしかかる。
A┃┃B
━┛┗━
━┓┏━
D┃┃C

 
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遙佳はD側から来て、A方向に行こうとしていた。自販機はAの少し先にある病院の玄関前にあるのである。
 
だから、通常Dからまっすぐ横断歩道を渡ってA方向に行けばいい。ところが遙佳はAの角に、白い虎(?)がまるで狛犬のような感じで香箱座りしている気がしたのである。
 
『気のせいだよね。虎とかいる訳無いし』
 
とは思ったものの、虎の居る所を通る気にはならず、DからCに渡り、Bに渡り、少し先まで行ってから道路を横断して病院(もう閉まってる)の前に行く。
 
自←←←
  ┃┃↑
虎┃┃↑
━┛┗↑
━┓┏↑
D→→↑

 
チラリと目の端で虎の方を見る。虎はこちらを見ている。でも白い毛並みで美しい虎だなあ、と遙佳は思った。そして遙佳がそんなことを考えたら、虎がニコッとした気がした。褒められて嬉しかったのかな?まあ大きな猫みたいなものだよね?
 
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などと考えながら、自販機でコーラの500ccボトルを買おうとおもったら・・・・売り切れ!
 
『えーん。なんで無いのよ〜!』
 
と文句言っても仕方ない。遙佳はせっかくここまで出て来たからと思い、更に500mほど先にあるコンビニまで行く(田舎はコンビニが遠い)。そして遙佳がコンビニまで歩いて行くと、虎も立ち上がってその後を付いてきた。それは自分を襲おうとしているのではなく、むしろ守ってくれているような気がした。
 
結局、遙佳がコンビニの前まで行く間、虎は30mくらいの距離を空けて付いてきた。
 
「虎さん、ガードありがと」
と遙佳は虎の方を見て言ったら、虎はニコッとした気がした。
 
それで遙佳はコンビニの中に入った。そしてコーラを念のため2本買ってたら電話が掛かってくる。母からである。
 
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「あんたどこまで行ってるの?」
「自販機でコーラ売り切れてたからファミマまで来た」
「そんな遠くまで行ったの!?だったら迎えに行くからそこに居なさい」
「うん」
 
それで母が日産ルークスで迎えに来てくれたのに乗って遙佳は自宅に戻った。帰りは雪がちらついていたので、お母ちゃんに迎えに来てもらって良かったぁと思った。コンビニの駐車場を出る時に付近を見回したが、虎は居なかった。
 
『なんか可愛い虎さんだったなあ。また会いたいな』
と遙佳は思った。
 

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「え〜!?君たち『うる星やつら』を知らないの?」
と指導教官の渡辺準教授(←2年半ぶりの登場!)が言うので、明恵はクラスメイトの玲花と顔を見合わせた。
 
「ラムちゃんという可愛い鬼族のビキニの女の子が主人公(*1)でさ」
と渡辺先生が言うと、
 
「ああ、ラムちゃんなら分かります」
と玲花は言った。他の学生も多くが頷く。
 
(*1) 『うる星やつら』の主人公は、諸星あたる!
 
「よくコスプレしてる人いるよね」
「虎皮のビキニで、あれマジでスタイルよくないとできないコスプレ」
「うんうん。ウェストが細くて、おっぱいかなり大きくないと無理だよね」
 
「私の知り合いの男の子でラムちゃんのコスプレをよくしてる子がいる」
とひとりの女子が言う。
 
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「男の子なの!?」
「背丈があるからコスプレが映えるんだよ」
「やはりおっぱい大きくしてるの?」
「偽装だと言ってた」
「偽装できるもん〜?」
「そのテク教えて欲しい」
 
「ちんちんは?」
「うまく隠してると言ってた」
「隠せるもん〜!?」
 
「でもウェストのくびれは本物らしい」
「そこは偽装のしようが無いよね」
「彼、撫で肩だし美形だし、優しい雰囲気だから、女の子コスプレすると、結構女の子に見えるんだよね〜。胡蝶しのぶも可愛い」
 
「そんな男の子は性転換推奨だ」
「うん。男にしておくのはもったいない」
「そう言われて本人もわりとまんざらではないようだ」
「だったら性転換は時間の問題だな」
「その子、あまり男っぽくならない内に、取り敢えず去勢した方がいいよ」
 
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「まあ僕たちの世代も『うる星やつら』は再放送でしか見てないんだけどね」
と渡辺先生は話を戻す?
 
「じゃかなり昔のアニメですね」
「でも今年新作アニメが放送されるらしい」
「へー」
 
明恵はふと思って尋ねた。
 
「鬼といえば虎皮のパンツ穿いてますよね。あれって何か意味があるんでしょうか」
 
すると渡辺先生は即答した。
 
「それは鬼は丑寅の方角に居るという山海経の記事に基づくものだよ」
「へー」
 
「山海経の逸文(いつぶん(*2))によると、乾(いぬい:北西)(*3)の方角を天門、坤(ひつじさる:南西)の方角を人門、巽(たつみ:南東)の方角を地戸、艮(うしとら:北東)の方角を鬼門と言って、鬼門からは鬼が出入りしている。ただし悪いことをする鬼は番人が捕まえて虎に食べさせていたという」
 
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(*2) 他の書籍に引用される形で残っている文章を逸文と言う。この記述は、王充が書いた『論衡』訂鬼篇に引用されたものである。現在残っている山海経にはこの記述が見当たらない。
 
(*3) 乾を「いぬい」と読むのは戌と亥の中間の方角だから。坤を「ひつじさる」と読むのは未と申の中間だから、巽を「たつみ」と読むのは辰と巳の中間だから、艮を「うしとら」と読むのは丑と寅の中間だから。
 

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「まあそれで、鬼が角を生やして、虎皮のパンツを穿いてるのは、艮(うしとら)の方位に関連しているから、牛の角を生やして、虎皮のパンツを穿かせたものだよ」
 
「なーんだ。ダジャレだったのか」
という声多数。
 
「でもシンボリズムって、わりとダジャレでできてるよね〜」
 
「試験の前には“勝つように”と言ってトンカツを食べるとか」
「豚には勝てるかも」
 
「勝負強くなるように菖蒲湯に入る」
 
「結納はダジャレだらけ。子を産むように子生婦(こんぶ)とか、共に白髪になるまで仲良くできるように友白髪(ともしらが:麻緒を束ねたもの)とか、子孫繁栄して末広がりということで扇子とか」
「要するにたくさんセックスしろということだな」
 
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「日本で4と9を忌み嫌うのは四が死と同音、九が苦と同音というただのダジャレ」
「中国では九はとっても良い数だから積極的に使う」
「中国語だと九はチオ、苦はクーで全く発音が違う。九はむしろ永久の久と同音という意識がある」
「やはり中国人も語呂合わせか」
 
「ゴーレムとか」
「なんだっけ?」
「土をこねてゴーレムを作ったら“エメト”という文字を額に書く。これは真実という意味。壊す時は最初の“エ”の文字を消す。すると残った“メト”は死という意味でゴーレムは崩れて土の塊に戻る」
 
「よく分からないけど、洋の東西を問わず人間は昔からダジャレが好きだったんだな」
 
「オーストラリア人が言った。I went hospital today (アイ・ウェント・ホスピタル・トゥダイ)」
 
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(オーストラリア英語では today をトゥダイと発音するので to die に聞こえて「私は今日病院に死ぬために行った」に聞こえるという話)
 
「おちる人がしんでからおのりください」
(「降りる人が済んでからお乗り下さい」を田舎の乗務員が言うとこう聞こえるという話)
 

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「そのゴーレムの話に似た話が岡野玲子さんの『陰陽師』にあった」
とひとりの学生が言う。
 
(この話は原作の夢枕獏さんの本にもある。『陰陽師』(無印:実質的な第1巻)の第2話として収録されている。夢枕氏の本では、この話の元ネタについては特に記述してない)
 
「般若心経を毎日写経しているお坊さんのところに夜な夜な女の怪が出る。その女は手で口を隠しているが、その手をどけてみたら口が無かった」
 
「のっぺらぼうでは無かったのか」
「無かったのは口だけ」
 
「それで安倍晴明が出動する。彼は現れた女の怪に『如』という文字を見せた。すると女は頷いて姿を消した。晴明はお坊さんが写経した心経を見せてもらった。するとその中に“亦復如是”の“如”の字が汚れて右側の“口”の部分が消えてしまっている所があった。「如」の「口」が消えて「女」になっていた。つまり“口の無い女”だったのね。それで晴明はそこに白い紙を貼り“如”の字をきれいに書き直した。そして言った。『もう怪は出ませんよ』と」
 
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「汚れた所を修正してもらいたかったのか」
 
「まるごとダジャレの話だな」
 

「でも口が無いと、ごはん食べられないね」
「あっちの口が無かったらセックスできないだけだけど」
「こらこら」
 
(渡辺准教授はもはや呆れている)
 
「小野小町穴無し伝説ってあるよね」
「なにそれ?」
「小野小町は絶世の美女だったのに、多数の男からの求愛を断り続けた。それは実は彼女には穴が無くて男を受け入れられなかったから」
「まさか小野小町って男の娘なの〜〜!?」
「こんな可愛い子が女の子のはずがない?」
 
「実際は後撰和歌集に、小町の孫という人の歌が収められているから、孫が居たということは、子供が居たということで、穴無し伝説は後世に作られた俗説だと思う」
「な〜んだ」
 
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「でもこの穴無し伝説から、裁縫で使うマチ針の“マチ”とは小野小町のことだという俗説もある。つまり穴の無い針」
「マジ?」
「いや単にこれから縫っていく場所に待っているから待ち針だと思うよ」
「小野小町からは跳躍しすぎている」
 

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