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■春虎(9)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-10-28
 
明恵と真珠は桜坂さんと会った後、11時頃まで撮影を続けてから、道の駅でCX-5を持って来ている初海と合流した。
 
「お疲れー」
「私たち寝るからよろしくー」
「ほんとにお疲れ」
 
それで後部座席に乗った2人はシートベルトを掛けたまま寝て、初海が運転席に座り金沢まで戻った。
 

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放送局に顔を出すと、千里さんが来ていた。幸花・千里と5人で真珠と明恵が撮影してきたビデオを見る。千里がビデオを見ながら、何ヶ所かで頷くようにしていた。
 
「でもそうか。桜坂さんはS市に行ったのか」
「色々あったみたいですね」
「まあ色々無ければ退職しないだろうね」
 
「でもこの事件、ほんとに私たちだけでは限界があります。何とかして青葉さん、連れて来ましょうよ」
 
「しかし拉致してくる訳にもいかないしなあ」
と幸花は言う。
 
ところが千里は言った。
 
「よし拉致してこよう」
 
「え〜〜〜!?」
 
「青葉の作業は今の進行状況だと、3月29日に終わる。余裕を見て30日。これが拉致のタイミングだな。多分遅くなると、ケイに『ミュージシャン・アルバム』の取材だと言われて拉致される」
 
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「どっちみち拉致されるのか」
 
「だからケイを出し抜いて先に青葉を拉致しよう」
と千里は言っている。
 

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「千里さん、なんか楽しそうに見えます」
「まあ、私とケイと丸山アイはお互いにゲーム感覚で騙し合いをしてるから」
 
「結局仲がいいんですね」
 
「青葉もアクアも真面目すぎて、こういうお遊びができない」
と千里さんが言っている。
 
「そのあたりがいちばん振り回されてる気がします!」
と真珠。
 
「その遊びって、いきなりライフルで狙撃したりするんでしょ?」
と明恵が言う。
 
明恵は千里が飛んできた弾丸を平然と文鎮で叩き落としたのを見たことがある。
 
「PSG-1 (ペーエスゲー・アインス)(*10)の弾丸くらい防御できなきゃ、この世界では生きていけないよ」
 
「どういう世界で生きてるんですか!?」
と初海が言った。
 
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(*10) H&K PSG-1は ヘックラー・ウント・コッホ有限会社(Heckler & Koch GmbH) のセミオートマチック狙撃銃。同社は製品の厳しい販売制限をしており、NATO加盟国及びそれに準じる国(スイス・日本・オーストラリア・ニュージーランド)以外では、充分高い民主主義体制にある国にしか輸出しない。最近香港への出荷が停止された。
 

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奥村春貴は富山県の教員採用試験を受けて秋には合格通知はもらっていた。しかしコネなどは無いので、ちゃんと任用してもらえるか、かなり不安を抱えていた。しかし2月下旬に電話があり
 
「氷見市のH南高校に任用が決まりました。よろしいですか?」
ということであった。
 
「はい。行きます。よろしくお願いします」
と言って承諾し、すぐに引越準備を始めることにした。
 
春貴は現在金沢市内のアパートに住んでいる。金沢では大学院の卒業式(3/22)には出なければならないが、すぐにも氷見市に行き、アパート探しをすることにした。
 
母にも連絡したが「近くに決まって良かった」と言っていた。
 
高校受験に失敗して、越県して石川県の私立高校の二次募集に滑り込んで以来、9年ぶりの富山県復帰になる。
 
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「え?退部するの?」
と世梨奈は春貴に言った。
 
「氷見市なんでしょ?津幡までそう遠くないのに」
 
「うん。来れないことはないとは思うけどさ。教師って無茶苦茶忙しそうたから、そちらに全力投球するつもりでいようと思って。だから来年度の選手登録はしなくていいから」
「分かった。じゃ選手登録はしないけど、たまに息抜きに泳ぎにくるといいよ」
「うん、そうするかも」
 
そういう訳で、春貴は〒〒スイミングクラブの選手登録は解除したのである。彼女は所属クラブが無くなるので、再登録するまでは日本水連主催の大会には出られない。
 
なお、邦生は本人が「辞める」とは一度も言ってないので、選手登録は継続中である。ちなみに春貴は女子として登録されていたが、邦生は男子として登録されている。どっちみち会費(ライト会員年3.6万円)は春貴の分も邦生の分も青葉が払っている!(青葉本人は忘れている)
 
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「睾丸を除去して欲しいんですが」
と青年は言った。
 
松井医師はこの青年にちょっと興味を持った。この病院に去勢手術を依頼に来るクライアントのほとんどがMTF/FTMである。そういう雰囲気があるし、睾丸を取りたいという人の多くは女性的で女装している人も半数くらいある。この青年は普通に男性に見える。あるいはFTMで卵巣を取って欲しいのかとも思ったが、青年は確かに「睾丸」を取って欲しいと言った。
 
「睾丸を取りたいというのは、どういう理由でしょうか。例えば将来的に女性になりたいので、身体が男性化すするのを止(と)めたいとか」
 
「女にはなりたくないです。睾丸があるのがもう我慢できないんです」
「睾丸を取ると、子供を作れなくなりますよ。また高確率でペニスは勃起しなくなります」
「子供なんて別に要りませんし、ペニスは別に立たなくてもいいです。むしろペニスも取って欲しいくらいです」
「ペニスを取ると、立っておしっこできなくなりますし、女性とのセックスもできなくなりますよ。むろんペニスを使ったマスターベーションもできなくなります」
「そんなのしたくないです。セックスとか想像するだけで嫌です。そもそも、むらむらと来るのが不快なんですよ」
 
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松井医師はすぐにも青年を手術室に運び込み、ペニスと睾丸を取ってあげたかったが、看護師長(お目付役!)が睨むので、精神科の鞠村先生に回して、精神病などによる錯乱で一時的に男性器を切除したい気持ちになっているのではないことを確認した。精神科では性器不快症候群という診断名?が付き、倫理委員会の承認も下りて、正規の医療として手術は行われることになった。
 
「ただの去勢手術じゃん。おまけでペニスも切るだけなのに」
などと松井は文句を言っていたが!
 
手術方法としては、睾丸を摘出するとともに、陰茎を恥骨結合の所から完全に除去する。ペニスに沿った尿道延長部分が無くなるので、尿道口は女性と同じ位置に開口することになる、それで尿道保護のため(?)陰嚢を折りたたんで大陰唇風にする。本人は陰唇も要らないと言っていたが、そのままだと炎症を起こしやすいという松井医師の説明(趣味)で、陰唇風のものを作ることに同意した。結果的に青年の股間は、一見女性と見まがう形になる。女になりたい訳ではないので、クリトリスやヴァギナは設置しない。
 
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手術は3月18日に行われ、24日で導尿は終了。25日にはトイレ(むろん彼は男子トイレを使用する)に行って新しい尿道口からの排尿を体験したが
 
「ちんちんが無いって素晴らしい!とってもいいです」
と感激していた。
 
松井は人を幸せにするのはいいことだと思った。
 

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退院の時、青年は松井医師に尋ねた。
 
「ぼくって、この後、女子用ショーツとか穿いた方がいいんですかね?」
 
「別にどっちでもいいんじゃない?君が女の子でありたいと思うなら女子用のショーツを穿けばいいし、自分はペニスなどなくても男だと思うのなら、男子用のトランクスとかボクサーとか穿けばいいし」
 
「あ、男物穿いてもいいですかね?」
 
「性別なんてペニスの有無とは関係無いよ。自分の意識の問題だもん。自分が男だと思っていれば、君は間違い無く男なんだよ。だから堂々と、男のパンツを穿くといいよ(個人的には女の子パンティを穿かせたい!)」
 
「そうですよね!ほく、堂々とトランクス穿くことにします」
「うん」
 
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松井は笑顔で彼の退院を見送った。
 

その日、邦生は
「家の中だし、別にいいじゃん」
などと、うまく乗せられてスカートを穿いていたのだが、その格好で御飯を作っていた所を後ろから襲撃!され、結局スカート同士でセックスした。
 
「これ何か興奮する」
「ぼくも!まるでビアンになったみたいで楽しい」
 
キッチンでスカートのまま1回戦した後、部屋に入って今度はお互い服を全部脱いで2回戦をして、そのまま眠った(結局ごはんは作りかけで放置)。
 
邦生が目を覚ますと、真珠は凄く気持ちいいことをしてくれていた。セックスもいいけど、やはりこれが最高と思ってされていたら、やがて逝ってしまう。邦生は再度眠ってしまった。
 
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再度目を覚ますと、真珠は自分のそばで裸のまま眠っていた。それが物凄く可愛いので邦生はキスをした。
「あそこ舐めたまま洗ってないのに」
「平気だよ」
「くーにん、自分のちんちんと間接キスしたね」
「あはは」
 

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真珠が邦生の胸をもみもみしているので
「何してるの?」
と言うと
 
「こうやってマッサージしてたら、くーにんのおっぱい大きくならないかなあ」
などと言っている。
 
「胸大きくなったりしたら困る」
「大きくしたくないの?」
「したくない!俺男だし」
 
「でもみんな、くーにんのこと、ほぼ女の子と思ってるよね」
「それ困ってるんだけどねー」
「そろそろ諦めてスカート通勤すればいいのに」
「やだ」
 
「でも、くーにん男物の服自体無いよね」
「そうだな。誰かさんが男物の下着とか、処分してるみたいだし」
 
「くーにんは可愛いから、女の子下着着けたほうがいいんだよ」
「言っとくけど、俺、女になるつもりはないからな」
「もちろん、分かってるよ、マイハニー」
と言って、キスしながらあそこを揉む!
 
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「でもそもそも俺が女下着とか着けてて、まこ気にしないの?」
「ぼくはくーにんと、ペアランジェリーが出来て嬉しい」
「まあいいけどね」
 
「それに性別なんて意識の問題だもん。くーにんが自分は男だと思っていれば、それで、くーにんは男の子だし。女物下着つけてようが、スカート穿いてようが、お化粧してようが、立派な男の子だと思うよ」
 
「そうかもね」
「だからスカート穿いて、お化粧して通勤してもいいよ」
「やだ」
 
あれ?そういえば俺の紳士用スーツ、家に一度持って帰ってきたような気がするけど、その後、どこにやったっけ?と考えてみたものの、邦生は分からなかった。
 

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「だけど、まこって、いい意味で普通の女の子だよな」
「なにその普通って」
「いや、MTFの子って、概して物凄く女らしいことが多い」
「思う。MTFさんって、普通の女以上に女らしいんだよ」
「青葉なんかも最近は普通になってきたけど、中学の時に転校してきたばかりの頃は、物凄く女らしかったよ」
「へー」
「明恵ちゃんとかが、そういう意味で女らしい」
「そうそう。あきちゃんって、女らしくて、ぼく負けそうと思う」
「だから明恵ちゃんと、まこって立場が近いみたいなのに傾向がかなり違う」
 
「あきちゃんは自分の女性傾向を高校に入る頃までは隠してたみたいだからね。ミステリーハンティング同好会に入って、自分と似た立場の人とたくさん会って、カミングアウトしてきた。ぼくは最初から女の子だったから」
 
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「まこは、子供の頃からスカート穿いてたって、お父さん言ってたね」
 
2人は双方相手の親に挨拶もしてきて、将来2人が結婚することも承認してもらっている。邦生の両親は、真珠が元男の子と聞いても「うちの息子も女になっちゃうかも知れないし」などと言っていた。真珠の両親は邦生のことを最初女性と思い「まあレスビアン婚もいいんじゃない?」と言ってから、邦生が男と聞き「FTMさんですか?」などと尋ねて来た。
 

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