【夏の日の想い出・秘密の呪文】(1)

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政子は2020年12月30日のRC大賞の授賞式が22時に終わると、そのままドライバー会社のローズ+リリー専任・佐良しのぶさんの運転する“アクアのアクア”に乗り、郷愁村に向かった、
 
郷愁村のホテル昭和のコテージ“桜”に既にあやめ・大輝が政子の両親に連れられてきているので、そこで一泊する。(あやめ・大輝は既に眠っていた)
 
翌12/31朝、ほんの6日前に部分開業したばかりの新交通システム“郷愁ライナー”に昭和駅から乗る。
 
今回開業したのは、大駐車場−昭和−アクアゾーン−平安村−飛行場の5駅・4区間・約4kmで、全てムーランリゾートの私有地内!である。熊谷市内および嵐山町内の公道の上に建設中の高架を走る部分を含めた全線が開通するのは2022年の予定である(嵐山町内の分は実は建設が終わっているが、熊谷市との契約により熊谷市内の工事が完了するまでは開業しない:但し、試験走行の名目で武蔵嵐山駅まで、内輪のスタッフ搬送に使用している:スタッフの約2割が嵐山町内に住んでいる)。
 
なお感染防止の観点から、当面の間、全座席指定で、家族友人以外は間隔を空けてしかチケットは発行しない。自販機またはスマホで枚数指定して購入しないと離れ離れの席に座ることになる。なお自販機はタッチしなくても指を近づけただけで反応するシステムを取り入れている。スマホ乗車券の場合は(指定券発行済みの)バーコードの表示で改札を通れる。今回政子たちはスマホ乗車券で乗車している。
 
車両の座席は掃除・消毒がしやすいプラスチック・シート(球場などによくあるタイプ)である。気にする人のために使い捨てのシートペーパーまで用意している。シートペーパーは千里の会社フェニックス・フォレストリーから提供された、間伐材を原料とする紙を使用している。なお使用済みの紙は回収・再生して、シートとして再利用したり、トイレットペーパーなどにする。むろんウィルスは再生の第一工程で紙分解のために水酸化ナトリウム溶液を通る段階で死滅する。
 
当面1時間に1本の運行(お客さんがいる時は臨時運行も)で、座席は毎回消毒する(消毒ロボット使用)という採算度外視の運用である(例によって、若葉は「お金が減って助かる」などと言っている)。
 
開業自体を遅らせる案もあったのだが、実はコロナ対策でスタッフの車による移送がボトルネックになっており、その解消のために開業したのである。要するに現時点ではホテル昭和・アクアリゾート・平安村のスタッフ移送が主たる目的で、お客さんも使っていいよ、というシステムである。乗車料金は100円均一(91円×1.1=100円)で熊谷市の承認を得ている。
 

そして政子たちは12/31の朝1番にマネージャーの白石(旧姓玄子)絵菜およびスターキッズ&フレンズと一緒にG450で小浜のミューズ飛行場へ飛んだ。
 
夜中に飛行機を飛ばさなかったのは、熊谷市・嵐山町・小浜市との話し合いで夜間の離着陸は“できるだけ控える”という“口約束”をしているからである(禁止しているわけではない)。
 
今回G450を使用したのは、この機体には千里の個人的な事情でベビーベッドが設置されているので、それに大輝を寝かせていくためである。大輝はスターキッズのメンツのアイドルとなっていた。
 
今回参加するスターキッズ&フレンズは、近藤・七星・鷹野・酒向・月丘・宮本・香月・山森の8人である。山森さんは2016年の夏フェス以来の参加となった。
 
「私もう除籍されてるのでは?」
などと山森さんは言っていたが、七星さんが
 
「なっちゃんのロッカーの所にはしっかりお花が飾ってあるから」
などと言って
 
「それじゃ死んだみたいじゃん!」
と抗議されていた。
 
実際問題としてコロナの影響で山森さんもライブができなくて結果的にこちらに参加する余裕ができたというのが実際の所である。年間100公演くらいしていたのが2020年は4月以降、全く公演できてないらしい。結果的に空いているオルガン付きのホールを使用してアルバムを2枚も制作している。
 
山森さんが参加したもうひとつの理由(たぶんこちらが大きい)については後述する。
 

スターキッズ自体の音楽活動に関する事務取扱はサマーガールズ出版がしているが、スターキッズの事実上の“本部”は近藤さんと七星さんの自宅の離れに防音の練習室があり、そこに楽器置き場や(フレンズを含む)メンバーの個人ロッカーも設置されている。
 
独身の鷹野さんなど、しばしばここに泊まり込んだりしている。
 
「おたかさん、何ならセックスしてあげようか?おたかさんならいいよ」
などと七星さんに言われ
「それはこんちゃん(近藤嶺児)に叱られる!」
と焦る。
「おいおい。男を誘惑するなら、せめて俺の居ない所でしろ」
と傍に居る近藤さん本人が笑いながら言っている。
 
「何なら3Pでもいいけど」
「いや遠慮する」
 
「そうだ!女装の道具とかもここに置いていいよ」
「女装とかしないよ!」
「そうなの?おたかさんは絶対女装趣味だって噂あるけど」
「それローズクォーツのタカと混乱しているのでは?」
 
音楽業界には元々同性愛者やトランスジェンダーが多いので、ある程度の年齢になっても結婚していないと、すぐこの手の噂を立てられやすい。特に鷹野さんはライブでの見栄えを考えてマニキュアをしている(ラメ入りもよく使うし、全指違う色にして話題になったこともある)し、髪も長いので「ホモというよりは女装趣味かも」などと言われがちである。スカートを穿いている所の写真をネットに拡散されたこともある(スカートが似合っていた!スカートを穿いていた理由については何か誤魔化していた:それで余計噂を立てられる)。
 
「俺も女の子と付き合ったことはあるんだけとね」
「どうして結婚しなかったんですか?」
「当時はまだ収入が不安定なスタジオミュージシャンだったし、向こうの親が反対してさ」
 
「じゃその人のことを今でも好きだとか?」
「いや、さすがに思い切った。向こうはもう他の男と結婚して女の子3人いるよ」
「ちゃんとフォローしてるんだ!」
「いやそういう訳じゃないけど、友だちから聞いた」
 
なお近藤さんと七星さんは2013年に結婚した後「お互いの恋人と会うのに不便」と言って、ずっと別居生活をしていたが、2016年に新しい家を建てて、とうとう同居生活に移行した。それでも結婚当初の約束通り、お互い浮気自由らしい。近藤さんが女の子を連れ込んでいると、七星さんがお茶とお菓子を持って来て「ゆっくりしていってね」などと言ったりするので、女の子が恐縮して逃げて行く(容認しているふりして追い払っているのではという気もする)。
 
2016年に建てた自宅は母屋の左右に近藤さんのエリア、七星さんのエリアがあり、お互い相手のエリアには入らない約束らしい(でも入ってる!)。2人で一緒に寝る時は母屋の寝室を使用するらしい(まるで平安貴族の邸宅だ)。
 

もっとも私が見ている範囲では、実際には近藤さんは時々女の子や男の娘?の摘まみ食いをしているものの、七星さんは結婚以来他の男性とも女性とも寝てないと思う(彼女はバイを公言している)。七星さんは、鷹野さん以外にトラベリングベルズの黒木さんや海香さん!なども誘惑(?)したらしいが、相手が断ることを分かってて言っている気がする。ゆまに危うくやられ掛けたのを撃退!したのがあったくらいか。
 
ゆまはレイプ魔なので(但しバージン相手には“前には入れない”と言っている)、何人かの女子にちんちん切断の刑にされているらしい。七星さんも処刑しているが、松原珠妃なども襲われて「スパッと切り落としてやった」と言っていた。
 
珠妃は男の噂が全然無いことからビアンかと思われることもあるが「私はヘテロ」と言っている。それに「私はセックスの相手には困ってないよ」とも言うけど、私も樹梨菜も彼女の恋人の噂を本当に聞いたことがない。蔵田さんとの仲を疑われたこともあるが、純粋なゲイである蔵田さんが女性と恋愛することはありえない。それで樹梨菜も安心して珠妃と蔵田さんが2人で食事したりするのを容認している(女性同士で食事したりするのと同じ)。
 

ところで、アクアMの睾丸が11月3日に突然消滅して(消滅した理由をアクア本人は知らない。知っているのは私・千里・コスモスの3人くらい)、山村などの見方では、これまでアクアMの睾丸から出る男性ホルモンと、アクアFの卵巣から出る女性ホルモンがバランスしていたのが、睾丸が無くなって今後は女性ホルモンが支配的になるので、アクアMの胸も膨らむのでは?と予想していたのだが、少なくとも12月末時点ではMの胸が膨らんでくる気配は無いようである。
 
むしろ胸が膨らみ始めたのは、実は同様のバランス状態にあったのが崩れた西湖Mである。ただし本人はそのことを全然気にしていない。私は西湖はとうとう女の子として生きていくつもりになったのかもという気がしていた。
 
西湖の両親は西湖が密かに性転換手術を受けたと思い込んでいて、お母さんなどは本人に戸籍上の性別を変更することを勧めているが、本人はまだ渋っている。お母さんは「どうせなら高校卒業前に性別変更して卒業証書は女名前でもらおうよ」と言っているのだが。更に山村は西湖F(聖子)のほうを病院に連れて行き「卵巣や子宮もあり完全な女性である」という診断書を取っちゃったらしい。これを添えて裁判所に申告すれば多分西湖は性別の訂正を認められるだろう。
 
西湖は3年間女子高生をしていたので、今更男ですとは言えない気もするのだが。そんなこと言ったら体育の着替えや身体測定でさんざん下着姿などを見せ合っている同級生たちから殺される。西湖の中学時代の同級生たちは西湖が(高校入学前に)性転換したのだろうと思っているようだ。姫路スピカや花ちゃんなども、西湖はやはり高校入学前に性転換して女子高に入ったのだろうと想像しているようだ。
 

12月31日の早朝、政子たちを運んだG450は、その後、伊丹に回航して、今度は信濃町ガールズの関西地区の子たちを郷愁飛行場に運んだ。あけぼのテレビでお昼から放送する、§§ミュージックの年末カウントダウン生中継ライブに参加させるためである。
 
他に、九州の信濃町ガールズたちを佐賀空港からG650で、東海の子たちをホンダジェット2機で連れてきている。小牧から熊谷へ信濃町ガールズ東海の子を運んだホンダジェットの1機は、小浜での公演に参加するヴァイオリニスト6名(生方芳雄・荒井路代・桜沢玲美・大野恵美・中森弘恵・坂井絵奈)を乗せて、小浜に飛んだ。もう1機のホンダジェットは後述の理由で丘珠にフェリーした。またG450は、下記のメンバーを乗せて、小浜に飛び、その後夕方まで小浜で待機した。
 
竜木マネージャー、古城風花、上野美津穂、近藤詩津紅・妃美貴姉妹、羽鳥セシル、常滑舞音、川井唯、シンデレラ日美子
 
川井唯(エレメントガードのドラマー)は実は羽鳥セシルのボディガードである(詳細後述)。シンデレラ日美子についても後述する。
 
常滑舞音はビデオガールコンテスト2020では12位だった子である。本来は信濃町ガールズ本部メンバー(研修生)への勧誘対象外(練習生である、地方メンバーには希望すれば入れる)だったが、「今12位でも12ヶ月後には1位になります」と言ったので、その熱意を買って(やや実力不足とも思ったが)本部メンバーに入ることを認めた子である。
 
大きなことを言っただけのことはあり、東京に出て来てから、ほんとに熱心に練習していた。あれから半年ほど経って実際5-6位相当の所まで上がってきたと思う。12月には『少年探偵団』にもチョイ役(羽鳥セシル演じる美少女フルート奏者の伴奏ピアニスト役−彼女は実際にピアノもエレクトーンも上手い)で出演させたが、堂々と務めていた。
 
現在は信濃町ガールズの新人女子メンバーの中で甲斐絵代子とトップ争いをしている状況である。今回の公演にはその2人のどちらかを連れて行くつもりだったのだが、甲斐絵代子は直前に体調を崩したらしかった。インフルエンザやむろんコロナでもない(簡易検査キットで確認)。お姉さんの甲斐波津子によると「生理痛がひどくて」という話だったが、どうも最近の男の娘には生理のある子がいるようである。カウントダウンも休ませた。それで小浜には常滑舞音を連れて行くことにした。
 

ところで(広義の)“信濃町ガールズ”は下記のような構成になっている。
 
信濃町ガールズ東京(通称“本部メンバー”。狭義の信濃町ガールズ)
信濃町ミューズ(本部メンバーの中で高校生以上)
 
↑の2つの本拠地は五反野の研修所で、これに所属している子たちは身分的には§§ミュージックの“研修生”(B契約)である。これに対して、↓に属している子たちは練習生(C契約)である。括弧内は各々の本拠地の所在地で、四国以外は、そこに§§ミュージック研修所を置き、常駐スタッフもいる。
 
信濃町ガールズ北海道(朱雀林業札幌店内)
信濃町ガールズ東北(若林公園内)
信濃町ガールズ関東(大田区サテライト内)
信濃町ガールズ東海(名古屋・若山民謡教室内!)
信濃町ガールズ北陸(火牛スポーツセンター内)
信濃町ガールズ関西(大阪 ムーラン関西本部内)
信濃町ガールズ中国(SFミュージックスクール広島校内)
信濃町ガールズ四国(高松近郊の廃校)
信濃町ガールズ九州(§§ファン3号店本部内)
信濃町ガールズ沖縄(北那覇リゾート内)
 
新潟は北陸、長野・山梨は関東、岐阜・三重は東海に組み込まれている。但し、新潟から関東に、長野から東海に、岐阜北部から北陸に参加してもよい。実は岡山在住で関西に参加している子や、山口県下関市在住で九州に参加している子もいる。どこに参加するかは個々の任意である。むろん沖縄在住で北海道に参加しても良い!過去に希望した子は居ないが!?
 

四国以外の本拠地に作られた研修所は、§§ミュージックまたは関係者の私的な所有物件内にある。研修所が確立する前は、その子たちも四国の子たちと同様、公共の公民館や廃校などで練習していた。四国も今年中には固定の研修所を作りたいと考えている。
 
“朱雀林業”は漢字ではこう書くが“フェニックス・フォレストリー”と読む!?千里の3番目の製材所(深川市内)の札幌営業拠点で、朱雀化学(フェニックス・ケミカル)の北海道支店も併設する。その敷地内に録音設備や個人練習室などもあるスタジオを作っている。実は地下が§§ミュージック研修所で2階は札幌を拠点とする社会人女子バスケットチーム“スノーフェアリーズ”の本拠地となる体育館になっている(1階はエントランスや駐車場)。ここの建設費は私が3割、千里が7割出した。朱雀林業は現在、スノーフェアリーズのスポンサーのひとつにもなっている(資金提供の代わりに練習場所を提供している)。このチームのキャプテンの鞠古さんという女性?が千里の古くからの親友らしい。
 
名古屋の若山民謡教室は風帆伯母(若山鶴風)が主宰する教室だが、私はその教室の“名誉師範代”である(いつの間にか任命されていた!)。近年、多くの民謡教室が閉鎖されて、その“難民”が流入した結果、これまでの教室が手狭になっていたことから、2019年に私が資金の大半を出して新しい場所に、お稽古部屋4個と小型練習室8個を持った新しい教室を建設。定期公演や名取りのお披露目公演などをするための小ホールも併設した。その小ホールを信濃町ガールズの子たちの練習場所として提供した。
 

SFミュージック・スクール広島校は、元々現地の学習塾が運営していたものだが、経営破綻した後、一部の講師のコネから神奈川のSF音楽学院が再建に乗り出した。施設・備品を管財人から買い取り、スタッフの大半を再雇用して3ヶ月の休校を経て授業再開されたが、その再建資金を海浜ひまわりが半分提供したら、理事長に任命されてしまったらしい!
 
彼女はSF音楽学院のOG(正確には在籍していただけで卒業はしていない)で、元校長の親族でもある、また元々広島県内に親戚が多い。実は彼女の又従姉妹がここの生徒だった。ひまわりは五反野の女子寮に不法滞在?していたわりには実は作曲印税で潤っているので結構な資金を持っている。広島校はたくさん教室があるので、ここで信濃町ガールズの練習もさせてもらっている。
 
ひまわりの不法滞在の理由は謎だが、実家に戻ると父親の経営する会社の有望社員などと結婚させられそうと思い“不良娘”を装っていたのでは?という説(発信源は多分姫路スピカ)も最近はあるようである。あくまで“説”だが。実際問題として料理も掃除も苦手(いつもゆりこから弁当のからや空き缶を捨てるよう言われている)で、お金の計算ができず(目の前にあるお金は後先考えずに使ってしまう性格)、車の改造とレースやラリーにバイクのツーリングが趣味などという彼女には会社員の妻など務まる訳が無い。
 
実は彼女の印税は花ちゃんが管理してあげている。でないと彼女はきっと所得税も払えなくなる。ひまわりがカードを所持している口座にはいつも10万円程度しか入っていないし、クレカも全部花ちゃんが管理している!「新しいタイヤ買うのにお金欲しい」「月末まで我慢しなさい」などとよく花ちゃんとやりとりしている。しかし広島校の再建資金を提供できたのも、花ちゃんがお金を管理してあげていたお陰である。
 
高松近郊の廃校というのは自治体の所有物件で、しばしば地元のイベントなどでも使用されている。§§ミュージックはここを借りて主として音楽室で練習をしていたが、今年の春以降は三密回避の観点から体育館を使わせてもらっている。
 

仙台のクレール青葉通店内に設置したグッズショップ“§§ファン”は好評だったので、その後、津幡町のアクアゾーン内に2号店、鳥栖市内に3号店をオープンした。基本的に三密回避のため“人が集まらなそうな”場所を選んでいる。
 
信濃町ガールズ九州の子たちは、それまで福岡市内の公共施設などで練習していたが、この施設ができてから、定期練習場所をそちらに併設したスタジオに移動した。メンバーたちは最初は不便な場所になったと不平を言っていたが、少し運用すると、みんな“実は便利な場所”であることに気付いた。鳥栖市は関東で言うと大宮とか高崎に似て、交通の要所である。新幹線の新鳥栖駅もあるし、UターンできるJCTとして有名な鳥栖JCTもある。太平洋戦争後にアメリカ軍が進駐して来た時、九州では最初に鳥栖に来ている。交通上の重要性を考えたからである。ここはTKRのネットライブ放送拠点にもなっている。
 
北那覇リゾートは“那覇”を名乗っているが、本当は恩納村にある。那覇の不動産会社が開発したものであるが、その中心付近に、明智ヒバリがノロをしている御嶽(うたき)がある。ここは本来住宅地として開発したのだが、沖縄料理のお店やアクセサリーショップが評判になったり、インスタ映えすると言われて風景写真を撮りに来る人が続出したりして、観光客が増えてきた。沖縄そばの店、サーターアンダギーの出店、ハンバーガー屋さんまでできてしまったので、開き直って、集客目的も兼ねて2018年に美術画廊と小ホールが作られた。そしてヒバリ自身、および彼女が招いた沖縄県内の様々な音楽家の演奏会が毎月開かれるようになっていた。
 
それでリゾート所有会社の社長さん(ヒバリのファンクラブ会長!)と話して、ここで信濃町ガールズ沖縄(現在4名)の練習もさせてもらえるようになっていた。指導しているのは、実は木ノ下大吉先生、先生の奥さん(元歌手で支部長兼任)とヒバリである。練習が終わった後は木ノ下先生の家で夕飯をごちそうになるのが流れになっているようだ。最も家庭的な支部である。恋珠ルビーは友人が参加していたことから、自分も入れてもらおうとしたのだが、歌を聴いた木ノ下先生に「君は上手すぎるから、ぜひオーディションに出なさい」と言われて、ビデオガールコンテストに応募したらしい。
 

今回のカウントダウンでは、東北・北陸の子たちが各々の本拠地からの中継で参加(織姫・火牛には中継設備がある)、関西・関東・九州・東海の子は東京に連れてきて深川アリーナでパフォーマンスをした。
 
残りの、北海道・中国・四国・沖縄の子たちは取り敢えず拠点に集まってもらった。実は人数の少ない沖縄以外については北陸か九州に(感染者が出るなどの)事故があった時の予備待機の意味もあった。関西の子を熊谷まで運んだ後のG450は(美津穂や詩津紅たちを乗せて)小浜に飛ばし、ホンダジェットの一機は旭川にフェリー(無乗客回航)して万一の場合に備えていた。
 
カウントダウン&ニューイヤーライブは2021年1月1日0:00-1:00のアクアのライブで終了となる。それ以前に各地区のガールズたちは17時までに各地区のホテルに入ってもらい、小浜と丘珠のG450とホンダジェットも郷愁飛行場に戻す。深川での公演に参加した子たちも中学生以下は20時までに、高校生以下も22時までに都内のホテルに入れ、最後まで参加した子たちも公演終了後ホテルに送り届けた。
 
私は1月1日の朝、後事をコスモスに託して、郷愁飛行場からG450で、小浜のミューズ飛行場に飛んだ。
 
一緒に飛んだのはこの13名である。
 
内輪?(5)鱒渕マネージャー、青葉、姫路スピカ、七尾ロマン、恋珠ルビー、
 
ColdFly5+3 (8) 米本愛心・田倉友利恵・栗原リア・花咲鈴美・木原扇歌・坂出モナ・山里エルカ・弘田ルキア
 
スピカと愛心がアクアのネタで“かなりやばい”話をしているのをモナやリアがかなり興味深そうに聞いていた。ルキアはかなりドキドキしていた。
 
この便の乗客はほぼ女子で、弘田ルキアが黒一点のはずだったのだが・・・降機した時はスカート姿だった。モナとスピカが、彼をうまく乗せて“用意されていた”スカートに機内で穿き替えさせたのである。私は呆れて見ていたが、なぜ彼に合うサイズのスカートが用意されていたのかは、よく分からない!
 
でもルキアは本当にスカート姿がよく似合うし、スカートを穿いていれば誰も女の子だと思って疑う人はいない。
 
この他、ホンダジェット(Red)でこの5名(建前上は3名)を運んでいる。
アクアF・アクアM・葉月F・葉月M・千里
 
アクアたち4人をサロン席に乗せ、千里は補助席に座っている。
 
このRedは§§ミュージックの所有で融通が利くので、千里の友人で絶対に信頼がおけるというパイロットに飛ばしてもらっている。アクアたちも葉月たちも堂々とFとMが一緒に飛行機に乗れて喜んでいた。特に葉月たちにとっては、こういうことをする(最初で)最後の体験になって、良い想い出になったと後に葉月は言っていた。
 
なお、公演のもうひとりの参加者で高岡在住の田中世梨奈(津幡のアクアゾーンに勤めている)は、矢鳴春花さん(千里の主担当・矢鳴美里の妹)に千里のオーリスを運転して高岡まで行ってもらい、車で小浜まで運んだ。オーリスを使ったのは比較的室内が広くて寝て行きやすい車だからということらしい。
 

2021年1月1日 9:00 恒例の§§ミュージック新年会を始める。
 
普段の年は、1月1日にアクアの博多ドーム公演をするので、その後、ドーム近くのヒルトンホテルで、全国から(集まれる範囲て)集めた信濃町ガールズとその保護者たちと一緒に新年会をしていた。しかし今年は一箇所に多数を集めることができないので、ネットを通したリモート開催となった。
 
(この日も博多ドームとヒルトンホテルは予約していたので、私たちは規定のキャンセル料をどちらにも払った。そして2022年1月1日も博多ドームとヒルトンホテルの予約した)
 
新年会の参加者は下記の各地に居る。
 
ケイ・アクア・今井葉月・姫路スピカ、七尾ロマン・恋珠ルビー、常滑舞音
→小浜ミューズセンター内各個室
 
それ以外のA契約しているタレント
→女子寮または大田区のサテライト(1組ずつ個室)
 
信濃町ガールズ東京・信濃町ミューズ(男子メンバーを含む)
→五反野の女子寮(各個室)
 
信濃町ガールズ関東・関西・東海・九州
→泊めている都内のホテルの各個室
 
信濃町ガールズ北海道→札幌市内のホテル各部屋
信濃町ガールズ東北→若林公園の合宿所個室
信濃町ガールズ北陸→火牛ホテルの個室
信濃町ガールズ中国→広島市内のホテル各部屋
信濃町ガールズ四国→高松市内のホテル各部屋
信濃町ガールズ沖縄→木ノ下大吉先生宅!
 
4人しか居ない沖縄以外は全員個室からの参加となった。5人以上での会食を禁止するというルールに沿っている。沖縄以外で4人は、リセエンヌ・ドオが入った研修所の地下練習室だけである。
 
東京では男子寮は使用していない。背景がひどすぎるかも、と花ちゃんが言ったので、女子寮の空き部屋に入れた。ついでに
「そのままこちらに住んでもいいよ」
と言ったら、数人悩んでる子がいたらしい。
 
ネット中継するための設備は、ふだんネットライブに映像又は音声で参加できるようにファンの自宅に持ち込んでいるのと同様の機器をホテルや合宿所などの各部屋に設置している。ネット中継には実はあけぼのテレビの隠し回線(内部での通称“Cチャンネル”)を使用している。
 

大田区サテライトに居るコスモスが開会の挨拶をした後、小浜に居る私が音頭を取って乾杯した。その後、本来はA契約のタレント24名が各1分ずつの挨拶をするところである。
 
アクア、品川ありさ、高崎ひろか、西宮ネオン、姫路スピカ、花咲ロンド、石川ポルカ、白鳥リズム、原町カペラ、桜木ワルツ、山下ルンバ、桜野レイア、東雲はるこ、町田朱美、今井葉月、大崎志乃舞、佐藤ゆか、南田容子、高島瑞絵、山口暢香、七尾ロマン、恋珠ルビー、川崎ゆりこ。秋風コスモス。
 
だが・・・挨拶だけで30分かかるのは参加者にとって苦痛なので、全体を代表して“最古参”である品川ありさだけ実際に挨拶し、他の人は挨拶文を印刷したものを全員に配布することで挨拶に代えさせてもらった。ただし、昨日で引退した桜木ワルツだけは生で挨拶させ、盛大な拍手が贈られていた。
 
研修生たちも全員この会合には参加している。体調不良でカウントダウンを休んだ甲斐絵代子も寮内の個室からわりと元気そうな顔を見せたので、少しは回復したかなと私は思った(後から聞くと千里が中村晃湖さんを呼んでヒーリングしてもらったら、かなり良くなったらしい)。
 
挨拶が終わった後、「もう食事を食べ始めていいですよ」という川崎ゆりこの指示があり、その後、各歌手の歌唱も行われた。
 
歌唱は↑に書いた順序(花ちゃんが決めた“デビュー順”)だが、ローズ+リリーのライブに出るメンツは優先された。アクアが歌った後は、スピカが歌い、葉月が歌い、七尾ロマンと恋珠ルビーが歌ってから、品川ありさ以下が歌うという形で順序変更が行われた。また桜木ワルツは最後の川崎ゆりこの直前に歌って、また大きな拍手をもらい、また涙を流していた。コスモスは「パス」と言って歌わなかったので、ゆりこがトリとなった。
 
私はアクアの歌だけ聴いてから、中継参加を打ち切り、仮眠した。
 
なお例年、この新年会の参加者にお年玉を渡しているのだが、今年はリモートになったので、お年玉は振込にさせてもらった。
 

私は11:30頃に妃美貴に起こしてもらった。顔を洗ってからライブの衣装に着替えメイクもする。
 
新年会とローズ+リリーのライブの両方に出たメンバーだが、アクアと葉月については、実は新年会(但し冒頭の30分くらいのみ)に出たのがMで、ローズ+リリーのライブに出たのはFである。葉月Mも参加しているが、それについては後で書く。姫路スピカ、七尾ロマン・恋珠ルビーは順序を変えてもらって早めに歌ったのでその後は川崎ゆりこの指示で仮眠していた。常滑舞音も最初の乾杯にだけ参加して、後はやはり川崎ゆりこの指示で寝ていた。
 
私は政子の部屋を訪れて、一緒にステージに向かう。政子には風花が付いていて、準備をさせてくれていた。
 
ステージの緞帳は降りている。私と政子は緞帳の裙をめくって客席を見てみた。
 
中央より少し手前のPA席のそばに、あけぼのテレビのメインカメラが設置されている。PAの市川有咲(旧姓町田)と助手、それにカメラさんが、私たちを見て手を振っている。私たちも手を振り返した。ステージを映すカメラは左右にも1台ずつ、3台設置している。また、ステージの左右の袖下に客席を映すカメラも1台ずつ設置している。また天井から吊り下げたカメラも3台ある。他に移動カメラも2台あり、合計10台のカメラが使用される。
 
座席には約1000セットの(ファンの自宅に設置したカメラとつながる)パソコン+プロジェクタ、約5000セットの(ファンの自宅とつながる)スピーカー、そしてファンから事前にメールしてもらった約18,000枚の顔写真(コスプレ写真も多い)または手書きの似顔絵を印刷して合板に貼ったものが並んでいる。プロジェクタと書き割りおよび100名ほどのスタッフでミューズシアターは満員である。
 
「結構壮観だよね」
とマリが言う。
「リアルタイムで観客さんたちと繋がっているからね」
と私は答える。
 

2021年1月1日12:00.
 
あけぼのテレビでの放送が始まる(★★チャンネル・ЮЮネット同時配信)。この初期段階でこの3つのネットにリアルタイムで接続した人の数はЮЮラジオの視聴者を除いても200万人を越えていたらしい。
 
降りたままの緞帳の前に、豪華な加賀友禅の振袖を着た姫路スピカが下手から出てくる。今日の司会進行役である。大量に設置したスピーカーからファンの歓声があがる。
 
「スピカちゃーん!」
という多くの歓声に、スピカが手を振って答える。
 
「これより2021年ローズ+リリー・ニューイヤーネットライブを福井県小浜市のミューズシアターからお届けします」
 
と開会の宣言をすると多数の拍手が鳴り響く。
 
「私自身が12月6日にこのミューズシアターでネットライブをしたばかりなのですが、今回はローズ+リリーさんのライブの司会を仰せ付かりました。こういう大役はあまり経験が無いので、とちっちゃったりしたらごめんなさい」
 
というと拍手が鳴り響く。
 
「私事(わたくしごと)ですが、私も今月成人式を迎えるので」
とスピカが言ったところで
 
「成人式おめでとう!」
という声がたくさん響き、スピカはカメラに向かって手を振る。
 
「やはりこれからはおとなの歌手として成長して行ければと思っています」
 
また多数の拍手があった。
 

テレビの画面にはスピカの姿の他に、座席に並んだ大量のプロジェクタ及び書き割りも映すが、座席の前の方に“リアルに座っている”100人ほどの“観客”の姿も映す。これを見て、ごく一部だけ観客を入れているのかと思った人もあったようである。
 
これについてスピカは説明した。
 
「このライブは小浜市のミューズパークにあります、ミューズ・シアターで行っています(*1)。会場には1000台のモニター、5000台のスピーカーが並んでおり、これらは全国6000人の抽選で選ばせて頂いたファンの方の御自宅と繋がっていて各々のファンの方の映像や歓声がリアルタイムでこの会場に伝わるようになっています。これは昨年3月の東日本大震災復興支援イベントでXAMFUSさんの提案により採用された方式で、その後、多少の進化を遂げています(*2)」
 
(*1)ミューズセンター・ミューズシアター・ミューズアリーナのある部分が“ミューズパーク”で、旅館・藍小浜、千里所有の体育館・小浜ラボ、コンビニ、多数のお花が咲いている碁盤公園などがあるのが“ミューズタウン”である。
 
コンビニは期間限定の開設予定だったが、ミューズセンターや藍小浜の従業員、旅館の客、ミューズアリーナに練習に来る高校生などが来店するので。結果的に常設店舗に昇格した。
 
ミューズ飛行場は、ミューズタウンから更に1kmほど山を登った所にある。距離的には近いが、森林が間にあるし、そんなに多く発着がある訳でもないので藍小浜では騒音はあまり無い。なおミューズタウン内にあったヘリポートは、ミューズ飛行場ができたのでそちらでヘリも離着陸できることから、廃止している。千里所有のヘリ(2018年のライブでアクアを運んだ機体)と若葉所有のヘリが1機ずつ、ミューズ飛行場に常駐しているほか、県警と消防のヘリもここに駐機させてもらうことになったらしい。
 
(*2)当初はモニターとスピーカーがセットで、映像提供してくれるファンが声援にも参加していたが、両者を分離して映像参加組と音声参加組に分けた。
 
また、ファンの所に配布するWebカメラやマイクは“回収しない”方式に改めた。これにはいくつかの理由がある。回収のための包装・送付にとても費用が掛かること。完全な消毒が困難であること(悪意をもって唾液などを内部にまで付けられていたら、消毒作業自体が危険である)。回収した機器は故障している可能性があり、そのチェックが事実上不可能であること。それで一見もったいないようには見えるが、回収しない方が実はエコであるという結論に達したのである。
 
だから実は回収したのは震災イベントの時だけで、それも結局、回収した機器は私の決断で全部廃棄させてもらった。
 

姫路スピカの説明は続く。
 
「今回初めて導入したのが、テレビの画面を見ておられる方には、見えていると思います、前列の方に陣取った100人の観客です。実はこの100人はここには居ません」
とスピカが言うと、会場に設置した観客スピーカーから多数のどよめきが起きる。
 
「テレビ画面に映っているのは、実は全国各地にいる信濃町ガールズの子たちから選抜した100名です。選抜条件は、身長160cm前後の女子というものですが、女子に見える子なら中身が男子でも構いません。もれなく女の子の服とブラジャー・キャミソール・パンティをプレゼントしました」
 
と言うと、観客スピーカーから笑い声が多数あがった。
 
「実はここに映っている“疑似観客”は、各々の居る場所で、ここのシアターと同じ仕様の椅子に座り、前後左右の4方向からカメラで撮影されています。その画像をネットでこちらに送ってもらい、ミューズセンターにある2台のスーパーコンピュータで処理して、テレビ画面にそこにあたかも客がいるかのように映しこんでいるのです。この合成の処理を簡単にするため、160cm前後の女子に限定させてもらいました」
 
「完全に再現した上で、この会場に居る私や出演者にも立体映像で見えるようにするには、1人につきスーパーコンピュータ1台必要だそうです。これは2018年のカウントダウンライブでここ小浜の特設会場で立体映像のマリさんとリアルのケイさんが一緒に歌うのをご覧になった方もおられるかも知れません」
 
とスピカが言うと、会場に並んでいるモニターに映るファンの中に、頷いている人たちもある。
 
「しかし今回はテレビに映る程度のサイズに限定したことと、現場には立体映像を映さず、テレビ画面だけに合成するので、計算量が大幅に削減できて、スーパーコンピュータ2台使うと、100人分の映像を処理できるのだそうです」
 
とスピカは説明した。
 
この件に付いては事前にホームページなどで公開してもよかったのだが、それだけでは読まない人が大多数で「ローズ+リリーは密を発生させている」などと言われては困るので、時間は喰うものの、司会者のスピカに口頭で説明してもらったのである。
 
「でもこの役目は大変なんです。ライブ中はトイレとかに行けませんので」
 
とスピカが言うと、観客スピーカーから爆笑する声が多数聞かれた。
 
(実際にはトイレに行っている間、家族や友人を代わりにカメラの前に座らせておいた人が何人かいたようである:観客の年齢や性別が唐突に変わったりする)
 

「それでは最初の曲です」
とスピカが言って、やっと演奏が始まる。
 
「1曲目は、先日発売したばかりのアルバム『ホームワーク』から『リモート合唱の歌』」
 
ととスピカが言ったところで緞帳があがる.サンタガール風の衣装をつけた私とマリが映るので、拍手と歓声があがる。例によって、マリの衣装は白で私の衣装は赤である。
 
「明けましておめでとうございます!ローズ+リリーです」
と私とマリが一緒に言うと、観客スピーカーから多数の拍手・歓声がある。
 
「何で私たちサンタさんみたいな衣装なの?もうクリスマス終わったのに」
「西洋ではまだクリスマスウィークだよ。12月25日のクリスマスから1月6日の公現節までの“十二夜”はクリスマスの期間」
「そうだっけ?」
 
「東方教会のロシアとかだと、サンタクロースそっくりのマローズ爺さんは1月1日にクリスマスプレゼントを配る。ロシアでは1月1日にツリーを飾るんだよ」
 
「爺さんなの?」
「お姉さんでいいよ」
「じゃマローズ爺さん(Дед Мороз ヂェット・マロース)の孫娘のマローズ姉さん(дочь Мороза ドッチ・マローザ)ということで」
 
「爺さんと娘さんが似てる気がする」
「気のせい、気のせい」
 

私たちの真ん前に2台の移動カメラが寄ってくる。そして私たちの後方には大きな映写スクリーンがあり、それが12分割されている。中央に私とマリが映っている。私は自分の目の前にいるカメラに向かって言った。
 
「この歌を歌ってくれる人を紹介します。
┏━━┳━━┳━━┳━━┓
┃北海┃東北┃関東┃東海┃
┣━━╋━━╋━━╋━━┫
┃北陸┃ケイ┃マリ┃関西┃
┣━━╋━━╋━━╋━━┫
┃中国┃四国┃九州┃沖縄┃
┗━━┻━━┻━━┻━━┛

「信濃町ガールズ北海道・細山鈴菜、信濃町ガールズ東北・花道一菜、信濃町ガールズ関東・諸原由夏、信濃町ガールズ東海・森村雪子、信濃町ガールズ北陸・加治秋恵、信濃町ガールズ関西・鈴原牧奈、信濃町ガールズ中国・横山大子、信濃町ガールズ四国・榊原瑞菜、信濃町ガールズ九州・渡辺聖美、信濃町ガールズ沖縄・平良百合、そして私たちマリとケイの12名で歌います」
 
「ちなみに各地区支部の歌唱者の決定は、各支部に任せていますが、ジャンケンで決めた地区、あっちむいてほい決めた地区、くじ引きで決めた地区、オセロ大会で決めた地区、大量ワサビ寿司のロシアンルーレットで決めた地区、女装コンテストで決めた地区など、色々だったそうです」
 
「すみません。女装コンテストって参加者は男子ばかりだったんですか?」
「男子は1人だけで、予選で落選したそうです。全然女の子に見えなかったので」
「じゃ女子で女装コンテストしたんですか?」
「そうらしいですよ」
「趣旨がよく分からないのですが」
「私も分かりません」
 
予選がビキニの水着で、決勝がフライトアテンダントだったらしいが、予選の敷居があまりに高すぎる。ビキニの水着を平気で着られるのは、アクアとか、弘田ルキアとか、三陸セレンとかのレベルだ。本当に男の子なのかという疑問は置いといて。木下宏紀の女子水着姿も見たこことがあるが、きっと彼はもう男の子ではない。
 

録音された伴奏が始まる、8小節の伴奏を聴いてから私たちは歌い始めた。今回歌唱者は次の場所からネット中継で歌っている。
 
北海道 朱雀林業内スタジオ
東北 クレール若林店2号館
関東 あけぼのテレビ内
東海 同上
関西 同上
九州 同上
北陸 津幡アリーナ
中国 SFミュージックスクール広島校内
四国 同上)
沖縄 木ノ下先生宅
 
新年会の乾杯の時は全員ホテルなどに居たのだが、この歌唱に参加する子にはその後、移動してもらって高速ネット環境のある所に来ている。四国の子は実は夜間に移動してもらって新年会には広島市内のホテルから参加してもらった。中国代表の子と一緒に11時すぎにホテルを出てSFミュージックスクールに入ってもらっている。むろん別の部屋から中継する。あけぼのテレビに入ってもらった4人も別の部屋である。
 
木ノ下先生の御自宅は、実は松本花子のために高速回線の設備がある。
 
今回伴奏に録音を使用したのは、リアルタイムの伴奏では、ネット伝達の時間差のために合わなくなるからである。それで実際にはその時間差を考慮したタイミングで伴奏をスタートさせている。だから本当は全員違うタイミングで歌っていた(沖縄の人が最も早く、続いて北海道の人が歌い出している)のだが、それに時差が加わって同じタイミングの合唱になるようにしていたのである。
 
全歌唱がそもそも全て録音なら全然難しくないのだが、リアルタイムて演奏することにこだわったので、技術陣の皆さんには苦労を掛けた。
 

歌が終わって拍手がある。私はあらためて歌唱者をひとりずつ紹介する。更に私が「テクニカル・ディレクター、則竹星児」と全国各地の技術陣の指揮を取った則竹部長を紹介すると、すかさず私が密かに依頼していたスタッフが則竹さんの顔を映すので、則竹さんがびっくりしていた!
 
姫路スピカが拍手しながら出て来て
「ピタリと合いましたね。私はリハーサル見ててタイミング外れまくっていたので大丈夫かなと少し心配していたのですが、みんな本番に強い女だったようです」
 
などと言う。
 
「次の曲は3月に発売した『君に届け』」
と紹介すると大きな拍手がある。
 
映写スクリーンが巻き上げられると、その後にスターキッズがいる。酒向さんが威勢良くドラムスを打ち始めると、ドラムスのラインまで下がっていた、近藤さん(Gt)・鷹野さん(B)・七星さん(Fl)が出て来て、伴奏を始めた。
 
そして私たちも歌い始めた。200万枚を突破した、現時点でローズ+リリー最大のヒット曲である。それまでの最高は2018年の『お嫁さんにしてね』で、これは実は私の名義にはなっているが本当は千里の代筆だったので、私としてはスッキリしなかった(印税はむろん全額千里に渡している)。『君に届け』は今度こそ自分自身の作品で特大ヒットになったので、私としても随分自信を取り戻せた作品である。
 
演奏が終わった所で演奏者を紹介する。
 
「ギター・近藤嶺児、ベース・鷹野繁樹、ヴィブラフォン・月丘晃靖、ドラムス・酒向芳知(さこう・よしとも)、フルート・近藤七星(こんどう・ななせ)、以上スターキッズ」
 
各々に拍手がある。
 
「ピアノ・近藤詩津紅、私のお友達」
 
また拍手がある。
 
私は補足する。
 
「近藤さんがたくさんいるのですが、近藤嶺児と近藤七星が夫婦で、近藤詩津紅は無関係。偶然苗字が同じだけです。親戚とかでもありません。私と近藤詩津紅は高校時代に“綿帽子”というユニットを組んでいました」
 
「まあ、かれこれ40年くらいの仲だよね」
と詩津紅が言うので
 
「まだ30歳にもなってないよ!」
と私が言うと(あと9ヶ月は言える)、観客から爆笑が起きていた。
 

少しおしゃべりしてから次の曲を告げる。
 
「次は『玄武−泉を守る娘』。今日はここだけの話ですが、杉田純子バージョンで」
と私が言うと、忍び笑いが漏れる。
 
全国放送して200万人が見ているのに「こごだけの話」は無いが、レコード会社と杉田純子ちゃんが所属していた事務所への遠慮である(事務所の社長は偶然このライブを観ていて苦笑したらしい)。
 
七星さんはアルトサックスに持ち替える。トランペットを持った香月さん、フルートを持った世梨奈、龍笛を持った千里、ギターを持った宮本さん、クラリネットを持った美津穂が入ってくるが、会場のスポットライトがホール側面にあるパイプオルガンの所に当たる。カメラもそこにズームする。
 
パイプオルガンの前には山森さんが座っている。近藤さんの合図に合わせてパイプオルガンを弾き始める。何と16小節もパイプオルガンのソロを入れた後で、酒向さんのドラムスも打ち始められ、他の楽器も一斉にスタートする。パイプオルガンから始めて1分以上経ってから、私とマリは歌い始めた。
 

実は昨年このミューズシアターに隣接するミューズアリーナの方の感染対策を見にきた時
「お金がどんどん増えているんだよ。何とか減らす方法思いつかない?」
 
などと若葉が言うもので
「シアターにパイプオルガンでも入れる?」
と言っておいた。
 
私はジョークのつもりだったのだが、若葉は本当にパイプオルガンを作ってしまったのである。千葉市の楽器メーカーで、ピアノやギター、管楽器なども製造販売している会社(ビアノ教室・ギター教室なども運営している)が、パイプオルガンについても定評があり、ドイツ系のオルガンを国内だけでなく、全世界で設置・販売している。
 
そこも、このコロナの影響でセールスが落ちているらしかった。それで若葉の注文に応じて、わずか半年で作ってくれたのである。実は12月25日(金)に受け渡されたばかりである。今回山森さんがローズ+リリーのライブに久々に参加してくれた最大の理由は、この新しいパイプオルガンを弾いてみたい!ということであったと思う。
 
最新のシステムなので、ストップの操作はメモリーに記憶させておき、エレクトーンなどにあるように、鍵盤の段差の所のボタンを押すことで瞬時に切り替えることができる。そのため、ストップ操作のための助手が居なくても演奏できる。また、演奏台の所に液晶モニターがあってステージが見えるので、これで指揮者やバンドリーダーなどの動きを見て演奏することができる。
 
この『泉を守る娘』のオリジナルバージョン(「みんなのうた」で放送されたもの)には、NHKホールのパイプオルガンの音が入っていた。今回のライブではその演奏を再現している。私たちは昨年、この曲のオリジナル版にかなり近いものを白鳥リズムに歌ってもらい、彼女のアルバムに入れてもらったのだが、その時は適当なパイプオルガンが利用できなかったこともあり、電子オルガンの音で代用している。今回初めて元のバージョンに近いものが再現できたのであった(ちょっと前奏が長かったが)。
 

ステージの右手、上手袖近くに、長い髪で、平安時代の女性の普段着、袿(うちき)を着た女性がセリ(*3)で上がってくる。そばに井戸のようなセットもある。
 
少しおいて、今度は狩衣を着けた男が上手袖から出て来て、井戸の傍の女性に何か要求しているが、女性は拒否している。
 
やがて男は腰に下げていた刀を拭く。それで「斬るぞ」という姿勢だが、女性はひるまない。にらみ合いがしばらく続いた後、男が本当に女性を斬ろうとして刀を高く上げる。
 
するとそこに落雷!があり、刀に雷が落ちて、男は倒れた。
 
ちょうどそこで終曲である。
 

(*3) 古風な衣装でせりを昇るので裾の短い衣装を使用(最初提案された裳の使用を私が却下した)した上で、万が一にも事故の無いよう、衣装がひっかからないか3人以上の目でチェックするように指示している。1958年には宝塚で、セリの歯車に衣装の裙がひっかかった女優さん(21歳)が金属の輪が入った衣装だったため、それが締まる形になり、胴体を真っ二つに切断されて即死する事故が起きている。この人は体調を崩した別の女優さんの代役だった。大きなチャンスが不幸に転じてしまった。当時の宝塚のセリ機構は今では考えられないが、機械部分が剥き出しで、現場検証した当局から、これはいつかは必ず起きた事故と批判された。
 
ミューズシアターや火牛アリーナなどのセリは、むろん機械部分は全てプラスチックカバーで覆われている上に、何か抵抗があれば即時停止する安全装置なども組み込まれている。近年のセリ装置はどこでもそういう仕様だろう・・・と信じたい。
 
むろん金属を使用した衣装なども絶対に使用しない。スカートのフレームなども樹脂などの、簡単に折れる素材を使用している。金属を使った衣装は、セリでなくても他の事故を起こしかねない。以前使用したスターウォールのロボットのような衣装も全て布製品で作り、表面に銀色の塗装をしたものだった。
 

拍手がある。私は演奏者を紹介する。
 
「オルガン・山森夏樹」
 
盛大な拍手があり、山森さんはそれに応えて、短いフレーズをプリンシパル音で入れる。
 
「トランペット・香月康宏、セカンドギター・宮本越雄(えつお)、以上、スターキッズ・フレンズ」
 
「フルート・田中世梨奈、クラリネット・上野美津穂、龍笛・醍醐春海、以上、私のお友達」
 
「泉を守る娘を演じてくれたのは、研修生の常滑舞音(とこなめ・まね)です。ちょっと早口言葉みたいな名前ですね。常滑舞音・常滑舞音・常滑舞音と3回言ってみて」
と私が言うと、マリが発音していたが
「言えない!“とこなめまめ”になっちゃう!」
と簡単に諦めていた。
 
「娘を襲おうとして、そこに倒れている男については後で紹介します」
と私が言うと、笑い声が起きていた。
 

平安衣装の常滑舞音が上手に退場し、下手からアルトサックスを持った青葉が出てくる。
 
「次の曲は『雪が白鳥に変わる』です」
 
それでまた山森さんのパイプオルガンから伴奏が始まる。それを含めて16小節(約40秒)の前奏を聴いてから、私たちは歌い始める。
 
あけぼのテレビで見ている人たちは、演奏中に雪が降ってくるのを見るが、これは実はテレビ画面のみに映っている、副調整室で合成しているものである。
 
間奏が終わった所で、さっきの『泉を守る娘』で雷に打たれて倒れた狩衣姿の男がおもむろに立ち上がる。そして彼に虹色の回転するスポットライトが当たる。
 
曲がクライマックスにかかる所で、テレビ画面の中の雪が白鳥の姿に変わり始めるのだが、狩衣衣装の男は、虹色のスポットライトの中、すーっとワイプするように、五衣唐衣裳(俗称十二単)に変わってしまった。観客席スピーカーから驚くようにどよめきがある。
 
そして女性装束に変わった元男'?)は扇を取り出すと、舞を舞い始めた。その美しい舞に思わず拍手が起きる。
 
そして終曲。
 
盛大な拍手と歓声があった。
 

「紹介します。アルトサックス・大宮万葉」
 
大きな拍手がある。
 
「狩衣姿の男から五衣唐衣裳(いつつぎぬ・からごろ・も)の女に衣装チェンジした人、羽鳥セシル。セシルちゃん、ちょっとおいで」
と言って、私は彼女を呼び寄せるが時間がかかる!
 
この衣装はなかなかスムーズには動けないようである。
 
「セシルちゃん、女の子になった感想は?」
「素敵ですね。男より女の方がいいですよ。ボク、女の子になっちゃったから、新学期からはセーラー服で学校に通うことにします」
「それは良かったね。頑張ってね」
と私は彼女を激励した。
 
それでセシルは退場するが、観客はかなり戸惑っている。
 
私は補足する。
「今の曲で降っていた雪が飛翔する白鳥に変化したのはコンピュータによる画像編集なのですが、セシルちゃんが、狩衣姿から五衣唐衣裳にチェンジしたのは、私たちステージにいる人もその一瞬の変化を目撃しました。あれ、どうなっているんですか?シンデレラ日美子さん」
 
と私が声を掛けると、舞台の裙に居たイリュージョニスト・シンデレラ日美子さんが、黒いボディスーツに黒の網タイツという、これに“うさ耳をつけたら”バニーガールという感じの衣装で出てくる
 
「明けましておめでとうございます」
と挨拶するので、私とマリも
「明けましておめでとうございます」
と挨拶する。
 
彼女が出て来たので、今のはイリュージョンだったのかと、多くの視聴者が納得した。あけぼのテレビでは彼女を知らない人のために、彼女を紹介する短いテロップを入れている。
 
「今のはどうやったんですか?」
「簡単ですよ」
「そうなんですか?」
「虹色のスポットライトで見えにくくなっている間に、私が秘密の呪文を唱えると、一瞬でおちんちんが無くなり、おっぱいが膨らんで女の子に変身したんです」
 
「ああ、本当に女の子に変身しちゃったんですね?」
「はい。だから、セシルちゃんはこの後は女の子として生きて下さいね」
「本人は喜んでいたようですよ」
 
「それは良かったです。やはり男より女のほうがいいですよね。女の子になりたい男の娘がいたら私の所につれてきて下さい」
 
とシンデレラさんが言うと、マリが
 
「アクアを連れていっていいですか」
と尋ねた。
 
しかしシンデレラさんは
 
「既にちんちんの無い人は今更女の子には変えられません」
と言って退場した。
 

実際には、狩衣を着けていたのは、セシルのフェイスマスクを付けた葉月Mである。セシルは最初から五衣唐衣裳を着けていた。それをシンデレラさんが一瞬で入れ替えたのである。
 

「やはりアクアはちんちん無いよね?」
などとマリは私に訊く。
「本人は付いてると言ってるけど」
「それ絶対嘘だ」
「それでは次の曲、『土の歌』」
 
青葉、千里、宮本、香月が退場する。山森さんが座るパイプオルガンの所のスポットライトも消える。
 
それでこういうメンツで『土の歌』を演奏した。
 
Gt.近藤 B.鷹野 Fl.世梨奈 Cla.美津穂 ASax.七星 Pf.詩津紅 Vib.月丘 Dr.酒向
 
続いて同じメンバーで『年号記憶の歌』も歌った。
 
これで前半のステージを終了する。
 
 
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【夏の日の想い出・秘密の呪文】(1)